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定年後は「再雇用」と「再就職」のどちらを選ぶべきなのか?それぞれのメリット・デメリットを解説します!

この記事は約10分で読めます。

高齢化が進み、定年後も働くことを希望する人は増加しています。

また、少子化が進んでいる現代は、さまざまな企業で従業員の人手不足が問題視されており、人手不足解消への対策が急務となっています。

そのため、企業にとっても高齢者が(これからの経営戦略において)必要不可欠な存在であることに間違いはありません。

前回の記事にて、「再雇用制度」についてのご紹介をさせていただきました。

定年退職を迎え、「再雇用」を希望する人もいれば「再就職」を希望する人もいます。

実際、どちらを選択する方が良いのでしょうか?

今回は、それぞれのメリット・デメリットについて、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

「再雇用」とは?


働く意欲がある高年齢者が、その能力を十分に発揮できるよう環境整備を図るための法律として「高年齢者雇用安定法」というものがあります。

2021年4月1日に改正法が施行され、行法で定められている65歳までの雇用確保義務に加え、70歳までの就業確保措置をとることが努力義務として追加されたのです。

その中の一つに、「継続雇用制度の導入」というものが存在します。

これは、“定年後も従業員の希望に応じて雇用を延長する制度”のことを指しており、「再雇用制度」「勤務延長制度」の2つに分けられます。

◆「再雇用制度」 :一度退職扱いにしてから再度雇用して、雇用を延長する制度のこと
◆「勤務延長制度」:従業員を退職させることなく、雇用を延長させる制度のこと

この継続雇用制度の対象となるのは、“定年後も継続勤務を希望する人”となります。

「再就職」とは?


これは、その名の通り“自分で新たな就職先を見つける”ことです。

◆ハローワーク
◆シルバー人材センター
◆人材紹介
◆転職サイト
◆再就職支援

などを活用し、自分の力で求人を探していく必要があります。

中には不安を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、シニア向けの人材紹介サービスも展開されているので、うまく活用することで自分の年齢に適した求人を紹介してもらうこともできるはずです。

ちなみに「再就職支援」というのは、再就職を目指す人向けの人材サービスのことをいい、キャリアコンサルタントによる以下のような手厚いサービスを受けられるのが特徴です。

●求人紹介
●履歴書添削
●面接対策
●退職後の精神的なケア
●豊富な研修 など

ただし、これらサービスを利用するためには、“出身企業が再就職支援会社と契約していること”が条件となります。

利用を検討している人は、退職前に企業側へ確認をしておいてください。

「再雇用」を選ぶメリット・デメリットとはなにか?

メリットについて

こちら選択するメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

①「慣れ親しんだ場所で働ける」
②「一から仕事を探す手間がない」
③「厚生年金の受給額が増える」

順に補足を加えていきます。

メリット①「慣れ親しんだ場所で働ける」

基本的には定年前と職場が同じであることが多いため、通い慣れた場所+これまで一緒に働いてきた同僚たちと継続して働くことが可能となります。

引っ越しや通勤経路を変更する必要もないですし、人間関係のリセットが行われることもありません。

要するに、“これまでの生活スタイルを維持できる”のです。

環境が変わると、肉体的・精神的にもストレスがかかる場合があります。

そういったストレスを軽減することができるのです。

メリット②「一から仕事を探す手間がない」

再雇用を選択しなかった場合、新しい就職先を自分で見つけなくてはいけません。

求人を探すことはもちろん、履歴書を書いたり面接をしたり……と、さまざまな手間がかかってしまうのです。

こちらの場合は、同じ職場で働くことができるため、仕事選びに時間がかかることはありません。

メリット③「厚生年金の受給額が増える」

60歳以降も働き続けることで、65歳から受け取る厚生年金の受給額を増やすことが可能となります。

加えて、雇用の継続している間は会社の健康保険に加入ができます。

年齢を追うごとに、さまざまな病気やケガに注意しなくてはいけなくなりますが、万が一のときであっても“医療費の負担を少なくすることができる”というメリットにもつながるのです。

デメリットについて

次にデメリットについてですが、主に以下の3点が挙げられます。

①「ミッションや役職が変わってしまう」
②「賃金などのトラブルが発生する可能性がある」
③「65歳以降は自分で仕事を探す必要がある」

順に補足を加えていきましょう。

デメリット①「ミッションや役職が変わってしまう」

仮に仕事内容が同じであったとしても、ミッションや役職が変わってしまうことがあります。

例えば、これまで任されていたミッションから外されてしまったり、今まで部下だった社員が自分の上司になるなどです。

そうなると、仕事に物足りなさを感じたり、精神的なストレスを感じたりすることもあるかもしれません。

デメリット②「賃金などのトラブルが発生する可能性がある」

上記に付随して、定年前よりも給与が下がってしまうことが多いとされています。

また、雇用形態も正社員ではなく「嘱託社員」「パート」「アルバイト」などに変更されてしまう可能性もあり得ます。

こういったものがキッカケで、企業と従業員の間でトラブルに発展する可能性もあるのです。

勤務条件や雇用形態などについては、定年前に企業側と細かくすり合わせをしておくことをオススメします。

デメリット③「65歳以降は自分で仕事を探す必要がある」

上項でご紹介した「高年齢者雇用安定法」で企業に義務付けられているのは、“65歳まで”の継続雇用制度です。

“70歳まで”は、現時点ではあくまで「努力義務」なのです。

もちろん将来はどうなるか分かりませんし、将来的には70歳までを義務付けられる可能性もあるかもしれません。

ただ、現時点では65歳までの継続雇用制度が義務付けられているだけであり、66歳以降も就業し続けられる制度を設けている企業は、全体の2割~3割程度しかありません。

つまり、65歳以降も働きたい場合は、自分で再就職先を探す必要があるのです。

「再就職」を選ぶメリット・デメリットとはなにか?

