鍼灸師とは、はり・きゅうを使用して身体のツボを刺激することで痛みやコリなどの不調を整えるお仕事です。
鍼灸師の活躍の場は鍼灸院や病院、スポーツに関連する分野など多岐に渡ります。
今回はそんな鍼灸師がどれぐらいの年収なのか、詳しく見ていきます。
鍼灸師の平均年収は?
鍼灸師の平均年収は350~450万円
一般的に鍼灸師は、350~450万円程度の年収だと言われています。
厚生労働省が実施した「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、その他保健医療従事者(あん摩師、鍼灸師、柔道整復師など)は406万円程度の年収という結果でした。
また、公益社団法人東洋療法学校が実施したアンケート調査によると鍼灸師は20~25万円程度の月収の割合が一番高い結果となりました。
男女別に見ると、男性は22.8万円、女性は16.8万円が平均的な月収という結果でした。
鍼灸師は鍼灸院などを自分で経営することができる権利を持っていますが、自分で鍼灸院などを経営している鍼灸師は37.1万円程度が平均的な月収という結果でした。
この結果から、自分で経営している層が全体の平均を上回っていることが分かります。
年齢別に見る平均的な月収
こちらは鍼灸師の平均的な月収を、年齢別に分けた表です。
年齢 | 平均月収 |
21~24歳 | 18.6万円 |
25~29歳 | 21.9万円 |
30~34歳 | 21.9万円 |
35~39歳 | 21.6万円 |
40~49歳 | 19.9万円 |
50歳以上 | 14.7万円 |
一番高いのは30~34歳という結果になっています。
鍼灸師はどれぐらいの実績やスキルがあるかによって、収入が左右されます。
自身で鍼灸院を経営している層の平均月収が37.1万円であることから、自分次第で給料アップを目指すことも十分に可能であると言えます。
鍼灸師の平均的な初任給
年齢別に見た月収から読み取れば、鍼灸師の平均的な初任給は18~19万円程度であると言えます。
経験の浅い新人のうちはあまり高待遇を期待できないかもしれませんが、経験を積んで技術を身につけていくことで収入をアップさせていくことができます。
将来的に独立を考えている人は、鍼灸院や病院などで経験を積みながら独立に必要な知識や技術を身につけていくと良いでしょう。
他の医療職と比べた年収
一般的に鍼灸師は350~450万円程度の年収だと言われていますが、他の医療職と比べるとどれぐらいの収入なのでしょうか。
理学療法士:400~500万円
柔道整復師:300~600万円
あん摩師:300~400万円
理学療法士や柔道整復師に比べると年収はやや低めですが、あん摩師とは同程度という結果になっています。
他の職業から見て鍼灸師の年収は、やや低め~平均値ぐらいであると言えます。
働く現場別に見る平均年収
鍼灸師は、医療・介護・スポーツ・美容など様々な分野で働いているのが特徴です。
ここでは鍼灸師の働く現場別に見る平均的な年収について見ていきます。
治療院
鍼・きゅうやマッサージの施術を行っている治療院で勤務している鍼灸師はとても多いです。
鍼灸院で働く鍼灸師は約350~450万円程度の年収だと言われています。
この金額は、鍼灸師全体の平均とほぼ同程度であると言えます。
将来的に独立して鍼灸院を経営したい人は、まずは現場で経験を積んで準備をしていくと良いでしょう。
医療機関
病院や診療所などの医療機関で働く場合の平均年収は、治療院で働く場合とほぼ同じ300~450万円程度だと言われています。
病院では医師の指示書に従って、はり・きゅうを使った治療を行います。
医療機関では他の医療職・リハビリ職との連携を経験することができるので、チームとして働きたい人には向いているかもしれません。
毎月安定した収入を得たいという人や、安定した職場で働きたいという人は医療機関での勤務がオススメです。
スポーツトレーナー
鍼灸師はスポーツトレーナーとしてスポーツジムやスポーツチームに所属して働くこともあります。
