医療・介護・福祉・保育業界専門の求人をお探しの方は医療・介護・福祉・保育bizへ。詳しくはこちら!

「産休」っていつから取得できるの?取得期間・必要な手続き・トラブルなどを徹底解説!

この記事は約10分で読めます。

女性の社会進出・活躍が推進されている現在、「働き方改革」として勤務環境を見直す企業が増加しています。

そして、男性・女性を問わず今後確認しておくべき制度の一つとして「産休」が挙げられます。

この“産休”という制度、「出産のためにお休みを取ること」というのは誰にでもイメージできると思いますが、具体的な説明ができる人は少ないのではないでしょうか。

◆「産休とは、いつから・いつまで取ることができるの?」
◆「産休の取得方法や必要な手続きはどうすればいい?」
◆「正社員以外でも取得することはできるの?」
◆「産休を取得するにあたって、注意しておくべきことは?」

などなど……。

今回は、この「産休」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

そもそも「産休」とは一体どんな制度なのか?


「産休」というのは、“労働基準法の第65条”で定められた制度のことです。

女性は、結婚を機に「妊娠・出産・育児」……と、ライフステージが状況に応じて変化をしていきます。

そして、その際に退職を決意してしまう女性も少なくありません。

女性側にとっては、仕事における“キャリアの断絶”が。

企業側にとっては“優秀な人材を手放してしまう”という問題が、それぞれに発生することとなります。

産休は、「ライフステージが変わっても、女性が安心して働き続けることができる」という勤務環境整備の一環として誕生した制度なのです。

産休には、”2つ”の種類が存在する

「産休」と一言でいっても、その種類は以下のように“2つ”存在します。

①「産“前”休業」
②「産“後”休業」

名称が異なる=それぞれに“違う目的”が定められています。

「産前休業」について

「子どもを、”産む前”の休業」ということで、こちらは“出産の準備”をするために設けられる休業期間のことを指しています。

これは、“任意”で取得が可能です。

この産前休業は、「出産予定日の6週間前から」取得することができます。

ただし、多胎児(双子や三つ子など)の場合は、“14週間前から”休暇を取得することが可能となります。

「産後休業」について

こちらは、「子どもを、”産んだ後”の休業」のことを指しており、“出産後の体の回復”を目的とした休業期間となります。

そして、この産後休業には“取得義務”があります。

その理由は「出産は、女性の身体にとって大きな負担となる」ためです。

また、主産後はホルモンバランスが大きく乱れるため、女性にとって多大にストレスを抱え込みやすく「うつ病」が起こりやすい時期でもあります。

そのため、産後休業中に「早く仕事に復帰したい!」と女性側が願ったとしても、最短でも“6週間の休業”を必要とし、且つ“医師による就業許可”が必要となるのです。

この時期の女性は非常に繊細であるため、配偶者(夫)や家族の協力が必要不可欠なものとなります。

「予定日」を前後してしまった場合はどうなるの?

「出産予定日」とは、あくまで“予定(目安)”であり、出産が予定より前後することも珍しいことではありません。

上記でご紹介した通り、産前休業の取得は基本”6週間”です。

しかし、仮に産前休業の6週間を超えてしまった場合であっても、「伸びた日数は産前休業に含まれる」こととなります。

もちろん、その後の産後休暇もきちんと“8週間”が確保されます。

尚、この産休には、後述でご紹介する「出産手当金」というものが支給されますが、これも“伸びた日数分”の手当が支給されることとなります。

産休の「対象者」と「取得方法」について


次に、産休の「対象者」「取得方法」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

産休は「正社員」以外でも取得可能なのか?

産休は、「出産を予定している女性」が対象となるのはご承知の通りだと思います。

気になるのは、「正社員以外の雇用形態も、産休の取得が可能なのか?」という点です。

この答えは、「就業期間・雇用形態に関係なく、出産を予定している女性であれば、誰でも取得可能」となります。

正社員だけでなく、パート/アルバイト/派遣社員/契約社員など、どんな働き方であっても取得できる“権利”があります。

産休を取得するために必要なことはなに?

