「ベビーシッター」は、“保育士の新しい働き方の一つ”として、現在注目を集めている職業です。
そして、この仕事は多様な働き方ができ、その中の一つに「個人事業主(フリーランス)として働ける」という特徴があります。
“個人事業主(フリーランス)として働く特徴”および“開業方法”については、前回の記事にてご紹介をさせていただきました。
しかし、ベビーシッターの個人事業主(フリーランス)として働くのは、生半可な気持ちで続けていくことはできません。
今回は、この「ベビーシッターの個人事業主(フリーランス)として働く上での、メリット・デメリット」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
フリーランスとして働く上での「メリット」とは?
まずは「メリット」についてのご紹介となります。
この項目では、以下の5つに分けて詳しくご紹介をしていきたいと思います。
②「働き方」について
③「人間関係」について
④「体力面」について
⑤「将来性」について
メリットを正しく理解することによって、今後「どのような働き方が自分に合っているのか?」を知ることができると思います。
では、順にご紹介していきましょう。
メリット1.「収入」について
個人事業主(フリーランス)の最大のメリットといえるのは、「自身の努力次第で高収入を目指せる可能性がある」という点でしょうか。
例えば、どこかの会社に所属するベビーシッターの場合、顧客からいただいた報酬の何割かは、会社に納めなくてはなりません。
(その代わり、仕事に関するサポートや保証を行ってくれる)
対してフリーランスの場合は、「金額を自分で設定することができ、報酬はすべて自分のものになる」ということになります。
報酬相場は、おおよそ以下のようになっています。
◆会社に所属:一時間あたり900円~1,800円
※あくまで相場であり、金額は変動する可能性があります※
相場を見るだけでも、その金額の違いは明白だと思います。
このことから、フリーランスとして働いた方が「将来的に高収入を目指せる可能性はある」といえるでしょう。
ただし、それは“自分の働き次第”という点には注意しておいてください。
個人事業主は、自分で仕事を探してこなくてはいけません。
そのため、仕事が安定してあるわけではなく、多いときもあれば少ないときもある……つまり“収入の波がある”のです。
特に開業したてのころは顧客が全くつかず「会社に勤めていた時の方が収入が多かった」なんてこともザラにあります。
集客費用がかかり経費がかさむだけの時期もあるでしょうし、特に初めのうちは苦労することも非常に多いです。
そのため、「フリーランスなったら必ず稼げるようになる」というのは間違いです。
あくまで、「稼げる可能性がある」というだけであり、それはすべて“自分次第”ということになります。
この点には十分注意しておきましょう。
(これはデメリットの項目でも記載しますが、大切なことなのでここにも記載しておきます)
メリット2.「働き方」について
フリーランスのベビーシッターの特徴として挙げられやすいのは、「働き方を自分で決められる=自由である」という点です。
それは、「働く時間を自分の意志で決められる」ということと、「保育の仕方も自由である」という2つがあります。
まず“働く時間”ですが、これは言わずもがなです。
◆パートナーや家族の都合で、土日は絶対に休みにする
◆土日だけ働く
◆午前中・午後のみ働く
◆夜間も対応可能
などなど……。
“個人事業主=あなた自身が会社の社長である”ということから、働く時間は自分の意志ですべて決定することが可能です。
そして、「保育の仕方も自由である」、この点も個人事業主の見逃せないメリットの一つです。
保育園や幼稚園のようにカリキュラムが定められているわけではありませんし、そもそもベビーシッターは「個別保育」であるため、子どもにとって最適だと思える保育の内容を自分で考え、一人ひとりに向き合った仕事ができるのです。
