人には「寿命」があり、どんな人にも必ず訪れるのが「死」です。
そして、人生の最期に向けて行う活動・事前準備のことを「終活」といいます。
若い人であっても「終活」という言葉を聞いたことはあるでしょうし、現在はさまざまな理由で終活への関心が高まっています。
ただ、「終活を始めようと思うけれど、何から手を付けていいか分からない」という方もいらっしゃるかと思います。
今回は、この「終活」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
「終活」とはなにか?
冒頭でも記載した通り、終活とは「人生の最期に向けて行う活動・事前準備」のことをいいます。
死と向き合い・最後まで自分らしい人生を送るための準備のことであり、今後の人生をより充実させるためにも大切な活動の一つなのです。
そのため、終活=ネガティブに捉える必要はありません。
中には、「自分の死後、周りの人たちに迷惑をかけないように……」という気持ちで取り組まれる方もいらっしゃるのですが、「人生のエンディングを考えることを通じて”自分”を見つめ、”今”をより良く自分らしく生きる」ために終活を行うと考えてみてください。
高齢者の誰にでもある心配事……。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
◆相続のこと
◆保険のこと
◆お墓のこと
◆お葬式のこと
しかし、その心配事をいつまでもそのままにしておいても、老後生活の不安は解消されることはありません。
だからこそ、事前に先のことを考え・準備をして、老後生活の不安を解消する。
そして、いきいきとしたセカンドステージを送る……。
これこそが、終活の真の目的といえるのです。
「終活」の必要性について
日本において「終活」が意識されるようになったのは、2010年前後と言われています。
その背景には、日本の少子高齢化・核家族化や平均寿命の延びなどによって、「老後への不安感が増した」ことが関係しているといわれています。
一昔前の日本であれば、家族や地域の人とのつながりの強さ・家族や親戚も多さもあったため、死後の整理を周囲に任せたり・分担が可能でした。
だからこそ、安心して最期を迎えられるケースが多かったのです。
しかし、現代では、「頼れる家族がいない」「介護や看取りを担う人材が不足している」「社会保障制度が成り立たなくなる」という理由や不安から、老後や死後のために備える必要があると考える人が増加しました。
他にも、医療の進歩によって長寿化も進み、高齢者が自身の治療・介護・葬儀・お墓に関心や責任を持ったこと。
時代の変化によって「離婚」「再婚」「事実婚」が増加したり、「家族主義」から「個人主義」へ意識が変わったりしたことで、遺産をめぐる相続争いも増えているといわれていること。
このような点から、終活の必要性および関心が高まっていったのです。
「終活」を行うメリットについて
最大の目的は「人生の最終調整」である
「終活=自分の死と向き合う」ということです。
ただし、死生観は人それぞれに異なり、年代によっても死に対する考え方や受け入れ方は違います。
やはり年齢を重ねるごとに、健康状態だけでなく「死」と向き合う機会が増えることとなりますが、終活を行うことによって、自分の置かれている状況を客観的に把握することができるのです。
◆「残される家族のことを考える」
◆「友人・知人、今までお世話になった人たちへの想いをつづる」
◆「やり残したことや叶わなかった夢などを書き出す」
情報を整理することで、「余生を通して、できること・できないこと」を把握するキッカケとなるのです。
現実的に状況を把握することで、先に向けてさまざまな準備ができます。
そうすることで、「余生をどう生きるか?」のライフプランを考えることができ、残された家族への負担も減らすことができるのです。
そして、「終活」を行うメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
②「充実した老後生活を送れる」
③「遺産相続などのトラブルを防げる」
④「残された家族の負担を軽減できる」
順に、解説を加えていきます。
メリット①「死に対する不安を和らげることができる」
中には、「生きているうちに死後を見越した活動をするなど、縁起が悪い」と考える人もいるかもしれません。
しかし、死は誰にでも訪れるものであり、それが近付くにつれ誰しもが不安になり、誰しも死について考えなければいけないときが来るのです。
終活を行うことで“自分自身の整理”を行うことができ、実際にそれが「不安解消につながった」という声も多く聞かれるのです。
ただし、いきなり死に関することを周囲に話すと驚かれる・心配される可能性が高くなるので、例えば現状の健康状態を伝えることなど、順序だてて進めていくようにしてください。
メリット②「充実した老後生活を送れる」
何事においても、「考えること」と「考えていることを書き出すこと」は非常に重要です。
そうすることで、情報を整理することができ、「この先どう動いていけばいいのか?」を明確に計画立てしていくことができるようになります。
終活に関しても同じことがいえます。
“人生の最期”をゴールとして考えたとき、終活によって「残りを人生をどう生きるか?」を考え、そのために「これからやりたいこと」「どう過ぎしていきたいのか」を明確にすることができるようになるのです。
そうすることで、残された時間を有効活用できるようになります。
メリット③「遺産相続などのトラブルを防げる」
時代や価値観の変化によって、残念ながら遺産を巡る相続争いも増加しているといわれています(特に金銭トラブルは発生しやすい)。
終活で、必要なことを明記しておき、必要に応じて「遺言書」を残しておけば、こうした家族間のトラブルを防ぐことができるはずです。
メリット④「残された家族の負担を軽減できる」
人がお亡くなりになったあとも、残された家族にはやるべきことがたくさんあります。
その最たる例は、「葬儀」「墓」「各種手続き」に関することではないでしょうか。
もし終活をせずに亡くなってしまうと、残された家族がすべてを決めて行動に移していかなくてはならなくなるため、負担は大きくなってしまいます。
こういうときに役立てられるのが、「エンディングノート」という存在です。
エンディングノートに書き記しておくことで、家族はそれを参考にして行動が進められるので、結果として残された家族の負担を軽減することができるようになるのです。
いつから始めるのが良いのか?
