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多くの人が長く・安定して働けるように……「就労支援サービス」の制度内容について

この記事は約10分で読めます。

「就労支援」というワードを聞いたことはあるでしょうか。

これは、障害・疾患・貧困・年齢などの“なんらかの理由”で働くことが困難な人に対して、就職および就職後に働き続けていけるよう支援する制度のことを言います。

身近なもので最もイメージがしやすいものとしては、「ハローワーク」が挙げられるでしょうか。

実は、この就労支援サービスには、サービスを受ける対象者によって、いくつかの種類に分類されます。

今回は、この就労支援サービスについて、詳しくご紹介していきたいと思います。

就労支援の対象となるのは……?

就労支援サービスの対象となるのは、大きく3つに分類されます。

  1. 経済的に厳しい(困窮に陥っている)状況の方
  2. 高齢者
  3. 心身に障害を持った方

置かれている状況は人それぞれですが、その状況に則して就労を実現できるように支援するのが、この制度の役割となります。

尚、“働く=収入を得る”はもちろんのことですが、この制度はそれだけが目的ではありません。

就労をすることにより、社会との繋がりを持ち、その上で“様々なことを経験し、生活・人生を豊かにする”ことも重要視されているのです。

次項から、3つそれぞれの詳細をご紹介していきます。

生活困窮者に対する支援について

生活困窮者自立支援法とは?

平成25年(2013年)に、「生活困窮者自立支援法」という制度が誕生しました。
※正確には、2013年12月13日に公布、2015年4月1日に施工された※

「生活困窮(こんきゅう)者=経済的に厳しく、生活に苦しんでいる人」のことを指しますが、この制度は“最低限度の生活を維持することができなくなる可能性がある人に対する支援制度”となります。

  • 景気低迷による、非正規雇用者の増加
  • リーマンショック
  • 東日本大震災

このような出来事をキッカケに生活保護を受給する人が増加したことから、この制度が誕生したと言われています。

尚、上記以外にも、様々な理由で生活に困窮してしまう方がたくさんいます。

例えば、「いじめなどがキッカケで引きこもりになり、社会復帰ができない」という人や、「配偶者のDV被害から逃れたものの、子どもが幼いため就業が難しい」という人、他にも「お金の管理ができず、多額の借金を背負ってしまった」など、様々です。

さらに、2020年からは「新型コロナウイルス」により、さらに生活困窮者が増加しています。

これらは、経済的・社会的な変化によって発生することが多く、支援がなければ生活が成り立たないという生活困窮者もいるのです。

就労支援に関する事業は、複数存在する

まず、「生活困窮者自立支援法」では、”お子さんに対する学習支援”や”家賃の補助”など、様々な支援を幅広く行っています。

加えて、就労支援に関する事業も、以下のように様々に行われています。

① 自立相談支援事業
② 就労準備支援事業
③ 就労訓練事業

それぞれの内容を表にまとめてみると、以下のようになります。

生活困窮者は、様々な理由で陥る可能性があり、決して他人事ではありません。

仮に、日常生活を送る分には何の問題もないだけの収入を得ていた人であっても、予測できない自然災害によって住居が失われたり・生活が苦しくなってしまう場合もあります。

前述でご紹介したように、新型コロナウイルスの影響で会社が倒産もしくはリストラに合い、職を失ってしまう可能性だってあります。

そして、そのまま次の仕事が中々決まらずに、就労意欲が著しく低下してしまい……といった状況も0ではないのです。

そういった、自分の力だけではどうすることもできない危機的状況に陥った際に、この「生活困窮者自立支援法」が一助となってくれるのです。

高齢者に対する支援

“定年退職=60歳”の時代は終わった……

数多くの企業が取り入れている、「定年退職」という制度。

これは、あらかじめ”定められた年齢を過ぎた際に退職すること”を言いますが、現在はこの概念が大きく変化しています。

その理由の一つは、“少子高齢化が進むことによる、労働力不足の懸念”が挙げられます。

その他にも、国民年金の受給年齢が繰り上げされたり、定年後も働かなければ生活が苦しい高齢者も増加しているのが現状ではあります……。

なんにせよ、「働く意欲や能力・経験がある方」、そして「働かなければ生活ができない方」など、高齢者が年齢に関係なく働くことができるような取り組みが、現在行われているのです。

