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「アルコール依存症」とは?症状や改善の仕方、アルコール中毒との違いについて解説します!

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「お酒は適度に嗜むもの」であり、適量であれば「食欲増進効果」「ストレスの緩和」「コミュニケーションを取りやすくなる」などのメリットもあります。

しかし、度を超してしまえば、体に悪影響を及ぼしてしまいます。

また、“ストレスのはけ口”としてお酒を飲む人もおり、人によってはお酒に「依存」してしまう場合もあるのです。

そうすると、いずれお酒の飲み方を自分でコントロールすることができなくなり、いつしかお酒を手放せなくなる人もいます。

これが、「アルコール依存症」なのです。

今回は、この「アルコール依存症」の症状や改善の仕方、また「アルコール中毒」との違いなどについて、詳しくご紹介していきたいと思います。

「アルコール依存症」とは?

概要


アルコールは、麻薬と共通する作用がある「依存性薬物」の一種です。

言ってしまえば、煙草やギャンブルと同じ。

自分の力でコントロールできる範囲で、人に迷惑をかけずに楽しめるのであれば問題はありません(煙草に関しては自他ともに悪影響しか及ぼしませんが……)。

しかし、依存性の高いものは、度を超すと“手段”から“目的”にすり替わることが多く、いつしかそれ無しでは生活に影響が出るほどに本人を蝕んでいく場合があります。

「アルコール依存症」の場合は、端的に言うと「一度飲みだすと、お酒が止められなくなる」というものです。

これは、飲酒する人なら誰しもがかかる可能性があり、脳の報酬系という神経回路が関係する、れっきとした脳の“病気”です。

依存症になる原因は?

原因は、人によってさまざまです。

若いころから大量にお酒を飲み続けて「お酒を毎日飲むのが当たり前」になっていたり、うつ病・パニック障害・摂食障害などの精神的な苦痛を和らげるために「薬代わりに飲酒し、どんどん飲酒量が増大していく」などのケースもあります。

いずれにせよ、お酒を飲むことが“手段”ではなく“目的”となってしまい、いつの間にか自分でも量をコントロールすることができなくなってしまうのです。

どんな症状を引き起こすのか?

まずは、「依存症状」として、以下を引き起こす可能性が高まります。

≪渇望と飲酒行動≫
・強い飲酒欲求

≪離脱症状≫
・自律神経症状
・精神症状

≪心理特性≫
・否認
・自己中心性

≪精神症状・行動異常≫
・暴言
・暴力
・徘徊
・行方不明
・妄想

この中でも、特に克服が難しいのが「離脱症状」です。

いわゆる「禁断症状」のことであり、体内からアルコールがなくなると、身体や手足の震え・吐き気・悪夢などのさまざまな不快症状が現れることとなります。

その不快感を脱するための簡単な方法はなにか?

そう、「アルコールを摂取する」ことです。

「良くないこと」と頭では理解はしていても、自分の意思でコントロールすることができなくなっているのです。

こうなってしまうと、自分一人の力では禁酒をすることは難しくなってしまいますので、病院で治療を受けたり・家族などの周囲の人の協力が必要不可欠となるでしょう。

また、「お酒は人を変える」などともいわれ、家族など周囲の人に暴言や暴力を振るい、周りの人を傷つけてしまう可能性もあります。

後は、お酒を飲み続けることによって以下のような問題に発展する可能性もあります。

≪身体・精神疾患≫
・肝臓障害
・身体障害
・うつ病
・不眠症

≪社会的問題≫
・自殺
・事故
・家庭内暴力
・虐待
・家庭崩壊

大量の飲酒が体に悪影響を及ぼしてしまうのは、言わずもがなです。

加えて、大量飲酒を続けていくことで、やがて健康状態や心のバランスが崩れてしまい、別の精神疾患や病気を引き起こす可能性もあります。

アルコールの大量摂取は、自分自身はもちろん、周囲の人をも傷つける可能性がある危険な行為なのです。

どうすれば「治療」できるの?


