健康への意識が高まりを受けている昨今において、積極的にボディメイクに取り組む人が増加しています。
◆ダイエットのため
◆美容のため
◆健康増進のため
目的は人それぞれなれど、年齢・性別を問わず多くの人が関心を持っているのです。
この“健康的な身体”を手に入れるための手段もさまざまに存在しますが、もっとも有効的な方法は「筋肉量を増やすこと」です。
今回は、筋肉量を増やす方法やメリットについて、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
そもそも「筋肉」とはなにか?
概要
人間の身体には、大小600を超える筋肉が存在しており、生命活動を維持する上でも重要な役割を果たしています。
最たる例は、「身体を動かすために必要である」ということ。
立つ・歩く・姿勢を維持するなどの日常生活を送る上で、欠かすことのできない器官なのです。
また、「身体を守る」「基礎代謝を上げる」「血液やリンパの循環を促す」などの働きもしており、“筋肉の減少”はそのまま“身体の不調”へとつながる恐れがあります。
筋肉というと、スポーツ選手やボディビルダーに必要なものとイメージする方もいるかもしれませんが、健康的な日常生活を送るためには、どんな人にも必要な器官であるといえるのです。
ちなみに、筋肉は構造や働きの違いによって、以下の3種類に大別されます。
2.「心筋」 :心臓を動かしている筋肉
3.「平滑筋」:消化管や血管を動かし、消火や血流の助けをしている筋肉
この内、運動して増やせる筋肉は「骨格筋」であり、筋肉全体の約40%を占めています。
筋肉の役割について
人が生きていくために欠かすことのできない筋肉には、以下のような役割があります。
2.衝撃の吸収、血管・臓器の保護
3.ポンプの役割
4.熱をつくる、代謝を上げる
5.免疫力を上げる
6.ホルモンの産生
7.水分を蓄える
ただし、筋肉は意識的に増やす努力をしないと、どんどん減少してしまいます。
また、年齢を重ねることで、筋力をつくる力も落ちていくのです。
長く健康的な身体を維持していくためには、筋肉の増加および維持は必要不可欠なものとなります。
筋肉は衰えるスピードが早い器官である
まず、筋肉は加齢とともに徐々に衰えていきます。
特に、男女ともに55歳ごろから筋肉量は急激に減少していき、加えて年齢を重ねるごとに新たな筋肉を生み出す力も衰えていくのです。
中には、「まだ若いから大丈夫」と思う人もいるかもしれませんが、若い人であっても要注意。
動く機会が少ない人ほど、それだけ筋肉は減少していきます。
例えば、1日中何もせずに家でゴロゴロしていると、それだけで3~5%の筋肉が萎縮し、筋力が低下していきます。
特に、新型コロナウイルス感染症の影響もあって、“外出の機会が減った=身体を動かす機会が減った”という人も多いのではないでしょうか。
また、骨や筋肉は“身体を支えることでその機能を維持している”のですが、使用していなければ機能も停止していきます。
その結果、骨は弱くなり、筋肉もあっという間に衰えて細くなっていくのです。
つまり、若いうちからしっかりと筋肉を鍛え・維持していかないと、健康寿命そのものが短くなり、将来的に苦労することとなるのです。
筋肉は何歳になっても増やすことができる
確かに、筋肉は年齢とともに衰えていきます。
若い頃と比べると、同じ運動をしたとしても筋肉となる率は落ちてしまいます。
しかし、何歳から始めても筋肉はつけることができます。
仮に80歳・90歳からトレーニングを始めたとしても、必ず筋肉をつけることができるのです。
もちろん早い段階から始めるに越したことはありませんが、「今更遅い……」と諦めず、状況を改善するためにも積極的に運動習慣を取り入れるようにしてください。
「脂肪」の役割とは?
体脂肪も生きていく上で必要なものである
体脂肪と聞くと、「憎むべき敵!」「自分の身体から締め出してしまいたい!」と考える人もいるかもしれません。
しかし、体脂肪にも役割があり、そもそも体脂肪がなければ人間は生きていけません。
体脂肪の大きな役割の一つは、“エネルギーを備蓄すること”です。
栄養素が1gあたりに蓄えることができる熱量は、糖質やたんぱく質が4kcalであるのに対し、脂質は9kcalもあります。
つまり、エネルギーを蓄える上で、脂肪は一番効率の良い物質なのです。
また、細胞膜が「リン脂質」でできているように、脂肪は体の中の細胞をつくる重要な物質の材料としても欠かせません。
“脂肪がなくなる=細胞もなくなる”ということであり、人が生きていくためには必要不可欠なものなのです。
加えて、男性ホルモンや女性ホルモンのような「性ホルモン」、副腎皮質ホルモンである「コルチゾール」や「アルドステロン」などは脂肪でできています。
このことから、脂肪がないとホルモンも生成できないのです。
確かに、体脂肪が多すぎると健康に害を為す恐れはありますが、だからといって身体から完全に脂肪を取り除くこともできません。
身体に必要なものだからこそ、体脂肪も存在しているのです。
筋肉と脂肪は別物である
昔から、「脂肪は筋肉に変わる」という説がありました。
しかし、筋肉は主に“たんぱく質”からできており、脂肪は“脂質”からできています。
両者はまったくの別物であるため、脂肪が筋肉に変わることはありません。
筋トレをすると脂肪が減って筋肉が大きくなるのは、“筋トレでエネルギーとして脂肪が消費され、筋肉に負荷がかかって太くなる”からです。
体脂肪率の理想の数値は?
