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【救急救命士】今後のニーズはどうなっていくのか?現状や将来性について徹底解説!

この記事は約9分で読めます。

これまで救急救命士という職業・国家資格について、様々な記事を公開してきました。

【仕事内容や勤務地、救急救命士の歴史について】

【救急救命士のなり方・国家試験の内容や合格率について】

「救急救命士の勤務形態・給与や福利厚生について」

「救急救命士に適性のある者とは?そして仕事の辛い・大変なこととは?」

結論、「危険と隣り合わせの仕事」であり「人々の命を守る仕事」である救急救命士は、誰にでも(簡単に)なれるものではありません。

しかし、職に就くための道のりが困難な反面、現代には必要とされる職業であり今後もその需要は増えていくものと考えられています。

今回は、「救急救命士の現状と将来性」について、詳しくご紹介していければと思います。

救急救命士の現状のニーズは?


まずは、現状のニーズから詳しくご紹介していきたいと思います。

「救急車」の出動件数は年々増加している

これまでの記事でもご紹介した通り、現在の救急救命士は「消防署」に勤務する人がほとんどです。

急病や火事・交通事故などの“人為災害”、台風や地震などの“自然災害”などが発生した際に119番の通報を受けて早急に現場まで向かうこととなります。

そして、その現場に心肺停止状態などの「重度傷病者」がいた場合、救急救命士は傷病者を救急車で病院まで搬送します。

その搬送中に何かしら救急救命の処置が必要な場合、“家族の同意”を受け、“医師の指示”のもとで「特定行為」の処置を行うことができる……。

これが、現在の救急救命士の主な仕事の一つとなります。

そして、現在の日本は「救急車の出動件数が年々増加傾向にある」と言われています。

例えば、平成30年の救急車の出動件数は“660万5,213件”という結果が発表されています。
※令和元年版の「消防白書」より※

本来、傷病人の治療を行えるのは「医師」だけであり、現場(救急車)において特定行為を行えるのは「救急救命士」のみとなります。

現場において、救急救命士の存在は絶対に欠かせません。

そのため、救急救命士のニーズは非常に高まっているのです。

現状、消防庁では“3人1組の救急隊のうち、少なくとも1人は救急救命士の資格取得者を配備する”よう呼びかけを行っています。

ちなみに、救急救命士の全国での配置率についてですが、全国「726消防本部」のうち「725本部」で救急救命士が配置されています。

また、救急救命士の資格を持つ消防職員は「38,388人」おり、そのうちの「27,387人」が現役の救急救命士として活躍していると言われています。

これに加え、救急救命士の「受験者数・合格者数」も年々増加傾向にあります。

下記は【救急救命士のなり方】の記事にてご紹介した「救急救命士の近年の受験者数・合格者数・合格率」の数値となります。

毎年少しずつではありますが、受験者数(合格者数)が増加しているのがご理解いただけるかと思います。

自治体によっては「特別枠」が用意されていることも……?

消防署に勤務するためには、救急救命士の資格だけを所持していればいい訳ではありません。

「消防士採用試験」にも合格しなければいけないのです。

資格の難易度……というより「消防士」自体が人気のある職業であり、採用試験の倍率が非常に高くなっているのが現状です。

高い時の倍率は“20倍”“30倍”を超えることもあり、例えば2019年度の東京消防庁 職員採用の「受験者数/合格者数/倍率」の合計は以下のような結果が出ていました。

【合計:Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類・専門職】
◆受験者数:12,477人
◆最終合格者数:884人
◆倍率:14.1倍

このことから「救急救命士」……というより「消防士」になるための道のりが非常に険しいものとなっているのが事実です。

ただ、自治体によっては“救急救命士の資格取得者を優先的に採用する枠を設けている”ところもあります。

もし「自分は救急救命士になりたい!」という確固たる意志がある人ならば、救急救命士の優先枠が設けられている自治体を選択し、受験するのも一つの方法と言えるかもしれません。

結論:救急救命士のニーズは今後も増加していくものと考えられる

「救急救命士の今後はどうなっていくのか?」という点ですが、これについては“ニーズは今後も増加し続けていく”と考えられています。

上記でご紹介した通り、救急車の出動件数も増加傾向にあります。

加えて、現在は人為災害だけでなく、台風や地震などの“自然災害”も頻度が多発しており、その被害はどんどん大きなものとなっています。

恐らく「東日本大震災」のことは、今でも多くの人々の脳裏に強く焼き付いているのではないでしょうか。

こういった自然災害の現場においても、救急救命士は活躍しており、多くの人々の命を救っているのです。

このことから、今後も救急救命士のニーズが途切れることはない……むしろ今後はより一層そのニーズが増加していくものと考えられています。

活躍の場は「消防署」以外に増える可能性はあるのか?