方法はただ一つ、「お酒を断つ=禁酒する」ことです。

ただ、依存症に陥っている人は自力で禁酒することはかなり難しいため、まずは病院や専門機関に相談にいきましょう。

治療方法としては、以下が主になります。

◆カウンセリングや病気の教育
◆断酒を続けるための具体的な技術の習得
◆安心して断酒できる生活環境のサポートといった社会心理的治療

症状が悪化していれば、入院となる可能性もあります。

まずは、「解毒治療」という、飲酒によって起きた身体の不調を改善する治療が行っていきます。

その後、アルコールを完全に断つためのリハビリ治療を行い、成果が出れば退院となるのです。

退院後であっても通院や服薬などを行い、医師の指導のもとで再びアルコールを摂取しないよう注意しながら生活していくこととなります。

尚、医療の発展に伴い、断酒に役立てられる薬も開発されてはいます。

例えば、離脱期に使われる離脱症状を抑える「抗不安薬」、離脱期終了後に使われる人工的に下戸にする「抗酒剤」、飲酒欲求を抑える「断酒補助剤」など。

しかし、薬さえ飲めば断酒できるようなものではなく、心理社会的治療との組み合わせが必要となります。

つまり、「薬を飲むだけで簡単に断酒できる」というような、都合の良いものは存在しないのです。

家族など周囲の協力も必要である

アルコール依存症の人は、自身でお酒の量をコントロールすることができません。

また、暴言や暴力などを振るい、迷惑を被っている家族も中にはいるかもしれません。

そのため、アルコール依存症を改善するためには、「家族など周囲の人たちの協力が不可欠である」といえます。

アルコール依存症について相談できる機関は、「保健所」「精神保健福祉センター」「精神科訪問看護」などいくつも存在します。

アルコール依存症に苦しんでいる人は、こういった機関に相談するのも良いかと思います。

ちなみに、もう一つ。

「アルコール依存症に関する正しい知識を身に付ける」ことも大切です。

「病気であることを隠す」という人もいますし、「心が弱い」「だらしがない」と……つまり“気持ちの問題”と捉えてしまう人もいます。

アルコール依存症は、習慣的に飲酒をする人であれば、誰でもなる可能性があります。

正しい知識を身に付けることで、見方や感じ方が変わり、お互いに過ごしやすくなることが期待できるかと思います。

「予防」するにはどうしたらいい?

アルコール依存症になると、自身に悪影響となることはもちろん、周囲の人にも迷惑がかかります。

また、病院や専門機関に入院もしくは通院しなければいけなくなるため、時間もお金もかかってしまいます。

「アルコール依存症にならないためにはどうすればいいか?」

解決法は至ってシンプルであり、「お酒を飲みすぎないor禁酒する」ことです。

「それができないから困っている!」という人は、アルコール依存症に片足を突っ込んでいる可能性が高いです。

なぜなら、「お酒の量を自分でコントロールすることができないから」です。

アルコール依存症は再発しやすい病気でもあるため、できるだけ軽傷のうちに専門の医療機関に受診し、治療を受けてください。

大切なことは、「本人や家族だけで問題を抱え込まないこと」です。

“アルコール依存症=病気”ということをしっかりと認識し、できるだけ早くに専門機関に相談することをオススメいたします。

「アルコール中毒」とは?

概要


こちらは、アルコールを一度に多く摂取する(し過ぎる)ことで起きる「中毒症状」のことを指しています。

一番分かりやすい例は、「お酒を一気飲みする」ことでしょうか。

アルコールというのは、胃や小腸で吸収され肝臓で分解されますが、分解には相応の時間がかかります。

しかし短時間に大量のアルコールを摂取してしまうと、その分解が追い付かなくなり、血中のアルコール濃度を急激に高めてしまうのです。

その結果、身体にさまざまな悪影響を及ぼすこととなります。

ちなみに、アルコール中毒は以下の2つに分類されます。

◆「急性アルコール中毒」:意識を失い生命さえも危険な酩酊状態を呈するもの
◆「慢性アルコール中毒」:長年にわたる大量の飲酒により生じる様々な問題を総称したもの

時に“アル中”と呼ばれることがありますが、これは厳密には「アルコール依存症」のことを指しています。

つまり、「アルコール摂取に関して、自身でコントロールできなくなる状態」のことを言うのです。

どんな症状を引き起こすのか?

