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「デイサービス(通所介護)」ってなに?施設の特徴やかかる費用、利用方法について解説します!

この記事は約12分で読めます。

国や民間が運営している介護施設には、実にさまざまな種類が存在します。

その中の一つに、「デイサービス(通所介護)」というものがあります。

◆どんな介護をしており、どのような特徴があるのか
◆利用にはどのくらい費用がかかるのか
◆どうすれば利用することができるのか

今回は、この「デイサービス」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

「デイサービス(通所介護)」とはなんなのか?


端的にまとめると、「要介護認定を受けた方が、可能な限り自宅で生活を行えるようにするための介護保険サービスの一つ」です。

()書きしている通り、「デイサービス」とも「通所介護」とも呼ばれます(この記事では、以下デイサービスと記載します)。

「訪問介護」のように専門の介護スタッフが自宅に訪問し介護をするわけではなく、「老人ホーム」のように施設に移り住むわけでもありません。

“利用者本人が自宅から日帰りで施設に通って、介護サービスを受ける”こととなるのです(送迎は施設側がしてくれます)。

これは、要介護者の支援および「QOL」の向上を目的とした高齢者向けの施設です。

QOLとは「Quality of Life(クオリティ オブ ライフ)」の略であり、「人生の質」「生活の質」などと訳されます。

つまり、「自分らしい充実した人生を送る」という意味になるのです。

いつまでも健やかで快適な人生を送るためにはQOLの向上が大切であり、そのための手段の一つとして、デイサービスが存在するのです。

また、上記と合わせて、“在宅介護で生じる介護者の負担を軽減する”ことも一つの目的となっています。

「デイサービス」と「デイケア」の違いは?

デイサービスとは別に、「デイケア」と呼ばれる施設もあります。

デイケアは「通所リハビリステーション」とも呼ばれており、こちらも介護保険サービスの一種となります。

同じ“通所”という明記があり、似ている印象を受ける人もいるかもしれませんが、両者は利用目的も人員体制も異なります。

まずデイサービスの目的は、“要介護者の支援およびQOLの向上”が目的となります。

生活相談員や介護士・看護師・機能訓練指導員を配置し、日常生活を送る上で必要な介助を中心としたサービスが提供されることとなります。

対してデイケアの目的は、“心身機能の維持回復や日常生活の回復、認知機能の改善”であり、リハビリが中心のサービスが提供されることとなるのです。

そのため、介護士や看護師以外にも、医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが配置されており、専門的なリハビリを受けることが可能です。

また、デイサービスでは医療ケアを受けることができませんが、デイケアでは医療ケアを受けることも可能です。
若干似た名称を受ける人もいるかもしれませんが、両者の特徴はまったく異なるのです。

尚、ここまでに何度か出てきた「介護保険サービス」ですが、こちらは以下の記事にて詳細をご紹介しておりますので、以下を参照ください。

受けられる「サービス内容」について


この施設では、主に以下の5つのサービスが展開されています。

◆「食事」
◆「入浴」
◆「機能訓練」
◆「レクリエーション」
◆「送迎」

それぞれ、順にご紹介していきます。

「食事」

デイサービスは、一般的に午前中~夕方にかけて利用することが多いです。

そのため、昼食・おやつ、中には夕食の提供や持ち帰り用の弁当を購入できるところもあります。

老若男女を問わず、食事は生活の基盤であり、健康的な毎日を過ごすためには必要不可欠なものです。

しかし、年齢を重ねるごとに食事の量や回数が減ってしまったり、さまざまな事情によって食事が食べれなかったりと、その内容に偏りが生じやすいのです。

在宅介護であれば、この食事の準備も大きな負担の一つとなりがちですが、施設を利用すれば毎回バランスの取れた美味しい食事が提供されるのです。

加えてもう一つ。

デイサービスでは、他の利用者と一緒に食事をすることから、他の人との会話やコミュニケーションを取りながら楽しく食べることができます。

そのため、家で食べるよりも高い満足感を感じる利用者も多いのです。

このように、健康的な食生活のサポートを行ってくれるのです。

「入浴」

人によっては、介助なしで一人で入浴することが難しい(不安な)高齢者もいますが、デイサービスでは入浴介助を行ってくれます。

浴室のタイプは施設によって違いますし、中には介護後の高い方でも入浴ができる機能が付いた施設もあります。
(一般的には、大浴場に利用者が順番に入浴するスタイルが多い)

