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薬剤師ってどんな仕事?業務内容や収入について

この記事は約6分で読めます。

薬剤師といえば、「薬局などで、薬を用意したり、薬について説明してくれる人」というイメージを持たれるかと思います。

そのイメージは正しいものです。

ただ、実は薬剤師にはいくつかの勤め先があって、働く職場によって仕事内容というのは大きく異なるのです。

さらに意外なことに、薬剤師同士は自身が勤めている職場以外で、他の薬剤師の仕事内容がどんなものかよくご存じないという方もいらっしゃいます(それほどに、職場によって仕事内容が異なる)。

今回は、仕事内容や収入など、薬剤師について色々とご紹介していきたいと思います。

薬剤師ってどんな仕事?

『調剤』ができる唯一の職業である

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薬剤師というのは、『薬剤の調剤』および『服薬指導』を行う仕事のことをいいます。

例えば、あなたが風邪をひいたとしましょう。

病院での診療後、処方箋を取り扱っている薬局に『薬』を受け取りに行ったことはないでしょうか?

その時、薬局の店員さんらしき人から、薬と一緒に、飲み方(飲むタイミング)について教えていただいたことはありませんか?

その店員さんこそが、薬剤師です。

薬剤師は、調剤ができる唯一の職業であり、国家資格でもあります(一部例外があり)。

つまり、医療の中でも非常に重要な役割を果たしているということです。

以下で、『調剤』と『服薬指導』について、もう少し深堀りしてみましょう。

調剤

医師に診察してもらった後は、必ず『処方箋』が渡されます。

処方箋というのは、患者の病気の治療に必要な薬の種類・量・服療法が記載された書類のことです。

この書類(処方箋)を、処方箋取り扱い薬局に持っていき、薬剤師が「処方箋に基づいて医薬品を揃え、患者に交付すること」を『調剤』というのです。

もちろん、ただ薬を渡すだけではありません。

発行された処方箋が正しいかどうかをキチンと確認し、薬剤を計数・計量した上で、患者に交付します。

また、もし処方箋に疑問が生じた場合、都度発行者に確認を取らなければいけません(疑義紹介という)。

この調剤は、薬剤師のみが行える業務……つまり独占業務となります。

ただし、「医師・歯科医師・獣医師は、自ら処方した処方箋のみ調剤を行うことが許可されている」という一部の例外が存在します。

服薬指導

薬は、ただ飲めばいいという訳ではありません。

用法・用量を守って正しく服用してこそ、有効となるのです。

服用時間・服用回数・服用量などの基本的な情報はもちろんのこと、薬によっては注意しなければいけない副作用や飲み合わせなども存在します。

また、薬の中には、飲むと尿の色が変わるような薬も存在します。

何の指導も受けずその場面に直面してしまえば、患者は当然不安を感じてしまいます。

このように、患者に正しく薬を飲んでもらうため、不安などを払拭するために説明を行うことを、『服薬指導』と言うのです。

もちろん、ただ一方的に薬の説明をするだけでなく、患者の話を聞くことも業務の一つです。

尚、服薬指導は処方箋だけに行われるものではなく、市販の風邪薬などの一般用医薬品でも行われます。

例えば、処方箋を取り扱っていない……いわゆる「街の薬屋さん」などにも、白衣を着た薬に詳しい従業員がいるはずです。

このような薬剤師は、お客様(患者)の話を聞いて、その人にふさわしいであろう薬を考えて販売をしています。

ちなみに、一般用医薬品の中にもいくつかの種類が存在しますが、第1類医薬品に分類されるものは、薬剤師による説明が義務付けられています。

なぜ、薬を薬局に取りに行かなくてはいけないのか?

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現代は、病院で受け取った処方箋を薬局に持っていき、そこで薬をもらえる院外処方がほとんどとなっています。

