柔道整復師と聞くと「接骨院」や「整骨院」で怪我を治してくれる人というイメージがありますよね。
柔道整復師は骨折や捻挫などの怪我を負った人に対して、診察や運動療法・物理療法などの治療を行う専門家です。
柔道整復師の活躍の場は「接骨院」や「整骨院」だけには留まらず、様々な場所で活躍します。
この記事では柔道整復師の仕事内容や活躍の場について詳しく解説していきます。
柔道整復師って一体どんなお仕事なの?
柔道整復師は、骨折や打撲、捻挫などの怪我に対して外科的手術によらない「非観血的療法」によって治療を行う専門家です。
柔道整復師はあくまで怪我を治療する専門家なのです。
なので猫背矯正や骨盤矯正などといった業務は範囲には含まれせん。
柔道整復師の仕事は、大きく分けて「①評価②整復法③固定法④後療法⑤保険取り扱い」の5つです。
それぞれ詳しく解説していきます。
①評価
まずは、症状の出ている患者さんへの診察を行います。
仕事の範囲内であれば柔道整復士は、自ら患者さんを診察することができます。
診察は以下の3つの手法で行います。
・問診
現在出ている症状や病歴について、患者さんから直接聞くこと。
・視診
症状が出ている箇所を直接目視で確認し、判断すること。
・触診
症状が出ている箇所に直接触れることで、症状の程度や原因を判断すること。
②整復法
「ほねつぎ」と呼ばれている手技で、骨折や脱臼などによりずれてしまった骨や関節を元の位置に戻す手法です。
手を使ってけん引や圧迫をすることで、骨や関節を元の位置に戻します。
③固定法
整復法によって元の位置に戻した骨や関節を、固定することで回復を目指していく手法です。
金属副子やギプス、包帯などを用いて患部を固定します。
使う器具や包帯の巻き方によっても固定の力が変わるので、その患者さんに合った方法で固定をします。
④後療法
整復法や固定法によって治療を行なった患部に対して、その回復を早めるために行う手法です。
後療法は以下の2つの手法で行います。
・手技療法
手を使ったマッサージで患部に刺激を与えることで、患者の治癒力を促進する手法です。
手や指で患部をさする「軽擦法」、筋肉に圧力を加える「揉捏法」、患部を軽く叩き刺激を加える「叩打法」、患部を圧迫する「圧迫法」などの手法があります。
・物理療法
患部に物理的な刺激を与えることによって、機能の回復を目指す手法です。
患部に電流を流して痛みを和らげる「電気療法」、患部に特殊な光線を当てることで治癒力を高める「光線療法」、患部を温めることで痛みを緩和する「温熱療法」、患部を冷やすことで炎症を抑える「冷却療法」などがあります。
⑤保険取り扱い
接骨院や整骨院の施術には、健康保険が適用されます。
柔道整復師には「受領委任」という制度が認められており、患者さんが自己負担分を柔道整復師に支払い、柔道整復師が保険者に残額を請求するしくみです。
患者さんへの施術後は、この「受領委任」に関する事務を行うことも仕事の一つ含まれます。
柔道整復師の人数や男女比
柔道整復師の人数
厚生労働省による平成30年の「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、平成30年における柔道整復師の人数は73,017人でした。
あん摩マッサージ指圧師が118,916人、はり師が121,757人であることから、柔道整復師は同業職と比べて全体の人数は少ない傾向にあることがわかります。
また、柔道整復師が施術を行っている施設数は50,077か所となっています。
柔道整復師の男女比
柔道整復師の男女比は概ね7:3の割合で男性が多い職業とされています。
また、日本健康医療専門学校のデータによると柔道整復師を養成する学科の男女比も7:3で男性が多いという結果になっています。
しかし、最近では女性専門の整体なども増えてきていることから、女性の柔道整復師の需要も増えていくと言えるかもしれません。
柔道整復師の活躍の場
柔道整復師と言えば「接骨院」や「整骨院」で働いているイメージがありますが、柔道整復師の活躍の場はそれだけではありません。
ここでは柔道整復師の主な活躍の場所がどこなのかついて解説していきます。
整骨院・接骨院
柔道整復師の活躍の場として代表的なのが、整骨院や接骨院です。
仕事内容は怪我をした患者さんへの治療をメインとして、骨盤・猫背矯正やマッサージ、院の運営に関する事務的なことまで多岐に渡ります。
病院に比べて身近な存在であるため、地域の人と深く交流することができるやりがいのある職場だと言えるでしょう。
将来的に自身で独立開業を目指している人は、接骨院や整骨院で経験を積んでおくと良いかもしれません。
医療施設
病院や診療所の整形外科やリハビリテーション科での勤務になります。
柔道福祉士の求人は、リハビリやスポーツ整形に力を入れている医療機関で多い傾向にあります。
仕事内容はリハビリ職としてマッサージやマニプレーションを担当することが多く、中には医師の補助的な役割でギプスの装着などを担当することもあります。
病院や診療所には他の医療職が多く在籍しているので、整骨院や接骨院では経験できない他職種との連携を経験することができます。
スポーツ関連
柔道整復師はもともと柔道の現場で応急処置を行っていたことからできた資格です。
ですから、スポーツ関連の現場に就職する人も少なくありません。
スポーツジムやスポーツチームに所属して、インストラクターとして運動指導や怪我の処置などを行います。
また、健康管理や栄養管理・マッサージなどを行うこともあります。
介護施設
介護施設での柔道整復師の求人は高齢化に伴い、増加傾向にあります。
リハビリ型のデイサービスや介護老人保健施設などで柔道整復師の求人は多く見られます。
仕事内容は、利用者の方への運動指導やマッサージ、健康管理などがメインとなります。
柔道整復師に向いている人
コミュニケーション力がある人
柔道整復師は地域の接骨院や整骨院に勤務することがとても多いです。
病院などの医療機関に比べて地域に近い存在であるため、地域の人との交流は欠かせません。
柔道整復師としての施術のスキルはもちろん、患者さんとの会話を楽しめる人や、近隣の方と良い関係を築いていける人など、コミュニケーション力のある人が向いていると言えるでしょう。
体を動かすことが好きな人
柔道整復師はスポーツトレーナーとしてスポーツジムで働く人や、介護施設で運動指導を行っている人も多くいます。
そのため、仕事の中で自分自身が大きく身体を使う場面も少なくありません。
自分自身がスポーツをしていた人や、身体を動かすことが好きな人は柔道整復師に向いていると言えるでしょう。
経営に興味がある人
柔道整復師の魅力のとして、自身で接骨院や整骨院を開業する開業権があるということが挙げられます。
自分の院を開業すれば、ある程度自分の好きな働き方ができるようになります。
将来的に自分の院を構えて経営したい人、長く勤めたいという気持ちがある人は、このお仕事に向いていると言えるでしょう。
まとめ
柔道整復師は骨折や捻挫などの怪我を負った人に対して、外科的手術によらない「非観血的療法」で治療を行う専門家です。
主な活躍の場は整骨院や接骨院を始め、病院、スポーツジム、介護施設など多岐に渡ります。
自分で開業することができるところが柔道整復師の魅力なので、将来的に独立したい人や長く勤めたい人にはオススメの職種だと言えます。