ダイエットの最大の敵ともいわれる、「リバウンド」。
やっとの思いで体重を減らしても、ダイエット後にまた太ってしまっては意味がありません。
しかも、リバウンドを繰り返すと“逆に太りやすい体になる”とも言われており、減量がどんどん難しくなってしまいます。
リバウンドは、なぜ起こるのでしょうか。
そして、リバウンドしないダイエット方法はあるのでしょうか。
今回は、リバウンドの原因と対処法について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
そもそも「リバウンド」とはなにか?
リバウンドの意味は、「はね返ること」そして「はね上がること」です。
ダイエットにおけるリバウンドも似たようなもので、「ダイエット後にダイエット前の体重に戻ってしまうこと」もしくは「ダイエット前の体重より増えてしまうこと」を意味しています。
リバウンドを経験する人は意外に多く、日本人のダイエット経験者のうち約6割がリバウンドを経験していると言われているのです。
尚、中には「リバウンドしても、またダイエットすればいいじゃない」と考える人もいるかもしれませんが、そんな簡単な話ではありません。
なぜかというと、リバウンドを繰り返すことによって、「筋肉量が減って脂肪が蓄積しやすくなるから」です。
これが、「リバウンドはダイエットの最大の敵」と言われる所以なのです。
なぜリバウンドが起こるのか?
リバウンドしやすい典型的な例は、「体重を落とすことのみを考えて、一時的に無茶なダイエットをする」が挙げられます。
最たるは、「過度な食事制限のみでダイエットを行うこと」です。
リバウンドというのは、“身体の防御反応のあらわれ”の一種であり、誰にでも起こりうる可能性があります。
その理由は、体重が減少することで、脳が「生命が危機にさらされている!」と判断し、体重を元の状態に戻そうとするからです。
特に、過度な食事制限で短期間で体重を大幅に減らしてしまうと、この傾向は強くなります。
他にも、リバウンドを引き起こしやすくなる原因は存在し、それが複合的に影響することもあります。
この項目にて、その原因のいくつかをご紹介していきましょう。
NG例①:過度な食事制限
リバウンドを引き起こしやすい典型例です。
「食事の量を極度に減らす」「特定の食材しか食べない」「食事を抜く」などで体重が減ったとしても、食事の量を元に戻した途端にリバウンドしてしまいます。
また、”〇〇だけ食べて痩せる”や”〇〇制限”などの流行の減量法も存在しますが、それらは名前にインパクトがあり簡単に取り入れられる反面、体への負担が大きくなります(ただし、アルコールや脂身など抜いた方が良いものも存在する)。
その理由は、「ホメオスタシス」という体の状態を一定に保持する働きが関係してくるからです。
人の身体は、そう簡単に飢餓することはありません。
量が少ない・食事が摂れないといった状況に陥れば、身体がいわゆる“省エネモード”になり、少ないエネルギーで体を維持しようとするのです。
その後、食事の量を戻すと、省エネモード状態である体は「また飢餓状態が訪れたときのために……」とここぞとばかりに栄養を吸収して、脂肪としてエネルギーを蓄積しようと動きます。
これが、食事制限によるリバウンドの実態です。
「健康のためには、1日3食の食事……特に朝食はしっかりと食べた方が良い」と言われる理由の一つは、ここにあります。
食事と食事の間隔が空きすぎてしまうと、身体が飢餓状態となり、1度にたくさんの量を食べてしまいます。
さらに朝食を抜いてしまうと、身体は代謝を抑えてエネルギーを使わないようにもしてしまうのです。
また、いくら1日3食の食事をしていても、偏食となってしまえば栄養素が欠乏してしまいます。
だからこそ、栄養バランスの取れた食事を摂るのが良いと言われているのです。
特に、一汁三菜(主食、主菜、副菜2品、汁物)と昔ながら和食スタイルにすると、栄養のバランスは良くなります。
NG例②:運動が不足している
運動をしないと、筋肉量は減少していく一方です。
実は、筋肉の減りは意外と早く、何もせずに家でゴロゴロしたり寝ているだけだと“1日で0.5%落ちていく”と言われています。
特に近年は、新型コロナウイルス感染症の影響から、動く機会が減ったという方も多いのではないでしょうか。
筋肉が減ると代謝が落ち、どんどん“痩せにくく・太りやすい体”になってしまいます。
仮に、同じ量を食べても太りやすくなるのは、これも原因の一つとなるのです。
食事のコントロールだけでも痩せることは不可能ではありませんが、運動をし筋肉をつけることで、よりダイエットの成功確率が上がり+リバウンドしにくい身体づくりができます。
それに、健康寿命を延ばし、長く健康的な生活を送ることもできることでしょう。
NG例③:睡眠不足
睡眠不足は、「食欲を促すホルモンが増える」「日中に集中力が途切れる」などのデメリットが発生してしまいます。
例えば、お菓子をつまみ食いしたり、砂糖入りの飲み物でエネルギーを補ってしまうことが多くなるのです。
また、日中に眠くならないようにと、コーヒーを飲む人もいるはずです。
缶コーヒーには糖分やカフェインが含まれています。
