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「救急救命士」ってどんな仕事?仕事内容や歴史、就職先・活躍の場はどこ?

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緊急事態において、人の命を救うための処置を行う「救急救命士」という職業があります。

あまり聞きなれない言葉なので「救急救命士なんて人、見たこともない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際は多くの人が目にしていますし、自然災害や事故も多い日本では多くの救急救命士が日夜活躍しています。

今回は、この「救命救急士」の仕事内容や歴史、就職先・活躍の場などについて、詳しくご紹介していきたいと思います。

「救急救命士」とは、どんな仕事をする人たちなのか?


まずは、「救急救命士とはなんなのか?」という点から、詳しくご紹介していきます。

プレホスピタルケア(病院前救護)を担う「医療国家資格」のことである

本来、怪我や病気の治療を行えるのは「医師」だけであり、病院(=設備が整っている)施設で行うことが基本中の基本となります。

しかし、自然災害や事故・急病などでけが人や病人がいた場合、発生した場所から医療機関に移送するまでには大なり小なりの時間が掛かってしまいます。

その“1分1秒で人の命が左右されることもある”のです。

「救急救命士」とは、医療機関へ移送するまでの間に「傷病者を観察し、必要な処置を施すプレホスピタルケア(病院前救護)を担う医療国家資格」のことを指しているのです。
(厚生労働大臣が認定している)

英語では「Emergency Medical Technician」、略して「EMT」と呼ばれています。

ちなみに、時に救”命”救急士と間違えられることもあるのですが、正式な名称は救”急”救命士(きゅうきゅうきゅうめいし)と言います。

救命処置時の”注意点”について

上述でもお伝えしたように、日本において医療行為を行えるのは「医師」だけであり、治療を行えるのは「医療機関」もしくは「救急車の中」と決まっています。

そのため、“救急救命士の独断で・自由に医療行為が行える”ということではありません。

また、後述で勤務先については詳しくご紹介しますが、救急救命士は「消防署」に勤務している人がほとんどです。

このことから、例えば……の話をしますが、火事が発生した際に、消防隊(救急隊員)は出動します。

この消防隊(救急隊員)の中に、救急救命士もいます。

そして、現場でけが人がいた際、救急車で病院に搬送を行います。

しかし、病院までの搬送には時間を要し、仮に心肺停止などの緊急事態の人(=重度傷病者)がいた場合、搬送中にその命を救うことができない可能性もあります。

このような際に、救急救命士が救急車内で、“医師の指示”そして“家族への説明・同意の下”で適切な処置を行うことができるのです。

≪Point:救急救命士とは?≫

おもに「救急車に同乗」し、「医師の指示と家族への説明・同意の下」で、病院までの搬送中に救急救命の処置を行う仕事のことを言う。

現場でできる「特定行為」とは?

緊急事態において、医師にのみ許された医療行為を行える「救急救命士」ですが、許可されているのは一部の「特定行為」のみとなります。

この特定行為というのは、大まかに以下のようなものが該当します。

◆点滴
◆特定の薬剤(アドレナリン)の投与
◆器具を使用した気道確保
◆静脈路確保(静脈の中に針を刺して静脈路を確保する)

ちなみに、電話などで医師の指示を受けながら救急救命処置を行いますが、この医師の指示のことは「メディカルコントロール」と言われています。

救急救命士の就職先はどこになる?


「救急救命=けが人や病人の治療をする」ということから、救急救命士の就職先は「病院」とイメージする人も少なくありません。

しかし、実際は「消防署」に勤務している人がもっとも多いと言われています。

「消防署で勤務する=地方公務員」の身分となります。

なぜ消防署での勤務が多いのかというと、救急救命士は“災害や事故などが起こった時に現場へ即座に駆けつける必要があるから”です。

現場で、今まさに命の危機に瀕している人を救う仕事であることから、救”急”救命士と呼ばれているのです。

ただ、勤務先は消防署だけとは限りません。

中には「医療機関」に属している人もいれば、「救命救急センター」に勤務している人、「自衛隊」「海上保安庁」「警察」などで働いている人もいます。

また、「テーマパーク」にも常駐していることもありますし、「介護タクシー会社」でも稀に救急救命士がいる場合もあります。

いずれも“予期せぬ緊急事態が発生した際に、すぐに出動を必要とする職場”が基本となります。

ただ、消防士以外の勤務先で求人募集がかかることは、非常に稀です。

“勤務先は複数ある”と言っても、基本は消防署に勤務する人が圧倒的に多いと言われています。

ただし……、今後はその就職先の幅がもっと広がっていく可能性もあるかもしれません。

その理由は、「高齢化社会の進行」「核家族化の増加」などによって、様々な分野で救急救命士の需要が高まりを見せているからです。

何度もお伝えしている通り、医療行為を行えるのは本来「医師」だけであり、医師になるためには「医師免許」を必要とします。

それと同じように、救急救命を行えるのは、国家資格である「救急救命士」を取得している人物のみとなります。

テーマパークや介護タクシー会社などに救急救命士が配置されるようになったのと同じように、今後は介護施設など様々な事業所に救急救命士が配置されていく可能性もあるかもしれません。

救急救命士の”歴史”について


日本においての救急業務は、神奈川警察部が横浜消防署に救急車を配置した「1933年」がはじまりと言われています。

その後、名古屋や東京でも救急業務が開始され、実際にこの時の救急隊員の出勤数はかなりのものであったらしく、時代が進むとともにどんどん“救急業務の責任と義務”を明確にする必要性が生じてきたのです。

これにより、「1963年」に消防法の一部が開催され、“救急業務の法制化”が行われることとなりました。

しかし、ここまでに再三申し上げてきた通り、本来医療行為を行えるのは「医師」のみであり、例えば救急隊員であっても“医師以外の者が医療行為を行うことは一切禁止されていた”のです。

「病院に搬送するまでの間に、救えた命があったかもしれない……」

このような声がどんどん大きくなり、救急活動において、より専門的な部分が求められるようになっていきます。

その後、「1991年」にアメリカの「パラメディック制度」を参考にして、「救急救命士法」が制定されることとなりました。
※パラメディック制度とは、病院に来る前に現場で医療行為の一部を行う制度のことを指しています※

これにより、所定の教育・訓練を受けて「救急救命士」の国家資格を取得した救急隊員が、医師の指示のもとでのみ一部の医療行為を行えるようになったのです。

まとめ

救急救命士という仕事は、時代が進むにつれ、その需要はどんどん高まっています。

上述で挙げた「高齢化社会の進行」「核家族化の増加」だけではありません。

現在の日本は、地震・洪水・台風といった自然災害も多発しており、災害時における救命処置においても救命救急士は全国で活躍しています。

もっとも多くの人々の心に残っているのは「東日本大震災」ではないでしょうか。

少し前には「救急救命士法施行規則」の改正が実施され、救急救命士による医師の具体的指示で行う救急救命処置(特定行為)の範囲が拡大されました。

このように、今後も救急救命士にできる救急救命処置は拡大していくものとも考えられています。

これからも、将来的に必要とされる職業であることに間違いはないので、関心がある方は様々な情報を仕入れ、是非知見を広げてみてください。

尚、今回は、救急救命士の「仕事内容」「歴史」についてのご紹介となりましたが、次回以降で「救急救命士のなり方/給与/勤務形態」「救急救命士に求められる適正」などについても細かくご紹介していけたらと思います。

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