言語聴覚士は病気や怪我、発達の遅れなどにより言語機能に障害を負った人に対して、その機能を回復するためのリハビリテーションを行う専門職です。
言語聴覚士の活躍の場は医療施設だけではなく、介護や福祉施設など多岐に渡ります。
この記事ではそんな言語聴覚士の平均年収について詳しく解説していきます。
言語聴覚士の平均年収は?
言語聴覚士の平均年収は350~450万円
厚生労働省による令和2年賃金構造基本統計調査によると、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の合わせた平均年収は406万円でした。
経験年数や職場によっても年収が変わることや、言語聴覚士は理学療法士や作業療法士に比べると平均年収が少ない傾向にあることから、大まかな平均年収としては350~450万円ほどだと言えるでしょう。
平均年齢
月収
ボーナス
年収
33.9歳
28万円
70万円
406万円
言語聴覚士は1997年に国家資格に追加された比較的新しい資格なので、平均年齢は33.9歳と若い傾向にあります。
平均勤続年数が6.5年と他職種に比べて短いことから、経験が浅くてもそれなりの収入を得られる職種であると言えるでしょう。
年齢別に見る平均年収
次に、年齢別に見た言語聴覚士の平均年収です。
年齢
月収
ボーナス
年収
20 ~ 24歳
24万円
39万円
327万円
25 ~ 29歳
25万円
66万円
366万円
30 ~ 34歳
28万円
67万円
403万円
35 ~ 39歳
30万円
83万円
443万円
40 ~ 44歳
33万円
85万円
481万円
45 ~ 49歳
34万円
92万円
500万円
50 ~ 54歳
38万円
108万円
564万円
55 ~ 59歳
38万円
105万円
561万円
60 ~ 64歳
32万円
65万円
449万円
年齢別に見ると、一番高いのは50~54歳の564万円となっています。
30歳以降は年収400万円を超えていることから、他職種に比べても平均的な給与と言えるのではないでしょうか。
経験年数別に見る平均年収
以下は経験年数別に見る言語聴覚士の平均年収です。
経験年数
月収
ボーナス
年収
1年未満
24万円
45万円
333万円
1~4年
24万円
65万円
353万円
5~9年
27万円
68万円
392万円
10~14年
30万円
80万円
440万円
15年以上
35万円
96万円
516万円
この中でも一番労働者数が多いのが、経験年数1~4年です。
言語聴覚士の経験年数1~4年の平均年収は353万円ですが、これは看護師(395万円)や歯科衛生士(305万円)など他の医療職と比べても平均的であると言えるでしょう。
経験年数が長くなるほど年収もアップしていくので、たとえ職場が変わったとしても長く勤めることが大切であると言えます。
言語聴覚士の初任給
経験年数別(1年未満)の平均月収から見ると、言語聴覚士の初任給は約24万円程度であると言えます。
他の医療職と比べてみると、看護師が約27万円、歯科衛生士が約22万円、保健師が約26万円となっています。
このことから他職種と比べても平均的な初任給の額であると言えます。
職場ごとの平均年収
ここでは言語聴覚士の職場別に見る平均年収について解説していきます。
医療施設
主な勤務先は病院やリハビリテーションセンターなどです。
平均年収は病院が約300~400万円、リハビリテーションセンターが約300~450万円ほどです。
医療施設は求人の数も多いので、高待遇の職場も見つけやすいのではないでしょうか。
介護施設
主な勤め先は介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、通所リハビリ、訪問リハビリ、デイサービスなどです。
平均年収は300~400万円ほどです。
介護施設は今後の高齢化に伴い求人数も増えてくることが予想されます。
特に言語聴覚士は有資格者数が他の専門職に比べると少ないので、重宝される存在となっていくでしょう。
福祉施設
主な勤務先は肢体不自由児施設、重症心身障害児施設などです。
平均年収は300~400万円ほどです。
介護施設に比べると求人数は少ないですが、発達の遅れなどにより言語障害を持つ子どもたちにとっては言語聴覚士の存在は欠かせません。
子どもが好きな人にとっては良い職場だと言えるでしょう。
言語聴覚士が年収をアップさせる方法
ここでは言語聴覚士が年収をアップさせる方法について解説していきます。
給料の高い職場に転職する
言語聴覚士は理学療法士や作業療法士に比べると有資格者数が少なく、常に人手不足の状態だと言われています。
ですから、他の専門職に比べると高待遇の職場に転職しやすいと言えます。
たとえば同じ医療施設でも、診療所よりリハビリテーションセンターの方が給料の高い求人が多い傾向にあります。
また、人手不足の介護業界では思いがけず高待遇の職場も少なくありません。
今よりも収入をアップさせたいのであれば、より高待遇の職場を探してみるのも良いのではないでしょうか。
また、経験年数別の平均年収でも見たように言語聴覚士の平均年収は経験年数に応じて上がっていく傾向にあります。
平均年齢が33.9歳と若いことから、今後言語聴覚士全体の平均年収も上がっていくことが見込まれます。
職場は変わっても長く続けることが年収アップの秘訣です。
認定言語聴覚士になる
日本言語聴覚士協会の会員になると「基礎プログラム」や「専門プログラム」といった、より高い専門性を身につけるためのプログラムに参加することができます。
そして、専門プログラムを修了した臨床経験6年以上の言語聴覚士は「認定言語聴覚士講習会」に参加することができます。
認定言語聴覚士とは、日本言語聴覚士協会が認定するより高い水準の言語聴覚士のことです。
言語聴覚士としてキャリアアップを目指すのであれば、こういった高いスキルを身につけておくと有利でしょう。
まとめ
言語聴覚士の平均年収は350~450万円です。
言語聴覚士全体の平均年齢が33.9歳と若いことから、今後平均年収も上がっていくことが見込まれます。
有資格者数が少ないことから、より高待遇の職場への転職もしやすいと言えるので収入をアップさせていくことも十分に可能であると言えるでしょう。