皆さんは、ボケない脳の作り方をご存じですか?
そもそも、ボケるとはどのような状態になることか理解できていますか?
ボケるとは、『認知症』になるということです。
認知症とは、いったん発達した知的機能が低下して社会生活や職業生活に支障をきたす状態になることと定義されています。
つまり、私たちが普段経験している物忘れが深刻化し、日常生活が送れなくなってしまうということです。
認知症と脳は切っても切り離せない関係性があります。年齢を重ねても認知症にならない人は『ボケない脳』の持ち主と言っても過言ではありません。
皆さんもボケない脳づくりを始めてみませんか?
■認知症ってなんだろう?
今でこそ認知症という言葉は広く知れ渡っていますが、具体的にどのようなものか説明するのは難しいことです。
そのため、まずは認知症とは何かを解説していきます。
「最近物忘れが多くなった」「もしかして認知症かもしれない・・・」と不安に思った方もいるのではないでしょうか。安心してください。認知症と物忘れには大きな違いがあります。
私たちが日常的にする物忘れは、「冷蔵庫にものを取りに来たけど、なんだっけ?」「卵を買いに行ったのに、他のものを買って卵を買い忘れてしまった」というようなものです。
これは、年相応の物忘れで基本的には悪化しません。
ところが認知症は、行為や体験そのものを忘れてしまいます。「お茶の入れ方ってどうやるんだっけ?」「買い物の仕方がわからなくて、何も買わずに帰ってきてしまった」「電話のかけ方がわからない」というのが認知症です。
認知症になってしまうと当たり前のようにしていたことができなくなり、日常生活が困難になってしまいます。
認知症の主な症状
脳は、私たちのあらゆる行動をコントロールをしている司令塔です。
指示が上手く働かなければ、心と身体の活動がスムーズに運ばなくなります。
認知症は、様々な原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったために色々な障害が起こってしまう病気です。
そのため、日常生活に支障が出てしまい、当たり前のことができなくなってしまうのです。
認知症の主な症状は大きく2つの種類に分けることができます。
1つ目は、病気により脳の認知機能障害が発生することが原因となる『中核症状』というものです。
これにより、物事を覚えられなくなったり、考えるスピードが遅くなる、家電やATMなどが使えなくなる、計画や段取りを立てて行動できない、時間や場所、人との関係がわからなくなったりします。
2つ目は、『行動・心理症状』というものです。妄想や幻覚、暴力行為、人格変化、不潔行動、抑うつ、あてもなく歩き回ったりしす。
これらは、認知症になった方本人なりの背景や理由があり起こるとされています。したがって、行動の意味を理解し接することで症状を軽減させることができます。
取り上げた症状だけでも、大変なものだということがわかりますね。
認知症の方と接するのも大変ですが、なってしまった本人が一番大変です。
「私は認知症になった」と理解することがとても難しいからです。
「ここはどこ?」「何で私はここにいるの?」「あの人は誰?」など、分からないことだらけで不安な毎日はとても苦しいですよね。
もし、どのような人が認知症になるか分かれば、予防することができると思いませんか?
どんな人が認知症になるの?
現在、65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知症の人または認知症予備軍と言われています。
認知症になってしまった人のうち、原因となる病気の上位を占めるのがアルツハイマー病(67.6%)、脳血管障害(19.5%)です。
この2つの病気だけで、約90%も占めているのです。
アルツハイマー病では、脳内に溜まった異常なタンパク質により神経細胞が破壊され、脳が縮んでしまいます。
症状としては、『昔のことはよく覚えているが最近のことはすぐに忘れてしまう』『軽度の軽度の物忘れから徐々に進行し、やがて時間や場所の感覚がなくなっていく』というものがあげられます。
脳血管障害は、脳梗塞や脳出血により脳細胞に十分な血液が送られず、細胞が死んでしまう病気です。症状は、『感情がなくなっていく』『うつ状態』などの症状がよくなったり悪くなったりまだらに出てくるのが特徴です。
どちらの病気も、脳に深く関わるものです。
健康な脳を手に入れることが、認知症を予防することに繋がります。
脳の病気の原因
アルツハイマー病は、生活習慣と大きな関係があるということが明らかにされつつあります。
特に、中高年期からの高血圧症、糖尿病、脂質異常症などです。
これらの生活習慣病は、動脈硬化のリスクを高めます。動脈硬化とは、血管の壁が厚くなったり硬くなったりして、働きが悪くなることです。脳の血管の働きが悪くなり、詰まってしまうと脳梗塞の原因となります。
40~55歳の人の場合、肥満や高血圧症、高脂血症を合わせて持っていると、アルツハイマー病になるリスクが健康な人より6倍以上に上昇するという研究結果も出ています。
健康な脳を手に入れるには、生活習慣を見直すことが重要なのです。
では、脳はどのようにして健康になるのでしょうか?
