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義肢装具士って?気になる年収やなり方、これからの将来性まで徹底解説!

この記事は約9分で読めます。

みなさんは義肢装具士という職業をご存知でしょうか。

義肢装具士とは、さまざまな事故や病気などで身体の一部を失ってしまい、義肢を必要としている方々に義肢や装具を製作し、適合する仕事です。

公益社団法人日本義肢装具士協会によると、2020年3月時点での義肢装具士の有資格者は、5,558名となっています。(これには引退した人も含まれるため、実働の義肢装具士数は把握されていません。)

最近ではパラリンピックなどで、義肢を使って競技をする選手が増えています。

そのため、目にしたことがあるという方も多いと思います。

それに伴って、義肢を作る「義肢装具士」という職業も近年注目を集め始めています。

この記事では、義肢装具士という職業、実際になるにはどうしたらいいのか。

そして年収や仕事内容、これからの将来性など、義肢装具士に関するさまざまな情報をご紹介していきます。

義肢装具士とは?

日本では、義肢装具士は1987年から資格制度化されています。

つまり、義肢装具士は国が認めた国家資格となります。

義肢装具士はどんな仕事?

義肢装具士の主な仕事内容は次の通りです。

  • 義肢と装具の装着部位の採型
  • 義肢と装具の製作
  • 患者さんの身体への適合

以下で一つずつ説明していきます。

義肢と装具の装着部位の採型

医師からの処方をもとに患者さんの断端(切断部分)の型取りを行います。

患者さんの断端は場所や形、大きさなども様々なため、ミリ単位での型取りを行う必要があります。

この時、義肢装具士は患者さんとしっかりコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておく必要があります。

なぜなら、患者さんの生活スタイルや、身体能力、使用用途もみんなさまざまなので、患者さん一人一人それぞれに適切な素材、形、種類の義肢を製作しなければならないのです。

そのため、しっかりと患者さんの情報をヒアリングし、義肢の製作に臨まなければなりません。

義肢と装具の製作

患者さんからヒアリングした情報をもとに、適切な素材、形の義肢の製作へと入っていきます。

義肢は、基本はオーダーメイドです。

患者さんが装着した際に装具が当たって痛かったり違和感を感じたりしないよう、石膏を盛ったり、削ったりなど、ミリ単位での調整を行って製作を進めていくのです。

患者さんの身体への適合

実際に患者さんに装着して試しに行してもらいます。

しかし、これで完成ではありません。

ここから、患者さんからの評価や歩行を観察して、さらに細かな修正を繰り返します。

こうして、患者さんの体に最適な義肢の完成へと近づいていくのです。

義肢装具士の働き方は?

義肢装具士は、どこでどのように働いているのでしょうか?

主な勤務地は次の通りです。

義肢装具製作所・メーカー

義肢装具士の約9割は全国各地にある民間の義肢装具製作所です。

多くの場合は、契約している病院の患者さんと直接会ってカウンセリングを行い、製作に入っていきます。

カウンセリングから製作、最終適合し、納品まで一人で担当するケースがほとんどです。

リハビリテーション施設

リハビリ施設と聞くと、理学療法士や作業理療法士が多く所属しているイメージがあるかと思いますが、リハビリ施設も義肢装具士の就職先の1つです。

義肢を装着した方が、これから日常生活を送るためにはリハビリが必要です。

リハビリの中では、義肢装具の細かな修正が必要になる場面が多々あります。

そのため、義肢装具士がリハビリ施設に常駐し、理学療法士や作業療法士と協力しながらリハビリを進めます。

病院

整形外科や形成外科のある大規模の病院では、病院内に義肢室を設置し、義肢装具士を常駐させます。

この場合、医師や看護師などと密な連携を取ることができるため、治療・リハビリと同時に義肢装具の修正・調整を行うことができることが非常に大きなメリットと言えます。

スポーツ現場への帯同

パラリンピックでなどの大きな大会になると、スポーツトレーナーの他にメカニックという役割で、義肢装具士が帯同することが多いです。

そのため、義肢装具士はアスリートに対しても必要不可欠な存在となっているのです。

義肢装具士の年収は?

公益社団法人日本義肢装具士協会の2016年の調査によると、最も多かった回答は301万円〜400万円です。

そして、もちろん昇給もあります。

義肢装具士は、年功序列による昇給よりも、技術力が評価の基準になることが多いです。

そのため、実力がつけば、年数が少なくても昇給を目指すことは可能です。

義肢装具士になるには?

