医療・介護・福祉・保育業界専門の求人をお探しの方は医療・介護・福祉・保育bizへ。詳しくはこちら!

サービス管理責任者とサービス提供責任者の違いとは?

この記事は約12分で読めます。

介護の世界においてなくてはならない職種の中に、『サービス”管理”責任者』『サービス”提供”責任者』が挙げられます。

似た名称をしていますが、『管理』と『提供』と言葉が異なるように、それぞれの仕事内容には大きな違いがあります。

今回は、それぞれの仕事内容やなり方、違いについて詳しくご紹介していこうと思います。

【結論】「サービス管理責任者」と「サービス提供責任者」の違いとは?

根本的な違いは……


それぞれの詳細をお話する前に、まずはサービス管理責任者サービス提供責任者の「何が違うのか?」についてお話をしていきたいと思います。

まず根本的に異なるのが、勤務する場所です。

《それぞれの勤務する場所》
◆サービス”管理”責任者:障害福祉サービスの事業所
◆サービス”提供”責任者:訪問介護サービスの事業所

勤務先が異なるため、仕事内容ももちろん違いますが、大元となる部分は『計画書の作成』『職員(介護員)への指導・指示・助言』が共通しています。

そして、それぞれの役職に就くための条件も異なるのですが、詳細は後述にて個別にご紹介していきたいと思います。

次に、『障害福祉サービス』『訪問介護サービス』とはどういうものかについて、もう少し深堀りしていきます。

障害福祉サービスとは?


これは、『障害者総合支援法』という、障がいのある人への支援を定めた法律に基づいて提供されるサービスの総称のことをいいます。

上記、障害者総合支援法が定義する障がい者を対象としており、これは障害者手帳を持つ人に限定されている訳ではなく、支援を必要とする度合いにより、対象者かどうかが決定されます。

尚、障害者総合支援法は、「障がいのある人への支援を定めた法律に基づいて提供されるサービスの”総称”」と記載しましたが、サービス内容は、以下2つのことを指しています。

☆介護給付:介護が必要であると認定された人の、ニーズに応じてサービスを提供する
☆訓練等給付:自立した社会生活を営むために必要な、生活能力や仕事のスキルなどを身につけるための訓練を提供する

そして、それぞれで、以下のように複数の障害福祉サービスが存在します。

そして、『介護給付』『訓練等給付』のサービスを利用するためには、お住いの市区町村に申請を行った上で、『サービス等利用計画案』『サービス等利用計画』を作成・提出するなど、一定の手順を踏む必要があります。

訪問介護サービスとは?


『訪問介護』とは、その名の通り「ホームヘルパー(訪問介護員)が利用者の自宅に訪問し、身体介護および生活援助などを行うこと」をいいます。

『身体介護サービス』と『生活援助サービス』の、それぞれのサービス内容は下表の通りです。

訪問介護サービスは、年々その需要が高まっているサービスです。

昔は、ご高齢の方の介護はご家族がされていたという家庭も多いかと思います。

もしくは、老人ホームに入居したりなどです。

しかし、共働きの家庭が増加していることご家族への負担が大きいこと、そして老人ホームなどのこれまでと違う環境で生活することによるストレスなどもあって、中々に折り合いがつかないことも多くなってしまいました。

何より、高齢者の方自身が、「住み慣れた自分の家で、生活し続けたい」と感じている人が多いのです。

訪問介護は、自宅で生活し続けたいという方にとって、非常に心強いサービスです。

ちなみに、この訪問介護ですが、ご自宅はもちろんのこと、有料老人ホームなどの入居系サービスの居室も対象に含まれています。

訪問介護サービスを受けることができるのは要介護1~5の認定の受けた人が対象であり、受けられるサービスおよび必要な費用は状況によって異なります。

この訪問介護については、別途詳細をご紹介できればと思います。

「管理者」とは何が違うの?

話を『サービス管理責任者』と『サービス提供責任者』に戻します。

上記2つの仕事は、それぞれの事業所において一定数の配置が義務付けられています(詳細は、後述のそれぞれの項目にて)。

なぜなら、いわゆる「その事業所における”まとめ役”」のような存在だからです。

ただし、要注意点なのは、『管理者』ではないということ。

事業所には、別途『管理者(施設長)』として、管理職を担当する人物がいます。

この管理者が、事業所全体の指揮命令権を持っており、職員の総合的な業務管理などを行っています。

サービス管理責任者およびサービス提供責任者は、管理者とは役割が異なります。

どんな仕事?どうやったらなれる?サービス管理責任者について

概要

ここからは、それぞれの仕事内容やなり方について、深堀りをしていこうと思います。

まずは、『サービス管理責任者』からお話していきます。

これは、通称『サビ管』とも呼ばれています。

前述でもご紹介した通り、この仕事は障害福祉サービスを提供する事業所において、必要となる存在です。

その事業所が、適切なサービスを提供できるように、

  • 支援プロセスの管理
  • 各スタッフへの助言や指導
  • 関係者および関係機関との連携

などを行っています。

そして、事業所ごとの配置人数の基準は、以下のようになっています。

◆共同生活補助(グループホーム)
 →利用者30名につき『1名』
◆グループホーム以外
 →利用者60名につき『1名』

仕事内容について

個別支援計画書とは?

