美容クリニックで働く看護師……つまり「美容看護師」は、看護師の新しい働き方として現在注目を集めています。
- 美容看護師の仕事内容
- 美容看護師になるために必要な資格やスキル
上記のような点は、以前に別の記事で詳細をご紹介しました。
【美容クリニックで働く看護師とは?】
美容看護師のなり方・仕事内容について徹底解説!
美容看護師は、「看護師免許(正or准)」や「臨床経験」が必須となることがほとんどではあるものの、看護師としての実務経験がある方であれば、多くの方に美容看護師に転職できる可能性があります。
※臨床経験は必須でない場合も稀にあるが、経験があるに越したことはない※
ただ、誰にでも可能性はあるものの、美容看護師に“向いている人”と“向いていない人”がいるのも事実です。
また、美容看護師の転職には少しだけ気をつけておいた方が良い注意点もあります。
今回は、こういった点について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
美容看護師に”向いている”のはどんな人?
まずは、「美容看護師に向いている人」からご紹介していきましょう。
数え上げれば色んなものが挙げられますが……その中でも特に重要と感じる点は、以下があるかと思います。
◆コミュニケーション能力が高い人(接客・営業力のある人)
◆ポジティブな人
順番にご紹介していきます。
1.美容に興味があり、好奇心がある人
病院勤務などの他の看護師の仕事ともっとも異なる点は、「”美容”が関連してくる仕事である」ということです。
女性はもちろん男性もですが、近年は「美」に関するニーズが非常に高まっています。
この「美」「美容」に興味を持って、貪欲に色んなことに挑戦できる方は、この仕事に向いている方だと感じられます。
むしろ、“仕事”としてでなく、“興味・趣味”の範囲で、美に関する知識を吸収し自身でも実践できる人がこの仕事を長く続けられている人とも言えるかと思います。
「自分で試す=実体験をお客様に伝えることができる」ということであり、実体験ほど人に説得力を与えられるものはありません。
ちなみに。
「美容クリニックで働いているスタッフさんって、綺麗な人(美肌など)が多い気がする……」と感じたことはないでしょうか?
これは、「採用時に綺麗な人を雇っている」……というのも無きにしもあらずかもしれませんが、実際は「”美意識”の高い人が採用されている」と考えられています。
美容クリニックに来るお客様は、「美」を求めて来店されます。
あくまで例えばの話ではありますが、もし仮に対応するスタッフが「すごく美人なんだけど、ノーメイク……髪や肌の手入れも雑だった」としたら、お客様はどう感じるでしょうか?
お客様にとっては、「スタッフが美人であるかどうかよりも、”綺麗でいるための努力”をしている人かどうか」を注意して見ています。
だからこそ、美容クリニックで勤務しているスタッフの方は、「美しい」と感じることが多いのではないでしょうか。
2.コミュニケーション能力が高い人(接客・営業力のある人)
お客様との接客や営業方法については、研修で学ぶことができます。
しかし、人には向き・不向きがあります。
仮に、全く同じこと(説明・提案など)をし・同じ言葉を発していたとしても、契約が“取れる人”と“取れない人”は必ず存在します。
これは、雰囲気(声やその人自身など)や、声のスピード・強弱など様々な要素が絡んできますし、そもそも“人の相性”もあるので、簡単に真似(説明)できるものではありません。
でも、なんとなく・雰囲気で・相手の印象を瞬時に・感覚的に掴み取り、その人にあった接客ができる人もいます。
この仕事以外(プライベート)でも、「誰とでもすぐに仲良くなれる人」を見たことはありませんか?あのようなイメージです。
以前の記事でもご紹介しましたが、美容看護師の仕事は“お客様とコミュニケーションを取る機会が非常に多い仕事”です。
お客様に満足していただき、診療中も不安を取り除く必要があります。
お客様に良い商品を提供し、売上に貢献する必要もあります。
また、契約成立時にインセンティブが発生する可能性もありますので、美容看護師は、コミュニケーションスキルの高さが自身の給与にも影響してくる仕事とも言えます。
人と関わることが好きな人・コミュニケーションを取るのが好きな人・接客対応が好きな人の方が、向いている仕事ではないかと思います。
3.ポジティブな人
例えば、病院勤務の看護師さんなどにも同じことが言えますが、看護師の仕事はストレスの多い仕事です。
特に、「人間関係」のストレスがあり、それは同じスタッフ・お客様のどちらもが対象となります。
美容クリニックの場合、「綺麗になるためにクリニックを利用している」お客様がほとんどのため、施術結果(経過)がイメージ通り(聞いた通り)でないと、クレームに発展する可能性が非常に高くなります。
また、中・小規模なクリニックも多いことから、病院などに比べると“スタッフが少なく・密な関わりとなることが多い”のも特徴です。
病院での看護師の経験がある人ならもしかしたら分かる人もいるかもしれませんが、色んなスタッフがいます。
(多くは語りませんが)
このように、内からも外からも色々なストレスが発生する可能性があるため、クレームにしろ何かを言われたにしろ、気にしないくらい前向きな方が美容看護師(というより看護師)には向いていると思われます。
美容看護師に”向いていない”のはどんな人?