具体的に何をすればよいのかを解説していきます。
ボケない脳①食事
認知症と食事は関係性があるのか検討した研究は多くあります。
その結果、炭水化物を主とする高カロリー食や低たんぱく食、低脂肪食は軽度認知障害や認知症のリスクを高める傾向にあることが分かりました。
また、大豆や大豆食品、野菜、海藻類、牛乳、乳製品の摂取は認知症のリスクを軽減できるという研究結果も出ています。
さらに、ビタミンEを多く含む食品もリスク軽減につながります。ビタミンEを多く含む食品には、うなぎやアーモンド、モロヘイヤなどがあります。
また、カフェインやコーヒー、お茶を摂取した人のほうが、認知障害は緩やかになるという結果も出ています。
栄養の偏った高カロリー食ではなく、『様々な種類の食品を食べること』がボケない脳を作るための第一歩なのです。
ボケない脳②運動
栄養バランスの取れた食事を食べたら、適度に運動することもポイントです。
なぜ、運動がポイントになるのでしょうか?それは、運動をすることでアルツハイマー病の原因となるたんぱく質が溜まることを防げるからです。
さらに、短期記憶の容量が増える効果もあります。
短期記憶とは、数秒から数分間の短い時間の記憶のことです。
運動と言っても、過度な辛い運動はストレスとなり逆効果になってしまいます。
「楽である~少しきつい」と感じる程度の適度な有酸素運動や筋力トレーニングがボケ防止に役立ちます。
では、具体的にどんな運動が良いのか4つ紹介していきます。
1つ目は、『ストレッチ運動』です。
いきなり運動を始めてしまうと身体を痛めてしまうので、準備運動としてアキレス腱を伸ばしたり、太ももの裏を伸ばしたり、手首や足首、首を回して筋肉をほぐしてください。
2つ目は、『きっこう運動』です。
きっこう運動とは、体の左右で同時に別々の動きをすることです。
例えば、右手をグーの形に握って前に突き出し、同時に左手は膝の上でパーの形に開く運動です。
左右異なる動きに意識を向けた運動をすることで、認知機能に関わる脳の領域を活性化することができます。
3つ目は、『筋力をつける運動』です。
まず、足を肩幅くらいに広げ5秒かけて曲げ、5秒かけて伸ばすスクワットを行います。
次に、足を肩幅くらいに広げて踵上げ運動を行います。
どちらも10~15回を1セットとして、3セット行いましょう。
週3回程度を目標に、体力に合わせて行います。無理は禁物です。
最後に、『有酸素運動』です。いつもより少しだけ歩幅を広げて、少し早めに歩きます。
歩く時には肘を大きく振り、視線は5メートルくらい先におきましょう。
少し息が早くなる程度のペースで10~30分歩きます。
自分の体調と相談し、適度に行いましょう。
運動はとても大事ですが無理せず続けることが重要なので、『頑張りすぎない』ということを忘れないでくださいね。
ボケない脳③水分摂取
私たちが生きていくために『水』は必要不可欠ですが、水分摂取量が足りないと健康へ大きな悪影響を及ぼします。
人間の身体の約60%は水分です。
そのうちの5%を失うと脱水症状や熱中症になってしまいます。
認知症の原因となる脳の病気の1つである脳梗塞は、水分不足が発症するリスクを高めます。
脳梗塞の発症時間で最も多いのが、夜間から早朝にかけてです。
これは、就寝中には水分をとらないため脱水傾向になることと関わっています。
寝る前に水分補給をするだけで、脳梗塞のリスクを回避できるのです。
寝る前以外にも、起床時、運動をする時、入浴の前後、そして喉が渇く前に水分補給をすることが大切です。
「喉が渇いた」と感じる時にはすでに脱水しているのです。
まとめ
ここまで、ボケるとは「認知症になる」ということ、認知症とは様々な原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったために色々な障害が起こってしまう病気であることを紹介してきました。
認知症にならないためには、脳の病気であるアルツハイマー病や、脳血管障害を予防することがポイントです。
ボケない脳を作るためには、①様々な種類のバランスの良い食事を食べること、②「楽である~少しきつい」と感じる程度の適度な有酸素運動や筋力トレーニングを無理せず続けること、③水分をしっかりとることが大切です。
健康な脳を作るためには、生活習慣病を予防することが大きな鍵となります。
脳トレをして認知機能を高めることも良いことですが、今回はボケと健康の関係を考え根本から解決する方法を紹介させていただきました。
みなさんも是非自分の健康について考え、できそうなことからチャレンジして「ボケない脳」を手に入れましょう。