しかし、昔は診察を受けた病院でそのまま薬を受け取れる院内処方が一般的だったのです。

「なぜ、今は病院内で薬をもらえないの?移動とか面倒なんだけど……」と疑問を感じる人は少なくありません。

実は、これにはいくつかの理由があるのです。

安全に薬を利用してもらうため

処方される薬は、ただの風邪であったとしてもいくつかの種類が渡されます。

他の病気もしくは高齢者の方などは、診療科ごとに薬が処方されるため、薬の数が多くなりがちです。

こういった時に、一つの調剤薬局に薬歴の管理を任せておくと、何か変更点などがあっても都度違いを説明してもらえるために安心して服用することが可能となります。

分業することで、それぞれの業務に専念できる

病院と調剤薬局に役割が分担(医薬分業という)することで、それぞれの業務に専念でき、質の高いサービスが提供できるようになります。

病院は、様々な病状を持った人が多数来院されます。

特に冬場などの風邪やインフルエンザにかかりやすい時期であれば、毎日たくさんの病人が訪れることでしょう。

そうなった時に、全ての業務を病院一つで対応しようとすると、そこで働く職員は手一杯となり質の良いサービスが提供できなくなる可能性が出てきます。

(もちろんあってはいけないことですが)薬を渡す際に説明が不十分であったり、患者の質問に丁寧に対応できる時間もあまり取れなくなるかもしれません。

こうなることを防ぐために、分業して調剤を薬局側に任せることによって、その問題がクリアされるのです。

薬について薬剤師から丁寧な説明がもらえますし、もし処方箋に疑問が発生すれば、すぐに発行した医師に確認を取るため患者側は安心して薬を受け取ることが可能となります。

薬の使い過ぎを阻止するため

医療費において、薬の占める割合は非常に大きいです。

つまり、少し悪い言い方をすると……薬を使えば使うだけ儲かるということです。

昔は病院の決めた薬を患者が飲むというチェック機能がなく、このことからたくさんの薬が患者に処方されることも多々あったのです。

それを防ぐために、薬剤師による「薬の量は適切か?」という二重チェックが行われるようになったのです。

薬が診療機関の収入に関係なくなれば、不必要な処方は減ります。

加えて、薬を多めに服用してしまうと、患者の身体にも副作用や飲み合わせの危険性などが発生するかもしれません。

こういった薬の過剰投与や薬害も未然に防ぐことができるということなのです。

処方箋が手元に残る

処方箋が手渡されるということは、当然書類が記録として手元に残ります。

上記でもお伝えした通り、薬剤師が内容に問題がないかをチェックできますし、どんな薬が処方されたのかを自分自身で確認することもできます。

加えて、患者の意思で調剤薬局を選ぶことができるというメリットにも繋がります。

以前からお世話になっている調剤薬局に持っていくなど、患者が安心して薬を受け取ることができるのです。

仕事内容は、職場によってどう異なる?

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冒頭でもお伝えしたように、薬剤師の勤め先はいくつかの種類があり、それぞれで仕事内容が異なります。

これまでに紹介したのは、調剤薬局やドラッグストアに勤める薬剤師の話ばかりでしたが、実はこういった場所に勤める人は全体の6割弱ほどしかいないのです。

では、他にはどういった施設で、どんな仕事をするのでしょうか。

薬剤師の勤め先としては、以下が存在します。

調剤薬局・ドラッグストア
病院・クリニック
製薬会社などの企業
保健所などの行政機関
幼稚園・小・中・高などの各学校

薬局についてはこれまでにお話してきましたので、それ以外についてもう少し掘り下げてみたいと思います。

病院・クリニック

主な仕事内容は、下記の通りです。

外患・入院患者のための、調剤や薬の管理
市販されていない薬の製剤
院内で使用する注射器の調整

チーム医療の担い手として、医師や看護師と連携をして、患者の対応へ当たっているのです。

また『がん』や『精神科』などの、より安全に配慮した薬を扱う病院もあります。

こうした施設で、スペシャリスト(認定・専門薬剤師)として活躍をしている方もいらっしゃいます。

製薬会社などの企業

主な仕事内容は、大きく3つ存在します。

①営業職として勤務
②新薬の研究開発
③学術情報の提供・薬の管理

特に、①はイメージできない人もいらっしゃるかもしれません。

営業=販売する商品の知識があり、それをプロモーションする必要があります。

訪問先は、病院や薬局など、プロの医師や薬剤師がいる施設ばかりです。

つまり、そういった人たちに自社製品の良さをうまくアピールするためには、こちらも相応の知識を持った人が対応する必要があるということです。

尚、薬剤師が勤める企業は、製薬会社だけではありません。

例えば、以下が挙げられます。

医薬品卸会社での、営業・在庫管理など
化粧品や食品メーカーでの、研究開発
開発業務委託期間での、新薬の開発
臨床開発モニター
治験コーディネーター

保健所などの行政機関

これは、国や都道府県などで公務員として働いている薬剤師で、全体で見ると2%ほどのごく少数の人のみとなります。

仕事内容は以下が挙げられます。

調剤薬局などの医薬品を販売する店舗にて、許可・監査・指導
地域の公衆衛生に関わる啓蒙活動や検査
麻薬取締官
自衛隊の薬剤官
刑務所内の薬剤師

各種学校

実は、大学以外の学校には、薬剤師を配置することが法律で義務付けられているのです。

主な仕事内容は以下の通りです。

教室内の換気・照明などの環境衛生の調査
教員・生徒たちの健康相談
プールの水質検査

ただし、これら学校の場合は、業務が毎日ある訳ではありません。

そのため、他の調剤薬局や病院の仕事と兼務している人がほとんどとなります。

薬剤師の年収はどのくらい?

