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【ガイドヘルパー】なり方・勤務地・給与・福利厚生・将来性などについて解説!

この記事は約12分で読めます。

障害のある方の“外出介助”をする「ガイドヘルパー」という仕事。
(“移動介護従事者”や”外出介護員”と呼ばれることもある)

以前の記事で、サービス内容やその対象者についてご紹介をしました。

前回は利用者目線でのご紹介となりましたが、今回はサービスを提供する側の目線で、以下のような点についてご紹介をしていきたいと思います。

◆なり方(必要な資格)
◆勤務地・雇用形態・求人について
◆給与や福利厚生
◆現状や将来性

ガイドヘルパーの「なり方」について

該当する「研修」を受け「資格」を取得する必要がある


障害のある方の“外出を支援する”というこの仕事は、無資格で職に就くことはできません。

該当する「研修」を受け、「資格」を取得しなければいけません。

また「障害」と一言で言い表しても、障害の種類は数多く存在し、人によって障害の種類も度合いも千差万別です。

そのため、該当する障害に対応できるよう、必要な知識・サポート技術を身に着ける必要があります。

そして、この必要な知識・サポート技術を身に着けるための研修は、以下の“3つ”に分かれています。

◆全身性障害者ガイドヘルパー(全身性障害者過程研修)
◆知的・精神障害ガイドヘルパー(知的・精神障害者行動援護従業者養成研修)
◆視覚障害者ガイドヘルパー(同行援護従業者養成研修)

それぞれ、個別に内容をご紹介していきます。

「全身性障害者ガイドヘルパー(全身性障害者過程研修)」について

利用対象となるのは「車いすが必要な方」で、車いすが必要な方への“移動介助”を学んでいきます。

車いすでの移動が必要な方にとって、日常の道路事情は大きな障がいとなり得ます。

◆歩道の段差が多いこと
◆歩行者用の青信号が意外と短いこと
◆走行中の自動車が近く感じられること

などなど、健常者(=日常生活行動に支障のない人のこと)であれば気にすることがない道路事情も、車いすを利用する人にとっては不憫かつ移動に恐怖すら感じてしまうことも少なくないのです。

そのため、研修を通じて(ガイドヘルパーとなる人自身が)車いすで屋外の移動介護を体験します。

自身が体験することで、様々な気づきを得ることができ、車いすを利用している人に対する理解を深めることができるからです。

「知的・精神障害ガイドヘルパー(知的・精神障害者行動援護従業者養成研修)」について

対象となるのは、「知的・精神障害者」の方であり、障害の度合いは人によってさまざまです。

そのため「移動介助」だけでなく、「身体介護」も行うことがあります。
(衣類の着脱や排せつのサポートなど)

また、記憶力・判断力の程度に関しても人によって大きく違いがあるため、各利用者に応じたサポートを必要とします。

加えて、障害を持つ利用者本人だけでなく、ご家族の心理についての理解も深めることが重要です。

学ぶべきことはここで紹介している3つの研修の中でもっとも多く、“実際の介護のケースを基にした研修が行われる”のが特徴と言えます。

「視覚障害者ガイドヘルパー(同行援護従業者養成研修)」について

「視覚障碍者=目が見えない・視力が低い・視野が極度に狭い」などの障害を持った人が対象となります。

もちろん、見え方や見えにくさの度合いは人によって違うため、一人ひとりその人にあった安全なサポートを行うことが重要となります。

研修時には、「移動支援」(食事の介助/ドアの開閉/海外の昇り降り/排泄の支援など)を実践的に学び、その技術を身に着けていくこととなります。

また、外出先において「代読/代筆」などを行うこともあるため、それらについても実践的に学んでいくこととなります。

上記”研修および資格”取得以外での「移動介護」を行う方法について

実は、障害者の移動介助を行う際、必ずしもガイドヘルパーの資格が必要というわけでもありません。

「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上の資格」があれば、“知的障害者への移動サービスの提供”に限り、ガイドヘルパーの資格がなくても移動介護を行うことが可能となります。
(全身性障害者や視覚障害者への移動サービスは、基本的に上記で挙げたガイドヘルパーの資格が必要とされる)

