皆さんは、ボケるとはどのようなことか想像できていますか?
ボケるとは、『認知症』になるということです。
認知症とは、いったん発達した知的機能が低下して社会生活や職業生活に支障をきたす状態になることと定義されています。
今、65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知症の人、または認知症予備軍と言われています。
誰しもがなり得る認知症を身近なことで予防することができたら、素敵なセカンドライフを送ることができると思いませんか?
認知症について
令和元年の平均寿命は、男性が81.4年、女性が87.4年となっています。
男女ともに、年々平均寿命が延びる傾向にあります。
「健康に長生きする」ことは誰しも望むことですが、65~69歳の間の認知症になる割合は1.5%、そこから5歳ごと倍に増加し、85歳では27%の人が認知症になっているのが今の現状です。
認知症の主な症状には、「さっきのことが思い出せない」「言葉の意味が理解できない」「喋りたい言葉が喋れない」などがあります。
また、精神症状や行動異常がみられ「暴言・暴力」「徘徊・行方不明」などの問題も出てきます。
このような症状が出てしまうと、日常生活が上手く送れなくなってしまいます。
認知症の原因
認知症の原因の病気には、アルツハイマー病と脳血管障害が多いとされています。
アルツハイマー病は女性に、脳血管障害は男性に多い病気です。
アルツハイマー病は、脳内に溜まった異常なタンパク質により神経細胞が破壊され、脳が縮んでしまいます。脳血管障害は、脳梗塞や脳出血により脳細胞に十分な血液が送られず、細胞が死んでしまいます。
どちらも、脳に深く関わる病気です。
認知症、とくにアルツハイマー病には「これをすれば進行が止まる」という方法は今のところ見つかっていないため、脳の病気を予防することが重要となってくるのです。
ボケ防止と生活習慣病
アルツハイマー病は、物忘れが始まる20年以上も前から脳に異常なタンパク質のゴミが溜まり始め、脳が委縮していきます。
これを予防するためには、40代から生活習慣を見直し、病気にかかりにくい心身を作ることが大切です。
脳血管障害も、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満症が原因で動脈硬化が起こり、結果的に脳血管障害を起こします。
つまり、生活習慣病を予防することが結果的に認知症予防となり、ボケ防止につながるのです。
「生活習慣病予防って何をしたらいいんだろう?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
ここでは、簡単に始められるボケ防止に特化した食事と趣味活動について紹介していきます。
認知症になりやすい食事
認知症になりやすい食事は、炭水化物を中心とする高カロリー食です。
炭水化物は、タンパク質や脂質と並ぶ三大栄養素の一つで、主にエネルギー源となる栄養素です。
しかし、炭水化物の中には、体内の消化酵素では消化できない物質があります。
その物質のせいで、食べ過ぎてしまうと中性脂肪として蓄積され肥満や生活習慣病の原因となります。
また、低タンパク食や低脂肪食も認知症になるリスクを高めるとされています。
ボケ防止に役立つ栄養素を摂取しよう!
これまで、認知症と食事の関係について様々な研究がされてきました。
その中でも、認知症予防に効果がある栄養素を3つ紹介していきます。
1つ目は『抗酸化物質』です。
抗酸化物質とは、活性酸素という動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下を引き起こす物質の働きを抑えるものです。
抗酸化物質には、ポリフェノールとカテロノイドがあります。
ポリフェノールには、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、大豆に含まれるイソフラボンやサポニン、ゴマの成分が変化してできるセサミノール、そばに含まれるルチン、緑茶のカテキンと発酵茶(紅茶・ウーロン茶など)のテアフラビンの総称であるタンニンなどがあります。
カテロノイドは、緑黄色野菜や果物など多くの食品に含まれるβ-カロテンやリコピン、えびやかになど甲殻類や、さけ・ますなど魚類がもつアスタキサンチンなどが知られています。
抗酸化物質はサプリメントで摂取しても効果がないとされており、食事により摂取することが必要です。
2つ目は『ビタミンB群』です。
ビタミンB群が不足すると、アルツハイマー病の原因となる異常なタンパク質が脳に溜まりやすくなり認知機能の低下につながるという研究結果があります。
ビタミンB群は、私たちが生きるためのエネルギーを作るのに欠かせない栄養素です。
多く含まれる食材には、うなぎや玄米ご飯、レバー、納豆、カツオ、枝豆、サンマなどがあります。
「疲れやすい、寝ても疲れがとれない、日中眠くなる、集中力が続かない」この中のどれかに当てはまった場合、ビタミンB群が不足している可能性があります。
3つ目は『ビタミンD』です。
最近の研究では、アルツハイマー病や軽度認知症の人は健康な高齢者の人に比べてビタミンDが不足しているということがわかっています。
ビタミンDの症状として、糖尿病や動脈硬化、免疫力低下があるという研究結果も出ています。
ビタミンDを多く含む食材には、焼き鮭、うなぎ、サバの水煮缶、きくらげ、鶏卵があります。
様々な種類の食品をバランス良く食べることが認知症予防の第一歩なのです。
まずは、いつもの食事に1品ボケ防止の栄養素をプラスしてみませんか?
