医療・介護・福祉・保育業界専門の求人をお探しの方は医療・介護・福祉・保育bizへ。詳しくはこちら!

コロナ禍で介護業界への転職者が増加している?~介護業界の現状と将来性について~

この記事は約11分で読めます。

2020年2月頃から新型コロナウイルス感染が日本国内でも拡大し始め、1年以上が経過した現在でも、多くの企業が大きなダメージを受けています。

そして、それは介護業界においても同様です。

ただ、このコロナの影響で採用市場は変化しており、“異業種から介護職への転職者”が増加傾向にあります。

「なぜ、採用市場に変化が起こっているのか?」

「現在の介護業界の現状はどんなものか?」

「介護業界の今後(将来性)はどうなっていくのか?」

今回は、このような点に焦点を当てて、詳しくご紹介していきたいと思います。

なぜ介護業界への人材流入が起こっているのか?


withコロナ時代の現在、転職先として人気を博している業種が、「介護職」です。

なぜ介護職への転職希望者が増加しているのかというと、「女性の雇用が危機的状況に立たされているから」が理由の一つに挙げられます。

女性の就業者が大きく減少した主な業界としては、以下が挙げられます。

◆飲食業
◆アパレル業
◆宿泊業
◆小売り業

新型コロナウイルスの感染経路となるのは、「接触感染」「飛沫感染」の2つが大きな要因と言われています。

そして、サービス業や小売り業は“お客様との対面”が基本となります。

そのため、“密を防ぐ”という理由で、営業時間短縮や休業の要請が多くの施設に出されてしまい、且つ国民の外出自粛の影響を大きく受けたことで、売上が大幅に減少……。倒産に追い込まれた会社も数多く存在するのです。

上記で挙げた業界は、「内需依存型産業」と呼ばれます。

※「内需依存型産業」とは?
国内市場を中心に行われる産業のこと。

国内の景気に大きく左右され、また影響を与える産業であり、他にも「建設」「不動産」など様々な分野が存在する。

逆に、原料輸入や製品輸出など、海外市場と密接な関係にある産業のことは「外需依存型産業」と呼ばれ、海外市場の動向に大きく左右される。
(例:自動車産業など)

サービス業や小売業などの内需型の業種は、アルバイトやパートなどの“非正規”として働く女性も多く、非正規の従業員は経営が悪化した際に雇用契約を打ち切られる可能性が高くなります。
(もちろん企業によりけりですが、少なくとも正社員より切られる優先度は高くなる傾向にあります)

このことから、コロナの影響で働く場所を失った女性が増加しており、「新たな職を求めて介護業界へ流入してきている」というのが、現状となるのです。

仕事をしなければ、生活ができない


新型コロナの影響で、人々の生活は大きく変化しました。

そして、仮に今回のコロナ騒動が(一時的にでも)収束したとしても、また・いつコロナのような新型ウイルスが蔓延するかは予想が付きませんし、コロナ以外のなんらかの要因で同じように経済不況に陥るかも分かりません。

今回のことで多くの人々が痛感したことは、“これまで通りの働き方が通用しなくなる日は、いつ来てもおかしくない”ということです。

廃業に追い込まれた経営者、職を失った人々……。退職まではいかなくても、突然の給料減やボーナスカットに見舞われた方も多いはずです。

このことから、

◆「働く場所がない」
◆「収入が少なすぎて生活ができない」
◆「今の会社で今後も働き続けることができるのか……」
◆「本当に今の会社で働き続けて大丈夫なのか……?」