糖分はいわずもがな。摂取し過ぎれば太る原因となります。
そしてカフェインは、たくさん摂り過ぎると、脳が覚醒して眠れない・寝たとしても眠りが浅くなるということが起こります。
これらは、炭酸飲料やエナジードリンクにも含まれています。
カフェインの作用は5時間~7時間くらいと言われているので、少なくとも夕方以降の摂取は控えた方が良いかと思います。
後は、アルコールも厳禁です。
アルコールを飲むと眠りやすくなると考える人もいるようですが、その逆で眠りが浅くなります。
また、アルコールには食欲増進効果もあるため、そういう意味でも太る原因になってしまいます。
NG例④:ストレスを溜め込む
ストレス発散のために、食べる・飲むという人がいますが、これもダイエットの天敵です。
ストレスを感じないようにすることは不可能ではありますが、できる限り別の方法でストレスを発散できる仕組みを考えた方が、健康には良いかと思います。
もちろん、食べることが好き・お酒が好きという方もいると思いますので、その場合はできる限り量をコントロールできるようにしてみてください。
ただ、ストレスを感じると、体を守るために「コルチゾール」というストレスホルモンが分泌されます。
これは、「セロトニン」という食欲抑制作用のある幸せホルモンを抑制してしまうため、食欲がコントロールしにくくなってしまいます。
ストレスを発散させることはもちろん大切なことではありますが、上記の点に注意し、食べ過ぎないように(できる限り)意識してみてください。
ダイエット中に起こる「停滞期」について
停滞期は誰にでも起こりうるものである
ダイエットをしたことがある人なら経験したことも多いであろう、「停滞期」。
始めのうちは順調に体重が減っていても、ある時期を境に突然“体重が変化しなくなった”と感じることがあります。
これは、一般的にダイエットを始めて一ヶ月前後、もしくは体重が5%ほど減ったタイミングであらわれやすいと言われています(あくまで目安であり停滞期が訪れる時期は人によって異なる)。
停滞期が起こる理由は、上述にも記載した通り“身体の防衛反応のあらわれ”によるものです。
身体は「ダイエットのために”あえて”食事を控えている」と判断することはできません。
そのため、食事制限をし身体が飢餓状態になると、防衛本能から脂肪を溜め込むようになります。
加えて、この状態は「ホメオスタシス機能」が働いて、基礎代謝量と運動時の消費カロリーも低く抑えるように動きます。
いうなれば、「停滞期=身体が省エネモードになっている」ということです。
停滞期にリバウンドしやすい理由は?
上記の通り、停滞期は身体が省エネモードになっており、栄養が吸収されやすく・脂肪が蓄積されやすい状態になっています。
また、「頑張っても体重が減らない……」とモチベーションが低下する時期でもあり、この時期にダイエットを諦めてしまう人は多いです。
しかし、この時期だからこそ、ダイエットを諦めてしまうとリバウンドしやすくなります。
停滞期は、“減量後の体重に体を慣らすための大切な準備期間”なのです。
痩せるために必要なステップの一つであり、停滞期=ダイエットの失敗ではありません。
言い方を変えると、「停滞期に突入した=ダイエットが成功している証である」という見方もできます。
諦めず、そして焦らず、じっくりダイエットを継続していきましょう。
時には体重が増加することも……?
停滞期とは少し話が変わりますが、ダイエットのために筋トレをしていると、逆に体重が増えてしまうことがあります。
その理由は、ずばり筋肉がついてきているからです。
筋肉は脂肪よりも重たく、体重だけで判断すると重くなったと感じます。
しかし、筋肉には脂肪を燃焼させる効果があるため、そのまま運動を継続することで、より“太りにくく・痩せやすい体”になっていきます。
自信を持って、そのまま運動を継続してみてください。
また、人によっては(特に女性の方は)、「筋肉質になりたくない」「体重が増えるのは嫌」という理由で筋トレを敬遠することもありますが、筋肉にはさまざまなメリットがあり、健康寿命を延ばし長く健康的な生活を送ることができるようになります。
※筋肉に関する詳細は、以下をご覧ください※
それにムキムキの筋肉を手に入れるには、相当に負荷の高いトレーニングと、かなりストイックな食事制限で極限まで体脂肪を減らした場合に得られるものです。
一般的な筋トレではそう簡単にムキムキマッチョになることはありませんので、健康のためにも日々の運動に筋トレを加えてみてください。
停滞期を乗り越えるポイントとは?
「停滞期に入ったかな?」と感じたら、行っているダイエットの見直しをしてみましょう。
まずは、食事。
停滞期に入ると“栄養素を吸収しやすい体になる”ため、食事の栄養バランスを見直すことが効果的となります。
ダイエット……というよりも、健康的な食生活を送るためには「五大栄養素」の摂取は必須です。
【五大栄養素】
◆たんぱく質
◆炭水化物
◆脂質
◆ビタミン
◆ミネラル
※五大栄養素については、以下記事を参照ください※
ダイエットのためだからと、肉やお米などを抜いた食生活にはなっていませんか?