自力でできることは利用者自身に取り組んでもらいつつ、体の洗浄や衣服の着脱などをサポートしてくれます。

「機能訓練」

これは、“日常生活上で必要な動作の維持・改善を目指して行う訓練”のことを指しています。

例えば、以下のようなものが挙げられます。

◆ラジオ体操
◆歩行訓練
◆脳トレ
◆マッサージ
◆口腔体操
◆関節可動域訓練 など

ちなみに、“機能訓練”“リハビリ”は違うものです。

リハビリは医師の指導のもとで行う必要があり、そのため「デイケア」には医師が在中しています。

しかし、機能訓練は医師の指導の必要がなく、介護士や機能訓練指導員などの職員が中心となって実施されることとなります。

「レクリエーション」

施設によって提供される内容はさまざまですが、例えば以下のような誰でも安全に楽しく参加できるものが実施されています。

◆囲碁
◆将棋
◆カラオケ
◆体を使ったゲーム
◆体操
◆作品作り など

利用者が楽しめるだけでなく、機能訓練の一環としての意味合いも持っています。

また、他の利用者と交流する機会でもあり、他者とのコミュニケーションが減少しがちな高齢者にとっての良い刺激となります。

「送迎」

デイサービスは、施設に通わなくてはいけませんが、中には体が不自由な方や体を動かすことに抵抗を感じる人もいらっしゃるでしょう。

そのため、デイサービスを利用する場合は、自宅までの送迎を行ってくれます。

車いすのまま乗降可能なリフト車もありますので、どんな状態の人でも安全・安心に通うことができるようになっています。

ただし、一つだけ注意点があります。

それは、「施設によって送迎可能な範囲が異なること」です。

自宅から施設までの距離が遠い場合は、家族による送迎が必要となることもありますので、ご注意ください。

利用するには、どうしたらいい?

まず「利用条件」ですが、“要介護認定”を受けている必要があります。

要介護度は、「要支援1→2」「要介護1→2→3→4→5」と区分されており、右に行くほど(数字が大きくなるほど)介護の必要度が高くなります。

基本的に、デイサービスの利用は「要介護1~5」と認定された方が対象となりますが、施設によっては「要支援」の方を受け入れているところもあります。

そして、利用方法の流れとしては、以下の順に進んでいくこととなります。

①「要介護認定の申請を行う」
 ↓
②「要介護度が認定される」
 ↓
③「ケアプランを作成する」
 ↓
④「施設を選択する」
 ↓
⑤「利用開始」

まずは「要介護認定」を受けることが必要であるため、各自治体の窓口で申請手続きを行ってみてください。

また、ケアプランの作成はケアマネージャーとともに行っていくこととなりますが、サービスの利用はケアプランに沿って進められます。

必ず、抱えている悩み事や不安、本人・家族の要望などをきちんとケアマネージャーに伝え、納得のいくケアプランを作成してもらってください。

最後に。

デイサービスは、施設によって提供されているサービス内容や費用、特徴などが異なります。

事前確認が重要となりますので、ケアマネージャーにおすすめを聞いてみるのも良いですし、気になる施設があれば一度見学しに足を運んでみるのも良いかと思います。

発生する費用について


介護保険を活用して利用することができますが、介護保険が適用される必要と適用されない費用が存在します。

まとめると、以下の通りです。

【介護保険が適用される費用】
・利用料金
・サービス加算

【介護保険が適用されない費用】
・食費
・その他の備品代など

まず利用料金ですが、自己負担額は原則1割となります(所得に応じて2~3割になることもある)。

ちなみに、介護保険サービスの費用は“円”ではなく“単位”で計算されており、デイサービスの利用に必要な単位数は“利用時間”“要介護度”によって定められています。

単位の単価は地域ごとに定められており、住んでいる地域などによって金額は変動します。

そしてサービス加算ですが、これは「入浴介助や機能訓練など追加で必要なサービスが行われた際に加算されるもの」であり、各サービスに対して単位数が定められています。

介護保険対象外となるのは、上記の通り「食費」と「その他」です。

施設で提供される食事は利用料金に含まれていないので、追加で費用がかかります。

この食費も施設によって費用は異なりますが、多くの場合は500円~1,000円程度にされています。

もちろん、食事が提供されない場合は、この費用が必要ありません。

その他ですが、これは施設が用意している日用品などを使用した場合、その分の料金が発生するというものです。

とはいえ、ほとんどのものが持ち込み可能となっているので、費用を抑えたい場合は自身の私物を持参すると良いかと思います。

「種類」について

上述でご紹介したような一般的な施設の他にも、「お泊りデイサービス」「リハビリ特化型」「認知症対応」など、さまざまな特徴を持った施設が存在します。

ここで、それぞれの特徴をご紹介しておきたいと思います。

「お泊りデイサービス」

その名の通り、宿泊施設のあるデイサービスのことです。

通所介護ができる施設で日中の介護サービスを受けた後、そのまま施設に宿泊することができます。

慣れた施設での宿泊となるため、利用者も家族も安心して利用することができます。

それに、介護者や家族の負担を軽減する役割も持っています。

ただし、要注意点として、「介護保険対象外となる=利用は全額負担となる」という点には注意しておきましょう。

「リハビリ特化型」

その名の通り、「リハビリ」に特化したデイサービスです。

◆入浴や食事などの日常的な支援は必要ない場合
◆一般的なデイサービスに通いづらいが機能訓練は受けたい場合

など、「介護保険を利用して機能訓練を受けたい」と考える人が利用することが多いです。

リハビリ専門スタッフ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)が在籍しており、短時間に集中してリハビリを行うことができます。

