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「標準報酬月額」ってなに?計算方法・決定・変更時期などを分かりやすく解説します!

この記事は約6分で読めます。

以前に記載した以下の記事の中で、「標準報酬月額」について、ほんの少しだけご紹介する機会がありました。

あまり聞きなれないワードですので、「生活する上ではあんまり関係ないものじゃないの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし実際は、毎月給与から天引きされている「社会保険料」「厚生年金保険料」の計算などで利用されるもので、とても重要なものなのです。

今回は、この「標準報酬月額」について、詳しくご紹介していきたいと思います。

「報酬月額」とは?


「標準報酬月額」についてお話をする前に、まずは「報酬月額」からご説明をしていきたいと思います。

両者は、“標準”が付いているかしか名称に違いはありませんが、それぞれ意味合いが異なります。

“総支給額”のことを指している

特に、企業の人事労務に関わる方だと聞いたor目にする機会も多いと思われる「報酬月額」

結論から言うと、これは“1ヶ月の総支給額”のことを指しています。

これは、基本給だけでなく、交通費(通勤手当)や残業手当などの“各種手当”も対象に含まれます。

つまり、計算式(というほどのものでもありませんが……)は、以下のようになります。

≪「基本給」+「各種手当」=「報酬月額」≫

ここから、所得税などの「税金」や、社会保険料や厚生年金額が引かれていき、残った金額を“手取り”として受け取ることができるのです。

「報酬月額」には、対象・非対象となるものが存在する

報酬月額=総支給額ですが、先ほど「基本給に”各種手当”を加算したもの」と説明しました。

ただし、全ての手当や報酬が対象となる訳ではなく、一部対象外となるものも存在します。

それを表にまとめると、以下のようになります。

このように、“金銭で支給されるもの”“現物で支給されるもの”で分かれています。

尚、「食事」についてですが、報酬扱いとならないのは“本人の負担額が、厚生労働省が定める価格により算定した額の2/3以上の場合”に限ります。

そして、賞与の額は、年の支払い数が“4回以上”“3回以下”かによって、対象が変化します。

これについては、後述にて補足していきます。

「標準報酬月額」ってなに?


次に、今回のお題である「標準報酬月額」についてのご紹介です。

“毎月の保険料”を計算しやすくするための基準である

こちらも結論から言うと、「”毎月の保険料”を計算しやすくするための基準となる金額」のことを指しています。

“毎月の保険料”なので、健康保険や厚生年金保険・介護保険などの保険すべてが対象となります。

そして、この標準報酬月額は「等級」によって区分されます。

「等級」とは?

この等級は、「総支給額=報酬月額」に応じて分けられることとなります。

区分は複雑に分かれており、厚生年金の場合は”31段階”健康保険の場合は”50段階”に等級が分けられています。

そして、この等級ごとに「標準報酬月額」が定められるのです。

尚、この等級にはそれぞれ「上限値・下限値」が定められており、現在だと1等級:58,000円50等級:1,390,000円となっています。

「賞与」の支払い回数によって”対象”が変わる

前項の表でご紹介した通り、賞与(=ボーナス)は“年の支払い回数”によって、対象が変化します。

◆4回以上:「標準報酬月額」の対象
◆3回以下:「標準賞与額」の対象

賞与の支払いが3回以下の場合は、支給月に税金を引く前の賞与総額から1,000円未満を切り捨てた額となる「標準賞与額」が決定し、標準報酬月額と合わせて社会保険料が算出されることとなります。

「健康保険料」「厚生年金保険料」の計算方法は?


健康保険や厚生年金の保険料の計算方法は、非常に簡単です。

というのも、“保険料率”は標準報酬月額の数値に関わらず一定であり、“18.3%”で固定されています。

そのため、≪「標準報酬月額」×「保険料率:18.3%」=「健康保険料」「厚生年金保険料」≫となります。

ちなみに、上記で説明した通り、賞与が年4回以上支払われていると「標準報酬月額」となるため上の計算方式で問題ありません。

しかし年3回以下の場合「標準賞与額」となるため、これに保険料率18.3%をかける必要があるので、少し計算方法が異なる点には注意しておきましょう。

「標準報酬月額」や「等級」ってどうやって確認できるの?

「計算方法は分かったけど、標準報酬月額や等級ってどうやったら確認ができるの?」

この点ですが、実は「全国健康保険協会」「日本年金機構」のホームページで、確認・調べることできます。
※分からない人は「名称 標準報酬月額」で検索をかけてみてください※

例えば……の話となりますが、「令和3年3月~」「東京」を例に出して確認してみましょう。

下記のサイトをご覧ください。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r3/ippan/r30213tokyo.pdf

表の左側に「標準報酬」「等級」「月額」、その横に「報酬月額」と記載がされているはずです。

この「報酬月額」の部分と、自分の1ヶ月の総支給額がもっとも近い部分を見つけます。

例えば、総支給額が「198,000円」だったとした場合、標準報酬月額は“200,000円”であり、等級は“17”となります。

後は、この「200,000円」に「保険料率18.3%」をかけることで、「健康保険料」「厚生年金保険料」が算出される……このような流れとなります。

難しいことは何もないので、気になる方はお住いの地域のもので数値を確認してみてください。

標準報酬月額は、いつ頃”決定・変更”されるの?

標準報酬月額は、原則として「4月~6月の3ヶ月間の給与の総支給額を平均した金額をもとに決定」し、「その年の9月~翌年8月まで適用」されることとなります。

これは、全国健康保険協会に加入していれば、事業主の申請に基づき「日本年金機構」によって決定されます。

基本は、毎年7月に標準報酬月額を決めることとなりますが(“定時決定”という)、その他にも大きく2つ、標準報酬月額を決定・変更するタイミングがあります。

それは、「入社時」「月給が大きく変化したとき」です。

入社時の場合、まだ給与を得ている訳ではないので、“入社時の就業規則や労働規約などに基づいて決定”されます(“資格取得時の決定”ともいう)。

そして、昇給や降格などによって“2等級以上の差が生じた場合”にも、変更されます(“随時改定”という)。

ちなみに、「標準報酬月額」は“残業手当”も対象に含まれます。

もし、残業の増減で2等級以上の差が出た場合も、変更することが可能となります。

状況に応じて随時改定を行っていかないと、通常よりも高い金額となってしまうこともあるため、注意が必要です。

まとめ

この「標準報酬月額」は、あくまで社会保険料などを計算しやすくするために利用されるものであり、この制度を理解したからといって毎月の給与に何か大きな影響を及ぼすものではありません。

しかし、“知っておくこと”“知らずにいる”ことは全くの別物で、理解しておいて損をすることはありません。

そもそも、前項のように「残業(手当)の増減で、標準報酬月額も増減する可能性がある」という点から、残業が多いor減ったという人は、「自身の標準報酬月額に2等級以上の差が出ていないか?」の確認をしておいても良いかと思います。

また、社会保険料や厚生年金保険料の計算方法も簡単ですし、標準報酬月額や等級も簡単に調べることができるので、もし気になる方がいらっしゃれば、自分の給与を確認しながら色々調べてみてください。

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