歳をとっても元気な人には秘密があった!
年齢を重ねても、いつまでも元気で活気があり、ボケることとは縁遠い人がいます。
そんな人は、知らず知らずの間に認知症予防をしていることがあるのです。
それは、とっても単純で『趣味活動を楽しんでいる』いうことでした。
趣味を持っている人はそうでない人より認知症のリスクが低く、趣味の種類が増えるほど認知症のリスクが低下するという研究結果も出ています。
では、なぜ趣味活動が認知症予防になるのでしょうか?
認知症と生きがいの関係
認知症予防に良いとされている読書やスポーツ活動の散歩、ジョギングですが、ただやるだけでは認知症予防にならないという研究結果が出ています。
それは、それらの活動を「趣味」として捉えているかどうかがポイントとなってきます。
同じことをしても、ただ時間をつぶすためにする行動は脳への刺激が弱くなってしまうのです。
認知症予防に効果的な趣味活動には、有酸素運動を含むものがあげられます。
有酸素運動を行うことにより、脳の血流や代謝を良くすることができるからです。
また、エピソード記憶や注意分割機能、思考力を刺激するものが効果的とされています。
エピソード記憶とは、「朝食で何を食べた」など経験した事実に関する時間空間的情報が伴う記憶のことです。
これらを刺激することにより、脳の神経ネットワークを強化し、発達させる効果が得られます。
また、友人との交流、幹事などのまとめ役の仕事を行うことなどの対人関係があり、ある目的をもって行う社会活動への参加が認知症予防へつながっていることもわかってきています。
おすすめの趣味活動
①夫婦におすすめの趣味
夫婦で共通した趣味を楽しみたいと思う方におすすめなのが、『旅行』です。旅行が趣味の方は、男女ともに認知症発症率が低いという結果が出ています。
旅行は、社会的活動と身体的活動、精神的な健康維持活動の両面を兼ね備えた、いわば万能な趣味です。旅行をすることで、計画力を鍛えエピソード記憶を刺激することができます。
また、旅行をきっかけに外出頻度や交流が多くなり、社会活動へ参加する機会が増えるのも認知症予防に最適です。
また、グラウンドゴルフもおすすめです。
グラウンドゴルフのような負荷が少なく集団で行う運動は、無理せず身体活動量を増やし、脳の血流低下を防ぐことができます。
さらに、集団で行うため、社会活動への参加ができる一石二鳥な趣味といえます。
②男性におすすめの趣味
男性におすすめしたいのが、パソコンと釣りです。パソコンは指先を使う機会が多いため脳の血流を増加させる効果があります。
また、文章を読み効率よく考えて正確な文字を入力することで、エピソード記憶と注意分割機能を刺激することができます。
釣りは、海や川の状況や気候などを観察し、適切な餌や用具を選ぶなど、様々な認知的要素を刺激することができます。
③女性におすすめの趣味
女性におすすめなのが、庭いじりと手工芸です。庭いじりは、計画・準備・実行という過程をこなし、認知機能を高めることができます。
また、筋肉の量や筋力の維持に適した運動をすることもできます。
手工芸は、手先を使って編み物を作るなど、創作活動が脳の活性化につながります。
体力に自信がないと思う方にもおすすめできる趣味です。
まとめ
ここでは、ボケ防止に役立つ食事と趣味活動について紹介してきました。
ボケるとは認知症になるということです。
認知症になりやすい食事は、炭水化物を中心とする高カロリー食です。
また、低タンパク食や低脂肪食も認知症になるリスクを高めるとされています。
認知症を予防する食べ物は、抗酸化物質・ビタミンB群、ビタミンDを含むブルーベリー、大豆、ゴマ、緑茶、レバー、うなぎ、枝豆、玄米ご飯、納豆などがあります。
様々な種類の食品をバランスよく食べることがポイントです。
認知症を予防するおすすめの趣味活動は、旅行、グラウンドゴルフ、パソコン、釣り、庭いじり、手工芸があります。
これらの活動は、有酸素運動で脳の血流を活性化させる、エピソード記憶や注意分割機能を刺激することで脳の神経を刺激する、社会活動へ参加することができます。
趣味は楽しんでやることで認知症予防の効果を発揮します。
認知症予防には「これだけすればOK!」という特効薬はありません。
自分にできることから、継続しやすいことから始めることが素敵なセカンドライフへの第一歩なのです。