前回の記事にて「介護予防サービス」についてのご紹介をさせていただきました。
介護予防とは、「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと」、そして「要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと」、および「軽減を目指すこと」を指しています。
年齢を重ねれば、誰にでも必ず“老化”が訪れます。
いずれは誰かの力を借りなくては日常の生活を送ることも困難となる日もくるかもしれませんが、少なくとも日々の努力次第で「老いの進行は遅らせることができる」のです。
介護予防は、そのために存在します。
そして「介護予防」は、サービスを受けるだけでなく、「自身の力で実践する」こともできます。
今回は、この「自分でできる介護予防方法」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
介護予防の具体的なサービス内容について
まずはじめに、「介護予防の具体的なサービス内容」について、ご紹介したいと思います。
◆「運動能力低下の防止」:体操・レクリエーション・リハビリテーションなどを通じて行う
◆「口腔機能の向上」 :豊かな表情を作る・人と会話をする・十分な唾液の分泌を促す・物を食べる
など
上記サービスは、サービス利用者にとって最善の方法で提供されることとなります。
(地域包括支援センターのケアマネージャーが、ケアプランを作成してくれる)
とはいえ、上記で挙げた点は、自身の力でも行うことが可能です。
次項より、自分でできる介護予防4点をご紹介していきます。
自分でできる!介護予防4点について
上記でもお伝えした通り、介護予防は“介護サービスを利用しないとできない”というわけではありません。
◆「運動能力低下の防止」
◆「口腔機能の向上」
これらは、自分で行動習慣を変えるだけでも、十分に予防が可能なのです。
この項目にて、「自分でできる介護予防」をご紹介します。
その1.バランスの良い食事を取る
年齢にかかわらずではありますが、「栄養バランスの取れた食生活を送る」ことは、非常に大切なことです。
偏食が続いてしまうと、「糖尿病」「高血圧」「脳血管疾患」「脂質異常症」などの生活習慣病にもかかりやすくなってしまいます。
それに、“偏食=低栄養”になるという問題点もあります。
加齢による偏食で“低栄養”を招くと、筋力の低下や体力の衰えから、感染症や転倒・骨折などのリスクも発生しやすくなるのです。
言い方を変えれば、バランスの取れた食生活を継続できれば、筋力と体力面を維持しつつ、健康的な生活を送ることができる……というわけなのです。
メニューを考えるときには、営業バランスに配慮するようにしましょう。
尚、過去に「栄養素の基礎知識」について詳しくご紹介もしております。
以下にリンクを張っておきますので、関心がある方はぜひご覧ください。
その2.運動する習慣を付ける
こちらも年齢に関係なく……ではありますが、介護予防として「普段から運動する習慣を身に着ける」ことが大切です。
特に年齢を重ねてくると、体が思うように動かず、運動(というより動くこと)を億劫に感じてしまう人も多いです。
しかし、運動を怠ると「加齢による心身機能の低下」や「筋肉量の減少や筋力の維持」が困難となってしまいます。
そのままの状態で放置していると、転倒による骨折や寝たきりになるリスクが増大してしまうのです。
また、体を動かさない=「糖尿病」「高血圧」「脂質異常症」などの健康リスクも生じることとなります。
言い方を変えれば、適度な運動を習慣付ければ、足腰が強くなりケガを回避できたり、寝たきりの防止につながったり、生活習慣病の予防にもなる……とまさに一石二鳥なのです。
ただし、運動をする際に注意点が一つあります。
それは、「自分のペースで無理なく続けること」です。
無理に強度の高い運動をしてしてしまうと、かえって体の故障の原因となってしまいます。
そのため、最初は「散歩」「ストレッチ」「軽い筋力トレーニング」などからはじめてみてください。
その3.口腔ケアを心がける
“口腔=お口”のこと。