結論からいうと、終活は何歳から始めても問題はありません。
40・50代から始める方もいれば、20・30代から始める方もいます。
「さすがに20代で終活は早すぎるのでは……?」と思う人もいるかもしれませんが、むしろ早く始めることで、自分の人生にしっかりと向き合え・納得のいく終活ができるのです(何かあっても、都度情報を更新すればいい)。
特に現代はさまざまな出費がかさみますので、早いうちから老後に向けて検討・行動に移す人が多いです。
ちなみに、終活を始めるタイミングとしてもっとも多いのは、「60代」からと言われています。
その理由は、「ライフスタイルが大きく変化するタイミング」であると同時に、「気力も体力も備わっているから」です。
定年退職・子どもの結婚・孫の誕生などライフスタイルが変化し、“仕事からリタイアするタイミング=自分に対しての時間が持てるタイミング”でもあります。
終活をするタイミングは人によりけりですが、「いつから始めようか?」と考えている人は、こういったライフスタイルが変化するタイミングで検討してみるのもいいかもしれません。
なにをすべきなのか?
いざ終活を始めようと思ってみても、「なにをすべきなのか?」「どこから手を付けるべきなのか?」が分からない人も多いかと思います。
取り組むべき内容としては、以下が挙げられます。
②「不動産問題の解決」
③「相続の準備・遺言書の作成」
④「老後の資金計画を立てる」
⑤「身の回りの整理(断捨離)」
⑥「デジタルデータの整理」
⑦「治療・介護の意思表示」
⑧「葬儀・お墓の詳細を決定する」
⑨「エンディングノートを作成する」
⑩「老後のやりたいことをリストアップする」
いきなりすべてを始める必要はありません。
自分の状況に合わせて、少しずつ順番に取り組んでいきましょう。
例えば、若いうちから計画立てていくのであれば、まずは「老後の資金計画を立てる」ことから始めてみるのもいいかと思います。
また、「身の回りの整理」をすることによって不必要なものを処分でき、心も軽くなります。
特に、“お金周り”と“デジタルデータの整理”は早めにやっておくことをオススメします。
お金周りで整理するべきものは、「預貯金」「クレジットカード」「有価証券」「保険」などが挙げられます。
近年はデジタルで情報を管理している人がほとんどであるため、この辺りを整理しておくことは非常に重要です。
まとめ
終活を行うことは、“家族への配慮”を行うと同時に、“自身のこれからの人生をより良く生きること”にも役立てられます。
もし、「人生でまだやり残したことがある」という方は、「やり残したことや叶わなかった夢を書き出す」ことから始めてみてるのもいいかもしれません。
また、終活を行うのに年齢は関係ありませんので、“未来を見据えて”若いうちから老後をことを考えておくのも良いかと思います。
「終活=悲しい言葉」と悲観的に捉える方もいますが、そんなことはありません。
むしろ、「限られた時間を前向きに生きるためのポジティブな活動」と捕えてみてください。
「終活=自分を見つめ、限りある人生をより充実したものにする」ために必要な活動なのです。
老後を前向きに過ごすために、死から目を背けずに、限りある時間の上手な使い方を考えることが重要といえるのです。