親が看護師だったから、私も看護師として働きたい
小さい頃にお世話になった看護師さんのように、私も……
看護師はこれからニーズが高くなりそう
など、人それぞれ様々な理由で看護師を目指そうとお考えの方がいらっしゃるかと思います。
看護師の歴史は非常に古く、現在は女性だけでなく男性看護師の数も増えています。
そして、今後も看護師のニーズが途絶えるということは早々ありません。
医療業界における働き方改革も少しずつ進んでおり、これからも看護師を目指す人は増えていくかと思います。
しかし、いざ看護師になりたいと思っても「どうすればなれるかが分からない」いう方もいらっしゃるはずです。
今回は、看護師のなり方、そして看護師の国家試験について、色々とお話をしていきたいと思います。
看護師の種類や働く場所について
種類は大きく2つ存在する
看護師というのは、大きく以下の2種類が存在します。
准看護師
仕事内容そのものに違いはありませんが、准看護師は「医師や正看護師の指示に従って業務を行わなければいけない」というルールが存在します。
加えて、正看護師になるために必要な『看護師』の資格は、厚生労働省が所轄する医療系の国家資格となります。
対して、准看護師は都道府県が発行する資格です。
勤務先は多様に存在する
看護師=病院や診療所で働く人というイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、勤務先は多様に存在します。
例えば、下記などが挙げられます。
老人ホームなどの『介護施設』
個人宅にお伺いする『訪問看護』
保育所や学校などの『教育施設』
基本的に、看護師のやるべきことはどんな職場であっても変わりません。
「医師や患者をサポートする」ことです。
ただし、働く施設の種類や規模によって、実務内容や役割は大きく変わってきます。
尚、訪問看護とは、ご高齢の方や病気・障害などをお持ちの方が、住み慣れた自宅や家庭のもとで療養生活を送れるよう、ご自宅にお伺いして看護を行うことを言います。
近年は高齢化によって、病院以外での日常的な療養を必要とする人が増加しています。
そのため、今後さらにニーズが高まる分野と言われています。
そして近年は、保育園での看護師の求人も増加しています。
これは、厚生労働省ができる限り保育園に看護師を配置するように定めているからです。
保育園での看護師の役割は、
職員の健康
保護者・家庭の健康
これらを守ることにあります。
子供を中心とした幅広いケアを行う必要があり、また最近ではアレルギーや障害を持つ子供への対応も必要とされてきています。
このことから、保育士における看護師の需要はさらに増加していくことが予想されます。
ちなみに、一つだけ余談があります。
保育園では1名に限って、看護師を『保育士』としてカウントできるという決まりがあります。
本来であれば、保育士になるには別途資格を必要としますが、看護師の場合は専門職として保育の現場で活躍することが可能となるのです。
正看護師になるために必要なこと
大切なのは『資格』と『登録』
看護師として仕事をしていくためには、『看護師国家試験』に合格した上で、厚生労働省で管理する有資格者の帳簿に『登録』される必要があります。
というのも、日本には『保健師助産師看護師法』という法律が存在し、同法第31条において、医師・歯科医師・看護師・准看護師以外の者が看護を行うことが禁止されているのです。
そして、看護師の資格を取得するために必要な受験資格は、以下によって条件がいくつか異なります。
准看護師の免許を取得しているかどうか
以下で、それぞれ詳しくご紹介していきましょう。
受験資格について
まず、一般的な受験資格を得る方法は『学歴』です。
看護系の短期大学・専門学校で、3年以上必要な学科を修めている者
指定された看護師養成所を卒業している者(見込みも含む)
そして、既に准看護師の免許があるという方は、指定の大学・学校・養成所で2年以上修行することで、受験資格を得ることができます(見込みも含む)。
また、インドネシア共和国・フィリピン共和国・ベトナム社会主義共和国の外国人看護師候補者の場合は、協定に基づき、日本語の語学研修および看護導入研修を受け、厚生労働大臣の認定を受けることで、受験資格が認められるようになります。
看護師の試験については、厚生労働省のホームページに詳細が記載されているので、そちらで必ず確認を行うようにして下さい。
試験内容について・合格基準
看護師資格の試験内容ですが、以下のようなテーマに絞って、問題が出されます。
・疾病の成り立ちと回復の促進
・健康支援と社会保障制度
・基礎看護学
・成人看護学
・老年看護学
・小児看護学
・母性看護学
・精神看護学
・在宅看護論
・看護の統合と実践
合格基準について
次に合格基準ですが、看護師の試験は合格定員が決まっているのではなく、合格基準点……つまりボーダーラインを越えていれば合格できる試験となります。
看護師の試験は、
【A】必修問題
【B】一般問題
【B】状況設定問題
上記3種類に分かれており、【A】と【B】で合格基準点が定められているのです。
そして、両方のボーダーラインを超えることで、試験に合格することができます。
それぞれの『問題構成』『配点』『合格基準点』は、以下の通りです。
【B】に関しては、毎年合格基準点が変更されますが、2010年(第100回)~2019年(第109回)までの合格基準点の推移は下表のようになっています。
合格基準点の平均は『156点』ですが、年ごとに開きがあるため、「合格ラインは〇〇点」というのは言い切ることができません。
そして、この合格基準点は厚生労働省が毎年決定していますが、決定基準などは公表されていません。
毎年3月の合格発表日に厚生労働省から発表されますので、その際に厚生労働省のホームページにて確認をするより他に、確認する方法はありません。
その他受験概要・更新について
その他の試験概要は以下の通りです。
尚、試験合格後の免許の更新についてですが、看護師の場合は、有効期限や定期的な更新制度は存在しません。
ただし、「結婚などで氏名が変更する」「本籍地が変更になった」などの場合は、就業地を管轄する保健所へ変更申請を行わなければいけません。
その際の提出期限は、変更があった日から30日以内となります。
試験の合格率はどのくらい?
