接骨院や整骨院を始め、スポーツジムや介護施設など様々な場所で活躍している柔道整復師。
自分で開業することができる点も、柔道整復師の魅力の一つです。
今回はそんな柔道整復師になるために必要な資格や学費について解説していきます。
柔道整復師になる為には何が必要なの?
柔道整復師とは
柔道整復師は骨折や捻挫などの怪我を負った人に対して、外科的手術によらない「非観血的療法」によって治療をする専門家です。
接骨院や整骨院に勤めることが多いですが、中にはスポーツジムや介護施設などで働く柔道整復師もいます。
「柔道整復」は、もともと日本の伝統的な武術である「活法」が起源となっていると言われています。
活法とは柔術などにより負傷した人を、目覚めさせるための術のことです。
もともと柔術の現場で使われていたので、「柔道整復」という名前がついています。
そんな柔道整復師は1990年に国家資格となり、平成30年の厚生労働省の調査によると全国に73,017人の柔道整復師がいます。
男女比は7:3で男性の方が多いと言われていますが、最近では女性向けの整体なども増えてきていることから、今後女性の柔道整復師の活躍も期待されています。
柔道整復師になる為には柔道整復師国家試験に合格すること
柔道整復師になるためには、毎年3月に行われる柔道整復師国家試験に合格する必要があります。
国家試験を受験するための受験資格を得るには、文部科学大臣が指定する学校または都道府県知事が指定する養成学校で3年以上柔道整復師に関する知識や技術を学ぶ必要があります。
柔道整復師国家試験の概要
以下は2021年3月に実施された「第29回柔道整復師国家試験」の概要です。
<試験地>
北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県
<試験科目>
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、衛生学・公衆衛生学、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、リハビリテーション医学、柔道整復理論及び関係法規
引用:柔道整復師国家試験の施行|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/judouseihukushi/)
柔道整復師国家試験の難易度
柔道整復師の国家試験の合格率は、例年60~65%程度となっています。
以下は過去5年間の柔道整復師の国家試験合格率です。
年度 | 合格率(全体) | 合格率(新卒) | 合格率(既卒) |
第25回(2017年) | 63.5% | 82.9% | 22.5% |
第26回(2018年) | 58.4% | 78.5% | 16.7% |
第27回(2019年) | 65.8% | 86.1% | 26.3% |
第28回(2020年) | 64.5% | 84.8% | 16.5% |
第29回(2021年) | 66.0% | 85.6% | 21.6% |
新卒の合格率は80%を超えていることが多いですが、既卒の合格率は16~25%程度となっています。
受験人数は毎年約7,000名程度で、合格者は3,000~4,000名となっています。
他の医療職の国家試験と比べると、2021年はあん摩マッサージ指圧師が84.1%、はり師が70.0%であることから、他の職種と比べて柔道整復師の合格率は少し低いことがわかります。
ですが、新卒での合格率は80%以上と非常に高くなっているので、やはり知識の新しい新卒での合格を目指すことが望ましいと言えます。
柔道整復師になる為に必要な学費は?
柔道整復師の受験資格が得られる学校
柔道整復師になるためには、文部科学大臣が指定する学校または都道府県知事が指定する養成学校を卒業する必要があります。
学校の種類は、①4年制大学②3年制短期大学③専門学校の3パターンです。
大学では柔道整復師に関する専門知識だけではなく語学などの一般教養も学ぶのに対して、専門学校では柔道整復師に関する知識を短期的に学びます。
幅広い知識を学びたい人は大学、柔道整復師としての知識を短期的に学びたい人は専門学校が合っているのではないでしょうか。
柔道整復師になる為に必要な学費
柔道整復師になる為に必要な学費を、学校別に解説していきます。
①4年制大学
4年制大学の学費は年間約160万円程度です。
入学金として初年度は30万円程度かかるところが多いです。
・明治国際医療大学
入学金:300,000円
年間授業料:1,650,000円
・日本体育大学
入学金:300,000円
年間授業料:1,567,000円
・帝京大学
入学金:263,000円
年間授業料:1,593,000円
②3年制短期大学
現在柔道整復師の受験資格を得られる3年制短期大学は、帝京短期大学のみとなっています。
入学金と年間授業料は以下のとおりです。
入学金:250,000円
年間授業料:1,002,600円
③専門学校
専門学校の学費は年間約120~150万円程度です。
入学金として初年度は30万円程度かかるところが多いです。
・近畿医療専門学校
入学金:300,000円
年間授業料:1,200,000円
・日本工学院
入学金:300,000円
年間授業料:1,536,000円
・中和医療専門学校
入学金:250,000円
年間授業料:1,300,000円
学費を抑えるポイント
ほとんどの学校で年間授業料が100万円以上かかることから、金額面での不安を抱えている人もいるかもしれません。
そこで、ここでは学費を抑えるための方法をいくつかご紹介します。
①特待生制度
それぞれの学校で、特待生制度が設けられているところが多いです。
入学試験や普段の学業成績で、上位に入った学生は学費の免除が受けられます。
また、兄弟姉妹が同じ学校に通っていた場合も学費の免除を受けられる学校があります。
それぞれの学校で独自の制度を持っているところが多いので、希望する学校の制度を調べてみると良いでしょう。
②奨学金
日本学生支援機構の奨学金制度が代表的ですが、その他にも多くの奨学金制度があります。
2021年4月からは文部科学省による「高等教育の修学支援新制度」がスタートしています。
条件を満たせば学費の免除を受けることができるので、公的支援についても検討してみると良いかもしれません。
③教育ローン
日本政策金融金庫や民間の銀行などで、教育ローンを受けることができます。
世帯の収入による条件はありますが、奨学金と違って成績による条件がないのが特徴です。
柔道整復師のやりがい
患者さんの怪我が回復すること
柔道整復師は怪我を回復させる専門家ですから、やはり患者さんの回復が一番のやりがいではないでしょうか。
捻挫や骨折によって歩くことも困難だった患者さんが、元気に歩けるようになる姿にやりがいを感じる柔道整復師は多いです。
地域の人との交流があること
独立開業をしている柔道整復師も多いことから、地域の人との繋がりも深いです。
地域に根ざした接骨院・整骨院には、地元の人たちが沢山集まってきます。
人との会話を楽しみながら仕事ができる人にとって、柔道整復師はやりがいのある仕事であると言えるでしょう。
自分に合った働き方ができる
柔道整復師は自身で独立して接骨院や整骨院を開業する人も多いです。
自分の院を構えるということは、働き方もある程度自分の自由に決められるということです。
会社に所属するよりも、自分のスキルで経営していきたい、自分に合った働き方をしたいという人にとって柔道整復師はとてもやりがいのある仕事だと言えます。
まとめ
柔道整復師になるためには、専門の学校で3年以上柔道整復師に必要な知識や技能を学び、国家試験に合格する必要があります。
国家試験の受験資格を得られる学校は、①4年制大学②3年制短期大学③専門学校の3パターンです。
学費は年間約120~160万円ほどですが、奨学金や特待生制度のある学校も多いです。
様々な制度を活用しながら、自分に合った学校で学ぶのが一番良いと言えるでしょう。