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スウェーデンの介護事情〜これからの日本の介護がよりよくなるには〜

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総務省統計局によると、2020年9月時点での日本の高齢者の人口は、3617万人と年々増加しています。

高齢化に歯止めが効かない状況の中、問題となっているのが、高齢者の介護問題です。

中でも、日本は高齢者に対する支援や政策はある程度あるものの、その高齢者を介護する「介護者」への支援がまだまだ万全とは言えません。

もちろん先進国の中でも介護に対して課題を抱えているのは日本だけではないはずです。

では、介護に対して先進的な国ではどのような政策が行われていて、どのような差があるのか気になりますよね。

そこで当記事では、先進国の中で最も介護・福祉が進んでいると言われるスウェーデンの介護事情について紹介していきます。

日本の介護の現状

現在日本では、介護を必要とする人口は2021年4月時点で約700万人に迫っています。

2025年には、現在の団塊世代である800万人が75歳以上の後期高齢者になると言われており、国民の3人に1人が高齢者になることが予測されています。

一方で、その高齢者を支える介護職員は、現状の推移で行くと2025年は211万人にとどまると予測されおり、約34万人が不足すると言われています。

政府もこれを「2025年問題」として対策を迫られています。

世界で最も介護が充実しているスウェーデン

スウェーデンはヨーロッパ北部に位置する国です。

そのスウェーデンも日本と同様に、高齢化は進行しています。

2018年のデータでは、人口998万人のうち、高齢者は201万人で、約20%が高齢者になります。

世界で見ても9番目に高齢者の割合が高い国となっているのです。

そんな中でも、なぜスウェーデンの介護は世界でトップクラスに充実していると言われるのでしょうか。

スウェーデンの介護事情

まず前提として、スウェーデンでは、消費税が25%となっているなど、税制は日本と比較して高めの設定となっています。

この高い税率のおかげで、介護はほとんど費用がかかることなく受けることができるのです。

そのため、スウェーデンでは寝たきりの高齢者が0ではありませんが、あまりいないことで有名です。

コミューンと呼ばれる基礎自治体

スウェ―デンでは、コミューンと呼ばれる地方行政の最小単位の組織があります。

これは、日本でいう市町村に相当します。コミューンは国内に約300近く存在します。

コミューンでは、児童ケア、高齢者ケア、障害者支援、社会的サービス、浄水やゴミ処理などの衛生、都市計画など様々な責務を担っています。

スウェーデンの介護において、このコミューンの存在は必要不可欠と言われているのです。

コミューンのおかげで、国と地方自治体で役割分担が可能になります。そのため、スウェーデンの介護支援は基本的にコミューンが責任を持ち、財源もコミューンの税金によるものです。

スウェーデンでの介護モデル

日本では、施設に入るのか在宅で介護を受けるのかを被介護者が自分自身で選択する「選択モデル」を採用しています。

一方、スウェーデンでは「順序モデル」を採用しています。

スウェーデンでは、在宅介護を基本としており、できる限り在宅での介護で対応を行います。

要介護扱いになった際には、コミューンにいる援助判定員が、施設に入るべきか否かを判断します。

基本的には、終末期の数週間しか施設に入ることはできないことになっているのです。

住宅改造資金手当

スウェーデンでは、在宅介護が基本。

そのため、高齢になっても自宅に住みやすい環境を整える必要があります。

そこでスウェーデンは、自宅を高齢者が生活しやすいようにリフォームするための資金も援助されるのです。

ホームレスパイト

繰り返しになりますが、スウェーデンでは在宅介護を基本としています。

ということは、被介護者の配偶者、家族の負担が重くなるということになります。

そんな介護者を支援する政策が「ホームレスパイト」です。

ホームレスパイトとは、スウェーデン独自の介護者支援です。

具体的には、在宅介護の家に、交代ヘルパーを派遣して、家族介護者に休息をとってもらうというものです。

1週間の平均利用時間は12.5時間で、平日休日ともに無料で利用することができます。

介護者出会いセンターなどのミーティングポイントの設置

スウェーデンでは介護者支援の一環として、介護者出会いセンターや介護者援助グループの会などのミーティングポイントが設置されています。

ここでは、要介護者と介護者が一緒に集まり、フィーカと呼ばれる、ケーキを食べたりコーヒーを飲んだりしながら談笑するスウェーデンの生活習慣の1つが行われます。

さらに、介護や要介護者に向けたカウンセリング講演会健康促進活動趣味の活動なども行われています。

コミューンの責務の1つとして、このような場所や機会の提供も挙げられます。

スウェーデンの人々の多くは、介護をする理由に「絆の深まり」を挙げるそうです。

つまり、スウェーデンでは「介護は介護者と被介護者の絆が深まる機会」としても捉えられています。

これからの日本の介護には何が必要?

ここまでスウェーデンの介護事情についていくつか見てきました。

それを踏まえて、日本の介護事情の課題とはなんでしょうか?