など、多くの人々が将来への不安を感じています。

しかし、生活をするためにはお金が必要であり、収入を得るためには働かなくてはいけません。

国や自治体が設けた給付金などで多少まかなうことはできるかもしれませんが、それでも限界があります。

「自分の身は自分で守るしかない……」

今、多くの人々に“変化”が求められているのです。

なぜ、介護業界なのか?介護の将来性について


介護業界は、以前よりずっと“人手不足”が問題視されていました。

その原因の一つに挙げられるのが、「仕事内容に見合った対価ではない」ということです(賃金が低い、待遇が悪いなど)。

この人手不足に危機感を覚えているのは、現場の人だけでなく、国や各事業所も同様です。

そのため、少しずつ働き方の改善も行われていますが……、これはまだまだ不十分であり、現場から不満の声も多く出ているのが現状です。

にも関わらず、介護業界への転職を希望する人は増えています。

この理由は、「就職難になりにくい(需要がある)業種であり、他業種(未経験)の人でも参入しやすいから」です。

以下にて、もう少し詳しくご紹介していきたいと思います。

理由1:高齢者の数は、今後も増加するため

現在の日本は「少子高齢化時代」に突入しています。

以下は、厚生労働省が公開している日本の将来推計人口の調査資料です。


引用:公的介護保険制度の現状と今後の役割(厚生労働省 老健局 総務課)より

ご覧の通り、2010年をピークに日本の人工はどんどん減少しており、2060年には“75才以上の人工比率が、14才以下の3倍以上になる”と予想されています。

“高齢者が増える=介護を必要とする人も増える”ということであり、今後も介護の需要は増加していくことに間違いはありません。

ちなみに少し余談となりますが、「高齢化率」というのは、国際連合によって以下の3段階に定義されています。

◆高齢化社会 :高齢化率が「7%」以上「14%」未満
◆高齢社会  :高齢化率が「14%」以上「21%」未満
◆超高齢化社会:高齢化率が「21%」以上

そして、2020年時点での日本国全体の高齢化率は「28.7%」です。

つまり、既に日本は「超高齢化社会」に該当しており、今後も高齢化率が上がり続けることになります。

理由2:施設数が多く、地方でも需要がある

「介護」と一言でいっても、様々な事業・施設が存在します。

区分で大別すると、以下のようになります。

◆「居宅介護サービス」
⇒訪問介護(ホームヘルプ)・通所介護(デイサービス)・通所リハビリテーション(デイケア)・短期入所生活介護(ショートステイ)など、他にも様々な種類がある

◆「施設サービス」
⇒介護老人”福祉”施設・介護老人”保健”施設・療養型医療施設

◆「居宅介護支援」
⇒居宅サービス計画(ケアプランと呼ばれるもの)を作成するサービス

◆「地域密着型サービス」
⇒小規模多機能型居宅介護・夜間対応型訪問介護・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)・認知要対応型通所介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護など、こちらも数多くの種類がある

施設だけでも非常に数多く存在しますし、一つの施設で勤務する職員だって複数人います(もちろん職種も様々です)。

それに、そもそも、介護の対象者は高齢者だけに限りません。

障害や難病を抱えている人であれば、年齢に関係なく介護を利用されることもあります。

これが、日本全国の様々な地域に点在しているのです。

このことから、「地方でも仕事を探しやすい」というのもメリットの一つと言えるかと思います。

理由3:自分のライフスタイルに合わせた勤務ができる

介護の仕事は、業種はもちろんのこと、働き方も多岐に渡ります。

正社員/契約社員/アルバイト・パートなど雇用形態は様々ですし、勤務時間も日中のみのものがあれば夜間対応を求められるものもあります。

これの利点は、「自分のライフスタイルに合わせて働き方を選択できる」ということです。

◆「夜勤も利用して、正社員としてガッツリ稼ぎたい!」
◆「家族のお世話を優先させたいので、アルバイトとして時間に融通を利かせて働きたい」
◆「子育ても落ち着いてきたので、パートとして仕事しつつ、仕事と家庭を両立させたい」

などなど……。

もちろん、事業所側の要望もあるので全てを自分の都合に合わせて……というのは難しいですが、“自分の基準に合わせて(ある程度)働き方を選択できる”というのは利点の一つと言えるでしょう。

ちなみに、現在の介護業界も“即戦力となる人材”を必要としています。

「経験がある」「介護に役立つ資格を持っている」という方であれば、ブランクがあったとしても採用される可能性は高くなるかと思います(もちろん事業所によりけりではありますが)。

理由4:未経験からでも参入でき、キャリアアップも目指せる

職種にもよりますが、介護の仕事は“未経験/無資格”からでも募集をかけている事業所が数多く存在するのが特徴です。

これも、他業種からの転職希望者が多い理由の一つと言えるでしょう。

最も参入しやすいのは、「介護員(ヘルパー)」ではないでしょうか。

訪問介護員などの、利用者に介護サービスを提供する人は、本来であれば「介護職員初任者研修修了(旧ヘルパー2級)」以上の資格が必要となります。

ただし、人手不足などの問題も影響しており、無資格者であっても一部介護サービスを提供することが可能となっています(あくまで一部のみ)。

また、2020年4月27日には、新型コロナの影響により人材を十分に確保できない場合、「ホームヘルパーの資格(介護職員初任者研修修了)を所持していない職員でもサービスを提供することができる」という規定が、厚生労働省より発表されています。
※ただし、サービスを行えるのは介護経験者のみ※

