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「介護老人保健施設」とは?施設の特徴や入所の条件、”特養”との違いについて解説します!

この記事は約10分で読めます。

介護保険施設には実にさまざまな種類が存在します。

その中の一つに「介護老人保健施設」というものがあるのですが、「種類が多く名前も似ているので、それぞれの違いが分からない!」という方も多いのではないでしょうか。

なんとなく”介護”に関連する施設であることはイメージができるとは思いますが、安易に入所を検討すると、あとでトラブルなどに発展する可能性もあるかもしれません。

◆どのような場所で、どのような人が利用することができるのか
◆どんなサービスが提供されるのか
◆特別養護老人ホームとの違いはなんなのか

今回は、こういった点について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

「介護老人保健施設」とはどのような施設なのか?


「老健」とも呼ばれる本施設は、“在宅復帰と在宅療養支援を行うための施設”のことをいいます。

「介護保険」が適用され、主に長期入院をしていた方が、退院して家庭に戻るまでの間に利用されることが多いのです。

施設の最大の目的は、“高齢者の在宅への復帰”です。

そのため、“自宅へ戻るためのリハビリテーション”が主な活動となります。
(もちろん食事や排せつの介助など、介護サービスも提供されている)

「理学療法士」「作業療法士」「言語聴覚士」などのリハビリを行うスタッフが常勤しており、他にも「医師」による医療的ケアや介護士・看護師によるサポートも受けることができます。

サービス内容をまとめると、以下のようになります。

◆医師による医学的管理のもとで行われる医療ケア
◆作業療法士や理学療法士によるリハビリテーション
◆栄養管理・食事・入浴などの日常サービス など

入居施設であり、夜間の対応体制も整っています。

ただし、“在宅復帰”が主な目的であるため、入居の期間は限定的となっています。

入居期間が限定されているため“終の棲家”としては利用できず、特別養護老人ホームの入居待ちをしている間に利用している方もいます。

ちなみに、本施設は「介護保険法」により以下の5つに分けられています。

●「基本型」
●「加算型」
●「在宅強化型」
●「超強化型」
●「その他」

これは平成30年に法改正された際に設けられ、特に「加算型」「在宅強化型」「超強化型」は厚生労働省が定める条件のうち高い基準を突破しており、在宅復帰・在宅支援機能が高く認められているのです。

「特別養護老人ホーム」との違いについて


両者の違いをまとめてみると、以下のようになります。

【施設の目的】
◆「老健」:在宅復帰を目指す
◆「特養」:長期に渡り安定した介護を受けながら生活する

【主なサービス】
◆「老健」:リハビリ・医療ケア・身体介護
◆「特養」:身体介護・生活支援・レクリエーション

【入居条件】
◆「老健」:要介護1以上
◆「特養」:要介護3以上

【入居期間】
◆「老健」:3ヶ月ごとに継続するかが判断される
◆「特養」:終身利用が可能

【費用】
◆「老健」:月額の平均自己負担 約6万円~17万円
◆「特養」:月額の平均自己負担 約5万円~15万円
※どちらも一時入居金はなし

【医師の配置基準】
◆「老健」:入居者100人あたりにつき、1人以上(常勤)
◆「特養」:必要な数(非常勤も可能)

【待機期間】
◆「老健」:特養よりも短く、入所しやすい
◆「特養」:待機者が多く、数ヶ月~数年かかる場合もある

両者は“目的”からしてまったく異なります。

老健は“在宅復帰”が目的であり、要介護1以上から入所可能。

医師による医療的ケアや、専門の療法士によるリハビリなどを受けることができます。

ただし、利用可能期間が短く、長期間の利用はできません。

対して特養の方は、“寝たきりなど重度の介護にも対応した生活施設”であり、終身で利用することもできます。

そのため、レクリエーションなど人生を豊かにするためのイベントごとも用意されており、“終の棲家”として利用することもできます(看取りを行っている施設も多い)。

ただし、医師は常駐していない可能性が高く、看護師も24時間常駐しているわけではありません。

どちらかというと、“医療ケア”よりも“介護ケア”に重点が置かれているといえるでしょう。

両者には、このような違いがあるのです。

尚、「特別養護老人ホーム」については、別の記事にて詳細をご紹介しておりますので、以下を参照ください。

どのような人が利用できるの?

