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「介護」と「介助」って何が違うの?それぞれの定義・仕事内容について徹底解説!

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日常生活において「介護」「介助」は特に区別せずに使用するケースも多いかと思います。

そして、そもそも“この2つにどんな違いがあるのか?”を明確に理解している人もそう多くはないのではないでしょうか。

ただ、介護の現場においてこの2つは明確に使い分けがされています。

◆なぜ、「介護」と「介助」を使い分ける必要があるのか?
◆それぞれの定義や仕事内容の違いは何か?

今回は、この点について詳しくご紹介していきたいと思います。

それぞれの「定義」について


「介護」「介助」、この2つは言葉が違う通り、それぞれが持つ意味合いも大きく異なります。

結論から言うと、この2つの違いは以下のように表現できます。

◆「介護」:日常生活の”自立を目指す”行為
◆「介助」:日常生活を”サポートする”行為

まずはこの2つの違いや目的についてご紹介をしていきたいと思います。

「介護」が指すものとは?

「介護」というものは、単独で日常生活を送ることが困難な人に対し、生きていくために必要な生活全般を支援し、自立を目指す行為のことを指しています。

介護の仕事(業務)として行うのは「身体介助」「生活援助」が基本となりますが、それは“身体的”なサポートだけでなく“精神面”のサポートも対象となるのです。

介護を利用する人が自立し快適な生活を送ることができるよう、心身ともにサポートしていくことが介護の最大の目的となります。

「介助」が指すものとは?

対して「介助」の方は、介護を実現するための手段……つまり日常生活をサポートする”行為そのもの”を指しているのです。

詳細は後述でお話しますが、介助行為は「食事/入浴/更衣/排泄/歩行/移乗」など、サポートを行う場面の違いによってさまざまな種類が存在し、必要に応じて適切な行動を取ることが求めれることとなります。

結論:「介護」のなかに「介助」が含まれる

まとめると、「介護=要介護者の自立支援を目的とした行為全般が対象となる」のに対し、「介助=日常生活をサポートする”行為そのもの”が対象となる」のです。

つまり、介助は“介護を行う上での手段の一つ”ということになります。

例えば、介護業界において「食事介護」「入浴介護」「排泄介護」という言葉は使いません。

上記は“行為”であるため、正確には「食事介助」「入浴介助」「排泄介助」と表現するのが適切なのです。

「介護」と「介助」で行うこと


次に、「介護」と「介助」において、行う業務内容についてのご紹介をしていきたいと思います。

尚、あまり介護業界のことに詳しくない人だと、介護の対象は“高齢者”とイメージする人が多いかもしれません。

確かに高齢者への介護は、この業界にとってもっとも需要が多いもので、「超高齢化社会」に突入している現在の日本にとっては今後もその需要は高まり続けていくものと考えられています。

ただ、介護の対象となるのは「要介護認定」を受けている人が対象であり、“障害者”などの身体面・精神面が不自由な方も利用されています。

そのため、小さな子供から高齢者まで、対象となる年齢層は幅広いものとなっています。

「介護」で行うこと

前項でもお伝えした通り、“身体の不自由な方の支援をし、自立を促す”ことを介護と言います。

そのため、身体的・精神的の両面から幅広く利用者をサポートしていくこととなります。

そして、介護で行うことは以下の4点が該当します。

◆「身体介護」
◆「生活援助」
◆「精神的援助」
◆「社会的援助」

それぞれ、個別に補足していきたいと思います。

「身体介護」

例えば、「身の回りの動作」「基本動作(起き上がり・寝返り・立ち上がり・歩行など)」などの支援を行います。

つまり、“直接利用者さんの身体に触れて介助を行うサービス”が対象となっています。

もちろん、目的は“自立支援”であるため、利用者さん本人が自力で行えるように、必要な部分でのサポートを行うことが基本となります。
(利用者の状況によりけりではありますが)

ちなみに、身体介護を行うためには「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」以上の資格を必要とします。

