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「就労継続支援事業所」では、どんな職員が働いている?必要な職種・人員配置の基準について

この記事は約12分で読めます。

「障害者 就労支援サービス」の一つである、「就労継続支援事業所」

「A型」「B型」と2種類の事業所が存在し、両者に共通して言えることは「障害を持つ方々を”支援”しつつ、働く場を提供すること」となります。
(ただし、名称が異なるとおり、事業内容や条件は若干違うものとなる)

そして、この事業所はあくまで“支援サービスの一種”であるため、事業所内で就労する「支援員」が別途勤務しています。

では、この就労継続支援事業所には、どんな職員が働いているのでしょうか?

また、働くためにはどんな資格が必要であり、各事業所に定められている人員の配置基準はどのくらいなのでしょうか?

今回は、これらの点について詳細をお話していきたいと思います。

尚、障害者 就労支援サービスについては、別の記事にてご紹介しておりますので、下記をご覧いただければと思います。

職員の配置数について

そもそも「A型」「B型」で、”利用定員数”が異なる


まず、職員の配置数を紹介する前に、各事業所を利用する“定員数”についてお話します。

“定員”というのは、施設の利用者側のことであり、A型・B型で最低限必要な定員数が異なります。

◆A型事業所:”10″名以上
◆B型事業所:”20″名以上

上記を把握した上で、事項で職員の配置基準をご紹介します。

職員の数はどれだけ必要か?

まずは、必要な職員の基準を表にしてまとめたものをご覧いただきます。

次に、表の中で「※」と記載した点の補足をします。

※1:常勤の有無について

※1の「管理者」と「サービス管理責任者」ですが、これは“兼務が可能”です。

例えば、就労継続支援でのサービス管理責任者の求人を見ると、中には「管理者”兼”サービス管理責任者」と記載して、募集をしている事業所も存在します。

特に、開業当初などで、利用者が少ない状況では兼任となる場合も多いかと思います。

ただし、その場合は「サービス管理責任者の資格を所持している」ことに加え、「社会福祉事業(小規模作業所も含む)に”2年以上”携わった者」といった要件を満たす必要があります。

※2:配置基準について

次に、※2の「配置基準」についてです。

分かりやすいのは「10:1」や「15:1」でしょうか。

これは、“事業所を利用する人に対して、職員の数が何人必要となるか?”という意味になります。

例えば「10:1」であれば、“10名の利用者数に対して、職業指導員・生活支援員がそれぞれ1名ずつ必要”ということになります。

「15:1」だと、“15名の利用者数に対して、就労支援員を必ず1名(以上)は配置しなければいけない”ということです。

つまり、最低定員で事業所を運営することになった場合、「3名」で事業を開始することができる……ということになります。
(管理者兼サービス管理責任者1名、生活支援員1名、職業指導員1名の、計3名)

尚、最低定員数はB型事業所の方が「20名以上」と多いため、A型よりもB型の方が、生活支援員と職業指導員を多く配置しなければいけないということになります。

各職種の特徴について


前述でご紹介した通り、就労継続支援事業所には、複数の職員が勤務しています。

そして、“職種が違う=それぞれの役割(仕事内容)”も、当然異なります。

ここでは、各職種について、もう少し深堀りしていきたいと思います。

「管理者」とは?

この職種の立ち位置を端的に説明するのであれば、「事業所を統括する者」となります。

主な仕事内容・資格要件は、以下の通りです。

ただし、前述でもご紹介した通り、「管理者」と「サービス管理責任者」は“兼任”することが可能です。

もちろん事業所によりけりではありますが、管理者の求人募集がかかることは稀です。

仮に募集があったとしても、大体はサービス管理責任者との兼任がほとんどとなります。

この理由の一つは、「管理者=事業所全体をまとめ上げるトップの立ち位置」であることが挙げられます。

もし何らかの事情で前任の管理者の枠が空いてしまった場合、事業所や職員のことを理解している既存の職員にお願いするでしょうし、中途入社の職員を採用するとしても「管理者候補」として、まずは事業所や職員・仕事内容に慣れていくことからスタートしていきます。

「サービス管理責任者」とは?

通称「サビ管」と呼ばれるこの職種。

以前に、《”サビ管”と”サ責”の違い》という題目で記事にしたこともありましたが、障害福祉サービスの一つである就労継続支援事業所にも、サビ管は必要不可欠な職種となります。

そして、前述でご紹介した通り、配置数は“利用者数60人以下で1人以上のサビ管が必要”であり、“1人以上は常勤している必要がある”となります。

ただし、業務に支障がなければ、管理者など他の職務と兼任することが可能です。

仕事内容・資格要件は以下の表の通りです。

尚、表に記載の「実務経験」ですが、これは「相談支援業務」や「直接支援業務」での一定年数の実務経験であり、必ずしも就労継続支援事業所(A型・B型どちらも)での実務経験である必要はありません。

実際、サビ管の求人募集でも、「就労継続支援での実務経験がなくても応募可能!」と記載されていることも時折見受けられます。

最後に。

“管理者”“サビ管”の何が違うのか?」についてです。

端的に言えば、これは“管理すべき対象が異なる”です。

◆管理者:事業所全体を管理(統括)する立場
◆サビ管:利用者とサービス提供を管理する立場

大まかには、このように区別ができます。

「アセスメント」って何?