本施設は、誰でも利用できるわけではなく、原則として以下の条件を満たしている必要があります。

「65歳以上+要介護1以上の介護認定を受けている」

ただし、特定疾病により認定を受けていれば、40歳~64歳の高齢者であっても、サービスを利用できる場合があります。

特定疾病には「若年性認知症」も含まれているため、若年性認知症の方も入所できる可能性があります。

専門施設もありますので、施設選びの際に内容を確認しておくことをオススメします。

そして、入所までの一連の流れを簡単にご紹介すると、以下のようになります。

①「介護認定を受ける」
 ↓
②「入所の申し込みと面談を行う」
 ↓
③「書類提出と入所判定を行う」
 ↓
④「契約・入所」

ちなみに、要介護認定の申請から結果が通知されるまでの期間は、1ヶ月ほどを必要とします。

さらに、“認定される=必ず入所できる”というわけでもなく、また申し込み~入所確定までにも一定の期間(数週間ほど)を必要とする場合もあります。

そのため、利用を検討している方は、できるだけ早めに手続きを進めて、施設の情報収集を行うことをオススメします。

どのくらいの費用が発生する?

老健は公的施設であり、国や自治体からの補助金が出ることもあって、他に比べて安価に利用できます。

まず「一時入居金」など、入居時にかかる費用はありません。

また、「介護保険」も適用されるので、自己負担額は1割~3割に抑えることもできます(自己負担額は収入によって変動する)。

加えて、「居住費」「食費」「介護サービス費」は“医療費控除の対象”となるため、納めた税金を取り戻せる可能性もあります。

ただし、費用に関しては施設によってまちまちであり、月額の平均自己負担は「約6万円~17万円」となっています。

これは、居室のタイプによって金額が変動するからです。

また、リハビリなどのケアサービスを受けていると、その分費用がかさむこととなります。

費用の負担を減らす方法としては、“軽減制度”を利用するといいでしょう。

最後にもう一つ。

「生活保護」を受けている場合でも、入居できる可能性があります。

この場合は、事前に入居費用を保護の受給内でまかなうことができるのかを、施設側に問い合わせてみてください。

「サービス内容」と「職員の人員配置」について

「サービス内容」

具体的なサービス内容としては、以下が挙げられます。

◆リハビリ
◆医療・看護ケア
◆介護サービス
◆栄養管理

本施設は、高齢者が早めに自宅での生活に戻れるように支援するための施設です。

そのため、多くの施設がリハビリに力を入れており、専門の療法士(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)などのスタッフが配置されています。