ただし、自治体によっては「ガイドヘルパーの資格がなくても良い」とされる場合もあるので、詳細は各自治体に確認を取ってみてください。

とはいえ、上記で挙げた「研修」および「資格取得」の難易度はそれほど高いものではありません。

また、既に介護職に就いている人が、自身の業務領域を広げる(キャリアアップ)ために上記資格を取得するケースも非常に多いとされています。

「ガイドヘルパーでなくてはできないこともある」ことから、介護職に“就いている”もしくは“就きたい”と考えている人は、合わせて取得しておいても損のない資格と言えるでしょう。

ちなみに少し余談となりますが、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)は“介護保険制度”上の資格となりますが、ガイドヘルパーは“障害者総合支援法”に基づいています。

どんなところで働くの?「勤務地」や「求人募集」について


「ガイドヘルパーの仕事に就きたい!」となった時、求人サイトや転職サイトなどで情報を調べるかと思いますが、いざ働くとなった際はどんな施設で勤務するのでしょうか?

求人サイトで情報を探す際に気を付けておくことを含め、この項目にて色々とご紹介をしていきたいと思います。

「勤務先」について

ガイドヘルパーの主な勤務先は、「訪問介護事業所」「障害者支援施設」が挙げられます。

障害者支援施設は、“デイサービスなどの通所施設”“グループホームなどの入所施設”など多岐に渡り、勤務先は全国各地さまざまな場所に点在していると言えます。

「1日のスケジュール」は?

“移動の介助”と一言でいっても、利用者の“移動する目的”はさまざまです。

  • 通勤・通学・通院で利用する人
  • 散歩や買い物のために利用する人
  • 地域のイベントや旅行などに付き添ってほしい人

など。

特に、通勤・通学・散歩・買い物などを目的とした移動介助の場合、短時間で済んでしまうこともあるため、時間をズラして1日に何件かの依頼をスケジュールに組み込む人(事業所)が多くなります。
(アルバイトやパートの場合やは、1日の件数を自分でコントロールすることも可能)

また、デイサービスやグループホームなど勤務先が別の事業も行っている場合は、ガイドヘルパーの依頼がない時間帯は、他の業務を担当することもあります。

この時に介護関連の別の資格を所有していると、業務の幅が広がり、さらに収入を伸ばすことも可能となるでしょう。

「雇用形態」について

雇用形態は様々に存在し、「正社員」から「パート/アルバイト/契約社員/派遣社員」など多様な雇用形態から選択することができます。

また、上記で挙げたように勤務先は「介護」を必要とする施設ばかりであるため、ガイドヘルパーではなく「訪問介護スタッフ」「介護スタッフ」として募集をかけている場合もあります。

その場合は、介護に関する資格を求められることが多いです。

◆介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
◆介護職員実務者研修(旧ホームヘルパー1級)
◆介護福祉士 など

上記に加えて、【歓迎案件】として「ガイドヘルパーの資格を所持している人」と記載されていることがあります。

この点については、例えば「ガイドヘルパー 求人」などで検索をして、募集職種や必要資格について調べてみるといいでしょう。

また、他の勤務先としては「社会福祉協議会」などの公的機関も該当します。

特に、視覚障害者を対象とするガイドヘルパーは公的機関から利用者の要望に応じて派遣されることも多いため、「視覚障害者ガイドヘルパー」の資格をお持ちの方で求人を探している方は、合わせて検索をかけてみるといいかもしれません。

「未経験」でも求人募集はある?

