これから先の日本は「超高齢化社会」に突入し、高齢者の割合はこれからますます増えていくこととなります。
そんな中で、現在注目を集めているのが「介護予防」というものです。
この「介護予防」とは、具体的に何を指し、いったいどんな目的があるのでしょうか?
そして、介護予防にはどのようなサービスの種類が存在するのでしょうか?
今回はこういった点について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
「介護予防」とはいったいなに?
概要
冒頭でもお伝えした通り、これから「超高齢化社会」に突入する日本では、今後も高齢者の数が増加していくこととなります。
年齢を重ねていくと、本人の意思とは関係なく、体の自由が利かなくなったり、思考能力が低下していってしまいます。
いすれは、“自身一人では生活することが困難”になったり、“痴呆症”などが発症する恐れもあるのです。
しかし、「老化」というのは“完全に防ぐことはできない”までも、“進行を遅らせること”はできるのです。
そこで重要となってくるのが、「介護予防」という存在です。
これは、「高齢者が、介護を必要とせず自立した生活を送れるよう、早期の予防策を打つこと」を指しているのです。
このアプローチは、平成18年(2006年)の「介護保険法」の改正に伴い、国の制度として導入されました。
この制度の「目的」および「対象者」について
この制度(サービス)の目的は、以下のように定義されています。
◆「要介護状態になるのを未然に防ぐこと」
◆「すでに介護が必要な場合は、状態が悪化しないよう努め、改善を図ること」
そして対象となる人は、“65歳以上の高齢者”であり、「自立している健康な高齢者」もしくは「要支援1~2」の方となります。
なぜ対象者が絞られているのかというと、この制度はあくまで“予防を目的としているサービス”だからです。
ただし、要介護状態である高齢者も「状態の悪化を防いだり・遅らせたりできる可能性が高い」と判断された場合のみ、このサービス受けることができる場合もあります。
具体的なサービスの内容について
具体的なサービスの内容は、以下のようになっています。
◆「運動能力低下の防止」:体操・レクリエーション・リハビリテーションなどを通じて行う
◆「口腔機能の向上」 :豊かな表情を作る・人と会話をする・十分な唾液の分泌を促す・物を食べるなど
ただし、これらを行う理由は、単なる「高齢者の運動機能や栄養状態を改善する取り組み」だけではありません。
心身機能の改善や環境調整などを実施し、以下のようなものを目指しているのです。
●1人1人の生きがいや自己実現のための支援
●生活の質(QOL)の向上
最大の目標は、「活動を通して国民の健康寿命を延ばし、真の喜びを見いだせる長寿社会を作り上げること」なのです。
サービスの「種類」について
概要
サービスの種類は複数に分かれており、大別すると以下の6つが挙げられます。
②「通所型介護予防サービス」
③「短期宿泊型介護予防サービス」
④「用具貸与型介護予防サービス」
⑤「自宅改修型介護予防サービス」
⑥「地域密着型介護予防サービス」
それぞれ、順に捕捉を加えていきます。
「訪問型介護予防サービス」とは?
端的にまとめると、以下のようなサービスが該当します。
◆「介護予防訪問入浴介護」 :介護職員と看護職員が家まで訪問して介護予防を目的とした入浴の介助などを行う
◆「介護予防訪問看護」 :疾患などを抱えている人の自宅に看護師が訪問して、介護予防を目的とした療養上の世話や診療の補助を行う
◆「介護予防居宅療養管理指導」:医師・薬剤師などが家を訪問して介護予防を目的とした療養上の管理や指導を行う
これは、“訪問型”と記載している通り、“介護士・看護師・医師・薬剤師などが利用者宅へ訪問し、サービスを提供する”形となります。
「通所型介護予防サービス」とは?