メリットについて

まずは、こちらを選択した場合のメリットについてです。

メリットとしては、以下の2つが挙げられます。

①「環境を一新することができる」
②「65歳以上も勤務し続けることができる」

こちらも、順に補足を加えていきたいと思います。

メリット①「環境を一新することができる」

最大のメリットして挙がるのが、この「環境を一新できる」という点にあります。

前職を活かした仕事に就くも良し、前職に捕らわれず自分の希望に沿った仕事を選択するも良し。

また、職場が変われば人間関係も一新されることとなります。

新たな職場で友人ができたり、趣味でつながれるコミュニティを形成できたりもするかもしれません。

「人生100年時代」と言われている現代。

仮に60歳で定年退職を迎えたとしても、その後の人生はまだまだ長いです。

「これからの人生のことを考えて、さまざまな人と交流を持っておきたい」という人には、良いチャンスだといえるかもしれません。

メリット②「65歳以上も勤務し続けることができる」

再雇用のデメリットの項目でも記載した通り、再雇用の場合は(現時点では)“65歳まで”しか雇用が保証されません。

しかし、再就職の場合は65歳以降も雇用を継続できる可能性があるといえます。

現代は、66歳以降も働きたい(働かざるを得ない)といった高年齢者も増加しています。

ただ、年齢を重ねるごとに就職がしづらくなることも事実ではあります。

「将来のことを考えて、早めに自分に合った仕事を見つけておきたい」という人にとっては、再就職の道を選ぶのも良いかと思います。

デメリットについて

次にデメリットについてですが、これは以下が挙げられます。

①「仕事を一から探す必要がある」
②「仕事を一から覚えなおさなければならない」
③「ブランクが開いてしまうこともある」

これも、順に補足を加えていきます。

デメリット①「仕事を一から探す必要がある」

やはり、仕事探しを一から始めなければいけないのは、大きなデメリットといえます。

確かに、シニア向けの人材紹介サービスは増えてはいます。

しかし、それでも60歳以降の人材を対象とする求人は数が限られており、自身の希望を100%叶えられるような仕事を見つけるのはなかなかに難しいです。

それに定年後の再就職では、以前よりも条件が悪くなる可能性も否定はできません。

雇用形態が変わったり・賃金や待遇が以前に比べて悪くなったり……ということもちろん、他にもこれまでとは違った何かしらの不満を感じてしまうことが多いのです。

しかし、次の仕事を早く見つけなければ、無給となり生活に支障をきたす恐れもあります。

仕事を早く見つけなければいけない。

でも、なかなか自分の希望に合った仕事を見つけられない。

結果、再就職活動が長引いてしまう……。

こういった、負のスバイラルに陥ってしまう可能性もあるのです。

デメリット②「仕事を一から覚えなおさなければならない」

もう一つのデメリットは、「仕事を一から覚えなおさなければならない」という点です。

加えて“新入社員”という扱いで仕事をスタートすることになるため、これまで培ってきたキャリアはほとんど意味を成さなくなります(知識や経験を活かすことはできるが)。

もちろん、人間関係も一新され、一から人間関係を構築していかなくてはなりません。

「気持ちを一新できる」というメリットにも取れますが、人や環境によっては「すべてを一からやり直さなくてはならない」という見方もでき、精神的なストレスになってしまう恐れもあるのです。

デメリット③「ブランクが開いてしまうこともある」

これも人によりますが、退職後にすぐに就職活動をする人もいれば、少しお休みを取る人もいます。

「これまで長く会社に勤めていたのだから、少しくらいは休息をとりたい」と考えるのは至極当然なことです。

しかし、“休息をとる=ブランクが空く”こととなってしまいます。

職場復帰への期間が長くなればなるほど心理的な抵抗も大きくなりますし、無給の状態が続くことから不安を感じることもあるかもしれません。

それでなくても、再就職=仕事探し・履歴書の記載・面接など、仕事に就くまでの間にやらなければいけないこと(思い出さなくてはいけないこと)が多々あります。

なかなか希望の条件が見つからずに、精神的にプレッシャーとなることもあり得ます。

ブランクが空くほどに再就職がしづらい環境になっていくこともあるので、この点には十分に注意しておいた方がいいかもしれません。

まとめ


どちらにも一長一短があり、どちらを選択するかは人それぞれで異なります。

それぞれの特徴をしっかりと理解し、自分に合った方法を選択してみてください。

ちなみに、どちらにおいても言える“成功のポイント”というのはあります。

一つは、「生活の収支を正しく計算しておくこと」です。

生きがいのために仕事をする方もいらっしゃいますが、それでも「生活のために仕事をする」ことにも違いはありません。

この時、仕事選びと深い関わりを持つのが「生活費」です。

定年後→年金の受給が始まるまでの間は、収入が下がるケースがほとんどです。

また、人によっては「年金だけでは生活できない」という人もいるはずです。

だからこそ、事前に“生活における収支を正しく計算しておく”必要がありますし、“年金の受給予定額についてもある程度予測しておく”必要があるのです。

そうすれば、「いくら生活費が必要なのか?」がある程度把握できるようになります。

そしてもう一つは、「”やりたいこと”と”妥協できること”のバランスを考えること」です。

再雇用であれ再就職であれ、自身の要望がすべて叶うことはほぼありません。

だからこそ、「絶対に譲れないもの」「ある程度妥協できる条件」を整理しておく必要があるのです。

できる限り、具体的なケースで想像しておくといいでしょう。

もちろん、「何のために働くのか?」を明確にしておくことも大切です。

“生きがいのため”なのか、“生活のため”なのか……。

目的が明確であればあるほどに、選択もしやすくなるかと思います。

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