資格がなければ身体介護を行うことはできません。

「生活援助」

これは、“日常生活におけるサポート”を行います。

例えば、掃除・洗濯・調理などが対象となります。

上記の身体介護との一番の違いは“利用者の身体に触れるかどうか”です。

生活援助はあくまで日常生活のサポートのみを行うため、利用者の身体に触れることはありません。

そのため、生活援助に関しては無資格でも行うことができます。

介護の求人募集を見ていると、時折「無資格・未経験でもOK!」という応募資格を目にすることがありますが、無資格で行える介護は「生活援助」のみとなります。

また、生活援助はあくまで“利用者本人のみが対象”です。

例えば、介護対象と同居している家族がいたとして、その人たちの分の調理・洗濯・掃除などを行うことはありません。

それは「介護」ではなく、「家事代行」などの仕事となります。

「精神的援助」

その名の通り「利用者の精神的な問題に対して、その不安を解消するように支援する」ことを指しています。

これは、“怪我”などの身体的な病気はもちろん、“認知症/統合失調症/うつ病”といった精神的な病気も対象に含まれます。

核家族化の家庭が増加傾向にある日本では、一人暮らしの高齢者も少なくありません。

家族と同居している高齢者や障害者も、生活をする上で様々な不安を抱えています。

「退院後の生活が不安……」
「家族に迷惑はかけられない……」

といった、精神的な問題に対して、その不安を解消するために支援を行うのです。

これも、自立を促すために必要な仕事の一つと言えるでしょう。

「社会的援助」

これは、「介護問題を社会全体の問題として解決していくこと」を指しています。

例えば、介護保険を活用した介護サービスの利用などが該当します。

介護事業所はもちろんのこと、介護に関しては国や自治体でも様々な取り組みが行われています。

そのような社会的援助を促すことも、介護職に就いている人の大切な仕事の一つとなるのです。

「介助」で行うこと

介助は、上述でもお伝えしたように「日常生活をサポートする”行為”そのもの」のことを指しています。

そして、介助で行うことは以下の6つに分類されます。

◆「食事介助」
◆「入浴介助」
◆「更衣介助」
◆「排泄介助」
◆「歩行介助」
◆「移乗介助」

こちらも、それぞれ個別に補足をしていきたいと思います。

「食事介助」

「租借・嚥下機能・筋力・握力などの低下」などの理由で、自力で食事をとることが難しい人へのサポートを行っていくのが、「食事介助」です。

また、夏場などは水分補給をしっかり取らないと脱水症状などを引き起こす可能性もあるため、適度な水分補給を行うことも大切な業務の一つとなります。

「入浴介助」

その名の通り、「入浴の支援」を行うことを指しています。

実は、この入浴介助には2つの目的があります。

一つ目は、「利用者の身体を清潔に保ち、感染症を予防すること」です。

もう一つは、入浴による「リラックス効果」が期待できることです。

健常者であっても、入浴はリラックス効果があると言われています。
(けんじょうしゃ=特定の慢性疾患を抱えておらず、 日常生活行動にも支障のない人のこと)

  • 体を温めることで血流が良くなる
  • 新陳代謝を高めることができる
  • 筋肉の緊張がほぐれ、関節痛の痛みが和らぐ
  • 副交感神経を刺激することで、(リラックス状態から)睡眠の質が良くなる

など、入浴にはさまざまなメリットが存在します。

加えて、入浴介助を通して利用者の身体の状態をチェックすることで、傷や内出血などの早期発見にも繋がると言われています。

「更衣介助」

「衣服の着脱」に関する支援を行うことを指しますが、ただ“着替えの手伝いをする”という訳ではありません。

利用者の中には、「拘縮」(こうしゅく=関節の可動域が狭くなっていること)の可能性があり、下手をすると着替えの際に怪我につながる恐れもあるのです。

また、身体に負荷を与えるような着脱も怪我のもととなる可能性があります。

そのため、「伸縮性のあるもの」「締め付けのないゆったりしたもの」を選択し、着替えの支援を行う必要があるのです。

また、着替えの際には利用者の関節をしっかりと支えることも忘れてはいけません。

「排泄介助」

「排泄」と一言で表現していますが、おおまかに以下の4つに分かれており、利用者の状況に合わせて適切な介助を選択していく必要があります。

①「トイレ介助」:トイレに行くまでの誘導と排泄後の対応をする(歩行介助も含まれる)
②「ポータブルトイレ介助」:持ち運びができるトイレを利用し、トイレまでの移動が難しい方への介助に利用される
③「おむつ介助」:紙・布などタイプが存在し、介護者が交換する”テープタイプ”や利用者が自力で履く”パンツタイプ”など、様々な種類がある(中に吸水パッドを付けることもある)
④「便器・尿器を使用する介助」:寝たきりなどでベッドから起き上がれない人に対して行う介助のこと

「歩行介助」

こちらも、上記と同じくいくつかの種類に分かれています。

①「寄り添い歩行介助」:介護者の身体を支えながら介助を行う
②「手引き歩行介助」:利用者と介護者が向き合い、手を取り合いながら歩行する
③「杖の歩行介助」:杖を使用する利用者に対して、脇の下と肘を支えながら介助を行う
④「後ろからの歩行介助」:後ろから利用者の脇を支え、歩行する
⑤「(アーム付き)歩行器などの歩行介助」:歩行器の利用者の後ろから脇の下を支え、介助を行う
⑥「シルバーカーの歩行介助」:シルバーカー(手押し車)を利用し、利用者の後ろから必要に応じて脇の下を支える介助