脂身の部分を取り除いたり、白米を玄米に変えるなどの工夫をするのは大事ですが、まったく摂取しないと栄養が偏ってしまいます。
できるだけバランスよく栄養を摂取できる食事を整えて、停滞期を抜け出せるように頑張ってみてください。
そして、もう一つの見直すべき項目は、運動です。
「食事制限だけのダイエットになっていないか?」「定期的に運動は行っているか?」「筋トレと有酸素運動を同時に行っているか?」など、これまで取り組んできたトレーニング内容を改めて見直してみてください。
特に、“筋トレ(無酸素運動)のあとに有酸素運動を行う”ことは、非常に重要です。
筋トレを先に行うことによって、基礎代謝をアップさせる働きや脂肪を分解する働きを持つホルモンが分泌されるため、より有酸素運動での脂肪燃焼効果が期待できるようになります。
また、有酸素運動を行う時間が短い人は、一度に30分~1時間ほど行うことを意識してみてください。
有酸素運動には脂肪を燃焼させる効果がありますが、“体脂肪がエネルギー源となるのは、20分を超えてから”です。
そのため、脂肪燃焼を目的としているならば、20分以上継続して行う必要があります。
ただし、筋トレにしても有酸素運動にしても、やり過ぎにはご注意ください。
筋トレの場合は、やり過ぎると体に大きな負荷がかかってしまいますので、短時間かつ休息日を作ること。
有酸素運動は毎日行っても問題ありませんが、一度に1時間以上続けてしまうと、体脂肪だけでなく体内にあるたんぱく質を分解してエネルギーにしようとする働きが起こってしまいます。
そのため、長くても1時間くらいを目安にすることをオススメします。
食事にしても運動にしても、毎日継続して行っていると、それが“習慣化”されていきます。
習慣化されること自体はとても良いことなのですが、身体が慣れてしまうとその分だけ身体への負荷は軽くなってしまいます。
運動(特に筋トレ)の場合、負荷をかけるからこそ身体が成長するものなので、適度にダイエット内容を見直すことは非常に効果的となるのです。
停滞期に入ったら、これまでの食生活・トレーニング内容を見直し、より良いものに変更してみてください。
リバウンドを防ぎ、効果的に痩せるためには?
過度なダイエットはしない
結論から言うと、ダイエットに近道は存在せず、地道に努力を続けていくしかありません。
ダイエットに失敗しリバウンドしてしまう人のほとんどは、「近道を探して極端なことをする」ため失敗してしまうのです。
最たる例が、“過度な食事制限”です。
「食事を抜く」「偏食する」
これらは、確かに早期に体重を落とすことには成功するかもしれませんが、あくまで一時的なものに過ぎません。
最終的には身体の防衛反応によって停滞期が訪れ、ダイエットをやめた途端にリバウンドを引き起こしてしまいます。
また、運動せずに過度な食事制限だけでダイエットをすると、脂肪と一緒に筋肉も落ちてしまいます。
両者はまったく別の組織であり、落ち方もそれぞれで異なります。
◆「筋肉」:筋肉に栄養が足りていない、運動不足で筋肉を使わないと落ちていく
もし、過度な食事制限で栄養を摂らないうえに運動もしない……となれば、脂肪ではなく筋肉が先に落ちる可能性が高まるのです。
結果、「体重は落ちたが体脂肪が減っていない」「ダイエットのせいで不健康になった」となり得るのです。
大切なことは「習慣化」させること
ダイエットのために食事制限や運動を始めると、どうしてもダイエットをやめた途端にこれまでの生活に戻ってしまう可能性が高まります。
太りにくく・痩せやすい体を作るためには、「無理せず・長期的な視野を持って、習慣化させること」が大切なのです。
食べたいものを極端に我慢するから、ダイエットをやめた途端に好きなものを口にするようになるのです。
ダイエットのために短期間に負荷のかかる運動をしようとするから、途中でバテて運動しなくなるのです。
確かに時間はかかるかもしれませんが、習慣化させることで、長く健康的な身体で生活することができるようになります。
急がば回れです。
できることからコツコツと、自分のペースでダイエットを行い、それを習慣化させてみてください。
まとめ
リバウンドしない体を作るためには、短期的ではなく長期的な視野を持ってダイエットに取り組む必要があります。
そして、極端な食事制限で痩せようとするのではなく、バランスの良い食事を心掛け、適度に運動を取り入れることが重要です。
◆身体を動かして血流を促す
◆筋肉の量をキープし、増やす
健康的に痩せることができれば、リバウンドの可能性は大きく減ります。
流行の減量法に左右されることなく、まずは生活を規則正しく整え、食事は栄養素を重視して選ぶように意識してみてください。
よく噛んで食べることも大切です。
そして、筋トレと有酸素運動をうまく取り入れ、筋肉をつけ・脂肪を燃やす工夫もしてみてください。
また、停滞期が訪れてもそこで諦めずに、食事内容やトレーニング内容を見直し、その努力を継続すること。
そして、これらを習慣化させ、健康的な体を長く維持することが大切です。
できることはたくさんありますので、無理せず、自分に合ったやり方・自分のペースで少しずつ日々の生活に取り入れてみてください。