日本はなぜ介護に対して遅れをとっているのでしょうか?

そして、これからさらに高齢化が進行していく中で、日本は何が必要なのでしょうか?

家族介護をする人々への支援

それぞれの家庭の事情から、介護サービスを利用せず、在宅介護をせざるを得ないという家庭もあります。

もし介護をする人が、高齢者の方の子供など、仕事をする現役世代だったら、仕事にも影響が出てしまいます。

そういった方への支援はまだまだ不十分です。

みなさんは家族介護慰労金というのをご存知でしょうか?

家族介護慰労金とは介護サービスを利用せずに家庭で介護をした家族に対し、自治体から年額10〜12万円が支給される制度のことです。

しかし、このような制度はあるものの、給付条件が少し厳しく、家族介護をしていれば支給されるというわけでもなく、そもそも実施していない自治体もあります。

家族介護の場合、上にも書いた通り、高齢者の子どもが親の介護をするという場合もあります。

子どもが仕事をする現役世代だった場合、仕事にも影響が出てしまいます。

それに比べて支給されるのは年額10万円〜12万円程度です。

場合によっては、無理にこの制度を利用する必要はないということがわかります。

慰労金をもらうために、介護サービスを利用せず在宅介護を頑張るというよりは、最終手段と考え、貰えるなら貰おうぐらいの感覚の方が良さそうです。

「介護」の支援から「介護者の支援」へ

高齢化が進む日本において、介護職は非常に需要の高い仕事である一方で、離職率は高く、常に人材不足の状態にあります。

日本では、2025年問題に対して5つの対策を掲げています。
① 介護職員の処遇改善
② 多様な人材確保・育成
③ 離職の防止・定着促進・生産性向上
④ 介護職の魅力向上
⑤ 外国人財の受け入れ環境整備
以下で、詳しい取り組みと実態について解説します。

① 介護職員の処遇改善

国はこれまでにも0.6万円〜2.4万円程度の介護職員の給与体系の改善を行なっていました。

そして、2019年から「介護職員特定処遇改善加算」という政策に2000億円を投じました。

この政策では、勤続10年以上の介護福祉士に月額8万円の賃上げを行うことを掲げました。

しかし、介護職員は会議福祉士だけではありません。他の介護職員にもこの処遇改善ができるよう、各事業所や施設には柔軟な運用が委ねられています。

② 多様な人材の確保・育成

今までのような、学生や他業種からの転職者に限らず、すでに離職してしまった介護人材の復帰の支援や、定年退職後の元気な高齢者もターゲットとしています。

中高生や大学生、専門学生などの若年世代の介護事業所へのインターンシップの参加、離職者の復帰支援を強化、定年後の元気な高齢者を介護助手として採用するモデル事業の実施などがあります。

③ 離職の防止・定着促進・生産性向上

これまでにも、介護ロボットの活用を推進して生産性の向上を図ること、介護施設に保育施設の設置を支援することで、子どもを持つ介護人材も働きやすくする、出産を機に退職することを防ぐなどの取り組みが行われてきました。

それに加えて、生産性向上ガイドラインの策定と普及、認定評価制度ガイドラインの策定と普及、介護職機能文化、多機能チームケアの推進などが行われています。

「生産性向上ガイドライン」とは、働きやすい介護事業所を作り出すために、業務改善に取り組んでもらうための手引きが厚生労働省より発行されています。

「認定評価制度ガイドライン」は、各都道府県が各事業所に対して認証を付与するシステムです。

具体的には、人材育成働く職場環境などの改善への取り組みに対して評価を行います。

これらは、介護者の業務の負担を減らし、働きやすい環境を作り出すための政策であると言えます。

④ 介護職の魅力向上

これまで、介護職の魅力を発信する先は、学生や各学校の進路指導の担当者などがほとんどでした。

今後はそのターゲットを拡大し、若者、子育てをする人々、元気な高齢者などに対しても積極的に発信していく必要があります。

⑤ 外国人材の受け入れ環境整備

2017年に入国管理法の改正により、介護も在留資格として認められるようになりました。

つまり、介護・福祉系の養成施設を卒業した留学生が、介護福祉士に資格を取得すると、日本での長期就労が可能になります。

5. まとめ

デスク

ここまで、世界でトップクラスの福祉国家であるスウェーデンの介護事情をもとに、これからの日本ででは何が必要になるかを紹介してきました。

高齢化が年々加速する中、現在の日本の介護業界ではまだまだ課題が山積みです。

これからさらに高齢者の人口が増加することが予測されており、介護人材の確保に向けた対策は急務といえます。

介護職も年々処遇職場環境が改善されおり、さまざまな人が働きやすい環境になってきています。

非常に社会貢献性も高い職業です。社会貢献のためにも、自らの家族のためにも介護職について1度考えてみてはいかがでしょうか。

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