そして、この取り組みに対する一つの施策として、平成25年(2013年)に「高年齢者雇用安定法」の一部が改定されることとなります。

それまでは、“定年退職=60歳”が一般的でしたが、この改定により“定年後の再雇用もしくは、定年退職の年齢の引き上げ”が義務付けられることとなったのです。

そして、この制度に合わせて、高齢者雇用に関する様々な支援が行われることとなりました。

具体的にどんな支援を行うのか?

支援内容は、大きく下記2つに分類されます。

① 企業や社会に向けて「高齢者を積極的に採用するように働きかける」
② 高齢者に対して「就労の相談援助を行う」

①についてですが、まずこれまでの企業は“定年退職を前提”として、人事や賃金の仕組みを決定してきました。

この前提を見直すということは、当然ながら会社にとって大なり小なりの負担が発生してしまいます。

そのため、「専門家による環境整備の支援」や「助成金の支給(条件あり)」などを行い、“ただ、高齢者を採用するように呼びかける”のではなく、“雇用環境の整備に取り組む企業への支援”を充実させているのです。

②に関しては、高齢者の個人個人に対する支援となります。

  • 高年齢者のこれまでの経歴や、体調・ライフスタイルに合わせて、仕事を紹介する
  • 履歴書・職務経歴書の書き方や、面接の受け方などの求職活動の方法をレクチャーする
  • 職場への見学や体験、技能習得のための講習などの開催する

など、各地域で、高年齢者の就労を活発化しようという取り組みが、様々に行われているのです。

障害を持っている方への支援

制度について

障害を持った方が自立した生活を営むことができるように支援するという点においては、「障害者自立支援法」という制度が、平成18年(2005年)から存在します。

そして、こちらも平成25年(2013年)に一部改正が加えられ、「障害者総合支援法」と名称も変更されることとなったのです。

どちらも支援を行うという点では同じ意味合いを持っていますが、“自立”“総合”と名称が異なるように、この2つには”その目的”に若干の違いがあります。

「障害者自立支援法」は、その名の通り“自立した生活を営むことができるように支援を行う”というものでした。

対して、改正後の「障害者総合支援法」は、“障害を持たれた方の、基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるように支援を行う”となっています。

障害者総合支援法では、他にも「基本理念の新たな創設」「障害者の範囲の見直し」などが行われています。

尚、これら制度は、古くより存在する「障害者基本法」という、障害のある人に関係する最も大切な法律に則って定められています。

支援の種類は大きく3つ存在する

障害を持っている方を対象とした支援事業としては、下記3つが存在します。

  • ①:就労移行支援事業
  • ②:就労継続支援A型事業所
  • ③:就労継続支援B型事業所

それぞれの詳細に関しては、別の記事にて(この点を特筆して)ご紹介したいと考えておりますが……。

それぞれを端的にご紹介しておくと、下記のようになります。

①:一般企業への就職に必要なスキルを身に着けるための支援
②:一定の支援がある職場で“雇用契約を結んだ上で”働く
③:“雇用契約を結ばないで”軽作業などの就労訓練を行う