サービス管理責任者の重要な業務の中に、「個別支援計画書の作成」が挙げられます。

これは、上記で紹介した『支援プロセスの管理』や『関係者および関係機関との連携』の際に必要となります。

なぜなら、利用者がサービスを利用する際に、支援の根幹となるものだからです。

この個別支援計画書の大まかな作成方法は、以下の通りです。

  1. 利用者および、その家族との面談による聞き取り
  2. 利用者の状況の確認と把握
  3. 今後の目標を定める ←この時点で支援策を計画書にする
  4. 上記でできた原案をもとにスタッフ間で会議をし、必要があれば修正を加える
  5. 利用者および家族に提示し、内容の説明
  6. 合意がとれれば、支援開始

上記の1・2で状況を把握し、3の時点で「利用者自身が、今後どのような生活を送り、どのようになりたいか」という今後の目標を定めます。

当然のことですが、個別支援計画書は、作成することがゴールではありません。

利用者の状況というのは、日々変化していきます。

この個別支援計画の内容をもとに、モニタリング・記録を続けていくのです。

そして、都度状況と照らしわせながら「計画書通りに支援が行えているか?」の確認をし、必要があれば修正を行っていきます。

加えて、この計画書は関係機関との連携でも真価を発揮します。

なぜなら、障害者福祉サービスの利用者は、医療・行政・その他サービスなど、様々な期間との関わりが必要になってくるからです。

「計画書をもとに、そしてその計画書の目標を達成するため何が必要なのか?」という点について、各専門家の意見をもらうことで、より具体的かつ的確な支援方法が実施できるようになるのです。

人材育成

障害者福祉サービスというものは、チームで行うものです。

つまり、スタッフごとの個人プレーで仕事はできず、スタッフ間の連携が重要となってきます。

そこで、確かな知識と経験を有しているサービス管理責任者が、各スタッフへの助言や指導=人材育成を担当するのです。

これには、現場による助言や指導の他に、スキルアップのための研修の企画・実施なども行っています。

どうやったらなれるの?

サービス管理責任者になるには、以下の条件を全てクリアする必要があります。

◆実務経験
◆相談支援従事者初任者研修の受講
◆サービス管理責任者等基礎研修の受講
◆サービス管理責任者等実践研修の受講

尚、上記は2019年度から実施された、新体系のもので、2018年度以前とは若干条件が異なります(変更に伴い、経過処置が設けられている)。

旧体系で一部の研修を終えている場合、条件が変わってくる場合がありますので、気になる方は別途詳細を調べていただければと思います。

そして、実務経験というのは、障がい者への保険・医療・福祉・就労・教育分野のいずれかにおける“支援業務の実務経験”となります。

大まかに、必要な実務経験数を下記に記載しておきます。

◆相談支援業務(実務経験年数3年以上)
◆直接支援業務(実務経験年数8年以上、研修受講者は6年以上)
◆有資格者等(実務経験年数5年以上、条件次第では3年以上)

上記でご紹介した各研修については、各都道府県によって実施されています。

どんな仕事?どうやったらなれる?サービス提供責任者について

次に、『サービス提供責任者』、通称『サ責』についてお話していきます。

上述でもご紹介した通り、訪問介護サービスの事業所において必要な存在であり、業務内容は以下の3つに大別されます。

◆訪問介護業務
◆訪問介護計画書などの書類作成
◆管理業務

そして、配置基準ついてなのですが、少しややこしいものとなっています。

まず、厚生省令では「指定訪問介護の事業を行う者ごとに置くべき訪問介護員等の員数は、常勤換算方法で2.5以上とする」とされています(第三十七号第五条)。

例えば、訪問介護事業所の場合、

  • 常勤専従の管理者:1人
  • 介護福祉士の資格を持つ常勤専従のサービス提供責任者:1人
  • 常勤換算の訪問介護員:2.5人以上

必要となります。

しかし、この詳細については、各自治体によって異なるのです。

例を出すと、横浜市の場合は、「利用者40人あたりで、サービス提供責任者が1人必要」となります。

利用者の数は、前3ヶ月の平均値が使用され、例えば3ヶ月の平均利用者数が50人だった場合『50/40=1.25人』となり、切り上げで『2人のサービス提供責任者』を配置しなければいけません。

ちなみに、訪問介護サービスにおいて、

  • 訪問介護員
  • サービス提供責任者
  • 管理者

上記3つの役を兼任することは禁止されています。

ただし、3つの兼任が禁じられているだけであり、「サービス提供責任者と訪問介護員」や「サービス提供責任者と管理者」などの2役の兼任は可能です。

また、同じ事業所の別事業のヘルパーなどと兼任することはOKです。

この点は非常に複雑かつ自治体によって異なるので、気になる方は自身で各自治体に確認をしてみて下さい。

仕事内容をもう少し詳しくご紹介!

