「鍼灸師になりたいけれど、具体的にどんなお仕事なんだろう?」
そう思っている人もいるのではないでしょうか?
実は鍼灸師の働く場は、近年ますます広がってきているんです。
この記事では鍼灸師のお仕事の内容や勤務先についてご紹介していきます。
鍼灸師とはどんなお仕事なの?
鍼灸師とははり師ときゅう師の総称
鍼灸師という職業ってよく聞きますが、実は「鍼灸師」という資格は存在しません。
両方の資格を有している人が多いことから、総称して鍼灸師と呼ばれています。
はりきゅう・あん摩マッサージ指圧は、中国で古くから伝わる東洋療法と呼ばれるもので、人間の免疫力を高めて不調を改善する療法です。
はり師とは
はり師とは、ステンレス製や銀製などの細い針を使い刺激を起こし、体の免疫力を高めることで不調を治していくお仕事です。
鍼治療で使われる鍼は注射針の3分の1ほどの細さで、ほとんど痛みを感じることなく施術を受けることができます。
治療内容は鍼を刺すだけには留まらず、鍼に電流を流して刺激を与えるものなど、様々なものがあります。
はり師が対象とする症状は、肩こりや腰痛だけではなく、頭痛や便秘など内因的なものから外因的なものまで多岐に渡ります。
はり師はそれぞれの症状に効く身体のツボを熟知しているので、その人に合ったツボを押さえることで不調の改善を目指します。
また、最近では顔のたるみやシワの改善といった美容を目的とした鍼治療も進んでいます。
きゅう師とは
いわゆるお灸を使って身体を刺激し不調を治していくのがお仕事です。
ヨモギの葉の繊維で作った「もぐさ」というものを燃やして、身体を刺激します。
お灸の種類には、直接灸・間接灸・無痕灸の3種類があります。
直接灸とは、肌に直接もぐさを乗せて燃やして治療する方法です。
間接灸とは、紙や容器などにもぐさを乗せて間接的に肌を熱する方法です。
無痕灸とは、肌ともぐさの間に台紙などを置いて熱さを和らげたり、熱を感じたらすぐにもぐさを取り除くことにより、肌に痕を残さない方法です。
きゅう師が対象とする症状は、はり師と同じく内因的なものから外因的なものまで多岐に渡ります。
お灸で熱を与えることによって血行が良くなり、身体の不調を改善させることができます。
鍼灸師として働くためには国家資格を取得すること
はり師ときゅう師のそれぞれの国家資格を取ることが必要です。
国家試験の難易度は、合格率が例年70%前後となっています。
国家試験を受験するためには、鍼灸師について学校で学び、卒業することで受験資格を得ることが必要になります。
鍼灸師の働く場
ここでは鍼灸師がどのような場所で働いているのか見ていきましょう。
治療院
代表的な勤務先は、鍼灸の施術を提供している鍼灸院などです。
鍼灸師は医師の同意書があれば、保険適用による治療を行うことができます。
神経痛や腰痛などの症状に対する保険治療を行ったり、頭痛や肩こりなど慢性的な症状の治療を行ったりします。
鍼灸師は自分で院を構えることができる開業権を持っているので、将来的に独立を考えている人は鍼灸院などで経験を積むと良いでしょう。
医療機関
主な勤務先は、病院・診療所・助産院などです。
医療機関では整形外科やリハビリテーション科などに勤務することが多く、医師の指示に従ってはり・きゅうの治療を行います。
また、不妊治療やつわり・逆子などに鍼やきゅうの治療を取り入れている婦人科などもあります。
病院では医師や看護師などの医療職や、理学療法士・作業療法士などのリハビリ職など様々な職種との連携を経験できることがメリットです。
スポーツ関連
主な活躍の場は、スポーツジム・プロスポーツチーム・企業スポーツチームなどです。
スポーツチームに所属する場合は、主に選手の身体のメンテナンスを行います。
鍼灸治療の他に、日頃からの健康管理やトレーニング方法に関する助言などを行う場合もあります。
プロのスポーツチームと契約できる人は、鍼灸師としてある程度の勤務経験を積んでいる人です。
専門学校ではスポーツトレーナーを養成するための「スポーツ鍼灸学科」がある学校もあるので、将来的にスポーツトレーナーとして働きたい人は目指してみるのも良いかもしれません。
また、スポーツチーム以外にも地域のスポーツジムなどで勤務する場合もあります。
スポーツジムに治療院が併設されているところも多く、ジムの利用者に対して健康やトレーニングに関する助言を行ったり、その場で治療を行います。
美容関連
主な活躍の場は、美容に特に特化した鍼灸サロンが多いです。
鍼治療では、身体を鍼で刺激して血行を促進して身体の不調を整えます。
それを美容に活かすことでシワやたるみの改善、肌荒れの改善などの効果を得ることができます。
美容に特化した鍼灸院では鍼治療と合わせて、「かっさ」という板を使って肌に刺激を与えることで治療する方法なども取り入れられています。
このような傾向から、鍼灸師の資格は持っているだけで、美容系のサロンなどへ勤めるときも有利になると言えます。
美容に特化したサロンでは女性が活躍できるので、鍼灸師を目指している女性は選択肢に入れてみてもいいのではないでしょうか。
介護関連
鍼灸師は機能訓練指導員として、デイサービスや介護老人保健施設などの介護施設で勤務している人もいます。
施設の利用者に対して身体機能の向上を目指した訓練を行うことが介護施設での鍼灸師の主な役割になります。
筋力アップのためのマシーンを使ったり、体操などを行うことで身体機能の維持向上を目指します。
また、介護施設だけではなく「高齢者鍼灸」として高齢者の自宅に訪問し施術をする場合もあります。
開業をする
鍼灸師は開業権を持っているので、鍼灸院を自分の力で経営することができます。
専門学校を卒業した後に治療院や医療機関で数年経験を積み、独立する人も多いです。
自分で経営していくことで更なる収入アップを目指せたり、自分に合った働き方ができるので、自分のスキルを活かしたい人は独立を目指してみても良いのではないでしょうか。
鍼灸師のやりがい
鍼灸師として働く上でのやりがいについて、説明していきます。
患者さんの変化を見られること
鍼灸師として働く上での一番のやりがいは、やはり患者さんの変化を見られることです。
鍼灸治療は薬を使用しない治療なので、患者さんの身体への負担も少なく、自分の施術の効果で患者さんの不調を治療できる点がやりがいを感じられるポイントなのではないでしょうか。
肩こりや腰痛などの緩和はもちろん、美容のための鍼灸でシワやたるみが改善され笑顔になる患者さんを見られることがモチベーションの向上にも繋がります。
様々な分野の職場で活躍できる
鍼灸師は鍼灸院はもちろん、美容関係やスポーツ関係など様々な分野で働いている人が多いのが特徴です。
一つの職場に囚われず、様々な現場での仕事を経験してみたいという人にとって鍼灸師として働くことはとてもやりがいがあると言えます。
医療や介護の現場では、医療職や介護職など自分とは違った職種の人とも出会えるので、多くの人とコミュニケーションを取ることが好きな人にとってはとても興味深い仕事であると言えます。
まとめ
鍼灸師とは、鍼治療、灸治療を行うはり師、きゅう師それぞれを総称した呼び名のことです。
鍼やお灸を使って身体に刺激を与え、免疫力を高めることで身体の不調を整えることがお仕事です。
鍼灸師が働く場は近年さらに広がってきており、様々なジャンルで活躍できる点が鍼灸師のメリットであると言えます。