女性の方は、「20歳を過ぎたら定期検診を受けましょう」などという文言をよく耳にすることはありませんか?
「定期健診と言われても、どこに行けばいいのか分からない……」という方もいらっしゃるかもしれませんし、女性ならではのことだからこそ、誰にでも簡単に相談できるものでもありません。
(“抵抗がある”という方もいらっしゃるかと思います)
現代には、「産科」「婦人科」、そして「産婦人科」と、似た名称のものが存在しますが、専門家でもない限りそれぞれの違いを細かく、そして詳しく説明できる人もそう多くはないと思います。
今回は、この「産科」「婦人科」「産婦人科」の3つの違いについて、ご紹介をしていきたいと思います。
結論:「妊娠」の有無で、行くべき科が違ってくる
「産科」「婦人科」そして「産婦人科」……。
女性の身体の悩みを解決する際に訪れる場所は上記の3つに分かれますが、「どういう時に、どの科に行けばいいのか分からない……」という人は大なり小なりいらっしゃるかと思います。
大まかな結論としては、「自身が”妊娠”しているかどうか?」で、行くべき科が変わってくるという認識でいれば良いと思います。
端的にまとめると、それぞれの違いは以下の通りとなります。
◆「婦人科」:妊娠“以外”の、女性の悩みを解決する専門科
◆「産婦人科」:「産科」と「婦人科」の両方の機能を兼ね備えた専門科
これを目安に、自身の状況に合わせて、行くべき科を選択していくと良いかと思います。
以下で、それぞれの違いをさらに詳しくご紹介していきましょう。
「産科」とは?
まずは「産科」からご紹介していきましょう。
これは、「妊娠」「出産」「産後」など、“出産”に関することを扱う医療機関となります。
つまり、産科に行くのは「母子手帳」をもらってから……ということになります。
検診や赤ちゃんの成長過程の共有はもちろんのこと、妊婦に向けたサポートも充実しているのが特徴です。
また、妊婦向けの「マタニティ教室」を開催している病院もたくさんあります。
この「マタニティ教室」というのは、妊娠中の過ごし方や出産後の赤ちゃんとの関わり方(お世話の仕方)などを、プロの“助産師”が丁寧に教えてくれます。
このマタニティ教室は「講義」と「実技」があり、大まかな内容は以下のようなものが挙げられます。
◆妊娠中の過ごし方
◆出産の仕組み
◆産後の生活の仕方
◆パパの育児への関わり方 など
「実技」
◆赤ちゃんの抱き方
◆授乳について
◆おむつの変え方
◆赤ちゃんのお風呂の入れ方
◆妊婦体験ジャケットによる疑似体験 など
上記に“パパの育児への関わり方”と記載している通り、これら講義・実技は女性だけが受けるものではなく、男性も受講することが可能です。
是非、ママ・パパのどちらも参加できる時は積極的に参加をして、妊娠や出産に対する理解を深めてみてください。
また、当然のことではありますが、講義および実技の内容は病院によって内容が異なります。
さらに……。
現在は「新型コロナウイルス感染」の影響もあり、日程や内容の変更・参加者の人数制限などが行われている可能性が非常に高いです。
「参加してみたい」という方は、まずネットなどで、お近くの病院でマタニティ教室を開いているところを探してみてください。
その上で、参加できそうな日程があれば、申し込みをしてみてください。
「産科」と「助産院」って違うの?
「出”産”を、”助”ける病”院”」として「助産院」という施設があります。
これと産科との最大の違いは、“医師がいるかどうか”です。
産科には医師がいますが、助産院には医師がいません。
助産院にいるのは「助産師」や「看護師」です。
そのため、例えば「帝王切開」などの自然分娩以外の医療行為を行うことができないのです。
ただし、「助産院で出産したい」という女性もいらっしゃる(自然分娩を望まれる女性は増加傾向にある)ため、万が一に備えて産科(病院)と密接に連絡を取っている助産院も多くあります。
「婦人科」とは?
「婦人科」というのは、上記産科=妊娠・出産”以外”の女性特有の病気を診るための病院のことを言います。
記事の冒頭でお伝えした「20歳を過ぎたら定期検診を受けましょう」というのは、この“婦人科に行く”ことを指しています。
例えば、以下のような女性の幅広いトラブルに対応してくれます。
◆子宮・卵巣・乳房の病気
◆性感染症
◆PMS/PMDD
◆更年期障害
◆避妊・不妊の相談 など
また、身体に異常がなくても、“ピルの処方”や“月経日をずらす”などの相談にものってくれます。
尚、“20歳を過ぎたら”と上記で記載していますが、20歳未満の女性でも何か不安に思うことがあれば受診に行くべきです。
“20歳を過ぎたら”というのは、「定期健診」の話です。
定期健診の場合、基本的には“1年に1回”の定期健診を推奨している婦人科も多いです。
例えば「子宮がん」など、定期的な検診を受けることで発見できる病気もありますので、「がん検診」もあわせて受けておくとさらに安心かと思います。
ここまでにお話した通り、「産科」と「婦人科」は診断する内容が大きく異なります。
そして、下記で紹介する「産婦人科」は産科と婦人科の両方を兼ね備えた病院のことを言います。
もし、「まわりが妊婦さんばかりで行くのが気になる……」という人は、この婦人科を専門科にしている病院に行くといいでしょう。
「産婦人科」とは?
上記の最後にも記載した通り、「産婦人科」というのは、「産科」と「婦人科」の両方を備えた病院のことを言います。
ただし、一つだけ注意点があります。
それは、「産科」の機能を持たない「産婦人科」も増えているということです。
その理由は、“設備が不十分”であったり、“人材不足”などが原因の一つとして挙げられます。
そのため、“分娩に対応できない産婦人科”もあります(増加し続けている)。
このことから、病院選びはしっかりと行っていく必要があります。
「産婦人科と書いているから大丈夫だろう」と安易に決定せず、自分がどんな診断を受けたいのかを明確にし、その上で適切な病院を選択するようにしてください。
「不妊治療」について
近年、「不妊治療」を望む女性も増加傾向にあります。
基本的には、「産科」「婦人科」「産婦人科」のどれも、不妊治療を受けられる病院がほとんどではあります。
ただ、不妊治療はあくまで“1つの項目”に過ぎないため、病院によっては対応していないところもあります。
また、不妊治療の専門科として「レディースクリニック」としている病院も増加しています。
ただし、“レディースクリニック=不妊治療ができる”と安易に考えず、受診する前に必ず確認を取っておくようにしてください。
不妊治療というのは、以下のように大きく3つに分けられます。
◆人工授精
◆体外受精などの高度生殖医療
それぞれで、費用が大きく異なりますし、保険が適用されるかどうかも治療法によって変わります。
“病院選び”が非常に重要となってくるので、不妊治療を受けることを決断された方は、しっかりとリサーチ・相談を進めながら、自分に合った病院を選択するようにしてください。
まとめ
「産科」「婦人科」「産婦人科」……それぞれに特徴や違いがありますので、目的に応じて行くべき病院を決定するようにしてください。
また、記事の最初の方に「妊娠」の有無で、行くべき科が変わると記載しましたが、特に「産婦人科」に関しては“分娩に対応できない病院も増加している”ことから、「産婦人科だから……」と安易に病院を決定するのは良くありません。
必ず、事前にネットなどで情報を調べて、気になることがあれば病院に問い合わせをしてみることをオススメいたします。