鍼灸師とは、針やお灸で身体を刺激して痛みやコリなどの不調を整えるお仕事です。
鍼灸師として活躍するためには、鍼灸師について学べる学校で単位を取得し国家試験をクリアすることが必要です。
この記事では鍼灸師の取得方法について、試験の難易度や学校の種類も含めて解説していきます。
鍼灸師の取得方法
鍼灸師について
鍼灸師という言葉ってよく耳にしますが、実は「鍼灸師」という名前の資格はありません。
鍼灸師とは、鍼を用いた施術を行う「はり師」と、お灸を用いた施術を行う「きゅう師」を総称した呼び名です。
どちらも、はりやお灸で身体を刺激することで痛みやコリを和らげる治療を行います。
鍼灸師は対象とする症状が多岐に渡るのが特徴で、肩こりや腰痛などはもちろん、美容鍼灸や婦人鍼灸、スポーツ鍼灸など様々な人や症状を対象としています。
はり・きゅう師は似ている部分もあることから、まとめて「鍼灸師」と呼ばれるようになったと言われています。
「はり師」「きゅう師」は各々別の資格なので、鍼灸師になりたい人はどちらともの資格を取ることが条件になります。
鍼灸師として働くためには国家試験をクリアすること
はり師・きゅう師は、医療系の国家資格の一つです。
それぞれの国家試験は、毎年2月の同日に行われます。
国家試験を受けるのに必要な受験資格は、「文部科学大臣が認定する学校」または「厚生労働大臣または都道府県知事が指定する養成施設」において3年以上必要な知識を身につけることで得ることができます。
国家試験を受けるための受験資格について
はり師・きゅう師の国家試験を受けるためには、「文部科学大臣が認定する学校」または「厚生労働大臣または都道府県知事が指定する養成施設」で3年以上必要な知識や技術を学ぶ必要があります。
学校の種類は、①4年制大学②専門学校の2パターンです。
大学や専門学校の学科は、「鍼灸学科」という名前で設けられていることが多いです。
鍼灸師国家試験の詳細
以下は2021年の第29回はり師・きゅう師国家試験の詳細です。
<試験地>
北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県及び沖縄県
視覚障害者の試験は、各都道府県で実施されます。
<試験科目>
①共通科目:医療概論(医学史を除く。)、衛生学・公衆衛生学、関係法規、解剖学、生理学、病理学概論、臨床医学総論、臨床医学各論、リハビリテーション医学、東洋医学概論、経絡経穴概論、東洋医学臨床論
②専門科目:はり理論(はり師)、きゅう理論(きゅう師)
引用:きゅう師国家試験の施行|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/kyushi/)、はり師国家試験の施行|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/harishi/)
鍼灸師国家試験の難易度
ここでははり師・きゅう師国家試験の難易度について、見ていきます。
はり師国家試験の難易度
こちらは2017年以降の、はり師国家試験の合格率です。
合格率は、例年7割程度となっています。
毎年3,000人程度がはり師となっており、平成30年度の厚生労働省の調査によると全国に121,757人のはり師がいます。
きゅう師国家試験の難易度
こちらは過去5年間のきゅう師国家試験の難易度です。
合格率は、例年7割程度となっています。
毎年3,000人程度がきゅう師となっており、平成30年度の厚生労働省の調査によると全国に119,796人のきゅう師がいます。
国家試験の難易度
はり師・きゅう師ともに国家試験の合格率は、例年7割程度となっています。
新卒・既卒別に見ると、新卒の合格率は例年8割を超えています。
一方、既卒の合格率は例年2割程度となっています。
はり師ときゅう師の国家試験をどちらも受ける人は勉強量も増えるので、時間に余裕のある新卒での合格を目指すのが賢明でしょう。
国家試験の受験対策について
新卒での合格率は8割を超えているとは言え、しっかりと受験対策はしておく必要があります。
一般的には、毎年2月に行われる国家試験の半年から1年ほど前から受験勉強をスタートさせる人が多いようです。
学校にもよりますが、2〜4年次には臨床実習という現場での実習があります。
実習期間中は実習に専念するため、あまり受験勉強に時間を割くことができません。
そのため、実習期間を加味した上で受験勉強のスケジュールを組む必要があります。
学校によっては最終年次に国家試験対策の模試を実施しているところもあるので、活用していくと良いでしょう。
国家試験の合格基準となるラインは、150点満点中90点程度となっています。
学校で行われる模試では、合格ラインである60%を目安とすると良いでしょう。
鍼灸師に向いている人の特徴
はり・きゅう師として活躍できる人の特徴について、説明していきます。
コミュニケーション力がある人
鍼灸師は技術力だけではなく、人と関わる仕事なのでコミュニケーション力が必須となります。
患者さんの症状について上手く聞き出し、必要な治療を考えることができる人が鍼灸師に向いていると言えます。
また、鍼灸師は地域に根ざした鍼灸院に勤めることが多く、地域の人と良い関係性を築いていくことも求められます。
相手の立場に立ってコミュニケーションをするスキルが、鍼灸師に必要なスキルになります。
手先が器用な人
鍼灸師は柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師と違い、小さな器具を使って施術を行うのが特徴です。
針やお灸で身体のツボを上手く見極めて施術するには、細かい作業が得意な人が向いていると言えるでしょう。
日頃から細かい作業が苦にならないという人や、目の前のことに淡々と向き合うことができる人は、鍼灸師として活躍できるのではないでしょうか。
チャレンジ精神がある人
鍼灸師は、自分で院を構えることができる開業権を持っています。
ですから、将来的に自分の院を構えて独立したいというチャレンジ精神がある人にとって鍼灸師の仕事はとてもやりがいのある仕事だと言えます。
全国的に見ても鍼灸院は数が多いので競合は多くなりますが、チャレンジ精神が強い人は鍼灸師として開業して院を構えることに向いていると言えるでしょう。
また、ある程度自分のペースで仕事をしたい人や長く勤めたい人にとっても、向いている仕事だと言えます。
まとめ
鍼灸師とは、鍼を使った治療を行う「はり師」と、お灸を使った治療を行う「きゅう師」を総称した呼び名のことです。
はり師ときゅう師は連携して仕事をすることも多く、総称して鍼灸師と呼ばれています。
鍼灸師として活躍したい人は、はり・きゅう師の国家資格をそれぞれ得ることが必須です。
国家試験の難易度としては、合格率が例年7割程度となっています。
鍼灸師(はり・きゅう師)をどちらも受けるのであれば勉強量も増えるので、事前にしっかりと準備して試験に挑むことが望ましいでしょう。