上記でお伝えした通り、現在の救急救命士の勤務先の多くは「消防署」となります。

他の勤務先で言うと、「医療機関」に属している人もいれば、「救命救急センター」「自衛隊」「海上保安庁」「警察」などで働いている人もいます。

また、ごく少数ではありますが「テーマパーク」「介護タクシー会社」などに勤務している人もいます。

ただし、上記で挙げた勤務先で働いている人は少数であり、基本は“消防署勤務”がほとんどです。

ただ、今後は救急救命士の勤務先も増加していく可能性も考えられます。

その理由の一つは、現在の日本は「少子化」+「超高齢化社会」に突入しているからです。

未婚であったり・核家族化の家庭も多くなっており、それに伴い一人暮らしの高齢者も増加傾向にあります。

このことから、医療機関はもちろん「介護業界」においても、今後は救急救命士のニーズが増加していく可能性もあるかもしれません。
(介護タクシー会社に救急救命士が配置されているのが良い例かと思います)

他にも、「大規模施設や大規模イベント時の活用」「消防施設のない過疎地での活用」など、今後の課題として検討されているものもあります。

もちろん、その他の業種においても、今後はそのニーズが増加していく可能性も否定はできません。

例えば、就労継続支援事業所であったり放課後等デイサービスなどの施設が挙げられます。

上記事業所(特に就労毛族支援B型事業所など)は、利用者の急な体調悪化があった時のために医療機関と連携していたり、看護師が常駐しています。

あくまで例えばの話なのですぐすぐに何かが動くわけではないかもしれませんが、特定の事業所において「救急救命士の配置が義務付けられる」という日が来るのも、そう遠くないのかもしれません。

「民間病院」などから「消防署」へ転職する人も増えている

“ダブルライセンス”で最前線で活躍する人もいる

【救急救命士のなり方】の記事内にてご紹介したことがありますが、現状は“消防士になった後に救急救命士の国家資格を取得する”人が多い傾向にあります。

実は、上記とは別に“民間病院などから消防署へ転職する人も増加傾向にある”のです。

「看護師」の資格を取得した上で医療機関などで実務経験を積み、その後に消防署で働くための採用試験に挑む……というパターンです。

この理由は、“自身のキャリアアップのため”が最たるものではあります。

というのも、「特定研修を受けた認定看護師にのみ許される”特定行為”がある」ため、「看護師」と「救急救命士」のダブルライセンスを取得することで、より高待遇を目指せる可能性があるのです。

もちろん、施せる治療の選択肢が増えれば、その分救える命も多くなります。

ちなみに、救急救命士は男性だけが活躍する職業ではなく、女性の救急救命士も各地に多く点在しています。

大変な仕事であることに変わりはありませんが、「救急救命士」だろうと「看護師」だろうと、“人の命を救う”上で性別は関係ありません。

「目の前で苦しんでいる人を救いたい」という確固たる意志のある人が、このような職業に就き、長く勤務していくものだと思います。

要注意:消防署で働く際の”年齢”について

例えば「看護師から救急救命士(消防署)に転職する」という際に、一つ注意点があります。

それは、「消防署で働くための試験(消防官採用試験)は、多くの自治体で”29歳以下”を年齢制限に設定している」ということです。

理由は、“消防署勤務=体力を必要とする仕事”であるためです。

そのため「看護師から救急救命士に転職したい!」と考えている人は、自治体の年齢制限について詳細を確認しておくことをオススメします。

そして、調べていて不明な点があれば、必ず各自治体に相談するようにしましょう。

そもそも「看護師」と「救急救命士」は何が違うの?

「看護師」という職業に関しては、以前に別の記事にてご紹介したことがあります。

「看護師」「救急救命士」も、どちらも“傷病者に向き合う仕事”であることに違いはありません。

では、この2つは何が違うのでしょうか?

まず「救急救命士」の主な仕事は、以下のようになります。

◆勤務先の多くは「消防署」である
◆病院までの搬送中の救急車の中で“特定行為”を行う
“家族の同意”の上で、“医師の指示の下”で治療を行う
◆傷病者の中でも、“心肺停止状態などの重度傷病者の治療”にあたる

対して「看護師」の場合は、以下のようになります。

◆勤務先の多くは「病院」などの医療機関である
医師の診察をサポートしつつ、さまざまな傷病者に対してケアやサポートを行う
◆入院患者の身の回りの手助け、ケガのケアやリハビリなども行う

このような違いがあります。

そもそも、それぞれで必要な資格も異なります。

看護師の場合は「看護師免許」が、救急救命士の場合は「救急救命士資格」が必要となります。
(どちらも国家資格である点は同じですが)

それぞれに、該当する国家試験を受験し合格しなくてはなりません。

そのため、この2つはどちらも“傷病者に向き合う仕事”であることに違いはありませんが、その内容は大きく異なるのです。

まとめ

人々の命を守る救急救命士の仕事は、今後も長く必要とされる仕事ですし、将来的に“職自体がなくなる”こともありません。

例えば、他の仕事で言えば「機械化(自動化)」が進んでおり、特に誰にでもできる簡単な仕事であれば、そのほとんどの仕事は機械が行うことが増えています。

そして、今後も機械化(自動化)はどんどん進んでいき、人間が働ける仕事の数は減っていくものと考えられています。

しかし、救急救命士は“人”でなければ務めることはできません。

確かに、今後は災害時に人々を救う機械(ロボット)も開発されるかもしれませんし、医療機器ももっと発展していくことでしょう。

でも、それはあくまで救助や治療の“サポートを行う機械”に過ぎません。

現場や傷病者の状況を把握・理解し、冷静かつ的確に対応することは“人にしかできない”ことなのです。

だからこそ、今後も救急救命士という仕事は必要とされ続けるのです。

誰にでも簡単になれる職業ではないし、職に就いた後も苦労の連続ではあります。

しかし、同時にやりがいのある仕事でもあり、将来性の高い職業でもあります。

関心がある方は、是非知見を広げて、その一歩を踏み出してみてください。

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