また、機能訓練にサービスが集中していることから、時間や費用をある程度抑えることもできます。

ただし、「入浴や食事などのサポートがない」という点や、「医師の配置が義務ではない」というデメリットも存在します。

あくまで“デイサービス”であり“デイケア”ではないので、医師のサポートが必要な方には向いていない(介護度が高くなると利用が難しくなる)という点には注意しておきましょう。

「認知症対応」

これもその名の通り、「認知症」の方を専門としたデイサービスのことを指しています。

一般的なデイサービスとサービスの流れは概ね共通していますが、より認知症の方に配慮した内容でサポートが行われることとなります。

ただし、こちらを利用するためには、以下の利用条件を満たさなくてはいけません。

◆自分が住んでいる市区町村の事業所であること
◆要支援1・2もしくは要介護1~5の認定を受けていること
◆医師により認知症と診断されていること

事業所によって細かな対応の仕方が違うため、事前にしっかりと情報収集を行っておくことをオススメいたします。

デイサービスを利用する「メリット」「デメリット」について

活用するメリットはたくさんありますが、同時に注意しなければいけないデメリットも存在します。

この項目にて、利用する際のメリット・デメリットについて解説していきます。

「メリット」について

メリットとして挙げられるのは、大別すると以下の3つです。

①「心身の機能の維持・向上が期待できる」
②「生活の質(QOL)を高めることができる」
③「介護者や家族の負担軽減につながる」

食事・入浴・排泄などの介助を受けたり、機能訓練を行ったりして、総じて生活の質(QOL)を高めることができます。

また、他の利用者との交流を通して、“高齢者の孤立を防ぐ”ことができるのも、大きなメリットといえます。

また、デイサービスに通っている時間帯を活用することで、介護者や家族の介護の負担を軽減する役割もあるのです。

「デメリット」について

次にデメリットに関する点ですが、大別すると以下の3つが挙げられます。

①「費用がかかる」
②「利用者がストレスに感じてしまう場合がある」
③「施設によってサービス内容に違い(差)がある」

まず①ですが、介護保険を利用できるとはいえ、利用すれば大なり小なり費用が発生することとなります。

特に要介護度が重度の場合は、費用負担が大きくなることも考えられます。

また、食費など介護保険適用外の料金も発生するため、利用時には費用についてもしっかり考えておく必要があるといえます。

そして②ですが、デイサービスにはさまざまな種類が存在し、またスタッフや他の利用者など多くの方々と接する機会があります。

人には相性があるため、「施設の雰囲気の馴染めない」「スタッフや他の利用者と相性が合わない」など、デイサービスの利用がストレスになってしまう可能性もあるのです。

実際に通ってみないと分からない点ではありますが、見学なども行えるので、事前に施設の特徴を把握しておくのも大切かと思います。

最後に③ですが、施設によってさまざまな特色があります。

「食事に力を入れている」「入浴にこだわっている」「機能訓練に特化している」「レクリエーションの内容が豊富(集団で行うことがメインか、個別で楽しむことがメインかなども)」など、同じデイサービス施設であってもその特徴は施設によって異なるのです。

「自宅から一番近いから……」という理由で施設を選択してしまうと、「思っていたのと違う」「希望していたサービスが提供されない」といったことも起こり得る可能性があるため、注意しておきましょう。

ただ、施設の特徴に関しては、事前に確認することができるはずです。

ホームページを見たり・見学に行ったりなどして、事前にしっかりと特徴を把握しておくことをオススメいたします。

まとめ

以上が、「デイサービス」についてのご紹介となります。

デイサービスを利用するには条件があり、誰しもが利用できるものではありません。

そして、逆に利用条件に当てはまっているからといって、必ずしも利用しなければいけないわけでもありません。

ただ、利用することのメリットは多いので、充実した日々を過ごすことができることは確かだと思います。

◆日常行動が困難な方
◆バランスの良い食事の提供が難しい方
◆家から出る機会があまりない方
◆他者との関わりを増やしたいと考えている方
◆家から出る機会があまりない方

など、“不安などを抱えている人”だけでなく、“より良い環境の中で過ごしたい”と考えている人にとってもオススメできる施設です。

ただし、施設によって特徴は異なり、また利用する際にデメリットも生じる可能性があることから、「どの施設を選択するか?」はしっかりと検討を行った方が良いかと思います。

利用者本人のため、そして介護者や家族の負担軽減のため、ぜひデイサービスの利用を検討してみてください。

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