結論から言うと、「未経験でも求人を募集している事業所は存在する」です。

試しに「ガイドヘルパー 求人 未経験」などで検索をかけてみると分かりますが、多くの事業所で「未経験者もOK!」と記載されています。

ただし、介護職に「初任者研修(旧ヘルパー2級)以上」が応募資格の必須条件であるのと同じように、上述で挙げた「ガイドヘルパー資格」の所持は必須条件となっていることが多いです。

中には「無資格・未経験でもOK」と書かれている求人もちらほらと見受けられますが、『資格を所持している=研修を受けている=ガイドヘルパーとしての(最低限の)知識を有している』という証明にもなるため、資格を所持しておいて損をすることはありません。

採用面でも多少は有利になりますし、知識や技術の有る無しは実際に職に就いた時に大きく影響してきます。

良い?悪い?ガイドヘルパーの給与や福利厚生について


地域であったり雇用形態によって給与額や福利厚生に差はありますが、基本的にはそれほど高い水準とは言えません。

例えば、正社員の月給だと「180,000円~220,000円」がボリュームゾーンと言われており、年収にすると「250万円~280万円」ほどが多いようです。

またパートやアルバイトの場合は、時給換算となりますがおおよそ「1,300円~1,500円」としている事業所が多いかと思われます。
(もちろんこちらも地域によりけりではあります)

そして福利厚生に関してですが、こちらは地域……というよりも“事業所”“雇用形態”によって千差万別となります。

正社員の場合、「社会保険/昇給/交通費支給」などの最低限のものは用意されているところがほとんどですが、「賞与(ボーナス)」「各種手当」は事業所によってさまざまです。

パートやアルバイトの場合は、さらに待遇が悪くなることも多いので、求人募集の「福利厚生」欄はしっかりと確認を取っておいた方が良いかと思われます。

ただし、パート・アルバイトの場合は、給与や福利厚生があまりよくない分“時間の融通が利く”ので、プライベートと両立したい人(Wワーク・勉強のためや子育て中の方など)にとってはこちらを選択するメリットもあると言えます。

ガイドヘルパーが給与・年収を上げるためには?


ガイドヘルパーという資格・仕事だけでは、給与・年収には限度があり頭打ちしてしまう可能性が高くなります。

もし「給与・年収を上げたい」と考えている場合、もっとも手っ取り早いのは“別の資格を取得すること”です。

上述でもお伝えしたように「介護関連の資格」を取得しておけば、できる業務の幅が広がり、給与・年収が増えていくと同時に「資格手当」なども支給される可能性が高まると言えるでしょう。

介護・障害福祉サービスにおいて役に立つ資格は、以下のようなものが挙げられます。

◆介護職員初任者研修
◆介護職員実務者研修
◆介護福祉士
◆サービス提供責任者
◆看護師
◆居宅介護支援(ケアマネージャー)
◆言語聴覚士
◆作業療法士
◆柔道整復師 など

上記資格の中には国家資格も含まれており取得難度が高いものもありますが、その分取得できれば収入(手当)は大きく増加します。

そもそも、ガイドヘルパー以外の職種に転職することも可能となり、収入は確実に増加します。

特に、サービス提供責任者や介護福祉士などは、事業所の責任者やそれに近い立場にもなれるため、収入の大幅な増加が見込めることでしょう。

逆に、既に上記のいずれかの資格を所有している人が、ガイドヘルパー資格を取得して業務の幅を広げるケースもあります。

上述でもお伝えした通り「ガイドヘルパーでなくてはできないこともある」ため、資格(研修)は受けておいて損をすることはありません。

ニーズはある?ガイドヘルパーの現状や将来性について

以前の記事でもお伝えしたように、ガイドヘルパーの仕事は単なる移動の介助だけでなく、「生活の質を維持・向上すること」「社会交流の機会を増やすことができるようになる」という重要な役割があります。