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まずはじめに、薬剤師への道のりは非常に困難です。

これについては、別の記事にて詳細をお話しようと思いますが、端的に言うと以下の要件を満たす必要があります。

6年生の薬学過程を修める
薬剤師国家試験に合格する

4年生の薬学部では受験資格を得ることはできません。

このように、長期間の勉強を経て就ける仕事であるため、給与は高めに設定されています。

厚生労働省の資料に「第22回医療経済実態調査の報告」があるのですが、一般病院の場合の平均給与は以下のように記されています。

◆平均給与:4,449,610円
◆賞与:1,137,685円
◆合計:5,587,295円
参考:厚生労働省-第22回医療経済実態調査の報告

ただし、あくまで平均であり、勤める施設・地域・年齢によって金額は変動します。

とはいえ、収入の水準は高く、20代のうちから平均年収は400万円以上が見込めます。

また、経験を積む・役職につくなどで、600万円以上の年収を得ることも難しくありません。

尚、上記は正社員のデータとなりますが、雇用形態は他にも「アルバイト・パート」「派遣社員」なども用意されています。

いずれも、他業種の同じ雇用形態に比べ、給与は高く設定されているようです。

加えて、薬剤師は都市部より地方の方が、人数が不足していると言われています。もちろん条件によりけりではありますが、場合によっては都市部以上に好条件で勤務できる可能性もあるかもしれません。

薬剤師の将来性について

現状と今後の可能性

これまでにお伝えしてきた通り、医療分野において薬剤師は必要不可欠な存在です。

加えて、少子高齢化が進行し、慢性疾患(アレルギーなど)を持つ人も増加していることから、医療市場は拡大し続けています。

このことから、薬剤師はこれからも必要とされる仕事の一つと言って差し支えありません。

また、近年では化粧品やバイオ会社などで薬剤師の需要が増していますし、『スポーツファーマシスト』と呼ばれるスポーツ分野におけるドーピングの知識を持った薬剤師に注目が集まるなど、新たな分野での活躍も見込まれています。

薬剤師は「資格さえ取得できれば、一生就職に困ることはない」と、“言われていた”職業の一つです。

そのため、今後も早々に薬剤師の仕事がなくなるということはありません。

ただし、懸念点が2つあります。

今後、需要は減少していく……?

実際、現在は薬剤師の需要が少しずつ減少傾向にあります。

その最大の理由は「カルテや処方箋の電子化が進んだこと」です。

上記の入力作業は、これまでは薬剤師が自らの手で行っていました。

しかし、技術の発達により、こういった入力作業の多くは機械によって簡略化されており、ある程度人手が足りていなくても、十分に作業が行えるようになっているのです。

加えて、ディスカウントショップやコンビニなどでも医薬品の販売が進んでおり、薬局以外でも購入ができる時代になってきています。

薬の種類によっては『登録販売者』という資格があれば販売できるようにもなっていますし、いずれはインターネットでの薬の販売も増加していく可能性があります。

そうなると、これまでより薬剤師が求められる場が減少していく可能性も、無きにしも非ずなのです。

それに対して、現在は薬剤師を目指す人の数が増加傾向にあります。

薬学部の設置大学も増加していますし、いずれは就職先を見つけることが困難な時代が訪れるかもしれません。

まとめ

前述の最後に、少し将来性に対してネガティブな記載をしてしまいましたが、かといってすぐに薬剤師の仕事がなくなるということは絶対にありません。

それに、技術の進歩による機械化の影響については、薬剤師に限ったことではなく、どんな仕事でも共通して言えることです。

薬剤師は、その資格を生かして、幅広い就職先があるのが魅力の一つです。

いずれは狭き門になる可能性も否定はできませんが、常に世間のニーズに対して敏感に情報を集めていれば、その時代に応じて「どんな薬剤師が必要となるのか?」が明確に見えてくるはずです。

そうすれば、今後も長く薬剤師として勤めていくことができると思われます。

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