他にも、「階段の歩行介助」「半身麻痺の患側(麻痺側)からの歩行介助」などもあります。

歩行介助は、利用者の身体的状況によってさまざまな介助方法があります。

また、歩行とは外出だけでなく家の中でも行われるものです。

利用者が安全に歩行できるよう、介護者がしっかりとサポートをしてあげることが大切となります。

「移乗介助」

“移動”ではなく、“移乗”です。

これは、「車椅子からベッドに”移乗する”こと」や、逆に「ベッドから車いすに”移乗する”こと」を指しています。

車いすは、動くものであり横幅もそれほど広いものではありません。

そのため、ブレーキをしっかりかけ、車いすの角度に気を付けながら介助を行っていく必要があります。

下手をすると怪我にも繋がりかねないため、細心の注意をはらって移乗介助を行っていく必要があるのです。

また、利用者さんが“半身麻痺”の場合は、「健側(けんそく=麻痺がない側)」に車椅子をセットすることを意識しなければいけません。

介助には”4段階”の基準が存在する


「介護」と「介助」は意味合いが大きく異なることをご理解いただけたかと思いますが、それとは別に「介助には”4段階”の基準が存在する」とされています。

その基準とは、以下の通りです。

◆「自立」
◆「一部介助」
◆「半介助」
◆「全介助」

言葉通りの意味合いではありますが、後述にて少し補足しておきたいと思います。

「自立」

その名の通り、基本的に“自分ひとりで特定の行動ができる状態”のことを指しています。

自立している人に関しては、基本的に介助の必要はありません。

「一部介助」

こちらは、“自立に近い状態”ではあるものの、一部“簡単なサポートが必要な状態”のことを指しています。

例えば、“見守り”“誘導”などが該当します。

自立できていたとしても、特定の行動の中で転倒などの何かしらの問題が発生することもあるため、そういった時のために見守りなどの簡単なサポートを行うのです。

「半介助」

“一部介助よりもできることが限られており、何らかのサポートが必要な状態”のことを指しています。

例えば、以下のような状態です。

「支えがあれば、ゆっくりでも歩くことができる」
「スプーンを使い(見守りをする中で)食事をとることができる」

何らかの手助けは必要なものの、自身の能力が残っている状態が対象となります。

「全介助」

“ある特定の行動に関して、サポートがあったとしても自分ではできない状態”のことを指しています。

この全介助は、介護者のサポートは必須となります。

介助者は、状況に応じて介助方法を変える必要がある

極論を言うと、高齢者や障害者だからといって、介助者が全ての支援を行わなければいけないという訳ではないという点があります。

なぜなら、全てのサポートを介助者が行ってしまえば、“自立を促すことができなくなる”からです。

例えば、日々のトレーニングによって状態の進行が緩やかになったり、現状維持が可能となったりすることがあります。

この時、もし本人が自分でできることまで手伝ってしまうと、本人の能力が衰えてしまうことに繋がりかねないのです。

上記は、「自立→一部介助→半介助→全介助」と、段階を踏むごとに支援の必要度は上昇していきます。

もちろん、「支援の必要性が上昇する=介助者にとっても介護全体の負担が上昇する」ということになります。

利用者自身も、できることが減っていくことで気持ちが辛くなり落ち込みやすくもなりますので、双方にとって良いことがありません。

“どこまでサポートするべきなのか”

その介助の範囲をしっかりと見極め、利用者本人の能力をできるだけ残すように意識介助にあたることが望ましい(見極めることが大切)とされているのです。

まとめ

ここまでにお伝えした通り、「介護」と「介助」はその意味合いは全く異なります。

まとめると、以下のようになります。

「介護」=「介助」+「家事などの生活支援」であるということになります。

また、長期間の介護を担当する際には、被介護者の可能性を奪うことのない介護プランを立てることが重要となってきます。

“被介護者に付きっきりでいること”と、“被介護者をゆっくり見守ること”では、同じ時間一緒にいたとしても双方の負担度には大きな差が出てしまいます。

基本は、「利用者の自立支援を行うこと」が介護にとって重要なことです。

声掛けやサポートを取り入れつつ自立支援を行うことで、将来の自由度にも大きな違いが生まれることを意識して、介護に取り組んでいく必要があると思われます。

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