「脱水症状」という言葉は、多くの人が耳にしたことがあるもしくは自身がかかったことがあるという人もいらっしゃると思います。
これは特に夏に多い症状の一つで、端的に言うと「体内の水分(体液)が不足している状態」のことを指し、体調不良のもととなってしまいます。
この脱水症状、実は夏場だけでなく、気温や乾燥などのさまざまな要因によって、季節に関係なく起こりうる症状といわれています。
今回は、そんな「かくれ脱水」について、詳しくお話していきたいと思います。
「かくれ脱水」とは一体何!?
概要
端的に言うと、これは「本人も気付いていない間に、体内の水分が奪われている状態」のことを指しています。
脱水症状の一歩手前の状態と言えるでしょう。
この症状の主な原因は、“空気の乾燥”と言われています。
身体の水分は、皮膚や粘膜からは全体の80%・呼気からは残りの20%が失われており、空気中の湿度が低いほど身体から水分が奪われていくのです。
冬場は、特に空気が乾燥しやすく、また室内では暖房をつけることも多いため、この症状に陥りやすい傾向にあります。
なぜ「かくれ」なのか?
なぜ、「かくれ脱水」と言われているのか?
その理由は、「強いのどの渇きを感じにくいから」です。
夏場であれば、暑さの関係から汗を多量にかきます。
汗をかく=「水分を補給しなくては……!」という意識が働くため、状況に応じて水分補給を行うことができます。
しかし、“乾燥”による水分不足は、喉の渇きを感じづらくなってしまうのです。
加えて、「冬=寒い=冷たい水を飲むということに抵抗感も生まれる」という人もいます。
それが、本人の自覚がないままに、余計に隠れ脱水の症状を進行させてしまうこともあるのです。
体内に含まれる水分のことを「体液」という
人が生きていく上で重要な「水」ですが、体内に含まれる水分のことは「体液」と呼ばれています。
なぜ生きていく上で水分(体液)が必要不可欠なのかというと、「組織間液」の役割を担っているからです。
(組織間液=間質液・組織液・細胞間リンパ液とも呼ばれる)
これは「多細胞生物の組織において細胞を浸す液体であり、細胞外液のうち血液とリンパ管の中を流れるリンパ液を除く体液」のことを指しています。
体液が全身を循環することにより、体に必要な酸素や栄養分が細胞に運ばれ、不要な老廃物は尿として排泄されるのです。
また、体温が上がったときに汗を出して体温を一定に保つのも、重要な役割のひとつと言われています。
「脱水症状」の初期症状とは?
「かくれ脱水」とは、上記で触れた通り“脱水症状の一歩手前”の段階であり、放置していると「脱脂症状」に陥ってしまうリスクが高まることとなります。
脱水症状の初期段階としては、主に以下のような箇所で・以下のような症状が表れることがあります。
◆頭痛
◆集中力の低下
◆日中の強い眠気【消化器】
◆食欲不振
◆腹部の不快感
◆胃もたれ【筋肉】
◆体に力が入りにくい
◆筋肉痛
◆足がつる
記載している通り【脳】【消化器】【筋肉】に不調が生じることとなります。
ただ、どの症状も「ちょっと体調が悪いような気がする……」くらいで、他の病気に比べてそこまで深く考えることはしないのも事実です。
だからこそ、これを放置しておくと危険とも言えます。
原因が分からないまま不調が続くようなら水分不足を疑い、すぐに水分補給を行うことをオススメします。
かくれ脱水を「見分けるポイント」について
「脱水症状でさえ症状が軽めなのに、かくれ脱水どうどうかなんて、どうやって見分ければいいの?」
こう感じる方もいらっしゃるでしょう。
主な判断材料としては、以下が挙げられます。
◆体がだるい
◆集中が続かない
◆立ちくらみする
◆食欲がない
◆体重が短期間で減っている
◆尿の色が濃くなっている
◆風邪など病気ではないのに37度前後の微熱がある
また、65歳以上の高齢者の場合は、次の症状にも気を付けておきましょう。
◆口の中が粘つく。つばが少なく、つばを飲み込めないことがある
◆便秘になった、あるいは以前よりひどくなっている
◆皮膚のハリがなくなり、手の甲をつまみ上げて離した後、跡が3秒以上残る
◆足のすねがむくみ、靴下のゴムの跡が10分以上残る
上記のほかにも「足がつりやすい」「手足がしびれる」といった症状が現れることもあります。
かくれ脱水による不調を感じたら、こまめな水分補給や、適度な塩分などの補給を心がけるようにしてください。
どうやって予防したらいい?
「かくれ脱水に気をつけた方がいいのは分かったけど、どうやって予防すればいいの?」
この項目では、上記の点について解説していきたいと思います。
先にまとめておくと、以下の点に注意しておきましょう。
②食事をしっかりと摂る
③部屋の湿度を上げる
順に補足していきます。
「こまめに水分補給する」
脱水症状のもっと基本的かつ効果的な予防方法は、「こまめに水分補給をする」です。
1日に飲む水の量は、最低でも「1.2リットル」と言われています。
もちろん、1度に大量に飲むのではなく、1日数回に分けて摂取するようにしてください。
理想は、「(のどが渇いていなくても)2時間おきに、1回200ml~250ml(コップ1杯)を5~6回に分けて飲むようにする」です。
ちなみに、特に冬場は冷たい水を飲むとカラダを冷やしてしまうことになるので、温水もしくは常温に近い水を飲むことを意識してみてください。
(夏場もお腹を壊しやすくなるので、冷たい水を一気飲みするのは控えましょう)
後、水分補給=摂取するのは「水」です。
お酒はもちろん、ジュースやコーヒーなども「水分補給」したことにはならないので、ご注意ください。
ちなみに、飲酒後……そして入浴後は体から体液が失われてしまいます。
例えば、二日酔いで頭痛がしたり、お風呂上りでふらふらしたりするのは水分不足が原因と言われています。
こういう時は、しっかりと水分補給を行い、体に水分を蓄えるようにしてください。
「食事をしっかりと摂る」
「風邪の予防に効く栄養素」という項目でもご紹介しましたが、常日頃からバランスの良い食事を心がけることが大切です。
飲み水だけでなく、食べ物にも「水分」は含まれています。
そのため、食事による水分補給もとても大切です。
できることなら、バランスの良い食事を1日3食しっかりと摂ることが理想ではあります。
(難しいという人は、できる限りで摂取してみてください)
ちなみに、食事の際は、体内で塩分と水分のバランスを調整する「ミネラル分」が不足しないよう心がけましょう。
具体的には、肉類や野菜などを食事に取り入れることで、不足しがちなミネラルを補うことが可能です。
「部屋の湿度を上げる」
最後は「部屋の湿度を上げる」です。
ここまでにご紹介した通り、冬場のかくれ脱水の最大の問題は「空気の乾燥」です。
特に今年の冬は寒いので暖房をつけっぱなしにしているご家庭も多いかと思いますが、以下のような点も合わせて行っておくといいでしょう。
◆定期的に窓を開け、部屋の空気を入れ替える
◆洗濯物や濡らしたタオルを室内に干す
まとめ
「乾燥」は、風邪だけでなく脱水症状を引き起こす原因にもなってしまう可能性があります。
以前に「風邪の予防」に関する記事をいくつか公開したことがありますが、それとは別に「脱水症状(かくれ脱水)」にも注意しておくようにしましょう。
尚、以下の風邪の予防に関する記事のリンクも貼っておきますので、関心がある方はこちらもご覧いただけると幸いです。