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看護師ってどんな仕事?平均年収はどのくらい?

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医療の世界で、医師と患者の双方をサポートする『看護師』

看護師の仕事は“激務”と言われており、体力的な面だけでなく精神的にも厳しい仕事の一つに挙げられます。

なぜ、看護師は大変な仕事と言われるのか。

そして、激務と言われる仕事に対して、どのくらいの収入を得ることができるのか。

今回は、看護師の仕事内容・年収などについて、詳しくお話をしていきたいと思います。

看護師について

看護師とは?

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看護師の仕事内容を端的に表すと「医師や患者のサポートをすること」となります。

もう少し詳しくお話をすると、看護師の役割は大きく以下の3つが存在します。

医師の診療や診察を補助する
疾患や怪我を抱える人の、医療的なケアをする
患者およびその家族の、精神面のケアをする

大多数の人が、これまでに医師・看護師にお世話になったことがある、もしくは現在進行形でお世話になっている方もいるかと思います。

生まれてくる時は助産師(看護師の資格を必須とする)の助力を得ますし、幼少時に体調を崩して病院に行った経験がある人もたくさんいるでしょう。

学校時代はもちろん、社会人になってからも健康診断などで医師や看護師にお世話になる人は必ずいます。

「普段から体調不良になることがほとんど無いから、病院に行くことも無い」という人であっても、看護師のお世話になったことが無いという人はほぼいないはずです。

そのくらい、看護師というのは私たちにとって身近な存在なのです。

具体的な仕事内容

看護師の役割は上に記載した3つが中心となりますが、ここではもう少し具体的に仕事内容をご紹介していきます。

点滴

入院・外来を問わず行うことが多い業務です。

点滴というのは、ボトルやバッグに入れて吊るした補液・薬剤などを、静脈内に留置した注射針から少量ずつ投与していくことを言います。

投与経路は、大きく下記の2つが存在します。

末梢静脈路
中心静脈路

医師からの処方通りに点滴液を選択・滴下数を合わせ、投与していきます。

点滴後も、滴下数の過不足・刺入部位の腫れ・点滴ルートのトラブルなど、アクシデントが発生する可能性があるため、定期的に経過観察を行っていく必要もあります。

注射・採血

看護師が行う業務の中で、最もイメージしやすい業務かと思います。

健康診断の際にも、検査のために採血(注射)を行うことがあり、看護師の仕事の中でも重要な業務の一つとされています。

そして、実施者の技量が最も反映されやすい業務でもあります。

実際、苦手意識を持っている看護師の方も多くいらっしゃいます。

バイタルサインの測定

バイタルサインとは『生命兆候』と呼ばれるものです。

これを測定することにより、数値で異常の有無をチェックすることができるのです。

バイタルサインには、下記が含まれます。

血圧
体温
脈拍(心拍)
呼吸状態
意識状態
尿量
SPO2(動脈酸素飽和度のこと)

夜勤の巡回

病院に勤務している人の場合、勤務内容の一つとなる夜勤です。

消灯後の入院病棟を巡回し、患者の入眠状況の確認や、点滴・容態のチェックなどを行います。

カルテの記録

カルテとは、診療記録カードのことです。

患者の病状・処置・経過などを記録しておくもので『診療簿』とも呼ばれます。

カルテを残す理由は、

法律上の義務(記録を残さなくてはならない)
チーム医療での情報交換や資料
保険請求の根拠

などが挙げられます。

尚、カルテの記載方法は『SOAP』が一般的です。

『s』ubjective:主観的情報
『o』bjective:客観的情報
『a』ssessment:評価
『p』lan:計画(治療)