少し脱線するのですが、サビ管の業務内容に記載した「利用者の”アセスメント”の実施」……この“アセスメント”とは一体何を意味しているのでしょうか?

アセスメントの一般的な意味は、対象を客観的に「評価」「査定」「調査」することです。

このアセスメントには、「環境」「人材」「リスク」などの単語と組み合わせることがあります。

例えば、「環境アセスメント」であれば、環境に与える影響・ダメージ・発生する可能性がある事故などを事前に調査し、被害を最小限に抑えることを言います。

「人材アセスメント」なら、個人の能力・性格に合った役割を与えるために、“前もって人材を評価する”という意味になるのです。

そして、福祉・介護・保育の世界においても、このアセスメントが活用されます。

福祉・介護・保育の各現場には、「アセスメントシート」というものがあります。

利用者(患者)の、「客観的情報(体温・血圧・脈拍など)」と「主観的情報(痛み・不安・不調など)」をもとに、利用者の状態を分析・評価すること。
そして、利用者(介護対象者)やその家族と面談を行い、本人の心身の状態や日常生活の情報を収集すること。

こういった「アセスメントを実施」することで、どんなサービスやケアを必要としているのか……つまりケアプラン作成時の判断材料とするのです。

「個別支援計画」って何?

もう一つ、サビ管の業務において必須かつ重要となる「個別支援計画」についてもご紹介しておきます。

これは、“利用者の特徴や課題を明確にし、個々のニーズに合わせたサービスを提供するために必要なもの”のことを指しています。

この個別支援計画は、就労継続支援だけでなく、放課後等デイサービスなどの障害福祉事業では、必ず作成されるものです。

利用者やそのご家族の意向・希望・特性なども踏まえて、個別支援計画書は作成されていきます。

記載次項としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 利用者や保護者の意向や支援の方針
  • 生活の質を向上させるために課題
  • 具体的な目標と現状(短期目標と長期目標)
  • 支援内容
  • 支援期間
  • 優先順位
  • 達成度評価 など

この個別支援計画を作成する際に、上記でご紹介した「アセスメント」も重要となってきます。

尚、就労継続支援事業所において、この個別支援計画を作成できるのは“サビ管だけ”です。
(放課後等デイサービスであれば、児童発達支援管理責任者のみ)

もし仮に、退職や解雇などでサビ管が不在であった場合、個別支援計画の作成およびモニタリングが実地できません。

つまり、不在時から“減算”となってしまいます。

「生活支援員」とは?

その名の通り、“施設を利用する方々の生活を支援する職員”のことを言います。

A型・B型に就労する利用者は、大なり小なり障害や難病を抱えています。

そのような方々に対して、安心して仕事を行ってもらえるよう、様々な支援を行っていくのです。

この支援の中には、「利用者の健康管理の指導」「生活上での相談」が含まれ、この時に必要になってくるのが、上記でご紹介した「個別支援計画」なのです。

また、上記支援以外にも、サビ管の補助的な業務を担うこともあります。

生活支援員に必要な要件は何?

生活支援員になるために必須となるものは、基本的にはありません。

例えば、生活支援員の求人を見てみても、「無資格・未経験でも歓迎!」と記載されているものが多く、特に「経験不問」の募集はかなり多いです。

ただし、当然ながら資格や実務経験のある人の方が、就職に有利なのは間違いありません。

資格に関しては、「初任者研修以上(旧ヘルパー2級)」が必須となる事業所も少なくありません。

他には、以下の資格が重宝されます。

  • 社会福祉士
  • 介護福祉士
  • 精神保健福祉士

後は、普通自動車免許をお持ちの方も、歓迎案件として有利になる場合もあります(事業所によっては、必須となる場合もある)。

「職業指導員」とは?

1名以上の配置が義務付けられている「職業指導員」という職種。

この仕事内容を端的に説明するのであれば、“障害のある人が就職するために必要となる、知識や技術を習得するためのサポートを行うこと”となります(個別支援計画に基づき行われる)。

尚、上記の「生活支援員」との一番の違いは、“サポートの対象”です。

名称の通りではありますが、生活支援員は“生活の支援”を行うものであり、職業指導員は“就労に関する支援”を行います。

役割が異なるため、各事業所には「生活支援員と職業指導員を、最低1名ずつ配置しなければいけない」という決まりがあるのです。

職業指導員に必要な要件は何?