この「働き方は自由(自分で決定できる)」というのは、特に「集団保育」をしていた保育士や幼稚園教論の方であれば、大きな魅力として感じられるかと思います。
メリット3.「人間関係」について
(会社の規模を大きくするなら話は別ですが)基本的にフリーランスのベビーシッターは「一人で働く」ことが中心となります。
そのため、保育園などのような“人間関係の煩わしさが少ない”こともメリットの一つとなります。
実際、保育園などの人間関係で悩んでいた人が、「退職してフリーランスのベビーシッターとして働いている」ということも珍しくはありません。
保育園で得た保育の経験や知識を活かして働けますし、人間関係の煩わしさも軽減できるのです。
(もちろん、保育の経験や知識があるということで、利用者からの信頼も得られる可能性が高い)
このことから、「職場での人間関係に悩んできた……」という人にとっては、フリーランスのベビーシッターは働きやすい環境となる可能性があります。
ただし、まったく人と関わらないのか?といわれると、当然そんなことはありません。
顧客である子どもの保護者やお子さんとの関わりがあるため、「保護者やお子さんとの相性」には十分な注意が必要となります。
また、「所属する組織がない=関わる人が少ない」ということは、“相談できる仲間がいない=一人で問題に対処しなければならない”ということにも繋がります。
この点にも十分注意しておいた方が良いでしょう。
メリット4.「体力面」について
ベビーシッターというのは、基本的に“時間単位”で契約することから、残業はほとんどありません。
また、保育する子どもの人数も1人ないし2人であることがほとんどのため、集団保育のように複数の子どもを一斉に保育することも基本的にはありません。
自分のペースを崩すことなく働けることから、「体力的に不安……」という方でも、比較的軽い負担で仕事ができるかと思います。
ただし、個人事業主として働く場合、一つだけ気をつけておかなくてはいけないことがあります。
それは、「会社を通さずに契約をするため、顧客の要求が増える可能性がある」ということです。
ルール(特に残業)の取り決めが曖昧だと、あれもこれもと要求が増えていく可能性もあるため、十分注意をしておいた方が良いでしょう。
メリット5.「将来性」について
「保育士の新しい働き方の一つ」として注目を集めている、ベビーシッター。
保育園不足の関係から「待機児童」の問題も肥大化しており、この点については国や自治体も対処にはあたっているものの、なかなか解消できていないのが現実ではあります。
だからこそ、現在はベビーシッターの需要が増加傾向にあるのです。
「ベビーシッター=利用料が高額で、一部の富裕層のみしか利用できない」という認識を持たれている方も多いかもしれません。
その問題を解消するため(一般の方でも利用できるようにするため)、ベビーシッターの利用に関する補助金を出そうと検討が進められているのです。
このことから、今後はベビーシッターの需要もどんどん増加していくものと予想されています。
加えてもう一つ。
現代は、「機械による自動化」が進んでおり、簡単な軽作業であれば人の力を介さず機械で済ませることも多くなってきました。
しかし、「保育は機械による完全な自動化は不可能」です(少なくとも現時点では不可能)。
保育は、何が起きるか分かりません。
お子さんが急な体調不良に見舞われる可能性もあるでしょう。
保育中、ケガをしてしまうかもしれません。
そういったときに、臨機応変に対応できるのは“人間”だけなのです。
経験や知識が豊富な、元保育士や元看護師なら尚更のことです。
利用者もお金を払ってベビーシッターに仕事を依頼します。
そこには、大なり小なり「信用」「信頼」がなければ発生し得ないのです。
だからこそ、今後ベビーシッターの需要が増加することはあれど、「機械に取って代わられる」ということはないと考えて問題はありません。
将来性も十分にあることから、ベビーシッターを目指すのも選択肢の一つとして良いかもしれませんね。
フリーランスとして働く上での「デメリット」とは?