また“病院から退院した方の入居が多い”ため、特養と比べて医師や看護職員が多く配置されており、医療・看護ケアにも対応しているのが特徴です。

そして、リハビリや医療・看護ケアだけでなく、高齢者それぞれの状況に応じた介助サービスを受けることも可能です。

介護関連に関しては、「身体介護」「生活援助」「食事の提供」などが挙げられます。

最後は「栄養管理」であり、施設での食事は栄養士の監修により栄養やカロリーが管理されたものが提供されているのです。

さまざまな状態の高齢者が利用していますが、それぞれの食事事情に個別に対応してもらえるというのも大きな魅力の一つといえるでしょう。

「職員の人員配置」

職員の人員配置は、以下のようになっています。

【医師】
◆入所者100人に対して1人以上常勤で在席

【看護師・介護職員】
◆入所者3人に対して1人以上

【理学療法士・作業療法士・言語聴覚士】
◆入所者100人に対して1人以上

【介護支援専門員(ケアマネージャー)】
◆1人以上

【栄養士】
◆入所者100人以上の場合、1人以上

【支援相談員】
◆1人以上

【薬剤師】
◆施設に応じて適当数

特養に比べて医師や看護師が多く配置されており、特に看護師は24時間常駐していることも多く・夜間であっても安心して利用することができます。

ただし、“看護師の夜間配置は義務ではない”ため、中には日中のみしか勤務していないところもあります。

その場合は医療行為が大幅に制限されてしまうため、施設選びの際には注意しておきましょう。

また、“介護職員が多い”ということも、本施設の特徴に挙げられるかと思います。

加えて、専門の療法士(作業療法士・理学療法士・言語聴覚士)のいずれかが常勤しています。

ただし、あくまで“100人に対して1人以上”であるため、どの分野に特化した専門家がいるかは施設によって異なる場合があります。

「どの分野に特化した療法士がいるのか?」を、施設選びのポイントにするのも良いかもしれません。

施設利用における「メリット」「デメリット」について

施設を利用する上で「メリット」があれば、当然「デメリット」も存在します。

この項目にて、それぞれの特徴をいくつか挙げておきたいと思います。

「メリット」について

施設を利用するメリットとして挙げられるのは、主に以下の4つです。

①「公的施設なので、費用が比較的安く・一時金などの初期費用も不要」
②「専門知識を持つスタッフが常駐しており、医療やケアが受けられる」
③「リハビリテーションが充実している」
④「介護度が低くても入居できる」

「要介護1」から利用することができ、かつ民間施設に比べて費用を抑えて利用することができます。

さらに、医師・看護師・専門の療法士・介護士など、多くの職員が勤務しており、医療ケアやリハビリが充実していることも大きなメリットになります。

「デメリット」について

次にデメリットですが、主に以下の4つが挙げられます。

①「入所の期間が限定的」
②「内服薬が制限される」
③「生活支援サービスやレクリエーションがやや少なめ」
④「多床室はプライバシーの確保が難しい」

まず①ですが、施設の利用期間は基本的には3ヶ月~6ヶ月であることが多く、長く利用できるところではありません。

次に②ですが、施設内で薬が処方されるのですが、入所中は医療保険の適用を受けることができません。

そのため、基本的には介護保険の範囲内で医療サービスを利用することになり、薬は施設側の介護報酬でまかなう必要があります。

加えて、今まで服用していたものがあっても施設側の判断で変更になる場合もあるため、服用している薬があれば、入所前に施設に確認を取っておく必要があります。

そして③ですが、“老健=リハビリに注力する施設”なので、例えば買い物代行や選択などの「生活支援サービス」は十分に提供されない可能性があります(施設によりけりではある)。

また、レクリエーションや行事ごとなどは“機能訓練の一環”と位置付けられているため、こういったイベントごとはあまり行われていません。

最後に④ですが、中には個室が用意されている施設もありますが、多くは数人で共同利用する「多床室」となっています。

特に4人部屋が多く、個室や2人部屋を利用する場合は「特別室料」が加算されてしまいます。

そのため、“プライバシーの確保が難しい”というデメリットが生じてしまうのです。

このように、注意しておかなくてはいけない点も多いため、利用する前に施設のことをしっかりと理解し、必要なことは事前に確認を取っておいた方が良いかと思います。

まとめ

老健は施設利用日数が比較的短い傾向にあるため、特養に比べて「早く入所できる可能性がある」という特徴もあります。

しかし、それでも申し込み~入所までにはそれなりの期間が必要となります。

また、施設によって入所基準や条件が異なる場合もあります。

そのため、情報収集はもちろん、申し込みも早め早めに行って、計画的に入所できるよう工夫しなければいけません

さまざまな施設がありますので、資料を取り寄せたり・見学したりなどして、自分に合った施設を探してみてください。

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