この仕事の業務についてですが、時系列順に紹介すると、以下のようになります。

  1. 利用予定者からの相談、利用にあたっての手続きなどの調整
  2. 利用者および、その家族との面談
  3. 『サービス担当者会議』への参加
  4. 『訪問介護計画書』の作成
  5. 『サービス提供手順書』の作成
  6. 利用者の状態・ケアの進行具合などを、一定期間ごとにチェックする

尚、訪問介護員と兼任していない場合は、実際に介護を行うのは別のヘルパーとなります。

その際、そのヘルパーが初めて訪問する際や、仕事に就いたばかりの人(経験が浅い人)の場合、サービス提供責任者が一緒に利用者宅へ訪問し指導・サポートを行います。

加えて、各訪問介護員の技術指導・問題発生時の対応や研修計画の作成など、ヘルパーのサポート・指導なども担当しています。

最後に、上記でご紹介した、計画書や手順書について少し触れておきます。

『訪問介護計画書』とは、ケアマネージャーが作成したケアプランをもとに作成する書類で、ケアプランの内容をより具体的に示したものとなります。

そして、『サービス提供手順書』は、実際に利用者のもとへ訪問するヘルパーのために作成される書類です。

  • サービスの項目
  • サービス提供の具体的な方法
  • 利用者や家族、その他に関する留意事項

上記についての詳細などが、記載されています。

どうやったらなれる?

まず、『サービス提供責任者』という資格はありません。

また、サビ管の時にご紹介したような、研修もありません。

「じゃあ、誰でも自由になれるの?」と疑問を感じる方もいるかもしれませんが、残念ながらそのようなことはありません。

“現在の”、サ責として認められる資格要件は、下記の通りです。

◆介護福祉士の資格を所持している
◆実務者研修を修了している

“現在の”と記載した通り、これは2018年に要件が改定されました。

2018年より以前の場合、「3年以上の実務経験を積んだ介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」なども要件に含まれていましたが、現在は除外されています。

業務内容は、事業所によって異なる場合がある

ここまでにご紹介した通り、サ責の業務内容は非常に幅広いのが特徴です。

ただし、業務範囲は、勤務する事業所によって異なります。

例えば、大規模な施設の場合、複数のサ責やケアマネージャーが、連携して相談業務を担当することがあります。

逆に、小さな事業所であれば、介護業務やケアマネージャーの業務を兼任することもあり、かなり多忙となる可能性もあります。

働く職場によって仕事内容に違いが出やすい仕事なので、もしサ責の仕事をお探しの方がいれば、業務内容はしっかりと確認しておいた方がいいかと思います。

お給料はどのくらいもらえるの?


まず、サビ管であれサ責であれ、「事業所のまとめ役=任される立場」であることから、雇用形態は正社員が基本となります。

その上で、それぞれの平均年収・月収を紹介すると以下のようになります。

◆サービス管理責任者:平均年収 350万円(月収 29万円前後)
◆サービス提供責任者:平均年収 343万円(月収 28万円前後)

加えて、正社員雇用ということもあり、賞与(ボーナス)も支給される可能性が高いようです(年2回など)。

ただし、これはあくまで『平均』であり『一例』です。

勤務する事業所や自身の経験はもちろん、地域によっても金額は変動します。

あくまで参考程度にご覧いただければ幸いです。

まとめ ~それぞれの将来性について~

サビ管・サ責のそれぞれの将来性ですが、今後より一層、需要が高まると考えられています。

なぜなら、今後の日本は超高齢化社会に突入するからです。

そもそも、現時点で介護の仕事自体、その需要が非常に高まっています。

これまでにご紹介した通り、サビ管であればサ責であれ、利用者の数に応じて一定数の配置義務があります。

「利用者が増える=確実に需要が高まる」ということです。

それに、介護職員自体の母数もどんどん増加してくるでしょう。

介護の仕事は、無資格・未経験でも始められるという”職に就きやすい”というメリットがありますが、母数が増えれば増えるほどに「スタッフの指導・管理を徹底していく必要がある」ということにも繋がります。

介護は、利用者の生活をサポートする仕事であり、中々に忍耐のいる業務です。

必要とされる母数が増え、いざ人員をたくさん配置したとしても、その指導や管理がずさんになってしまっては、クレームや問題に発展しかねません。

そうなると、サビ管やサ責の重要性は益々増してくることとなるでしょう。

これらの仕事に就くためには、一定の資格や研修の受講・実務経験などが必要になってくるため、すぐに始められる仕事ではありません。

そもそも、“任される立場”であることから、経験・知識・リーダーシップ・コミュケーション能力・人格など、様々な能力が求められる仕事でもあります。

決して楽な道のりではありませんが、今後のことを踏まえて、サビ管・サ責を目指して見るのも良いかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました