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臨床心理士とはどんな仕事なの?わかりやすく解説します!

この記事は約9分で読めます。

みなさんは臨床心理士とはどのような職業なのかご存知でしょうか?

名前は聞いたことあるけれど、実際どのような仕事をしているのか、どのような役目を持った人たちなのかはあまり知らないと言う方も多いと思います。

近年、精神疾患や心に何らかの問題を抱える患者の数は、年々急激に増加しています。

職場や家庭、学校などの環境のストレスや、昨今の社会情勢における生活の変化などによるストレスなど、ストレス社会となっている日本においては、誰もが精神疾患や心に何らかの病を抱えるようになってもおかしくはないのです。

そこで当記事では、そんな心の病と闘う方を援助する臨床心理士の仕事内容について詳しく解説していきます。

臨床心理士の仕事内容

臨床心理士とは具体的にどのような人を相手に、どのような仕事をしているのでしょうか。
まず、臨床心理士の名前から見ていきましょう。

「臨床」とは、現場を意味します。この場合の現場とは、実際に病人がいる病床ということになります。

「心理士」はその名の通り、心に関すること、精神的な領域を意味します。

つまり、「心や精神的な部分に何らかの疾患や問題を抱える人に直接働きかけることで、解決していく仕事」ということです。

次でもっと具体的に仕事内容について見ていきましょう。

臨床心理士の主な仕事内容

臨床心理士の仕事内容は大きく3段階に分けられます。

① 心の病や精神的病を抱える方(相談者)との面談や心理テストなどを通じて、相談者について知り、解決に向けた援助方法などを決定する。

② 臨床心理学の専門的な技法に基づいて、相談者の心の回復援助を行う。

③ 他の医療スタッフや専門家と協力して、相談者の周囲の環境(家庭・職場など)に働きかけることで社会復帰の手助けを行う。

つまり、臨床心理士は「心理カウンセリングのプロフェッショナル」です。

臨床心理士の仕事におけるクライアントとは?

臨床心理士はどのような方を対象(クライアンんト)に仕事を行うのでしょうか。

広い範囲で言うと、「心に病や何らかの問題を抱えている人」が対象です。

とはいえ、「心に病や何らかの問題を抱えている人」と言っても性格や年齢、精神状態も問題の原因も環境もさまざまなのです。

そのため、アプローチ方法や援助の仕方もクライアントによって変化します。

各クライアントに最適なアプローチ、援助方法を考え実行することが求められます。

臨床心理士の活躍する現場と勤務形態

繰り返しになりますが、「臨床」は現場を表します。では、臨床心理士が実際に活躍する「現場」とはどこなのでしょうか。

多様な勤務形態とともに紹介していきます。

医療機関

医療機関には、総合病院精神病院をはじめとする病院、精神保健福祉センター保健所などが含まれます。

病院では精神科や心療内科に所属することが一般的ですが、勤務先によっては別部門の心理室や医療相談室が用意されているところもあり、そちらで勤務することもあります。

学校

最近ではスクールカウンセラーという窓口が、公立・私立問わず校内に設置されるようになってきました。

学校に通う児童や学生たちの中にも、いじめ問題、先生・友人関係、家庭環境など、先生には直接相談しにくい問題も多々あります。

そういった問題を放置していては不登校になったり、最悪の場合は自殺の可能性まであります。

そうならないためにも、児童たちが抱える悩みや問題に臨床心理士としてカウンセリング、助言、援助を行うのです。

また、大学などではカウンセラーと並行して、心理学の講師をする場合もあります。

児童相談所、療育施設

児童相談所や療育施設では、主に家庭の事情から心に問題を抱える「子ども」を対象とします。

家庭の事情とは、児童虐待、DVなどさまざまです。

また、乳幼児などの場合、言語的なコミュニケーションが難しいので、より専門的な知識とスキルが求められます。

一般企業

最近では、大手企業を筆頭に、社内に相談室や健康管理室を設置して、臨床心理士を雇用する企業も非常に増えています。

社員の職場環境、人間関係などの相談に乗ることや、研修会、定期的なメンタルヘルスチェックを行うこともります。

矯正心理専門職

矯正心理専門職は少年院、刑務所、少年鑑別所、保護観察所、都道府県警察、家庭裁判所が勤務地となります。

対象は、犯罪や非行を犯した者を対象としており、犯罪心理学の知識も必要となります。

仕事内容としては、専門的な知識やスキルを活かして、中立的な視点と冷静かつ人間的で温厚な視点で犯罪や非行の原因を調査し、罪を犯した者の立ち直りと社会復帰に向けた処遇計画、刑務所内での指導案の実施に関わっていきます。

フリーランス

中には、特定の教育機関や病院などに所属するのではなく、フリーランスの臨床心理士として活躍する人もいます。

教育機関での講師、スクールカウンセラー、企業でのメンタルヘルス相談員を掛け持ちで業務委託として受け持つなど、臨床心理士の働き方も多様化が進んでいるのです。

臨床心理士に必要な資格とは?

臨床心理士になるには、臨床心理士の資格が必要です。

資格は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が主催する試験に合格することで、資格を取得できます。

臨床心理士の資格は国家資格ではなく、民間の資格となります。

試験を受験するには、指定された大学院、もしくは専門職大学院を卒業する必要があります。

また、医師免許を取得し実務経験がある方も受験資格はあります。

さらに、資格は取得して終わりではありません。

臨床心理士の専門的知識とスキルの維持と向上を目的として、5年ごとの再認定が必要となるのです。
そのため、臨床心理士になってからも継続的に学習をする必要があります。

臨床心理士に向いている人とは?

臨床心理士に向いている人の特徴は主に3つあげられます。

① 親身になって人の話を聞き、冷静な判断ができる人
② 気持ちの切り替えができる人
③ 継続的な学習ができる人

臨床心理士はさまざまな現場で活躍していますが、どの職場においても、現在苦しんでいる患者や相談者の話を親身になって聞くことから始まります。

そして、ただ聞いているだけではなく、相手と同じ目線で共感を示し、その後のケアやアプローチ、援助などを冷静に判断することが求められます。

また、患者や相談者の悩みや問題は決して軽いものではなく、シビアな内容や重たいものがほとんどです。

そんな中で、対応を一歩間違えると、相手は不快な思いをすることになり、臨床心理士としての役割を果たせなくなってしまいます。

そのため、しっかり自分の心も正常に保たなければならないため、切り替えができる人であれば、重たい相談が続いても、しっかりと的確な援助を行うことができるでしょう。

そして、資格のところでも述べた通り、臨床心理士は1度資格を取得して終わりではありません。
5年ごとに再認定を受ける必要があるため、取得後も継続的に学習を行う必要があります。

臨床心理士の現状と将来性

ここまで、臨床心理士に関することを紹介してきました。

これから臨床心理士を目指そうとしている方、臨床心理士に興味をお持ちの方は、現状の待遇や需要はあるのか、将来性はあるのか気になりますよね。

臨床心理士の現状

• 臨床心理士の職場と需要の拡大

数年前までは、臨床心理士の求人は病院か児童相談所だけというときもありました。

しかし、いじめ、虐待、DV、事故、自殺、うつ病、犯罪、非行など、時代とともに心の悩みや問題の原因もさまざまになってきました。

こうした時代の変化とともに、臨床心理士の働く現場も拡大し、需要も高まってきているのが現状です。

• 臨床心理士の待遇における課題

一方で、まだまだ臨床心理士の待遇が良いとは言い切れない現状もあります。

臨床心理士の平均年収は約350万円と言われており、日本の平均年収と比較すると低いと言えます。

業務内容は人の心のケアという、繊毛性が高く、責任も重い仕事でありながら、仕事内容と待遇が見合っていないとも言えます。

臨床心理士の将来性

臨床心理士という職業は今後どうなっていくのでしょうか。将来性はあるのでしょうか。

臨床心理士の対象は人であり、心の悩みや問題は外部から視認できる者ではありません。

そのため、AIなどが簡単に代用できるような職業ではないと考えられます。

患者数の増加

患者数の推移を見てみると、精神疾患を有する方の数は年々急増しており、5大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、精神疾患)の中で最も患者数が多くなっています。

もちろん、精神疾患を有する方全員が臨床心理士のクライアントとなるわけではありませんが、対象が増えていることは確かです。

スクールカウンセラーの増加

スクールカウンセラー制度が始まったのは、平成7年9月です。

当時は、配属された学校数は全国でわずか154校でした。

しかし、現在ではスクールカウンセラーを設置する学校は2万校を越え、スクールカウンセラーの数も7000人を越えているのです。

さらに2015年には、スクールカウンセラーを制度化し、全ての公立小中学校にスクールカウンセラーを設置する指針が発表されているため、今後もますます需要は高まっていくと見られます。

若者からの需要の高まり

高齢化が急激に進む日本において、臨床心理士の対象も高齢者が多いですが、最近では世代を問わず需要が高まっています。

特に、学校に通う児童や学生のニーズも急激に高まっています。

学校においても、いじめ問題、ひきこもり・不登校、教職員・友人との関係、虐待やDVなどの家庭環境の問題、若い世代においても、知らず知らずのうちに多くのストレスと闘いながら生活しているのです。

働く世代においても、社会情勢、社内での人間関係、社内環境、職務上のストレスなど、労働世代のうつ病患者も増加しています。

このように、臨床心理士のクライアント対象も、高齢者だけではなく年々幅広くなっていることがわかります。

つまり、誰が対象となってもおかしくないようになっているのです。

災害時の心のケア

災害時にも心のケアを必要とする方は多くいます。

地震、台風、大雨など多くの災害が発生する日本において、災害時の被災者の心のケアは必須なのです。

災害というトラウマと恐怖心に対するケアは、特別な事象ではありますが、これも臨床心理士の立派な仕事と言えます。

過去にも、阪神淡路大震災の時には、ちょうどスクールカウンセラー制度が始まったときであったが、兵庫県には特例で13人の追加配属が行われました。

そのほかにも、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨などにおいても、被災者の心のケアを目的として、臨床心理士は各地で活躍しています。

新型コロナウイルスの流行においても、今までとは違う生活様式となり、ストレスを強く抱える人もたくさんいるため、今後も需要は高まっていくと見られます。

まとめ

当記事では、臨床心理士の仕事内容から現状と将来性について紹介してきました。

決して、簡単で誰でもできるような仕事ではなく、むしろ専門性が高く人の内部に関わる仕事ですので、難易度の高い仕事でもあります。

その分、やりがいを強く感じる職業でもあり、毎年2000人ほどが臨床心理士を目指して受験しています。

臨床心理士の1番の仕事である「心のケア」は今後もさらに需要も高まり、必要不可欠な職であると言えるでしょう。

そう言った意味でも、今後の臨床心理士の待遇改善は必要なのではないでしょうか。

ぜひ、この機会に臨床心理士という職業についてもっと知ってみてはいかがでしょうか。

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