前項でもお伝えした通り、産後休業は義務化されているため、期間中は本人の申し出に関係なく働くことができません。

しかし、産前休業は“任意”のため、こちらを取得する場合は「会社への申請」が必要となります。

とはいえ、基本的に「産前休業」と「産後休業」の申請は同時に行うこととなります。

“申請=報告”しておかなくては、企業側も状況把握ができなくなってしまうからです。

産休の申請は、「出産予定日から6週間前までに行うこと」となっています。

ただ当人は、妊娠しているかどうかはそれ以前から把握しているため、もっと早めに企業に相談・申請をしておく人も大勢います。

企業や人によっても若干異なりますが、大体は“妊娠8ヶ月に入った頃”に申請をしておく女性が多いと言われています。

産休中の「給与保証」ってあるの?


出産のため……とはいえ、“産休=お休み”であることから、「休業中の給与はどうなるのか?」という点が気になる人も多いかと思います。

この点については、「就業規則を確認する」ことが大切となります。

なぜなら、「賃金保証を行う場合は、あらかじめ就業規則にその旨を記載しておかなくていけない」からです。

つまり、就業規則を確認すれば「自分が勤務している企業は、産休時の賃金保証をしているかどうかが確認できる」ということですね。

もし分からなければ、企業側に質問してみるのもいいでしょう。

ただ……現状は、“賃金保証をしていない企業の方が多い”傾向にはあります。

「賃金保証がない場合は、どうすればいいの……?」

この場合に活用できるのが、上述で記載した「出産手当金」となります。

産休時にもらえる「出産手当金」について

“出産のため=生まれてくる赤ちゃんやお母さんの身体のため”のお休みである「産休制度」

しかし人によっては、給与が入ってこないことで生活が苦しくなる家庭もあるかと思います。

まして妊娠・出産・育児の時期に関しては、色々と出費も必要とします。

この“出産する人と、その家庭の生活を保障するための制度”として存在するのが「出産手当金」なのです。

これは「健康保険」から支給される給付金であり、“出産日以前42日(6週間)~出産日後56日(8週間)までの間、欠勤1日につき賃金の2/3相当額が支給される”というものです。
※出産予定日よりも遅く出産日を迎えた場合、出産予定日~実際の出産日までの日数も含めて手当が支給されます※

ただし、この手当には以下の2つの条件が必須となります。

◆勤務先の健康保険に“1年以上”継続して加入していること
◆産休中に“給与支払いがない=賃金保証がない”こと

この2つを満たしていれば、手当を受給することが可能となります。

要注意点としては、“勤務先の健康保険に加入していること”でしょうか。

例えば、「国民健康保険」に加入している人や、勤務先ではなく“配偶者の会社の健康保険に加入している人”などは、1年以上保険に加入していたとしても出産手当金を受け取ることはできません。

これは、パートやアルバイト勤務している人が主な対象となってきますので、念のため受給対象かどうかは事前に確認を取っておくようにしてください。

産休時に注意すべき「トラブル」や「予防策」について


法律で定められている制度といっても、いくつか気を付けておかなくてはいけない点があります。

この項目にて、産休を取得する際に注意しておくことや、トラブルとその予防策などについて、ご紹介をしておきたいと思います。

きちんと「申請」をすること

妊娠・出産をすると、産休や育休などを利用して会社をお休みすることができます。

また、「育児短時間勤務制度」の活用や、上記でご紹介した「出産手当金」など、国・自治体・会社などから様々なサポートを受けることが可能となります。

※育休については、別の記事にて改めてご紹介します※

ただし、どれも“申請”しないと受けることはできません。

「当たり前のことでしょ?」と思う方もいるかもしれませんが、ものによっては期日を1日でも過ぎてしまうと、適用されなかったり・お金が受け取れなかったりすることもあるのです。

普段の生活と仕事に加え、“出産や育児のこと=将来のこと”も考えていかなくてはいけないので、人によっては「申請をし忘れてしまった!」なんてこともあり得るかもしれません。

◆「どういう制度があるのか?」
◆「その制度を、自身は利用することができるのか?」
◆「何をすれば、その制度は利用できるのか?」
◆「いつまでに申請を済ませなければならないのか?」