端的にまとめると、以下2つのサービスが該当します。
◆デイケア(介護予防通所リハビリテーション)
こちらは、“通所型”と記載している通り、“利用者が施設に訪問し、サービスを受ける”形となります。
(施設への移動手段として、施設側が運行しているバスがある)
デイサービスは、日中の食事・入浴の提供やトイレなどの「生活介護」をしてもらうこととなります。
(介護や生活についての相談・助言を受けることもできる)
デイケアは、日常生活の支援やリハビリを行ったり、口腔機能の向上や運動機能の向上など、利用者に合った選択的なサービスが提供されます。
「短期宿泊型介護予防サービス」とは?
これもまずは端的にまとめると、以下のようなサービスが該当することとなります。
◆「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」
◆「介護老人保健施設」
◆「介護療養型医療施設」
要するに、「施設に短期間入所して利用するサービス」のことを指しています。
介護状況は家庭によってさまざまです。
「家庭内での介護が難しい」「一時的に介護を休みたい」など、こういった場合に利用できるサービスであり、介護予防と医療上のケアを含む生活支援などを提供することを目的としているのです。
「用具貸与型介護予防サービス」とは?
これは、「ニーズに合わせた生活自立のための福祉用具をレンタルする」ことを指しています。
福祉用具といえば、例えば「歩行器」や「歩行補助つえ」などが挙げられます。
(ほかにも、工事などの手間を必要としない「手すり」や「スロープ」なども該当する)
「住まいを介護に適している環境にしたい」
こういったニーズにお応えし、提供されるサービスなのです。
「自宅改修型介護予防サービス」とは?
こちらは、「自宅環境を整えるために、自宅改修を行うサービス」のことを指しています。
この「自宅改修型介護予防サービス」は、一部保険の対象となっており、1割~3割の自己負担で行うことが可能です。
保険の対象となる工事には、以下のようなサービスが挙げられます。
●段差の緩和
●すべり防止
●扉の交換
●便器の取り替え
「地域密着型介護予防サービス」とは?
最後は、“地域密着型”で提供されている介護予防サービスとなります。
◆認知症高齢者を対象とした、食事・入浴・専門ケアを受ける日帰りのサービス
◆認知症高齢者が、共同の施設で介護・支援・機能訓練を受けるサービス
など、期間や「宿泊か日帰りか」などを選択することができます。
上記で挙げた「デイサービス」「デイケア」などの“地域密着型”と考えてもらえれば、分かりやすいかと思います。
どうやったら「介護予防サービス」を受けられるの?
サービスを受けるためには、事前に近くの「地域包括支援センター」に相談をしなければいけません。
これは、「地域住民の保険・福祉・介護予防等のマネジメントを行う施設」のことを指しており、地域によっては「おとしより相談センター」と呼ばれていることもあります。
ケアマネージャーが在籍しているので、相談のうえで自身に合ったケアプランを作成してもらうのです。
ちなみに、受ける介護予防サービスの内容は“ケアプラン”によって決定されます。
自身の要望などをしっかりとお伝えし、自分に合ったサービスが受けられるよう、ケアマネージャーとしっかりと話し合いましょう。
まとめ
以上が、「介護予防サービス」に関するご紹介となります。
もう一度お伝えしておきますが、利用できる条件は「日常生活上の基本動作がほぼ自立し、状態の維持もしくは改善の可能性が高いこと」です。
人によっては、介護予防サービスそのものを受けられない場合もあるため、注意しておきましょう。
気になる方は、まず地域包括支援センターにて、ケアマネージャーに相談をしてみてください。
また、ここまでにお伝えした通り、このサービスは“早期の予防策を打つ”ことが目的となります。
そのため、「今はまだ大丈夫」と思っている人でも、早めに地域包括支援センターに相談に行くことをオススメいたします。
※自治体によってサービス内容が異なる場合もあるため、事前に住んでいる自治体に確認をしてみてください※
このサービス自体、まだまだ認知度が低いのも確かです。
しかし、サービスそのものは非常に充実しているので、家族のため・将来の自分のため……など、気になる方は知見を広げて、ぜひ活用に向けて一歩を踏み出してみてください。
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。