家族や身近な人が介護の必要な状態になったら、どうすれば良いんだろう?
そう思われている方もいるかもしれません。
在宅での介護が難しい場合、施設への入所を検討する人も多いですが、老人ホームってたくさん種類があって難しいですよね。
今回は老人ホームの種類や入所方法について詳しく解説していきます。
老人ホームに入るためには?
老人ホームに入るときは、いくつか準備すべきものがあります。
入所申し込みをすればすぐに入れるわけではないので、事前に準備しておくことが大切です。
①介護認定を持っていること
後ほど解説しますが、老人ホームに入るには介護の認定を持っていることが条件です。
中には認定がなくても入れるところもありますが、多くは介護の認定があることが入所の条件です。
現行の介護保険制度では、介護認定は要支援1〜2・要介護1〜5の7段階あります。
一番自立に近い認定が要支援1で、一番重いのが介護5の認定です。
要支援1はほぼ自立の状態で自分の足で歩ける程度ですが、要介護5までいくと寝たきりの状態という人も少なくありません。
介護の認定を持つには、住んでいる市区町村の介護保険の窓口に申請するところからです。
介護申請をすれば認定調査員と呼ばれる人が自宅を訪問し、認定調査を行います。
認定調査員の調査結果と、かかりつけの医師の意見書をもとに、認定審査会という会議で認定の結果が決まります。
認定は更新が必要であり、平均的に1〜3年程度で認定の見直しがあります。
②担当のケアマネージャーがいること
老人ホームに入所するには、担当のケアマネージャーをつけることが条件です。
老人ホームに入った後は、介護保険で介護のサービスを利用する場合がほどんどなので、担当のケアマネージャーにサービスの調整をしてもらう必要があります。
近くの事業所に問い合わせて担当をお願いしたり、有料老人ホームなどは施設に常駐しているケアマネージャーが担当をします。
③施設に入るための条件を満たすこと
介護認定を持っていても、すぐに老人ホームに入れるとは限りません。
入所するには、希望する施設の条件を満たす必要があります。
たとえば特別養護老人ホームの場合、入所するには要介護3より重い認定であることが条件なので、要介護3より軽い人は入れません。
老人ホームの種類
ここからは老人ホームの種類について解説していきます。
老人ホームには大きく分けて「公的施設」と「民間施設」の2種類です。
公的施設とは介護保険制度の施設型サービスのことで、民間施設は企業や法人が運営する老人ホームです。
公的施設の種類
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームとは、要介護3より重い認定の人が入る施設です。
在宅での介護が困難になった高齢者が入り、身の回りの介護を受ける施設です。
民間の老人ホームに比べて費用が安いので、人気が高く入所待ちが出ているところも少なくありません。
原則、介護の必要度の高い人から入所可能となります。
重い認定の人が対象なので、認定の更新で要介護3よりも下の認定が出た場合は退所することとなります。
養護老人ホーム
養護老人ホームは介護保険で規定された施設ではないですが、入所にあたり市区町村の判定が必要になる公的施設という位置付けです。
対象となる人は概ね65歳以上の高齢者で、基本的には自立の状態の人とされています。
生活保護受給者など、経済的な困窮が原因で在宅での生活が困難な高齢者が対象となっています。
介護のサービスを利用できる場合もありますが、基本的には自立の状態の人が対象なので、介護度が重たくなれば他の施設へ移ることを勧められます。
また、入所のためには市区町村での入所判定会議をクリアすることが条件なので、入所するには市区町村の担当窓口へ申請が必要になります。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、骨折などの怪我で入院していた人が在宅復帰を目指すために一時的に入るイメージです。
リハビリを目的としている施設で、在宅での生活が可能だと判断された場合は退所するのが原則の施設です。
そのため、長期で入れるわけではなく3ヶ月などの短期間入所となります。
対象となる人は要介護1以上の高齢者とされています。
民間施設
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームとは、企業や法人が運営する高齢者向け施設です。
民間施設は施設ごとに入所条件を決めていますが、多くは要介護1〜5の比較的重い認定の人が対象です。
介護付きなので施設にヘルパーが常駐しており、入所すれば施設内で身の回りの介護をしてもらうことができます。
また、施設ごとに常駐のケアマネージャーがおり、入所すればサービスの調整などを行ってくれます。
公的施設と比べて入居費は高いですが、その分待機が少なく比較的早く入所できるのがメリットです。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームとは、介護付き有料老人ホームに比べて自立度の高い人が入所する施設です。
そのため施設によっては、自立の状態の人でも入所できることもあります。
施設でのサービス内容としては、簡単な家事援助や安否確認といったサービスです。