上述で合格基準点についてお伝えしましたが、次に試験の合格率について詳しくお話をしていきます。
看護師資格は、国家資格の中でも合格率は非常に高く90%前後と言われています。
例えば、2010年(第100回)~2019年(第109回)までの、合格率・合格者数は以下の通りです。
参考:厚生労働省–
なぜ、90%前後という高い合格率を誇っているかというと、以下のような理由が挙げられます。
試験そのものが、看護師として職務を遂行できる知識があるかを確認するため
看護師の試験は、受験者を落とすための試験ではありません。
医療関係の現場で働く看護師は、常に人手不足です。
毎年、新人看護師を確保しなければならないと厚生労働省は考えています。
確かな知識を持った看護師を現場に配置するために、その年ごとに合った合格基準点を設けているのです。
もちろん、合格率が高いからといって、試験内容そのものが簡単という訳ではありません。
特に看護師の試験勉強は、実習などと並行して行う必要があり、『効率良く勉強するための時間を作る』ことが課題の一つとなります。
次項で、効率的な勉強の仕方について、ご紹介していきたいと思います。
オススメの勉強方法は?
看護学生は、日々の生活はもちろんのこと、実習が大変で「中々思った通りに勉強時間が作れない」という人がたくさんいます。
また、教科書は非常に分厚く、学術的な順番で記載されているため、繰り返し読むことが難しいと感じる方もいるかと思います。
勉強をする際に重要になるのは、『要点集』と『問題集』です。
要点集とは?
要点集はレビューブックに代表されるものであり、問題として出題される可能性が高い要点をプロが厳選し、分かりやすくまとめてくれたものです。
「勉強の範囲を絞るということ…?」と不安を感じる方もいるかもしれませんが、この点は心配いりません。
なぜなら、国家試験は質と難易度を一定に保つため、約4問に1問程度……過去の問題を一部変更したものが出題されるからです。
この理由は、臨床(現場のこと)に出てからも大切、かつ良く使用される知識だからです。
前述でもお伝えした通り、看護師の試験は「看護師として職務を遂行できる知識があるかを確認するため」に行われるものです。
つまり、要点集に載っていない珍しい内容にまで勉強の幅を広げるよりも、要点集に記載されている内容に絞って勉強に取り組んだ方が、効率的に必要な知識を吸収できるということなのです。
問題集とは?
良く出題される範囲がまとめられた要点集ですが、それだけだと「どこまで覚えれば良いのか?」というのが中々に判断できません。
その点をカバーするために必要となるのが、問題集です。
問題集には、これまでに出題されてきた過去問も記載されています。
過去問を見れば、どんな勉強をすれば良いのかが一目で分かります。
これを、何度も反復して勉強することで、効率的に知識を吸収することができるようになります。
尚、もし看護学校に通う前の方で「どんな問題が出題されているの?」というのが気になる方は、『看護roo!』というサイトを閲覧してみて下さい。
このサイトは、看護師についての情報が様々に掲載されています。
看護師の国家試験についての情報も幅広く記載されており、必修問題や一般・状況設定問題など、過去問も約4000問掲載されています。
「看護師のことを知りたい!」という方にとって参考となる情報が多数存在するので、一読しておいて損はないかと思います。
どうやって『勉強時間』を作る?
学校での授業、実習……など、看護学生の一日は大変です。
そこに、自主勉強の時間も作らなければいけないのですから、やはり効率的に勉強する時間を作りたいものです。
いかにして効率良く勉強する時間を作るか?これは、他の勉強と基本的に同じです。
事前に、『どの項目』を『どんな風に』勉強をするかを具体的に決めておく
要するに、(短時間でも良いので)集中して勉強する時間を作るということです。
勉強も仕事も同じことですが、ただ長く机に向かえば良いという訳ではありません。
ダラダラと2時間勉強をするよりも、「1時間、今日は○○について勉強する!」と決めて勉強した方が、作業効率は格段に上がります。
そして、残った時間で体をリフレッシュするのです(自分にご褒美をあげることも大切です)。
『勉強する時は勉強する』『休む時は休む』、当たり前のことと感じるかもしれませんが、意外と「頭では分かってるんだけどね……」と実践できていない人は多いのです。
大切なのは、やるべきことを具体的にし、集中して取り組むことです。
まとめ
看護師になるための最初の難関は、『看護師資格に合格する』と言っても差し支えありません。
もちろん、現代は学べる学校が複数あり、しっかりとした教材も揃っています。また、インターネットで様々な情報を閲覧することも可能です。
ただ、勉強に活用できる情報がたくさんあっても、勉強するための時間が足りないという人が多いのです。
ここは、いかにして効率良く勉強する時間を見つけることができるかが大切です。そして、その方法は勉強する本人しか、把握する術はありません。
看護師の資格は、確かに合格率が高いとはいえ、それでも決して楽な試験ではありません。
自分に合った勉強方法を見つけ、試験に合格できるように頑張ってみて下さい。