②③の事業所は、「一般企業への就職が困難な方に、就労の場を提供する」ものであり、もちろん労働に対する報酬(給与)も支払われます。

これは記事の冒頭でもお伝えした通り、「社会との繋がり、そして様々な経験の中で、自分の生活・人生を豊かにする」キッカケにも繋がります。

「自立した生活を送りたい」
「人生を豊かにしたい」
「働いて収入を得たい」

これは、全ての人に共通した想い(願い)であり、障害のあるなしは一切関係ありません。

このような方々の希望を叶えるために、これらの支援サービスが存在しているのです。

「就労」と「就職」は違う?言葉の意味合いについて


“労”支援と、就“職”支援は、名称こそ似ているものの、その意味合いは異なります。

それぞれの意味は、以下の通りです。

まず、「就職支援」は、その名の通り“就職活動を支援すること”を言います。

仕事を探すことはもちろん、就職に有利になるよう、職業訓練(スキルアップ)を受けることもできます。

つまり、こちらのゴール(目的)は、“職に就くこと”です。

それに対して、「就労支援」は、職に就くためのスキルアップはもちろん、安定して仕事を行うために必要な能力を身につける(トレーニングする)ことも含まれます。

つまり、こちらのゴール(目的)は、“就労を通じて自立すること”なのです。

さらに、就労支援サービスは、大きく2つに分かれます。

就労支援サービスが、2つに分けられる理由

就労支援サービスは、「一般就労」「福祉的就労」の2つに大別されます。

一般就労は、その名の通り、一般企業と労働契約を結んで働くもっとも一般的な働き方です。

そして、福祉的就労は、一般就労としての働き方が困難な方……つまり障害を持つ方の働き方のことを指しています。

前述でご紹介した「就労移行支援」や「就労継続支援」は、この「福祉的就労」に該当します。

尚、仕事の配分についてですが、“一般就労=経営者の最良に任される”のに対し、“福祉的就労=利用者の希望が優先される”という違いもあります。

この理由は、”障害や体調に合わせて、自分のペースで働くor働く準備をする必要があるから”です。

就労支援を行っているのは、国だけではない

ここまでにご紹介してきたのは、「国が行っている支援内容」についてです。

例えば、ハローワーク(正式名称:公共職業安定所)は、日本全国に500か所以上存在し、これまでにご紹介してきた全ての就労支援サービスにも対応しています。

それに加え、就労支援事業の取り組みは、国だけでなく企業や団体も行っているのです。

例えば、就労支援オンライン学習プログラム:「knowbe」というシステムで就労支援事業を行っている「aloha」

「ビジネススキルの習得サポート」「生活トータルサポート」「就職活動サポート」「就職後のサポート」を提供している、「ウェルビー」

他にも、特定非営利活動法人として認められているボランティア活動団体「ホープワールドワイド・ジャパン」や、就労支援センター「ひゅーまにあ」を運営している「チャレンジドジャパン」など、様々な企業・団体が、様々な形で就労支援を実施しています。

ハローワークなどの国が提供している支援は、(個人面談などはあれど)基本的に多人数に向けた訓練やセミナーが多いのが特徴です。

それに対し、企業や団体が行う支援は、“一人ひとりのペースに合わせて学ぶことができる”というのが特徴であり、個々人のペースで継続的に学べ・少しずつ成功体験を重ねていくことができます。

もちろん企業や団体によりけりな部分もありますが、「どのような形で、就業への道を進めていくか?」という選択肢は多岐に渡り、それを自分で選択していくことが可能な時代でもあります。

置かれている状況は人それぞれですので、是非自分の状況を考慮した上で様々な情報を仕入れ、自分に合ったやり方で就業への一歩を踏み出してみて下さい。

まとめ

就労が困難な理由は、人それぞれ様々な形で存在します。

そして、ここまでにご紹介してきた内容(人々)は、仕事を見つけるために多くの支援を必要とする場合が多いのが特徴の一つでもあります。

しかし支援が必要であったとしても、「職に就きたい」という気持ちは、一般的に就労している人たちと何一つ違いはありません。

仕事は、“収入を得る=生きていくために必要なもの”です。

そして、それと同じくして、“社会に貢献していることを実感するための活動”であり、“生きがい(やりがい)”でもあるのです。

現代は、個人に合わせた支援が、様々な形で実施されています。

焦らず・急がず……でも、確実に。

是非、自分のペース……そして自分に合ったやり方で、その生きがいを見つけていっていただけたらと思います。

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