介護の業界には、実にさまざまな資格が存在します。
今回ご紹介する「防災介助士」も、その中の一つです。
この資格は“災害時の備えとしての知識が学べる資格”であり、今後ますます需要が高まる資格だといわれています。
この記事では、防災介助士の“役割”や“活躍の場”について、詳しくお話をしていきたいと思います。
「防災介助士」ってどんな資格なの?
概要
この資格のことを端的に説明すると、以下のようになります。
◆日常的に、どのような備えが必要かを学ぶ
◆被災時に、どのような行動か必要かを学ぶ
◆学んだことを実践できるようにする
そして、資格名に“介助”と記載されている通り、この資格は「高齢者や障がい者など、防災・避難に”介助”が必要な方(※)に対する支援を想定して学ぶ」こととなります。
(※災害基本法にいう要配慮者・避難行動要支援者のこと)
この「防災介助士」は“民間資格”であり、「公益財団法人 日本ケアフィット共育機構」が認定しています。
ちなみに、2015年にリニューアルしたばかりの新しい資格となります。
防災意識は、年々高まっている
近年、世界的に自然災害の発生数は増えており、世界気象機関(WMO)によると、世界の気象災害数は過去50年間で“5倍”に増加したといわれています。
当然、日本もその例外ではありません。
地震や台風などの自然災害も多く発生しており、被害リスクとは常に隣りあわせとなります……。
そして、そのような自然災害が発生した時にもっとも犠牲になりやすいのが、高齢者や障がい者の方たちなのです。
たとえば、2011年に発生した「東日本大震災」では、被災地全体の死者数のうち“6割以上が65歳以上”だったといわれています。
そんな今だからこそ、「自然災害が発生したときに、どうやって高齢者や障がい者の方たちを守るのか?どんな行動が適切なのか?」を考え・学ぶために誕生(リニューアル)したのが「防災介助士」という資格なのです。
資格を取得する”メリット”とは?
身に着くスキルは以下の”4つ”である
まずはじめに。
上記でも記載した通り、「防災介助士」は“民間資格”となります。
“資格”という存在だけでみると、国家資格のように特別な権利が得られたり、就職が有利になったり……といったメリットはありません。
その資格の最大のメリット(特徴)となるのは、「災害時などの有事の際に、正しい判断・適切な対応で自分や大切な人を守ることができる」という点にあります。
この資格を通して身につくスキルは、主に以下の4つとなります。
◆安全な介助技術
◆応急処置のやり方
◆リーダーシップ
災害にあったとき、多くの人々はパニックになってしまい、冷静な(正しい)判断ができなくなってしまいます。
その最たる理由は、「災害などの有事の際に、対処する方法が分からないから」です。
しかし、この資格を通して学びを入れることによって、「災害とはなにか?」を正しく理解し、“防災の基礎知識や避難するときのポイント”などの、正しい知識を身に着けることができるようになるのです。
もちろん、正しい・安心・安全な介助技術によって、高齢者や障がい者を介助できるようにもなります。
ちなみに、対象となるのは“自身や大切な人”でもあるため、いざという時には周りの人々の助けとなることも間違いありません。
止血や応急手当の方法も学べるため、災害時だけでなく、日常での怪我や事故をした際にも役立てられるでしょう。
どうして「リーダーシップ」も学べるのか?
上記で、資格取得時に身につくスキルに「リーダーシップ」があるとお伝えしました。
なぜ、リーダーシップが学べるのか?
その理由は、「ICS(incident command system)」が学べるからです。
この「ICS」というのは、「災害や事件・事故の現場における指揮系統や管理手法を標準化したもの」のことを指しています。
もう少し掘り下げると、防災介助士の資格では「災害現場での指揮系統の仕組み」について、学ぶことができるのです。
ここで学べるスキル(情報共有・外部との連絡・効果的なチームビルディングなど)は、災害時だけでなくさまざまな点で役立つ手法です。
もちろん、普段の仕事の場面でもリーダーシップを発揮できるようになりますし、チーム力の強化にも期待が持てることでしょう。
介護の仕事においても役立てることができる
当然ながら、この資格は介護の仕事においても役立てることができます。
災害時、介護職は“利用者の安全を守ること”を何よりも大切にします。
しかし、災害に対する知識がないと、いざという時にパニックになってしまいかねません。
(災害時に特化した介護訓練を受けているわけではないため)
そのため、混乱した状況においても、落ち着いて適切な支援を迅速に行えるような体制・心構えが必要となってくるのです。
この資格では、“災害時に1人で災害から身を守る行動をとることが難しい要配慮者や避難行動要支援者を想定した内容”を学ぶことができます。
そのため介護の業界においても、この資格を取得していれば、いざという時に役立てられる資格となるのです。
資格を活かせる職場・就職先とは?
防災介助士の資格取得者は、特に以下のような職場で活躍しています。
◆訪問介護事業所
◆高齢者通所施設(デイサービスなど)
◆高齢者入所施設(有料老人ホーム、特別養護老人ホームなど)
◆障がい者施設
◆就労継続支援事業所
◆介護タクシー
◆行政の主催する高齢者健康増進施設、高齢者クラブ活動 など
見てわかる通り、主に「介護を提供している施設」や「高齢者が利用する施設(事業所)」などで、広く活躍しています。
ただし、この資格がもっとも活かされるときは“災害時などの有事の際”となります。
そのため、(普段の業務に活かせることもあるとはいえ)必ずしも必要不可欠な資格でもないのが事実です。
このことから、防災介助士は“専任業務”として採用されるのではなく、“介護実践業務”と兼務する場合がほとんどとなります。
確かに、防災介助士の資格を取得していれば自己PRにもなるため、就職な転職の際にも役立てられる資格であることは間違いありません。
もちろん、日常生活や業務にも役立てることもあるでしょう。
しかし、就職や転職をする際に“必須”となるわけでもありません。
いざという時に任せられる存在になることは間違いありませんが、上記のような点には注意しておいた方がいいかと思います。
まとめ
以上が、“防災介助士の役割・活躍の場について”のご紹介となります。
冒頭でも記載した通り、日本においても自然災害は多発しており、災害などの有事の際の対策意識は年々増加傾向にあります。
誰もが自然災害による被害リスクと常に隣りあわせであり、誰しもが“他人事”では済まされないのです。
だからこそ、防災介助士の需要はどんどん高まっており、2015年にリニューアルされることとなったのです。
資格を取得しておけば、今後有事の際に率先して問題に対処することができるようになるでしょう。
また、資格を取得しておけば、普段の生活や仕事でも役立てることができるはずです。
現在であれば、受験難度はそこまで高いわけでもなく、資格を取得していれば就職や転職にも役立てることができるはずです。
(いずれは、介護業界で働くには必須となる資格になるかも……?)
関心がある方は、ぜひ知見を広げて、資格取得への一歩を踏み出してみてください。
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