高齢化により年々増加する一方の高齢者を支える介護業界。
前編の記事では、介護業界の8つある職種のうち、実際に現場の最前線で活躍する仕事についてご紹介してきました。
前編のおさらいとして、介護業界のお仕事には主に8つの仕事があります。
- 入居介護施設の介護職
- デイサービスの介護職
- ホームヘルパー
- 介護助手・介護補助
- 介護支援専門員
- 施設長・ホーム長などの管理職
- 生活相談員・支援相談員
- サービス提供責任者
このうち、前編では①〜④までご紹介しました。
当記事では、後編として残りの⑤〜⑧のお仕事についてご紹介していきます。
介護業界のお仕事
介護支援専門員(ケアマネージャー)
介護支援専門員は別名ケアマネージャーとも呼ばれます。
介護支援専門員にも主に3種類の介護支援専門員がいます。
共通している主な仕事内容は、要介護者に対して、どのような介護、サービスを行うかの計画の立案です。
もちろん立案だけではなく、その計画がしっかり実行されているかなどの、定期的な確認も仕事の一つと言えます。
介護支援専門員になるには、「介護支援専門員」の資格が必要です。
また、介護職としてある一定の実務経験も条件に。
例えば、「生活相談員や支援相談員として5年以上業務に従事していた。」などが挙げられます。
以下でそれぞれの介護支援専門員について解説していきます。
居宅介護支援事業所に所属する介護支援専門員
自宅にて在宅介護を利用する要介護1以上の高齢者のために立案を行います。
定期的に利用者のご自宅を直接訪問し、今現在の困りごとや精神的な部分の状態などをヒアリングします。
介護支援専門員としての就職先で最も多いのはこの居宅介護支援事業所となります。
老人ホームなどの施設に所属する介護支援専門員
老人ホームなどの施設に入所している高齢者に対して立案をします。
担当するのは要介護1以上の方が原則。
居宅介護支援事業所の介護支援専門員と仕事の内容自体は大きく変わりません。
異なる部分は担当する利用者の方は自分が勤務する施設の中で生活しているので、定期的な訪問ではなく毎日いつでも利用者の精神的な部分や生活の様子を観察することができるという点です。
実際に介護支援専門員が立案した計画に沿って介護をする介護職の方も同じ職場で働くことになるため、より一層密な連携をとることが可能に。
地域包括支援センターで働く介護支援専門員
地域包括支援センターとは、高齢者の暮らしを支援するための拠点であり、各自治体により設置されている機関です。
居宅介護支援事業所は要介護認定をすでに受けている高齢者に対して立案を行います。
それに対して、地域包括支援センターの介護支援専門員はその地域に住むすべての高齢者の相談を受け付けています。
また、その名の通り「地域を包括」しているので例えば、「お隣の年配の方を最近見かけない」など、近隣住民からの相談、通報なども受け付けています。
施設長・ホーム長などの管理職
施設長・ホーム長は、呼び方は他にもさまざまありますが老人ホームや各事業所のリーダーであり、全体の責任者です。
民間の有料老人ホームの場合、施設長・ホーム長に介護の資格は必須ではありません。
むしろ、全体のリーダーなので、利用者・従業員、さまざまなコンプライアンスなど、マネジメントの能力が求められます。
そのため、介護は未経験である異業種からの転職者も活躍しています。
認知症型グループホームや特別養護老人ホームなど他の施設では、何らかの資格や条件が設けられている場合があるのでしっかり確認しましょう。
では仕事内容を見ていきます。
特別養護老人ホームなどの公的な施設の施設長・ホーム長の場合、従業員の管理、業務の管理がメインになります。
一方、民間企業が運営する場合、営利団体になるので、従業員の管理、業務の管理に加えて、利益を出すための収支管理も求められます。
以下で1つずつ解説します。
従業員などの人材・労務管理
従業員の採用、教育、配置などもホーム長・施設長の大事な業務の1つです。
介護保険で定められている内容としては、要介護者3名に対して、スタッフ1名が最低限の人員となっています。
そのために、人材の確保、優秀な人材にするための教育、各従業員の適材適所な配置、これらは運営する上で必要不可欠となります。
もちろん、大きなところであれば、一般的な企業と同じく、人事部が設置されているところもありますが、どちらにしても、施設長・ホーム長は従業員管理には大きく関わることになります。
また、残業、従業員の安全、職場環境など労務管理も重要な仕事です。
特に労務管理に関しては、法律で定められている部分もありますので細心の注意を払って管理することが求められます。
職場環境に関しても、悪くなっていると従業員も働きにくく離職の原因になります。
人材不足にならないためにも、しっかりとした管理が必要です。
