前回の記事にて、「介護タクシー」についてのご紹介をさせていただきました。
実は、「介護タクシー」に近いものとして「福祉タクシー」というものが存在します。
この2つの違いはいったいなんなのでしょうか?
そして、両者とも料金プランはどのようになっているのでしょうか?
今回は、こういった点について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
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両者のことを端的にご紹介すると……
まず、「介護タクシー」と「福祉タクシー」とはなにか?という点から、簡単にご紹介していきたいと思います。
これらを端的に言うと、「介護が必要な人の”移動手段”として使用するもの」となります。
どちらにも共通して言えることは、「介護が必要な人が利用しやすいよう、車に車いす用のスロープやリフトなどが装備されている」ことです。
この時、以下のような疑問を持つ人がいらっしゃるかと思います。
「なぜどちらも介護者の移動手段として利用するのに、名称が異なるのか?」
その最大の違いは、「介護保険の適用の有無」が大きく関係してくるのです。
◆「介護タクシー」:“条件を満たせば”、介護保険が使用可能
◆「福祉タクシー」:介護保険は、一切使用できない
このようになります。
どちらも要介護者の移動手段として重宝する存在であることは間違いありませんが、「介護保険が適用されるorされない」で、負担する料金に大きな違いが生じることとなるのです。
ただし、上記でも記載した通り、「介護タクシー」であっても“条件を満たさなくては介護保険は使用できない”というルールが存在します。
次に、それぞれの違い・特徴についての比較表をご紹介したいと思います。
両者の違い・特徴の比較表について
両者の違い・特徴を比較した表が以下のものです。
「介護タクシー」の場合、介護保険が適用されれば費用をグッと抑え利用できるのが大きなメリットとなります。
ただし、その分利用するためには“利用対象”や“条件”が細かく設定されているため、「要介護者だからと言って、誰でも気軽に利用できるものではない」ということになるのです。
特に注意すべきは、“利用対象者”でしょうか。
●一人で公共交通機関を利用できない
●家族や友人など付き添い人がいない
この3つをすべてクリアしなければ、利用することができないのです。
また、利用時には「ケアプラン」に記載を行う必要があります。
(もちろん、利用できるかどうかを含め、事前にケアマネージャーに相談をする必要もある)
対して「福祉タクシー」の場合は、上記のような条件は一切存在せず、要介護者であれば誰でも気軽に利用することができます。
ただし、その分「利用料金は全額自己負担となる」という注意点があります。
後、もう一つの注意点として、「運転手は介護関連の資格が不要」という点も挙げられるでしょうか。
そのため、同乗中になんらかの事情があって介護が必要になったとしても、資格を有していない運転手には具体的な対策が何も打てない状態となります。
ただ、この点は事業所ごとに提供サービスに幅があるため、一概にすべての事業所の運転手が介護資格を所持していないというわけでもありません。
この点について(運転手が有資格者かどうかや、希望する介助が受けられるかどうか)は、利用する前に必ず確認を取っておくようにしましょう。
「介護タクシー」の利用できるサービスと注意点について
上記でご紹介した通り、「介護タクシー」の運転手は介護資格を有した人物しかなることができません。
そのため、利用時には以下のようなサービスを受けることができます。
ご覧の通り、出発~帰宅までの間、要介護者が安全に移動できるようにさまざまなサービスを行ってくれます。
ただし、注意しておかなくてはいけない点がいくつか存在します。
それが、下記です。
◆「タクシー移動だけの利用はできない」
◆「原則(※1)として家族は同乗できない」
◆「運転手は、病院内での介助は行わない(※2)」
◆「介助の量によっては、別の介護サービスに切り替わることもある」
◆「ケアプランに記載しないサービスを受けることはできない
(※1)例外的に認められることもあるため、特別な事情がある人はケアマネージャーに相談を!
(※2)利用者が認知症などで見守りが必要な場合など、例外として認められることもある
原則として、介護タクシーを利用する場合は、ケアマネージャーへの事前の相談が必須となります。
そのため、利用したいサービスがあれば、その旨を必ずケアマネージャーに伝えて、ケアプランに記載してもらうようにしてください。
発生する「料金」について
次に、各タクシー利用時に発生する「料金」についてご紹介したいと思います。
「福祉タクシー」の場合
こちらは、一般的なタクシーと同じ仕組みであり、基本的に発生する費用は「距離制運賃」と「時間貸し切り」の2つを採用しているところが多いです。
上述でもご紹介した通り、こちらは原則として“介助を行わない”ため、発生するのは運賃+迎車料金のみの支払いとなります。
ただし、事業所によってサービスの幅には違いあるため、利用時には事前に内容は確認しておくようにしましょう。
(多少の)介助を行ってくれるところもあれば、車いすのレンタルなどを行っている場合もあります。
こういったものを利用する場合は、別途オプション料金のようなものが加算されると認識しておいてください。
「介護タクシー」の場合
こちらの場合は、「介助」も行うことから、発生する費用は「運賃+α」が基本となってきます。
◆「介助費用」
◆「介護機器レンタル費用」※必要な場合のみ
ちなみに、ここまでに“(条件を満たせば)介護保険が適用される”とご紹介してきましたが、適用されるのは「介助費用」のみとなります。
それ以外に発生する費用は、全額自己負担となるため、注意が必要です。
料金の内訳を例としてご紹介すると、以下のようになるでしょうか。
(1)運賃
・時間制:30分ごとに1,000円など
・距離制:初乗り2KM 800円、以降1KMごとに400円など
(2)介助費用(介護保険が適用されている場合の自己負担額)
・通院等乗降介助:100円~300円ほど
・身体介護 :200円~2,000円など(介護内容によって大きく異なる)
(3)介護機器レンタル費用(レンタルしなければ費用は発生しない)
・車いす :500円ほど
・ストレッチャー:2,000円など
あくまで参考程度に……ではありますが、このようになります。
料金に関しては、「移動距離・介助内容・レンタルの有無」によって大きく変動するため、一概に値段について記載することはできません。
この点も、気になる方はケアマネージャーに相談するようにしてください。
まとめ
基本的に、どちらのタクシーを利用する場合であっても、まずはケアマネージャーに詳細を相談するようにしてください。
「〇〇タクシー 〇〇←地域名」などで一応自分でも調べることはできますが、自分で調べてみたところで「その企業が本当に評判の良い業者かどうかを見極めることは難しい」のです。
その点、ケアマネージャーに相談すれば、地域の介護事情はしっかり把握されているでしょうから、評判の良い業者を紹介してもらえる可能性が高まります。
そもそも介護タクシーを利用する場合は、必ずケアプランに記載しなければならないため、ケアマネージャーへの相談は必須となります。
料金も事業所やサービス内容によって大きく変化しますので、一人で調べようとせずに、信頼できるケアマネージャーに相談するようにしてくださいね。