そして、少し前までは複雑化していた介護職のキャリアアップですが、現在は国家資格である「介護福祉士」を目指すルートに一本化されており、現場での経験を活かして、国家資格を目指すことも可能となっています。

加えて、「ケアマネージャー」や「生活相談員」など、それぞれの職種で求められる資格が異なる場合があります。

未経験・無資格からでも参入できる可能性があり、現場で経験を積みながら新たな資格を取得しキャリアアップを目指していく。

もちろん、それ相応の努力は求められますが、将来的にも夢のある仕事と言えるかもしれません。

理由5:現場での経験を活かすことができる

介護職というものは、施設が変わっても・多少職種が変わっても、現場での経験を多方面で活かすことのできる職業です。

もちろん、業務内容は、職種・施設の利用対象者・目的によって多少の違いはあります。

しかし、「”介護”という業務内容」そのものに大きな違いはありません。

“介護”という一つの仕事(ジャンル)から、介護に関連する様々な職種に派生していくのです。

それに、介護は仕事だけでなく、自身が生活していく中でもいずれ必要とされるものです。

自分の両親は、必ず自分よりも先に年老いておきます。

介護の仕事に携わったことがあると知っていれば、親戚や友人からも相談を受けることがあるかもしれません。

それに、いずれは自分自身も介護を受ける身になります。

そういった時に、介護(業界)の知識があれば、それを活かして周りの人たちの助けとなることができるのです。

決して、楽な仕事ではない

「新規参入しやすい」
「将来性がある」
「自分のライフスタイルに合わせて仕事ができそう」
「仕事以外でも役立てれる可能性がある」

メリットだけを見ると、特に他業種からの転職者にとっては良いこと尽くしのように感じるかもしれません。

しかし、介護という仕事は決して楽なものではありません。

例として挙げるなら、以下のようなものがあります。

◆給料は安く、待遇が良くない
◆残業が多い+夜勤もあれば生活リズムが狂いやすくなる
◆排泄介助なども行わなければならない
◆どれだけ尽くしたとしても、利用者は「サービスを受けて当たり前」と思っている人もいる(あくまで一部のみ)
◆意思の疎通が難しい利用者もいる(時には利用者のご家族とも)
◆名指しで苦情がきたりする

上記でもお伝えした通り、介護業界は人手不足が問題視されています。

当然、そうなるには相応の理由があるのです。

折角、介護業界に就職できたのに「思っていたのと違った」と感じて早期に離職する人もいます。

ただし、これについてはどんな仕事でも似たような部分は必ずあります。

楽して収入を得られる仕事はなく、どんな仕事であっても“良い面”もあれば“気になる面”もあるのです。

実際、介護の仕事を何十年と長く続けていらっしゃる方も大勢います。

大切なのは、「自分に合っているかどうか」です。

働き方改革は現在進行形で行われていますし、施設や職種によっても合う合わないは存在するため、まずは一歩踏み出してみることも大切ではないかと思います。

まとめ:今後の働き方を見直すチャンスかもしれません

新型コロナによって、「生活が一変した」という方は、大勢いらっしゃるかと思います。

ただ、仮にコロナ問題が発生しなかったとしても、いつ・どこで状況が一変するかは分かりません。

「務めていた会社が倒産した」はコロナに関係なく起こりうる可能性がありますし、「病気によってor事故に巻き込まれて、これまでの生活ができなくなった……」という方だっています。

人間生きていれば、誰しも“変化を求められる時期”というものが、必ず訪れます。

現在でいえば、“コロナによる社会的影響”がそれです。

これは、長い目で見た時に、「自分の人生を大きく変えるチャンスになる」とも考えられるのではないでしょうか。

「家庭のためには我慢しなくてはいけない」
「時間がない」
「面倒くさい」

これまで、仮に仕事に対する不満を持っていても、上記のような理由で中々一歩を踏み出せずに「何となく現状を維持している」という人も中にはいらっしゃったのではないかと思います。

“危機に直面する=変えざるを得ない状況に陥る”ことで、これまでの自分を見直すことができ、改めて今後の働き方を考えるキッカケになるのではないかとも思うのです。

「就職先を失う」という最悪の事態が珍しくないこのコロナ禍だからこそ、情報は武器になりますし、早めにアクションを起こすことで自分の身を守ることにも繋がります。

介護業界は、まだまだ厳しいと感じる部分もたくさんあります。

しかし、今後も必要とされる仕事であり、働き方や賃金・待遇の改善なども行われていく見込みは十分にあります。

選択肢の一つとして、介護業界の知識を深め、一歩を踏み出してみるのもいいかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました