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「育休」を取得できる条件はなに?「育児休業」と「育児休暇」の違いについても解説!

この記事は約9分で読めます。

以前に、別の記事で「産休(産前産後休業)」についてのご紹介をさせていただきました。

「産休」は、文字通り“産前・産後の母子の体調維持or回復”を目的としたお休みであり、特に「産後休業」は取得の義務が発生します(産前は任意)。

そして、今回ご紹介するのは、この出産の後に行われる「育児」に関する休暇となります。

育休を取得するにはいくつかの条件があり、注意しておくべきことも色々とありますので、それらの点について詳しくお話をしていけたらと思います。

「育休」ってどんな制度なの?

制度の概要


「育休」とは略称であり、正式名称は「育児休業制度」と呼ばれています。

これは、その名が示す通り“生まれた子供を育てること”を目的とした休業制度のことで、一定の条件を満たしていれば雇用形態(正社員/パート/アルバイト/契約社員/派遣社員など)に関係なく、誰でも取得が可能となっています。

育休の「取得できる期間」はいつまで?

この「育児休業」ですが、取得できる期間は“産後休業が終わった翌日”から、”子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで”の間が基本となります。

産後休業は、原則として“8週間(56日)”の休業が義務付けられています(条件を満たせば6週間とすることも可能ではある)。

育児休業は、上記の「産後休業8週間後の翌日から、子どもが1歳の誕生日を迎える前日」までの間を基本として取得することが可能な制度となっているのです。

「一定の条件」とはなんなのか?

産休は、妊娠・出産を控えている女性であれば、申請こそ必要であれ“誰でも・必ず”取得することができました。

しかし、育休の場合は、下記の条件を満たしている必要があります。

①同じ勤務先で、“1年以上”勤続していること
②子どもの1歳の誕生日以降も、“勤務継続の意思がある”こと
③子どもが2歳になる前々日までに、“契約期間の満了”“契約が更新されないこと”が明らかでないこと

端的に言うのであれば、「1年以上同じ会社に勤務しており、今後も同じ会社で勤め続ける意思がある人」が対象になるということです。

ただ、注意しておかなくてはいけないのは③の部分です。

正社員以外の雇用形態……つまり「非正規社員」の場合、雇用契約の期間についてはしっかりと確認をしておかなくてはいけません。

「契約の満了期日はいつなのか?」であったり、企業によっては“契約の打ち切り”を理由に育休の取得を拒否してくる場合もあります。

この点については、必ず事前に企業側に相談をして、双方が納得できる形に収まるように話を進めることをオススメします。

また、もし企業側が何かしら育休を渋る動きを見せるのであれば、場合によっては退職を検討するのも一つの手段と言えるかもしれません。

育休を取得したいと考えている親御さんはもちろん、お子さんにとっても悪影響を及ぼしかねませんので……。

「手続きの進め方」はどうすればいい?

必要な「書類」を提出しよう

「産休」と同じく、「育休」も必要な書類を提出し“申請”を行わなくてはいけません。

念のため、それぞれで必要な書類を以下に記載しておきます。

【産休】
◆「産前産後休業届」
◆「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書」【育休】
◆「育児休業届」
◆「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書」

上記「申出書」は、健康保険や厚生年金を免除してもらうために必要となる書類です。

どちらも会社で各届出書を受け取ることができますので、必要な方は確認を取ってみてください。

また、もし会社で受け取ることができなかった場合、≪日本年金機構≫のホームページで書類をダウンロードすることも可能です。

「申請期日」はいつなの?

産休の申請期日は以前の記事にて紹介しているので、そちらを参考にしてください。

そして育児休業の申し出期限は、「休業開始予定日の1ヵ月前まで」と法律で定められています。

もし「産休と続けて、育休も取得したい」と考えている人は、産前休業に入る前や産前休業中に申請を行う必要がありますので、この点にはご注意ください。

「延長」って可能なの?

「延長」について


上述でご紹介した通り、育休は「子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで」が原則とされています。

そのため多くのご家庭では、この育休を利用している際に、育児を行いつつ保育所などへの入学準備を進めていく場合が多いかと思います。

ただ、以前に別の記事でもご紹介しましたが、現代の日本は「待機児童問題」が問題視されており、保育所に入園したくてもできないお子さんが多くいるのも事実なのです。

また、保育所の問題だけなく、配偶者に何か問題が起こる可能性も現実的にない訳ではありません。
(怪我や病気……最悪命を落としてしまったり……など)

こういった「何らかの事情で仕事復帰が難しい場合」は、“子どもが1歳になる前に申請する”ことで、育休を“1歳6ヶ月まで延長”することができます。

「再延長」について

上記で挙げた「待機児童問題」の影響もあり、育休を延長しても保育所への入園の目途が立たないケースが後を立たない状況となっています。

このことから、2017年10月以後、「育児休業制度」が改正されることとなります。

これにより、延長の再申請を行うことで“最長2年間”の育児休業取得が可能となりました。

「育児休業」と「育児休暇」って違うものなの?