この4項目に沿って書き記すことで、患者の問題点や今後の治療方針が明確となり、情報共有がスムーズに行えるようになります。

手術の補助

これは、手術室に配属となった看護師が担当するものです。

手術がスムーズに進行するように、医師をサポートしていきます。

ただ、サポートと一言でいっても、その業務内容は多岐に渡ります。

例えば、下記のような作業が該当します。

手術室の環境整備
器材の準備
術中の器材の手渡し
麻酔の解除
手術の記録

患者の補助

怪我により身体が不自由な方、病気を伴い動けない人など、患者の身の回りの補助を行うのも、看護師の仕事の一つです。

例えば、下記が挙げられます。

体位変換
患者の移送
食事・排泄・入浴などの介助

尚、介助に関しては、病院によっては専門の介護職員を雇っていたり、看護助手が実施するケースもあります。

ただ、食事介助時の誤嚥や、入浴時のバイタルの変化など、患者の命に直結する注意点もあることから、看護師が介助を任されることもあるのです。

看護の歴史について

『看護』という仕事が社会的に確立し出したのは、フローレンス・ナイチンゲールが登場した1850年代のことです。

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出典:Wikipedia-フローレンス・ナイチンゲール

ナイチンゲールは、近代看護教育の母・看護師の祖とも呼ばれる人物であり、他にも『光掲げる貴婦人』『クリミアの天使』とも称されています。

尚、看護師の女性のことを示す『白衣の天使』という言葉は、このナイチンゲールのイメージから付けられたものと言われています。

彼女が登場するまでは、病人や負傷者への看護というのは、基本的に身内によって行われていました。

病院という施設そのものは当時から存在していたものの、そこで働く看護師は教育を受けていない人たちばかりだったため、病院として機能していなかったと言われています。

その後、ナイチンゲールによる、医療看護の全面改革によって近代看護が樹立。『看護覚え書』という書物を書いたり、『ナイチンゲール看護学校』を設立し、看護師の養成教育を確立させていきます。

日本においては、明治政府による新しい西洋医学が導入されるまでは、病院という施設そのものが存在しませんでした。

西洋医学が導入され、日本の医療技術が発展していく中で、『ナイチンゲール方式』と呼ばれる教育システムが日本にも多大な影響を与えていくこととなります。

ナイチンゲールの看護のあり方や考え方は、国内外を問わず世界中の看護の礎となっているのです。

看護師の勤務時間はどのくらい?

夜勤があるかどうかで、大きく変わる

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看護師の勤務時間は、勤め先によって大きく変動します。

特に『夜勤』があるかどうかが最も重要です。

仮に、もし夜勤がない施設で勤務をしていた場合、『8時~17時』が一般的な勤務時間とされています(勤務先で多少前後する)。

そして、夜勤があった場合は、『3交代制』もしくは『2交代制』で勤務時間が分けられます。

後述で詳細をお話していきましょう。

各交代制について

3交代制

これは、1日を3つの勤務時間に分けたものをいいます。

一般的には、下記の時間帯で名称が異なります。

日勤:朝から夕方にかけての勤務(8時~17時頃)
準夜勤:夕方から夜中にかけての勤務(16時30分~翌0時30分頃)
深夜勤:夜中から翌朝にかけての勤務(0時~8時30分頃)

2交代制

2交代制の場合は、3交代制であった準夜勤がなくなります。

つまり、

日勤:朝から夕方にかけての勤務
夜勤・当直:夕方から翌朝にかけての勤務

この2つに分かれるということです。

この場合、夜勤・当直を担当する看護師は、勤務時間が非常に長くなります。

ただし、ずっと気を張り続けて勤務するという訳ではなく、夜間のナースコールや緊急搬送などがなければ、仮眠を取って休息することも可能です。

また、求人の募集項目には『仮眠時間』を記載していることも多いです。

尚、上記でご紹介した勤務時間帯以外にも、看護業務に合わせて変則的な勤務時間を設けている病院もあります。

特に、準夜勤・夜勤業務を担当する看護師は、就寝時間までの間が非常に多忙です(食事介助や投薬など)。

そのため、この時間帯の看護師をサポートするための『早朝出勤』『午後出勤』などを体制として整えている施設もあるのです。

休日はどのくらい取れるの?

これは、勤務先によって異なります。

例えば、入院施設のある病院勤務の場合は『シフト制』となることが大半です。1か月の休みは7~8日となることが多く、定休日などの決まった休みもありません。

しかし、入院施設のない診療所のような場所に勤めた場合、定休日があるところが多く、決まった日に休みを取ることが可能となります。

加えて、診療時間が決まっており入院施設もないことから、夜勤が発生することもありません。

看護師の収入は高い?安い?