肥満度を把握するのによく用いられる「体格指数(BMI)」ですが、「体脂肪率」も肥満度を知る目安にはなります。
“体脂肪率(%)とは、体重に占める体脂肪の割合のこと”です。
体脂肪率の目安は、年齢を問わず「男性:25%以上」「女性:35%以上」になると“肥満”といわれています。
できる限り、上記の数値を上回らないように意識しておきましょう。
筋肉を減らさず脂肪だけを減らすには?
脂肪も大事な要素であるとはいえ、増加し過ぎると太る原因となり、身体に悪影響を及ぼします。
そして、何もしない状態が続くと筋肉も次第に落ちていき、日常生活のパフォーマンスが低下してしまいます。
どうすれば、「筋肉を維持しつつ脂肪だけを減らす」ことができるのでしょうか。
この項目にて、詳しくご紹介をしていきます。
極端な食事制限を止めること
「すぐに体重を落としたい!」という方がやりがちなのが、極端な食事制限をすることです。
確かに、実践してすぐに体重は落ちていくため、“体重だけを見れば”痩せたように感じるかもしれません。
しかし、極端な食事制限をする=体がエネルギー不足になるということであり、身体は“筋肉を分解して”アミノ酸とエネルギーを作ろうとします。
つまり、極端な食事制限は、筋肉量を減らす原因となるのです。
また、十分なエネルギーが補給されない状態が続くと身体が飢餓状態となり、少ないエネルギーでやりくりしようと身体が省エネモードになってしまいます。
その状態で(体重が減ったからと)元の食生活に戻ってしまうと「リバウンド」の原因となり、これを繰り返すことで余計に痩せにくい身体になってしまうのです。
大切なのは、“食事制限をする”ことではなく“食生活を見直すこと”です。
◆一日三食の食事を意識する
◆夜遅くの食事は摂らない
など、食習慣を改善し、それを長く維持する(習慣化させる)ことが重要なのです。
良質なたんぱく質を取れば、筋トレの効果も上がります。
プロテインなどを飲んで、手軽に栄養素を補充するのも良いかと思います。
筋トレ後に有酸素運動を行うこと
脂肪を減らすのであれば、「有酸素運動」が効果的です。
脂肪燃焼の効果が高まるのは、“有酸素運動開始から20分経過後”といわれています。
そのため、有酸素運動で脂肪を燃焼したいという場合は、20分以上の有酸素運動を行う必要があります。
ただし、1時間以上の有酸素運動を行うと、体脂肪だけでなく体内にあるたんぱく質を分解して、エネルギーとする働きが起こってしまいます。
つまり、筋肉まで分解してしまう恐れがあるのです。
理想は、「筋トレを先(メイン)に行い、その後有酸素運動を(サブとして)行う」のが良いです。
筋トレを先に行うことで、“基礎代謝をアップさせる働き”や“脂肪を分解する働きを持つホルモンが分泌される”ため、有酸素運動の効果はより高まることとなります。
これで、効果的に筋肉量を増やし、脂肪を燃焼させることができるようになるのです。
ダイエットで意識すべきは、体重ではなく「体脂肪率」と「筋肉量」である
ダイエットを行う際の必須アイテムである「体重計」。
しかし、真に注目しなければいけないのは「体重」ではなく、「体脂肪率」と「筋肉量」のバランスです。
体重が減っていても、筋肉量のみが減少しているだけでは、健康に悪影響+リバウンドの原因となってしまいます。
減らすべきは「体脂肪」のみであり、仮に体重が変化していなくても体脂肪率が減少していれば、見た目にも引き締まった身体へと変化していくのです。
そのため、ダイエットを行う際は、「体重計」ではなく、身体の組成分を測定できる「体組成計(たいそせいけい)」を利用することをオススメ致します。
体重だけでなく、筋肉量や体脂肪率、そしてそのバランスを測ることができるので、理想のカラダに近づけるよううまく活用してみてください。
尚、体組成計の機種により、測定方法や推定方法は異なります。
体脂肪率の数字は一定の誤差があることを理解して、あくまで参考程度に留めておくようにしてください。
また、体脂肪の測定は継続して同じ時間に測定することをオススメします。
まとめ
筋肉はもちろん、脂肪も健康的な身体を維持していく上で重要な要素です。
「脂肪を減らしたい!なくしたい!」と考える人も多いですが、0にすることはできません。
もっとも重要なのは、“筋肉と体脂肪率のバランス”です。
◆食生活の見直しをする
◆体組成計などを活用し、各数値を明確化する
筋肉量を増やして健康的な生活を送りたいのに、筋肉量が減ってしまっては本末転倒です。
目先の数値に囚われることなく、長期的な視野を持ってカラダづくりを行ってみてください。
また、運動習慣を取り入れ筋肉をつけるのは、何歳からでも行うことが可能です。
筋肉を増やすためには、“筋肉を使うこと”が何よりも大切です。
使えば使うほど増えていくのが筋肉であり、筋肉は「生まれ変わる力=蘇生力が高い」ことも特徴に挙げられます。
例えば、身体の動きを支える「骨」「関節」「筋肉」の三大要素の中でも、筋肉は圧倒的な速さを誇っています。
◆関節:117年
◆筋肉:48日
※あくまで目安です※
蘇生力が高いからこそ、衰えも早い……。だからこそ、意識して筋力を向上・維持することが大切なのです。
若いうちから運動習慣をつけた方が、筋肉は維持しやすくなります。
とはいえ、年齢を重ねた後であっても、筋肉をつけることはできます。
筋肉がしっかり備わっていると、体を支える力が強くなり、骨や関節にかかる負担を軽減してくれます。
また、筋肉を鍛えることで、骨を丈夫にもしてくれます。
健康寿命を延ばす上で筋肉の存在は必要不可欠ですので、ぜひ運動習慣をつけ、健康な身体を長く維持してみてください。