施設にヘルパーが常駐しているわけではないので、身体的な介助が必要な人は外部の事業所にヘルパーなどをお願いすることになります。
サービス付き高齢者住宅
サービス付き高齢者住宅は、高齢者が暮らしやすい賃貸住宅といったイメージです。
概ね要介護3以下の軽い認定の人や自立の状態の人を対象とした施設です
賃貸住宅であるため、外出なども自由にすることができるのが特徴です。
サービスとしては、安否確認や生活相談などがメインですが、食事提供などを行ってくれる施設もあります。
介護が必要な場合は、外部の事業所にお願いをすることになります。
ケアハウス
ケアハウスは、自立の状態や要支援1〜2の人が入所できる施設です。
基本的に身の回りのことは自分でできるというのが条件で、要介護状態になれば他の施設に移ることになります。
食堂のある施設が多いので、自炊が困難になった人や独居での生活に不安がある人に向いている施設です。
費用面で低価格なので、入所待ちがある施設も少なくありません。
グループホーム
グループホームは、認知症の診断が出た要支援2以上の人が入居できる施設です。
少人数ごとの共同生活といったイメージの施設になります。
介護スタッフは常駐していますが、認知症でも身体面が元気な人は一緒に掃除や洗濯などの家事を行います。
基本的には共同生活ができる前提なので、介護度が重くなり寝たきりなどの状態になれば他の施設に移ることを勧められることがほとんどです。
老人ホームに入所するまでの流れ
ここでは実際に老人ホームに入所するまでの流れを解説します。
①市区町村に介護申請をする
介護認定がない人で、入所要件に介護認定の有無がある施設を希望する場合は、まず介護申請をするところからです。
住んでいる市区町村の介護保険の窓口に申請をします。
自分で窓口まで行くことが困難な人は、家族が代行したり郵送での受付も可能です。
また、近くに在宅介護支援センターという相談窓口がある場合は、自宅まで申請書を持ってきてくれて代行申請してくれることもあります。
介護申請をすれば認定調査員の調査を受け、かかりつけの医師に意見書を書いてもらいます。
その後、調査員の調査書と医師の意見書の結果をもとに介護認定の判定が行われます。
認定が出るまでは、基本的に1ヶ月程度かかることがほとんどです。
②担当のケアマネージャーをつける
介護認定が出たら、担当のケアマネージャーをつけます。
介護サービスを受ける場合、ケアマネージャーの作成するケアプランが必要になります。
公的施設を利用する場合は自分でケアマネージャーを探すことになりますが、民間施設では施設にケアマネージャーが常駐していることがほとんどなので、施設に問い合わせてみると良いでしょう。
自分でケアマネージャーを探す場合は、近くの事業所などに直接問い合わせて担当をお願いすることになります。
③施設へ入所申し込みをする
公的施設を利用する場合は、担当のケアマネージャーを通して入所申し込みをすることがほとんどです。
入所申し込みでは、現在の介護度や身体の状態について詳しく伝えることになります。
その後、施設内で入所判定の会議があります。
入所判定会議では、その人が施設での生活に適しているかや対応可能であるかを判断します。入所会
議の結果、入所可能になればいよいよ施設に入所です。
④サービス担当者会議
入所と同時に行われるのが、サービス担当者会議と呼ばれるものです。
ケアマネージャーの作成したケアプランをもとに、入所後どのような形で介護を行なっていくのかを担当者間で共有します。
参加者は、本人と家族、ケアマネージャー、その他サービスを担当す事業所の管理者などです。
⑤入所
サービス担当者会議が終われば、いよいよ入所です。
施設において介護を受けたり、必要な人は外部の事業所の介護サービスを受けたりします。
老人ホームの費用はどれぐらいかかる?
老人ホーム選びで一番気になるところが、費用面ではないでしょうか。
ここではそれぞれの施設の入所費用について見ていきます。
公的施設
施設によって差はあるものの、公的施設の場合は月額7〜13万円程度のところが多いです。
介護度が重くなれば、受ける介護の量も増えるので費用も上がっていきます。
民間施設と比べて一番大きいのは、入居金がかからないところです。
ですが、その分入所にあたって介護度の条件があったり、入所待ちがあるケースも少なくありません。
民間施設
民間施設では、入居金として最初に30万円程度かかるところもあります。
有料老人ホームの場合は、「高級老人ホーム」と呼ばれる施設もあり、入居金が数百万円というところもあります。
月額の入居費としては、比較的価格の安いケアハウスで9〜13万円、その他は15〜30万円程度となっています。
民間の施設は、かかる費用もそれぞれの施設によって大きく異なります。
中には入居金がかからない施設もあるので、自分に合った施設を探すと良いでしょう。
まとめ
老人ホームの種類は大きく分けて、公的施設と民間施設の2種類です。
公的施設は費用面では低価格ですが、入所の条件が厳しかったり入所待ちのある施設も少なくありません。
入所にあたっては介護認定の有無が条件の施設も多いので、施設を検討している人は住んでいる市区町村の窓口に相談してみると良いでしょう。