まず、「どれくらいの飲酒量から急性アルコール中毒になるのか?」ですが、残念ながら現時点では明確な基準はありません。

一般的に、血中アルコール濃度が0.3%を超えると「泥酔期」という状態になり、0.4%以上になると「昏睡期」という状態に陥るとされています。

症状についてですが、お酒を飲み過ぎると「意識が朦朧とする」「千鳥足になって歩行が困難になる」こととなります。

他にも、声を掛けてもそれに応じず、眠ったように見えたり、動悸や呼吸困難、顔が真っ赤になるなどの症状も見られます。

また、人によっては、嘔吐する可能性もあり、“嘔吐のし過ぎが原因=消化器官の粘膜が傷つく”ことで、吐血することもあります。

そして、急性アルコール中毒(=短期間に大量に飲酒すること)が重篤化することによって、以下のような症状が引き起こされます。

◆昏睡
◆意識の混濁
◆呼吸回数の減少
◆言語の支離滅裂
◆血圧の低下
◆失禁
◆記憶の抜け落ちなど

最悪の場合、死亡する危険性もあるため、一刻も早く治療を行う必要があります。

「アルコールの臭いがする」「意識がなく、呼びかけたりゆすったりしても反応しない」「呼吸が少ない」「嘔吐している」「口から泡を吹いている」「体が冷えている」などの症状が確認された場合は、すぐに病院に連絡をするようにしましょう。

「イッキ飲み」はしない・させないこと

その場の雰囲気を盛り上げようとして、調子に乗って短期間に大量飲酒し、急性アルコール中毒になって病院に緊急搬送される……という人は一定数います。

また、周囲の人が「イッキ飲み」をせざるを得ないムードを作り出し、半ば強制的に実行させるケースもあります。

これらは、「命に関わる大変危険な行為である」ため、絶対にイッキ飲みをしない・させないようにしてください。

特に、20代の若年層が緊急搬送される場合が多く、その数は全体の約半数と言われています。

理由の一つに挙げられるのは、「お酒を飲み慣れていないため、自分の適正量や限界が分からず、つい飲み過ぎてしまう」からです。

もちろん、30代以上の人であっても急性アルコール中毒になる危険性はありますので、とにかくどんな人でも“短期間に大量飲酒するのは止める”ということを徹底してください。

万が一、周囲の人が酔いつぶれてしまった場合はどうしたらいい?

まず、嘔吐物で窒息しないように横向きに寝かせ、下顎を前に出して気道を確保してください。

また、体温も下がりますので、温めるために毛布などで体を覆うのも効果的です。

そして、もし軽傷で意識がある場合は、水分を取らせて血中アルコール濃度を下げるようにしてください。

このときの注意点は、「1人だけで放置しないこと」です。

お酒の席の場合、周囲の人もお酒を飲んでいる可能性が高く、気分が高揚している人も多いはずです。

そういうときは、周囲の人も「寝ていれば治る」「風にあたればスッキリする」など、楽観的に考えて泥酔している人を放置する(そっとしておく)ケースもあり得ます。

しかし、一人で放置しておくと、嘔吐物による窒息や転落などの事故を招く危険性があります。

命に関わる問題に発展する可能性もありますので、必ず1人だけで放置せず、危険な状態に陥っていないかを絶えず注意するようにしてください。

そして、名前を読んだり・ゆすっても反応がない場合は「昏睡状態」になっている危険性がありますので、すぐに救急車を呼んでください。

まとめ

お酒は“嗜む”ためにあり、決してお酒に“頼る”生活をしてはいけません。

自分の健康にも害を及ぼすばかりか、家族など周囲の人にも迷惑をかけてしまう可能性もあるのです。

アルコール依存症になっている人は、「お酒の量を自分の力でコントロールできない状態」にあるため、自身や周囲の人だけで解決することは難しいです。

気持ちだけでどうにかなる問題ではありませんので、できるだけ早めに専門の医療機関などに相談をしに行ってください。

そして、「短期間にお酒を大量に飲む」という行為も、絶対にしないでください。

自分がお酒を飲む場合は、お酒の量をセーブすること。

そして、「飲めない」「飲みたくない」と言っている人には、絶対に“強要しない”こと。

「先輩や上司が言うから……」「その場の雰囲気が悪くなるから……」と我慢する必要はまったくありません。

自分の身を守るためにも、絶対に「NO」と言いましょう。

その程度で切れるような関係、空気が悪くなるような環境であるならば、それまでだったと割り切ることも大切です。

最悪の場合、命に関わる問題となりますので、勇気を持って行動してください。

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