こういった点をしっかりと調査・準備を進めながら、漏れがないようにスケジューリングをしていく必要があります。

「マタハラ」というトラブルについて

「マタハラ」というのは、「マタニティハラスメント」の略です。

これは「セクハラ」「パワハラ」と並ぶ、働く女性を悩ませる“三大ハラスメント”の一つと言われています。

これは、「会社で働く女性が、妊娠や出産を理由に”解雇”や”雇い止め”をされたり、職場で精神的・肉体的なハラスメント(=イジメのようなもの)を受けたりすること」を指しています。
※不当な解雇は、男女雇用機会均等法によって禁止されています!※

これは企業としてもそうですし、一緒に働く従業員からも受ける可能性があり、大きな問題へと発展する例もあるのです。

これの対処法の一つは、企業側が「企業全体で、産休・育休に対する理解を持ち、マタハラに関する制度を設け・周知すること」です。

マタハラを抑止するため、企業側が積極的に問題を取り上げていき、(特に上に立つ人物が)働きやすい環境を整えていく必要があると思います。

しかし、中には「嫉妬・妬み」といった感情から、個人的に嫌がらせをしてくる精神年齢の低い人たちもいます。

妊娠・出産を控えている女性側ができることは、「マタハラを受けた際に、誰かに相談をすること」です。

実は、意外と“一人で悩みを抱え込んでしまう人”も多いのです。
(マタハラについては、別の記事で改めて詳しくご説明したいと思います)

しかし、妊娠・出産・育児とストレスを抱え込みやすい時期でもあるため、こういった点で余計(無駄)な悩みを抱えてしまうことは絶対に避けるべきです。

身内・知人・職場の先輩・役職の高い人などなど……、信頼できる人に相談をして、できる限り早期に問題解決のために動いてください。

「復職後」のトラブルについて

産休・育休後に復職を希望する女性も多くいますが、「本人が望まないポジションや業務内容で復職をさせる」であったり、「育児のための支援を行わない」などのトラブルに発展するケースも珍しくはありません。

この点についても、事前に“企業側としっかりと話をすること”が大切かと思います。

企業側が従業員の働き方を一方的に決めるのではなく、そして従業員側も「復職したい旨を伝えているから大丈夫だろう」と安易に考えるのではなく……。

「復職したい」という旨を事前に企業側に伝え、その上で双方が納得できる形で復職できるよう、きちんと話し合いを進めていく必要があります。

もし仮に、話し合いの中でどうしても納得できない点があるのであれば、その時は退職を検討するのも一つの手段と言えるかもしれません。

「非正規社員」の扱いについて

上述でもお伝えしたように、産休制度は“正社員以外の雇用形態”であっても取得することができます。

しかし、「アルバイトやパート職員=非正規社員」の場合、その立場上“企業側の扱いが雑になる”可能性もあります。

いわゆる「変わりはいくらでもいる」状態です。

この点についても、事前に企業側に妊娠・出産の旨を伝え「産休制度を利用しつつ、復職が可能かどうか?」をきちんと話し合っていく必要があると思います。

相談した時点で何かしら渋るような態度や発言があれば、それこそマタハラへ発展しかねません。

何度もお伝えしているように、妊娠・出産・育児は女性にとって、精神的・肉体的な負担が大きなものとなります。

「この会社は信用におけない……」と感じるようであれば、状況によっては退職を検討するのも良いのかもしれません……。

まとめ

「制度」というのは、ただ”取り入れて終わり”ではありません。

「制度」とは、その企業で働く従業員が”働きやすい環境を整備するため”に導入するものであり、状況に応じてブラッシュアップしていく必要があるのです。

特に、女性が活躍できる社会を作るためには、産休・育休は欠かせない制度の一つです。

復職後のことも含め、企業やそこで働く従業員のフォロー・サポート体制がとても重要になってきます。

そして、万が一の場合にも“臨機応変”かつ“柔軟な対応”が取れる組織が、これから長く生き残っていく企業となるのではないかと思います。

尚、今回は「産休」について詳しくご紹介をしておりますが、改めて別記事にて「育休」についても取り上げていきたいと思います。

多くの従業員が「働きやすい環境」となれるよう、少しでも力になれれば幸いです。

タイトルとURLをコピーしました