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結論から言うと、看護師の収入は同年代の他業種の収入に比べると、比較的高い傾向にあります。

もちろん、勤務先によって様々なので絶対ではありませんが、

平均月収:30万円前後
ボーナス:50万~100万円
平均年収:500万円前後

この辺りが一般的となります。

ただし、先ほどもお伝えしたように、勤め先によって様々なので、あくまで平均的な数値です。

また、下表のデータは、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より引用、算出した数値となりますが、2019年度の平均年収はこのようになっています。

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     参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

尚、『基本給』は、他業種と比べて若干高い程度であることがほとんどです。

看護師の収入が高くなる最たる要因は、各種手当の存在にあります。

例えば、夜勤手当・休日手当・認定看護師手当などが挙げられますが、最も金額が多いのは『夜勤手当』です。

ただし、収入が他業種に比べて高い傾向にあるといっても、あくまで他業種に比べて高いというだけであり、看護師の仕事内容に見合った金額かと言われると首を傾げる看護師が多いのも現状です。

また、あくまで各種手当を受けた場合、他業種よりも金額が高くなることが多いというだけなのも問題の一つとなります。

特に、夜勤・休日出勤をしない場合は、収入面は上記で紹介したものよりも大きく落ちてしまいます。

看護師の仕事は、正社員だけでなく、パート・派遣社員などで募集がかけられることも多い職業の一つです。

その場合も、他業種の同条件に比べると(多少)時給が高い傾向にはありますが、「仕事量に見合った金額か?」と言われると、ここも疑問符が打たれることが多いとされています。

看護師の仕事は何が大変なの?

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記事の冒頭でも述べた通り、看護師の仕事は、体力・精神面ともに非常に厳しい仕事の一つに挙げられます。

しかし、医療に携わっている人以外では「何がそんなに厳しいの?」と疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、看護師の仕事が厳しいと言われる理由を何点かご紹介していきたいと思います。

生活リズムが不規則になる

“激務”と言われる理由の中で一番イメージが付きやすいのが、不規則な生活リズムかと思います。

これまでにお伝えしてきた通り、24時間体制や入院施設がある病院では、夜勤がほぼ必ず発生します(パートなど一部を除く)。

こういう施設に勤務をすると、シフト制で日勤と夜勤が組み合わさったスケジュールが組まれていきます。

当然、生活は不規則になりがちであり、体調を崩してしまう看護師も多いのです。

慢性的な人手不足

看護師の仕事も、慢性的な人手不足で悩まされています。

特に30歳未満の看護師の割合が大幅に低下していることが懸念視されています。

人手が足りない=一人ひとりの業務量が多くなるということです。

休みも上手く取れずに、体力的にも精神的にも疲れが溜まってしまうのです。

職場の人間関係

病院というのは、同じ職場で働くスタッフはもちろん、患者とのやり取りなど多くの人と関りを持っていく必要があります。

特に看護師は、医師と患者の双方をサポートする立場のため、非常に気を遣う仕事と言えます。

特に、患者の中には理不尽な要求をしてくる人もいます。

規則やルールを守らない人、気難しい人など……それでも患者に対して誠実に対応をしていく必要があるため、精神的なストレスは他業種に比べても大きくなってしまいます。

そして、女性が多いナースステーションというのも、気を遣う要因の一つです。

もちろん勤め先にもよるので全ての病院がこれらに該当する訳ではありませんが、ドロドロとした人間関係の職場が多いのは確かで、精神的な疲れは溜まりやすい傾向にあります。

立ち仕事が多い

看護師の仕事は、カルテの記入やカンファレンスなど一部を除き、立ち仕事が基本となります。

立ち仕事の時間が長くなると、足や腰の疲れ・むくみといった症状に悩まされることが多くなり、それが長期間に渡って続くと、様々な病気に発展する恐れもあります。

体力的に厳しい仕事と言われる所以は、ここにあります。

まとめ

国家資格である、難題の『看護師資格』を取得し、研修期間を終えやっとの思いで看護師の仕事に就いた……のに、その勤務内容は厳しく、体力・精神ともに疲れがどんどん溜まっていく。

そして、手当あってこその収入面の高さということもあり、人によっては「仕事量に見合った給料ではない」という感じる人も多くいらっしゃるかと思います。

この点については、医療業界も少しずつ働き方改革が進んでいる状況ではあります。

例えば、残業時間の短縮や有給休暇の取得量の増加などです。

とはいえ、全ての病院にこれが適用されたとしても、人間関係の問題は働き方改革だけでは改善が難しい点でもあります(病院、果ては勤務する人次第のため)。

ただ、看護師の仕事全てが厳しい訳ではありません。

中には、仕事にやりがいを持って勤務している看護師もたくさんいます。

患者の中には、病気や怪我による不安から、精神的な疲れが溜まっている人もいます。

そういった人達と真摯に向き合い、患者から感謝の言葉をいただける……こういった点で「看護師を続けていて良かった」と感じる人もいるのです。

環境が整備されていく中で少しずつ看護師の負担が減り、働きやすい環境が整っていくと、改めて看護師を志望する人も増えていくかもしれません。

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