介護業務などの管理
自らがホーム長・施設長を務める施設で決められているサービスが適切かつ質が高く提供されているかなどの管理です。
介護に関しては、商品などではなく人と人とで成り立つサービスなので、管理は簡単なものではありません。
しかし放っておいてサービスの低下、事故の発生などがあると利用者も減ってしまい運営を維持できなくなる場合も。
そのため、定期的な業務のチェック、改善、指導も必要になります。
収支管理
民間の会社が運営するような施設であれば、利益がばければ運営を維持することができません。
そのため、各施設の施設長・ホーム長がしっかり利益を出すための動きは必要です。
新たな入居者を確保するための広報・宣伝活動、イベントの開催や、無駄な支出を削減するために取引先の選定など、さまざまな努力を重ねて利益を最大化させます。
生活相談員・支援相談員
生活相談員・支援相談員になるには、社会福祉士、社会福祉主事任用資格、世親保険福祉士のうちのいずれかの資格を取得する必要があります。
しかし、自治体によっては資格がなくても同等の能力を保有していると認められる場合には、生活相談員・支援相談員として、勤務することとが可能な場合も。
生活相談員
生活相談員は現場での身体介護はありません。
施設への入居希望者や検討中の方、すでに入居中の方やその家族の相談に乗ることが仕事です。
具体的には、入居検討中、入居希望の方の自宅を訪問し、施設の紹介をしたり、入居するにあたっての疑問や不安な点を解決します。
また、入居、退去の手続きなど契約的な部分も業務として担っているので、契約法や介護保険法に関する知識も必要になります。
支援相談員
支援相談員は、介護老人保健施設にいる相談員のことを言います。
介護老人保健施設の場合も入所・退所の相談、利用中の生活の相談を行います。
さらに、支援相談員の最も重要な仕事はもう1つあります。
それは利用者が退所した後の生活の支援です。
介護老人保険施設は原則として、病院を退院したのち、自宅に戻るまでの維持的な期間を過ごす場所です。
入所後には主に、利用者が在宅に復帰できるよう支援を行います。
一方在宅復帰が困難な利用者には、介護・医療のサービスの施設を紹介したり施設と利用者の仲介を行うこともあります。
サービス提供責任者
サービス提供責任者は主に、訪問介護の事業所で働くことになります。
在宅介護を行う上でも欠かせない役割です。
訪問介護計画書を作成し、計画通りサービスが提供されるよう、関係者と密に連携をとってプランを実行するなど、業務全般に関わる重要な役目です。
いわば、訪問介護における介護支援専門員のような存在です。
仕事内容は複数あるので、1つずつ説明していきます。
訪問介護計画書の作成
利用者の自宅を訪問し、現状生活する上で、どのようなことに困っているのか、どのような介護が欲しいのかなど、利用者の希望やニーズを聞き出します。
聞き出した希望をもとに、訪問介護計画書を作成します。
その訪問介護計画書を利用者本人とそのご家族にも説明し意見があれば変更・再度作成する場合も。
訪問介護員の管理
サービス提供責任者は、責任者として訪問介護員を取りまとめる役割もあります。
訪問介護員の管理全般を担うので、利用者に最適な訪問介護員を選定し人員配置を行います。
利用者の性格や要望もさまざまなので、訪問介護員と利用者でトラブルが発生する場面もしばしばあります。
その際に、介護員の相談に乗り場合によっては利用者やどのご家族と話をすることも。
そのほかにも、訪問介護員のスキルアップのための教育、サポートをすることも仕事の一つなのです。
利用者への対応、実際に介護をする場面も
サービスに関しては、訪問介護計画書を作成して終わりではありません。
しっかりサービスが提供された後しっかり計画通り実行されているかなど現状の把握、そしてサービス内容の変更・修正などがあれば、それらの判断をするのもサービス提供責任者の仕事です。
また、稀に訪問介護員が欠勤になった場合など訪問介護に行けない場合、代わりにサービス提供責任者が介護を行うこともあります。
まとめ
当記事では、前半後半の2つに分けて、介護業界のお仕事についてご紹介してきました。
前半の冒頭でも述べた通り、介護業界は高齢化が目まぐるしい速さで進む日本からは切っても切り離せない仕事です。
そのため、需要も社会貢献性も非常に高い職業といえます。
また、介護業界のお仕事には、現場の最前線で働く方々だけではなりません。
前半の記事では、介護職をメインにご紹介しましたが、後半のように最前線で働く方々がスムーズに業務を進行できるようにまた仕事における成長もできるようにサポートする仕事もあります。
転職検討中の方で、介護業界のお仕事にも興味を持った方はぜひチェックしてみてください。