そのため、今後も需要のある仕事となることは間違いありません。

近年は「機械による自動化」が進んでおり、本来人が行っていた仕事の多くが機械に取って代わられていることも事実です。

確かに、“移動の介助だけなら”機械化を進めることはできるかもしれません。

しかし、“コミュニケーションを取る=人と接する”というのは、絶対に機械に取って代わられることはありません。

障害を抱えている人は、“心身の状況(状態)から社会参加の機会が少なくなりがち”です。

小・中学生などであれば、ガイドヘルパーとのコミュニケーションが自立の第一歩になり得ることだってあります。

加えて、介護や医療業界は「人手不足」が古くからの課題であり、ガイドヘルパーにおいても人手が足りていないのが現状です。

このことから、今後もガイドヘルパーは社会に必要とされ、その需要はますます大きなものになっていくと考えられています。

ガイドヘルパーとして働く「メリット」や「やりがい」とは?

働く上での「メリット」とは?

まず、ガイドヘルパーとして仕事をする上でのメリットは、以下の2つが挙げられます。

◆身体的な負担が少ない(他の介護関連職に比べて)
◆利用者個人個人に合わせた支援ができる

例えば、介護という仕事を行う場合、「身体介護」「生活援助」を行う必要があり、それぞれで行う介助内容は多岐に渡ります。

しかし、ガイドヘルパーの業務の基本は「移動介助」のみなので、他の介護関連職に比べて身体的な負担は少ない傾向にあります。
(一部身体介護を行うこともあるが、それでも他の介護職に比べれば負担は少なめである)

そして、移動介助を行うのは基本的に1対1で支援をすることが多いです。

例えば、グループホームやデイサービスの場合は入所人数が決まっており、複数人の介護をある程度同時に行っていく必要があります。

対してガイドヘルパーの場合、移動介助が基本であるため、一人ひとりに合わせた支援ができる(目の前の利用者に集中できる)という点もメリットの1つと言えるのではないかと思います。

これらのことから、仕事をする上での肉体的・精神的な負担は、他の介護職に比べて比較的少なめであると言えます。

ただし、あくまで「他の介護関連職と比べて負担が少なめ」なだけであり、移動介助には細心の注意をはらって行動する必要はあります。

利用者を不安にさせたり・怖い思いをさせたり……、もし下手を打てば利用者の怪我にも繋がる可能性もあるため、当然楽な仕事でないということは確かです。

ガイドヘルパーをする上での「やりがい」とは?

もっともやりがいを感じられるのは「実際に外出に同行し、利用者と喜びを共有できた時である」と言われています。

外出や社会参加の機会が少なくなりがちな障害者の方にとって、ガイドヘルパーの存在はとても大きく、障害を持つ人たちの生活を充実したものに変えることができます。

利用者から「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えてもらえることがあります。

人によっては上手く言葉にすることができない人もいますが、その生き生きとした表情や笑顔を見て“喜びを共有すること”で大きな充実感を得られることもあります。

これこそが、ガイドヘルパーの醍醐味と言えるのではないでしょうか。

まとめ

現代の日本は「超高齢化社会」に突入しており、高齢化にともない障害のある高齢者は今後も増加していくと予想されています。

そのため、ガイドヘルパーに依頼される仕事は今後も増加が見込まれており、今後もそのニーズが高まっていくと言えるでしょう。

ガイドヘルパーの資格は、数日の研修で取得できるもので、長い期間を必要としたり・取得難度が高いものでもありません。

加えて、既に介護福祉士などの資格を所有している人の場合、研修時に科目免除もあるため、人によってはより取得難度が下がる傾向にあります。

介護や医療に関する資格は、取得することで仕事の幅が大きく広がり、既に勤務している職場でのキャリアアップはもちろん、対象となる職場の選択肢も増えていきます。

現状、ガイドヘルパーの資格取得に対する市区町村の支援は手厚くなっています。
(それだけ需要がある仕事なのです)

だからこそ、今がガイドヘルパーになるチャンスともいえます。

ガイドヘルパーという仕事に興味を持たれた方は、この機会にぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

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