次は、「美容看護師に向いていない人」についてお話していきます。
「上記で挙げた逆でしょ?」と感じる人もいると思いますが、まさしくその通り……なのですが、ちょっと補足しておこうと思います。
先に内容を挙げておくと、「美容看護師に向いていない人の特徴」は以下の2つです。
◆業務と患者対応の両立ができない人
順に説明していきます。
1.「ノルマ」「営業」が嫌!という人
前項や以前の記事でもお伝えした通り、美容看護師の仕事は「お客様と契約を結ぶ=営業活動」が絡んできます。
営業活動があるということは、店舗によっては「ノルマが課せられる」場合もあります。
ノルマが課せられると、“売上を気にしたり、店舗の利益を優先させた行動に出る”ことも多くなります。
ここに、プレッシャーや嫌悪感を抱く人は、美容看護師の仕事には向いていません。
また、こういった営業成績を「人と比べてしまう人」も難しいかと思います。
「あの人と比べて私の営業成績は……」となると、悪循環に陥って、余計に営業成績が落ちてしまう可能性も高くなってしまいます。
ノルマ達成・契約成立時にインセンティブが発生するならば、なおさらです。
ただ、店舗によっては「ノルマなし!」という所もあるので、「ノルマは嫌!でも美容看護師の仕事には興味がある!」という人は、ノルマがない店舗の求人に募集してみるのもいいかもしれません。
2.業務と患者対応の両立ができない人
端的に言ってしまうと、以下の様な人です。
◆目の前のすべきことを「即座に整理できない」人
美容看護師は、医師の介助や診療の補助を行いつつ、患者対応も同時に行っていく必要があります。
- 自分の業務に必死で、周りが見えていない
- 忙しさが顔や雰囲気に出て、患者が話しかけづらい
このような人は、美容看護師の仕事には向いていないかもしれません。
「常に笑顔で、業務をてきぱきとこなし、患者への対応も丁寧に行う……」
特に、他の看護師の仕事もそうですが、「患者を不安にさせてはいけない」という理由で、看護師は“常に笑顔でいること”が求められます。
これについては、美容看護師も同じです。
ただ、この点は“慣れ”の部分もあると思いますので、はじめから完璧にこなそうと思わなくても大丈夫かとも思います。
美容看護師になる際の「注意点」について
「美容看護師の仕事に興味がある!やってみたい!」と感じる人もたくさんいると思いますが、ここで2点だけ注意しておくべきことをお話しておきます。
内容は、以下の2点です。
◆管理職が目指しにくい環境にある
順に説明していきます。
1.病院勤務には戻りにくくなる
美容看護師に転職した人は、「自分には合わなかった……」となっても、基本的に病院など別の業種の看護師に転職を希望する人が少なくなる傾向にあります。
理由は、以下の2つが挙げられます。
◆美容クリニックには「夜勤」がないから
同じ治療であっても、「怪我や病気の治療」と「美に関する治療」は別物です。
一度美容クリニックに勤務すると、患者の怪我や病気の治療(ケア)に戻ることを躊躇う看護師が多くいるのです。
また、病院と違い、美容クリニックには「夜勤」がありません。
看護師は離職率の高い職種ですが、その理由の一つに「夜勤(シフト制)により、生活リズムが狂いやすいから」が挙げられます。
美容クリニックであれば、シフト制にはなっても夜勤が発生することはありません。
ただ、夜勤がない看護師の仕事は他にもあるので、あくまで「夜勤のある他の看護師の仕事に戻りにくい」というだけでもあります。
どちらにしろ、一度美容クリニックの世界に足を踏み入れると、「美容看護師として長く勤務する」か「色んなクリニックを転々とする」かのどちらかが多くなる傾向が強いのが実際のところではあります。
2.管理職が目指しにくい
例えば病院であれば、病棟や外来といった各部署を統括する「看護師長」という役職があります。
この役職が存在する理由は、“病院の規模や看護師の数・その他の業務など、管理する立場の人間がいないとまとまりがつかなくなるから”です。
しかし、美容クリニックの場合は、こういった管理職の枠は少ない職場がほとんどです。
理由は2つ。
②医師を中心にクリニックが運営されているから
もちろん規模の大きなクリニックを選べば管理職の立場に入り込める可能性は高くなりますが、その大規模クリニックの数自体がそこまで多くないため、狭き門にはなってしまいます。
このことから、美容クリニックでは「管理職が目指しにくくなる」と言われています。
まとめ:まずは美容クリニックのことを知ることからはじめよう!
どんな仕事にも「向き・不向き」があり、美容看護師で勤務するにしても「メリット・デメリット」が存在します。
“美容に携わる看護師”と聞くと、とても華やかなイメージを持たれる方もいるかもしれません。
ただ、その華やかさの中にも、見えない努力をしているスタッフが多くいるのも確かです。
もし、「美容看護師は未経験だけど、すごく興味がある!チャレンジしてみたい!」という人は、まず“美容看護師について知ること”から始めることをオススメします。
いきなり転職をするのではなく、まずは自分なりに色々と調べてみる。
もし周りに美容看護師の仕事をしている人がいれば、内情を伺ってみるのも良いでしょう。
その上で、「本当に美容看護師に転職したいかどうか?」をもう一度考えてみましょう。
ちなみに。
美容看護師が未経験である場合、いきなり好条件の求人には手を出さない方がいいかもしれません。
少し給与が低めであったとしても、「ノルマなし」「営業なし」などの環境に就職し、徐々に仕事に慣れていくのが良いかと思います。
その上で、自分に“合うか・合わないか”を判断していく。
地道にコツコツと少しずつ進めていくことが、長く続けていけるコツかと思います。