勉強

ここまで、義肢装具士に関するさまざまな情報を紹介してきました。

では、義肢装具士になるにはどうすればいいのでしょうか?主に3つのステップです。

順番に見ていきましょう。

義肢装具士のコースがある大学・養成校・専門学校に通う

義肢装具コースのある4年制大学、もしくは養成施設として認定されている3年制の専門学校で、規定の単位を習得し、卒業します。

こうして、国家試験の受験資格を与えられます。

2021年現在、養成施設として認定されている学校は全国に以下の10校があります。

【大学】

  • 広島国際大学
  • 北海道科学大学
  • 新潟医療福祉大学
  • 人間総合科学大学

【養成施設】

  • 国立障害者リハビリテーションセンター学院
  • 専門学校 日本聴能言語福祉学院
  • 熊本総合医療リハビリテーション学院
  • 神戸医療福祉専門学校
  • 西武学園医学技術専門学校
  • 北海道ハイテクノロジー専門学校

国家試験を受験・合格

義肢装具士は国家資格です。

そのため、義肢装具士になるには国家試験に合格することは必要不可欠です。

受験者数合格者数合格率
2016年233人196人84.1%
2017年254人221人87%
2018年232人198人85.3%
2019年263人235人89.4%
2020年208人164人78.8%
2021年227人165人72.7%

直近6年の義肢装具士国家試験の平均合格率は、約83%となっています。

数値が高いからといって、決して簡単であるというわけではありません。

受験者は大学や専門学校にてしっかりスキルや知識を学んできているので、高い数値が出ていると言えます。

義肢装具士にはどんな人が向いている?

図書館

義肢装具士に向いている人の特徴は主に3つです。

  • ものを組み立てる、形にしていく作業が好きな人
  • 思いやりのある人
  • 粘り強い性格の人

それぞれの特徴について、実際の現場でどのように発揮されるのかを見ていきましょう。

ものを組み立てる、形にしていく作業が好きな人

義肢装具士は国が認めた国家資格でもあるので、いわば義肢を作るプロです。

さらに、義肢は採型から組み立て、修正・調整まで多くが手作業で行われます。

そのため、1からものを組み立て、形にしていく作業が好きな人は向いていると言えるでしょう。

思いやりのある人

義肢装具士が相手にするのは、なんらかの事故や病気などで、体の一部を失ってしまった方です。

中には、ショックで立ち直れていない人や、義肢の装着を嫌がる人もいます。

義肢装具士は、患者さんとコミュニケーションを取りながら、まさに二人三脚で義肢を作り上げていくことになります。

そのため、患者さん一人一人に寄り添い、思いやりを持って接することで、信頼関係を築き上げていく必要があります。

粘り強い性格の人

義肢は今後、患者さんの体の一部になるものです。

そのため、患者さんが納得いくまで、何度も調整・修正を行っていきます。

つまり、妥協が許されず、完璧な仕上がりを求められる現場なのです。

場合によっては、なかなか納得のいく仕上がりにならず、何十回と修正作業をすることもあります。

それでも諦めずに、患者さんの納得のいくまでやり遂げられる粘り強さが必要です。

これからの義肢装具士。将来性はあるの?

考える女性

結論から言うと、義肢装具士の将来性は、あると言えるでしょう。

義肢装具士は一人一人に最適なものを作成していくため、機械で同じものを大量生産するわけにはいきません。

そのため、技術と専門知識を持った人材が必要になります。

手がなければものをつかむことができない、脚がなければ歩くことも走ることもできない。

そんな「不可能を可能にする」ことが義肢装具士の仕事です。

実際、義肢装具士の現状とこれからは、どのようになっているのか以下で説明します。

需要に対して供給が足りていない

現代では、生活習慣病が原因で手足の切断をせざるを得ないという方々も少なくありません。

そのため、今後も義肢を求める人は一定数いるため、義肢装具士に対する需要は今後も高まっていくと思われます。

一方で、認定された学校は全国にわずか10校のみ。

また、国家資格を持っている人も、6000人以下となっており、10万人以上の理学療法士や7万人以上の作業療法士と比較すると、圧倒的に少ないことがわかります。

そのため、義肢装具士は非常に重宝される存在であり、一人一人の役割や責任も大きくなります。

研究開発が進み、向上する技術

従来の技師は、体の一部を失ってしまった方々の最低限の手脚の役割を担っていました。

しかし、現代の義肢は従来の義肢以上の役割を担っているのです。

例えば、義肢を利用する人の義肢への抵抗を少しでもなくすために、他人からはほとんど見分けのつかないような義肢や、ハイヒールを履きたい女性のために足首の角度を自由に調節できる義足も。

さらに、野球や陸上など、スポーツ活動にも対応した衝撃に強いものや、水泳ができるように防水性能に特化した製品も開発され、さまざまな現場で活躍しています。

活躍現場の拡大

「生活」という枠組みを抜けスポーツの世界、アスリートの現場でも義肢装具士は活躍しています。

さらには、人間という枠組みを超えてペット用の義肢までも義肢装具士の手によって生み出されているのです。

このように、義肢装具士が活躍する現場は、技術の進歩とともに年々拡大しています。

まとめ

本

今回は、実際の義肢装具士の詳細な情報や、なり方、将来性まで、さまざまな情報を紹介してきました。

近年、パラリンピックなどさまざま場所で注目され始めています。

義肢装具士は手足を失うという非常にショックの大きい境遇の方々に対し、もう一度希望を与える職業です。

決して目立つような仕事ではありませんが、非常に貢献性の高いと言えます。

義肢は年々技術が進歩しており、今後も更なる進化が期待されています。

そのためには、専門的な知識と技術を持った義肢装具士が必要です。

ぜひ、この機会に義肢装具士という職業についてもっと興味を持ってみてはいかがでしょうか。

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