個人事業主として独立する以上、メリットが存在すれば、当然デメリットも存在するのが常です。
このデメリットも、しっかりと把握しておかなくては独立することは到底不可能となりますし、そもそも“独立すること自体が危険である”とも言えます。
この項目では、以下の3つの観点からデメリットについてご紹介していきたいと思います。
②「責任の所在」について
③「働き方」について
デメリットもしっかりと理解して、これからの経営に役立ててみてください。
では、説明にまいりましょう。
デメリット1.「収入」について
メリットの項目でも記載しましたが、個人事業主(フリーランス)のベビーシッターは、「収入が不安定」です。
多い日・月もあれば、少ない日・月もあります。
特に開業したてのころは、顧客が全くつかずに、生計が成り立たない場合もあるかもしれません。
集客費用がかかり、経費だけがかさむ時期もあるはずです。
また、「金額は自分で設定できる」といっても、高い値段を設定できるかどうかは、「顧客からの信頼」や「あなたの実績」次第となるのです。
当然です。
実績がないのに高い値段を設定しても、顧客側は誰も「利用したい」とは思わないでしょう。
メリットの項目でも記載しましたが、「個人事業主(フリーランス)になったら稼げるようになる」は、大きな間違いです。
むしろ、“うまく稼げない人の方が多い”と考えておいた方が良いです。
「個人事業主=あなたが会社の社長」であり、すべて“自己責任”となります。
生半可な気持ちでは続けていくことは難しいので、この点には十分注意しておいてください。
デメリット2.「責任の所在」について
上記でも記載した通り、「個人事業主として働く=すべて自己責任となる」ということです。
会社に勤務している場合、会社や所属先など守ってくれる“後ろ盾”が存在します。
そのため、仮に何か問題が発生したとしても、ある程度は会社側で保証してくれることとなります。
しかし、個人事業主にはそういった“後ろ盾”が存在しません。
何かあったときは、すべて“自身で責任を取らなくてはいけない”のです。
◆電話等ですぐに問い合わせができる専門医と提携しておく
など、問題があったときの対策は、事前にしっかりと講じておく必要があります。
この点には、十分注意しておいてください。
デメリット3.「働き方」について
メリットの項目で「働き方は自由である」と記載しました。
ただし、「自由=保証もない」ということにもつながります。
仕事は、“自分で探していかなくてはいけない”のです。
特に大変なのは、開業したてです。
◆SNSやWEBでの宣伝・営業
◆マッチングサービスの利用
などなど、とにかくできることはなんでもやって集客していかなくてはいけません。
これが、フリーランスとして仕事を続けていく上で、もっとも大変な部分なのです。
また、仕事を増やしたい一心で、報酬を安く設定してしまったり・無理な時間帯の保育を引き受けたり・過剰なサービスを提供したり……これらは、後々自分自身の首を絞めることにもつながりますので、バランスも重視していかなくてはいけません。
下手をすれば、顧客とのトラブルに発展してしまうケースもあるのです。
顧客に合わせた柔軟性ももちろん大切ではありますが、同時に「自分の理想とする働き方」を決めておくことも大切です。
そうすると、周囲に振り回されることなく働き方を決めていくことができるかと思います。
いきなりフリーランスは目指さないで!大切なのは「経験」と「知識」である
結論をまとめると、「いきなり個人事業主(フリーランス)として働くことはオススメしない」です。
確かに、フリーランスのベビーシッターになるために、特別に必要な資格というのはありません。
しかし、「資格も経験もない個人のベビーシッターに、顧客からの依頼が来ることはない」と断言します。
利用者側の立場で考えてみてください。
「実績のない”人となり”も分からない人に、大切な子どもを預けたいと思いますか?」
普通は「利用したい」とはならないはずです。
だからこそ、顧客の信頼を得るために「目に見える実績」が必要となってくるのです。
実際、今現在フリーランスとして活躍している人の多くは、保育経験が豊富であったり、資格を有している人たちなのです。
「フリーランスとして、長期的・安定的に仕事を続けていきたい!」と考えるのであれば、まずはベビーシッターとしての資格取得や経験など“実績”を作っていくことが重要といえます。
経験が無い人は、ベビーシッターの登録会社などを利用し、経験を積んでみてください。
ベビーシッターとしての必要な心構えを学んだり、もしもの時の対応・保護者対応など、様々な学びを得ることができますし、何よりベビーシッターとしての実績がつきます。
そして、それと並行して資格取得を目指してみてください。
◆幼稚園教論
◆看護師
◆助産師
◆ベビーシッター認定資格
などなど、仕事に活かせる資格はたくさん存在します。
「急がば回れ」です。
しっかりと実績を作った後、その上で「個人事業主(フリーランス)として独立したい!」と考えるのであれば、その一歩を踏み出してみてください。
その際には、ベビーシッターとして知識・経験・実績がしっかりと積まれていることでしょう。
まとめ
以上が、「ベビーシッターの個人事業主(フリーランス)として働く上での、メリット・デメリット」のご紹介となります。
決して楽な道のりではありません。
開業はあくまで“スタート”であり、“ゴール”ではありません。
しっかりと実績を作った上で開業をしても、なかなかうまく事業を継続することができない人もたくさんいるのです。
だからこそ、まずは“実績を作ること”を意識してみてください。
その上で、「本当にフリーランスとしてやっていきたいのか?」を模索してみてください。
働き方は人それぞれであり、多様に存在します。
ぜひ、自分に合ったやり方で、ベビーシッターとしての道を歩んでみてください。
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