この口腔ケアを心がけることも、重要な介護予防の一つとなります。
というのも、口腔ケアを怠ると「飲み込む機能が弱まってしまい、喉に詰まらせて窒息死するリスクが生じる」のです。
加えて、顎の筋肉も弱まり、固い食材を食べることもできなくなってしまいます。
できることは、以下です。
◆毎食後、しっかり歯磨きをする
◆定期的に”うがい”をする
◆食べ物は、ゆっくり・しっかり噛んで食べる
口腔ケアを継続して行っていれば、食べ物をよく噛んで栄養を供給できますし、喉に詰まるというリスクも低減することができます。
その4.人との交流を楽しむ
人と交流を楽しむことも、介護予防として大切なことです。
理由は、大きく2つあります。
②孤独死のリスクを低減することができる
人は、一人で生きていくことはできません。
もし仮に交流を絶った状態で長くいれば、孤独な生活となり精神的にも弱ってしまい、孤独死のリスクが高まってしまいます。
しかし、人と交流することで、孤独感は緩和され、精神面にもゆとりが生まれます。
また、「コミュニケーション能力の維持」と「認知症の予防」にも効果を発揮するのです。
できる限り、身近なことを話せる人(友人・家族・高齢者の集まり)を探しておき、交流を深めていくようにしましょう。
介護予防は、若いうちからでもできる
介護予防サービスを受けるには、以下のような条件があります。
“65歳以上の高齢者”であり、「自立している健康な高齢者」もしくは「要支援1~2」の方。
しかし、自分でできる介護予防はどうでしょうか?
◆運動する習慣を身に着ける
◆口腔ケアをする
◆人との交流を大切にする
これらは、年齢や体調に関係なく、若いうちからでも実践することが可能です。
要するに、「若いうちから、しっかりと予防に向けて行動を開始する」のが、一番健康に良いということになるのです。
人によっては、「若いから大丈夫」と暴飲暴食に走ったり、私生活が乱れがちな人も多いかもしれません。
しかし、それが巡り巡って将来の自分に悪影響を及ぼすのです。
若いうちから習慣づけておけば、将来的に健康的な体を維持しやすくなります。
意識を向け・習慣化させるのはなかなかに難しいことですが、関心がある方はぜひ介護予防に目を向けて、将来のために今から行動を起こしてみてください。
コロナ禍における介護予防について
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、高齢者の方が介護予防に取り組みづらい環境となってしまいました。
特に、外出を控えて家で長い時間を過ごすことによって「運動能力の低下」「人との交流不足」が問題となっています。
しかし、現在では新型コロナウイルスの影響も少し落ち着き、外出できる機会も増えてきているかと思います。
“感染には十分配慮した上で”、軽い運動を取り入れたり、地域の方とのコミュニケーションを積極的にとってみてください。
また、営業バランスの取れた食事を3食しっかり食べ、規則正しい生活を送るようにしてみてください。
これが、結果として介護予防につながっていくのです。
まとめ
以上が、「自分でできる介護予防法」についてのご紹介となります。
人によっては“規則正しい生活を送るのは当たり前のこと”と感じる人もいるかもしれません。
しかし、年齢を重ねれば重ねるほど、その“当たり前のこと”ができなくなっていくのです。
問題が起こってからでは遅いので、気になる方・気づいた方は、積極的に介護予防を自身の力で行ってみてください。
最後に。
「介護予防サービス」というのは、まだまだサービスの認知度が低く、その存在自体を知られていないのが現状です。
「どうすれば受けることができるの?」
このような疑問を持つ人も多く、サービスの認知度を挙げたり、必要としている人に必要なサービスを届けられる仕組みを作ることが、今後の国や自治体の課題とも言えます。
しかし、増加する高齢者人口を見据えて、介護の現場はどんどんサービスが充実しています。
「介護予防サービス」も、その一つなのです。
高齢の両親がいる人や、自分の老後について考えている人は、ぜひ積極的に介護予防サービスに対する知見を広げ、そのサービスを活用してみてください。