結論から言うと、この職種にも必須となるものはありません。

無資格・未経験からでも応募できる可能性は高く、実際にそういった求人を目にすることも多々あります。

ただし、“指導をする”という立場であることから、実務経験があったり・資格を所持している方が有利ではあり、職に就いた後もスムーズに仕事を行うことはできます。

職業支援員の就職先は、就労継続支援事業所だけではありません。

就労移行継続支援事業所や、児童福祉事業所でも勤務することができます。

余談ですが、児童福祉事業所で働く場合は、児童養護や児童自立支援を行います。

児童が、自分の適性や能力に応じた職業を選択できるよう、相談に乗ったりアドバイスをしたり、その他実習・講習などの指導、情報提供などを行ったりします。

これらのことから、この仕事に就く際に役立つ資格としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. 社会福祉主事任用資格
  2. 児童指導員任用資格
  3. 介護職員初任者研修 など

上記”3.”は介護に関する資格であり、職業支援員の業務と直接関係する訳ではありません。

しかし、生活における支援が必要な事業所で働くことから、介護の知識を深めておいて損をすることはありません。

いざとなれば、生活支援員として勤務する際にも役立つため、資格取得や勉強をしておくこともオススメできるのです。

「就労支援員」とは?

最後は、「就労支援員」という職種です。

前述の「職業指導員」と似た印象を受けますが、こちらの仕事内容は以下のようなものが挙げられます。

  • 職場実習のあっせん
  • 求職活動支援
  • 職場定着支援

職業指導員が「職に就くための知識やスキルを習得するための指導を行う」ものだったのに対し、こちらは「就職活動および就職後の定着支援を行う」ことを主な業務としています。

例えば、ハローワークや職業センターなどとの連絡調整および同行を行ったり、就職後も長く続けていけるよう定期的に面談を行ったり……といったサポートをしています。

尚、就労支援員の配置数は、常勤換算で”15:1″以上であり、利用者数15人に対して1人以上の職員を常勤させる必要があります。

就労支援員に必要な要件は何?

こちらも、生活支援員や職業指導員と同じく、職に就くために必須となるものはなく、無資格・未経験からでも仕事をスタートすることができます。

ただし、これまでと同じく、資格や経験があった方が就職に有利であり、スムーズに業務を行うこともできるようになります。

というのも、この就労支援員の仕事は、様々な関係機関に連絡を取りつつ・事業所を利用している障害者を支援していくことから、障害福祉に携わった経験があった方がいいのです。

障害者の方に同行して関係機関に赴くこともあるため、事業所の外で何かあった時にも対応できる力が必要です。

また、これは他の職種でも同様のことが言えますが、点字や手話の知識・技術なんかを求められることもあります。

そのため、求人の中には、実務経験や資格を必須とする企業も増加しているのです。

資格としては、以下を求められることがあります。

  • 介護福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 社会福祉主事任用資格

尚、職業指導員と同じく、児童福祉事業所でも勤務可能です(業務内容は、基本的に同じ)。

その場合、「児童指導員任用資格」も所持していた方が、仕事をスムーズに行うことができるでしょう。

「協力医療機関」との連携について

今回の記事の趣旨とは少し異なる点なのですが、就労継続支援事業所を運営する上で重要なことなので、最後にご紹介させていただきます。

それは、A型・B型どちらであっても、事業所を運営する際に「協力医療機関」を定めておく必要があるということです。

就労継続支援事業所を利用する方は、障害や難病を抱えており、利用者の体調が急変する可能性も有り得ます。

場合によっては、生活支援員などの施設の職員だけでは対応が難しいこともあるため、その病状の急変などに迅速に対応できるよう、あらかじめ「協力医療機関」を定めておかなくてはいけないのです。

尚、申請する際は、「協力医療機関との協定書」という書類が必要となります。

最後に。

この協力医療機関については、具体的な取り決めというのはありません。

ただし、施設利用者の病状の急変に対応できなくては意味がないため、“20分程度の距離圏内”であり、”診療科目に内科が含まれている”医療機関が好ましいとされています。

まとめ

「就労継続支援事業所」と一言でいっても、事業を開設するためには、様々な条件・作業・人員を必要とします。

例えば、以下が挙げられます。

  • 物件の選定(どこに事業所を構えるかは非常に大事)
  • 事業計画の策定
  • 人員の確保
  • 運営に必要なものの手配 など

そもそも提出すべき書類も非常に多く、また「障害者総合支援法」や「厚生労働省からの解釈通知」など、様々な法律・趣旨を正確に把握および理解しておかなくてはいけません。

当然、運営してからも取り組むべきことは山ほどにあり、人員配置基準など守るべきルールが数多く存在します。

就労継続支援は、「障害を持つ方を支援し、働く場を提供すること」だけが目的ではありません。

“就労を通じて社会との繋がりを持つ”

そして、“様々なことを経験し、生活・人生を豊かにする”ことを重要視しているのです。

この事業所で働く職員は、様々な障害や難病を抱えている人たちが、安心して社会との繋がりを持てるように、常に様々な支援をしてくれているのです。

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