スポーツジムやチームで働く鍼灸師は200~1,600万円程度だと言われており、かなり幅広くなっています。
スポーツチームに所属する場合、年俸制で収入が決まるところが多く、実績やスキルによって年収も大きく変わることになります。
プロのスポーツチームやスポーツ選手と契約をするためには、鍼灸師として高い水準が必要になります。
将来的にプロチームでのトレーナーを目指す人は、治療院やスポーツジムで経験を積んでいくと良いでしょう。
介護分野
近年、鍼灸師も機能訓練指導員としてデイサービスなどの介護施設で働くことが認められるようになりました。
そのため、鍼灸師の活躍の場も今後さらに広がっていくことが予想できます。
介護分野で働く鍼灸師は300~500万円程度の年収だと言われています。
介護業界は人手不足の影響で、高待遇の求人も珍しくありません。
介護業界に興味のある人は、介護施設での勤務も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
美容分野
近年、肌荒れやシワ・たるみの改善といった美容のための鍼灸のニーズが増えてきています。
そのため美容に特化した鍼灸のサロンなどの開業も多くなっています。
美容分野で働く鍼灸師は300~400万円程度の年収だと言われています。
女性向けの鍼灸は女性が活躍できる場なので、鍼灸師になりたい女性に良い職場だと言えます。
独立開業
自身で鍼灸院を経営する鍼灸師は、700~800万円程度の年収だと言われています。
これは鍼灸師全体の平均的な年収を大きく上回っています。
鍼灸師は他の医療職に比べると年収はやや低い結果ではありますが、自分で経営することで給料アップを目指せるのは強みだと言えるでしょう。
鍼灸師が給料を上げるためには?
鍼灸師として働く人が、給料をアップさせる方法について説明していきます。
待遇の良い職場に転職する
鍼灸師は、医療・介護・美容など様々な分野で働いている人がいます。
給料を上げていくためには、鍼灸師として実績を積んでスキルを磨きながら待遇の良い職場を探すのが良いでしょう。
介護分野は人手不足の影響もあり、高待遇での求人も少なくありません。
また、美容鍼灸の需要も近年増えてきていることから美容関係でも待遇の良い求人が増えていくと予想できます。
様々な分野で働くことで鍼灸師としての実績を積み、スキルを磨いていくことで、給料を上げていくことに繋がります。
自分で経営をする
自身で鍼灸院などの院を経営する鍼灸師は700~800万円程度の年収だと言われおり、年収1,000万円以上の鍼灸師も少なからず存在します。
自分で院を開業して経営することが認められている鍼灸師は、自分の努力や実力次第で給料を上げていくことができます。
開業を支援してくれる治療院などもあるので、治療院や病院で働いて実績を積み独立を目指すと良いでしょう。
複数の資格を取得する
鍼灸院や医療・介護分野などの求人では、複数の資格を持っている人の方が良い待遇で採用される傾向にあります。
鍼灸師の他にも、柔道整復師・あん摩師など同業界の資格を取得しておけばより高待遇での就職が期待できます。
将来独立を目指している人にとっても、複数の資格を取得しておくことはサービスを提供していく上でメリットになると言えます。
認定鍼灸師になる
認定鍼灸師とは、公益社団法人全日本鍼灸学会が認定する高い水準の鍼灸師のことです。
認定を受けるためには、はり・きゅう両方の資格を持っていることや一定の研修を受講することが条件です。
鍼灸師はスキルにより収入が左右される職種なので、自身のスキルを磨いていくという意味でも認定を受けておくと良いかもしれません。
まとめ
鍼灸師は、350~450万円程度の年収であると言われています。
他の医療職に比べるとやや低い結果ではありますが、自身で鍼灸院を開業して経営している鍼灸師は700~800万円程度の年収と高くなっています。
また、鍼灸師は様々な分野で働くことができる職業なので、自分に合った高待遇の職場を見つけることで給料を上げていくことも可能だと言えます。