「育休=育児休業制度である」という旨は、ここまでにお伝えした通りです。

この時、一つ注意しておかなくてはいけないことがあります。

それは「育児”休業”」「育児”休暇”」は別物である……ということです。

この項目にて、詳細をお話していきましょう。

混同されがちだが、意味が違う

「休業」と「休暇」……どちらも似た意味合いを持つため、この2つは混同して利用されがちです。

しかし、厳密には両者の意味合いは大きく異なります。

まず、「育児休業」とは、「育児・介護休業法」に基づいて取得できる休業制度のことを指しています。

つまり、“法で定められた制度”ということです。

このことから、法律の中でさまざまな権利が保護されており、休業中には後述する給付金を受給することも可能となります。

対して「育児休暇」は、“企業の努力義務”……つまり、“企業の任意”で導入するかどうかを決めることができるもののことを指しています。

もちろん、育児休暇は“法律の適用外”であるため、権利の保障や給付制度はありません。

まとめると、育休という言葉を多くの人が利用しているかと思いますが、正式名称は「育児”休業”制度」のことであり、“育休=育児休業”のことを指している……とするのが一般的となります。

漢字で表すと「業」か「暇」のたった一文字の違いしかありませんが、その意味合いは大きく異なるため、育休の利用をお考えの方は念のためご注意ください。

育児休業中にて「給付金」が発生する

上記でもご紹介した通り、“育児休業中”は、給付金を受け取ることが可能です。

それが、「育児休業給付金」というものです。

これは、育児休業中の期間・雇用保険から月給の“67%”を受け取ることができます。

ただし、育児休業開始から6ヶ月経過後(=延長した場合)からは、月給の“50%×休んだ月数分”となります。

そしてもう一つ。

この育児休業給付金を受け取るためには、一定の条件を満たしている必要があるのです。

それが、以下です。

◆同じ勤務先に“1年以上雇用”されており、かつ「雇用保険」に加入していること
◆育児休業中に、“退職予定がない”こと(育休終了後も勤続の意思があること)
◆育休の期間中、“休業開始前の1ヵ月あたりの賃金の8割以上が支払われていない”こと

ちなみに、この給付金の申請は“雇用者側”が手続きをしなければいけません。

そのため、利用したいとお考えのご家庭は、勤務先に問い合わせをする必要があります。

また、この給付金がきちんと申請されている場合、育休取得から“約2ヶ月程度”で給付金が支給されることとなります。

ママだけじゃない!?パパにも取得できる育児休業について


この記事にてご紹介した「育児休業制度」ですが、これは女性だけでなく“男性”も取得することができます。

特別なことは何もなく、女性が育休を取得する際と同じ条件で、男性側も取得することが可能となっています。

しかし、現状は男性の育休取得率は非常に少なく、例えば2019年度であればたったの“7.48%”でありました。
(国としては、2020年までに“13%”の取得率を目指していたとのことです)

なぜ、これほどに男性が育休を取得しない(できない)のか?

その理由は、大きく2つ挙げられます。

①先入観から、取得したくてもし辛い
②家族の生活のため

まず①についてですが、今でこそ大分緩和されてはきていますが、「育休=女性が取得するもの」という先入観・固定概念が人々に強く根付いているのです。

実際、「育休は男性でも取得できる」ということを知らない人もいたりします(さすがに数は減ってきていますが)。

このことから、仮に男性社員が育休を希望したとしても、それを拒まれる可能性があったのです。

もう一つは②の「生活のため」です。

女性は、産前産後休業と育児休業とで、否が応でも長期間仕事から離れることとなります。

ここで、男性側まで育児休暇で休みを取得すると、よほど生活に困っていない人でもない限り、いつも通り(これまでと同じ)生活を送ることは難しくなるのです。

確かに、給付金は支給されます。

しかし、“いつももらっている給与の全額ではありません”

例えば上記で挙げた通り、「育児休業給付金」の場合は、本来の給与の“67%”の支給額となります。

このことから、「生活のために、育休を取得したくてもできない」というご家庭も多くいらっしゃるのです。

とはいえ、政府としても「男性の育休取得率を上げたい」と考えていることから、新たに「育児・介護休業法」「雇用保険法」の改正案が閣議決定しました。

ただ、この制度は2022年10月を制度スタートの目標時期と定めているため、まだ制度が実体化している訳ではありません。

この新たな制度(改正案)については、改めて別の記事にてご紹介をしていければと思います。

まとめ

「産休」であれ「育休」であれ、これらは“女性の働きやすい環境づくり”のために存在し、時代に合わせて少しずつブラッシュアップされています。

直近であれば、前項で挙げたような「出生時育児休業(男性版産休)」がそれです。

出産を機に退職してしまう女性社員は依然として少なくはない状況であり、これは企業側にとっても大きな損失となってしまいます。
(優秀な人材を手放してしまうことになるため)

それでなくても、現在は多くの企業が“人手不足”を課題としており、これからは少子高齢化によってさらに人材獲得競争が激化していくこととなるはずです。

そうなった時、「女性が働きにくい」もしくは「復職しづらい」勤務環境であった場合、その会社は思うように人材確保ができなくなっていくのではないかと考えられています。

なぜなら、誰だって「働きにくい会社に勤めたいとは思わない」からです。

だからこそ、多くの企業が働き方改革に力を入れているのです。

働きやすい職場環境を構築できれば、企業のイメージアップに繋がり・従業員にとってもモチベーションアップに繋がります。

“働きやすい環境”に性別は関係ありません。

女性にとっても男性にとっても、働きやすい環境が今後も整備され、同時に自身(家庭)の生活も豊かになっていけば……と思います。

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