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「緊急事態宣言」って何?「まん延防止等重点措置」との違いや影響力について

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世界中で猛威を振るう、新型コロナウイルス

昨年2020年から国内での感染者が爆発的に増加し、1年以上が経過した2021年4月時点でも、まだその脅威はとどまることを知りません。

そんな中、2021年4月25日(日)から、4都府県を対象とした“3回目の緊急事態宣言”が発令されました。

この「緊急事態宣言」ですが、日本で発令されるのは非常に稀であり、これが宣言される条件やその影響力について詳しくご存知の方はそれほど多くないのではないかと思います。

また、2021年2月13日からは、新たに「まん延防止等重点措置」が施行されています。

この2つは、それぞれどんな特徴があり、そして両者の違いは何なのか?

今回は、この点について詳しくご紹介していきたいと思います。

尚、新型コロナウイルスに関する記事は、以前に作成しておりますので、以下にリンクを貼っておきます。

「緊急事態宣言」とは?

概要


これは、その名の通り“緊急事態=国が危機に陥った時”に発令されるものです。

端的に言うのであれば、“特別法”に基づいて、“自由行動を制限する”ことであり、その宣言となります。

例えば、現在世界中で流行している新型コロナのような“未知のウイルスが蔓延した時”や、“国家間での戦争やテロ・暴動などが起きた時”など、まさしく“非常事態”が発生した時に発令されるのです。

尚、世界的には「”非常”事態宣言」と呼ばれていますが、日本の「”緊急”事態宣言」と意味合いは同じです。

日本において、これまでに発令されたことはあるの?

2020年、2021年に発令された緊急事態宣言以外でも、日本で発令されたことはあります。

一つは、1941年12月8日「太平洋戦争」の開戦

もう一つは、2011年3月11日「福島第一原子力発電所」の事故と、2011年3月12日「福島第二原子力発電所」の圧力抑制機能喪失による、原子力緊急事態宣言です。

日本において発令されたのは上記のみですが、世界中のその他の国では、他にも様々な事情で非常事態宣言が発令されています。

例えば、サイクロン・地震・噴火などの自然災害や、テロ・デモ・クーデター、暴動・治安悪化など、様々です。

尚、非常(緊急)事態宣言は、国によってその効力(強制力)が若干異なる場合があります。

日本はその最たる例です。

2020年・2021年に発令されている緊急事態宣言は、「不要不急の外出は控えてください」「休業養鶏・時短営業に応じてください」といった“要請・要望”であり、強制力はさほどありません。

また、「県をまたぐ移動は控えてください」と言われていますが、交通機関をストップさせるような“都市封鎖”を実施できる規定もありません。

他の国であれば、武力に依存した行動制限(ロックダウン)が行われたり、破った場合に罰金などを課せられる場合もあります。

宣言を行うための”要件”とは?

上記で記載した特別法というのは、“緊急事態の原因究明・対策のために、特別に作られた法律”のことを言い、これに基づいて緊急事態宣言を出す場合は、以下の要件を満たさなくてはいけません。

◆国民の生命・健康に、著しく重大な被害を与える可能性がある
◆全国的かつ急速な蔓延で、国民の生活および経済に甚大な影響を及ぼす可能性がある

新型コロナウイルスは上記2つを満たすものであり、現在進行系で人々に甚大な被害をもたらしています。

2020年~2021年の発令時はどんなものだったか?

2020年~2021年4月現在まで、新型コロナウイルスの影響により、計3回の緊急事態宣言が発令されています。

ここで、その時の状況をそれぞれ簡単にご紹介したいと思います。

1回目:2020年4月8日(水)~

1回目は、2020年4月7日(火)に宣言が出され、8日(水)から施行されました。

この時の期限は、当初は翌月の5月6日(水)までとされていましたが、感染拡大の終息の目処が立たず、結果5月31日(日)まで延長されることとなりました。
※全面解除が発表されたのは、5月25日(月)となる※

ただし、新規感染者が少ない39県は、5月14日(木)に宣言の解除が発表されています。

1回目の対象となった都府県ですが、最初は「東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡」の7都府県でした。

しかし、発令後に急激に感染者が増加し、4月10日(金)に「愛知・岐阜」が独自の緊急事態宣言を発令、9都府県が対象となりました。

……が、その後も感染者が増加し、果ては宣言の対象外の地域においても感染者が数多く出始めることとなり、4月16日(木)に対象地域が“日本全国”となってしまいました。

2回目:2021年1月8日(金)~

2回目は、翌年の2021年1月7日(木)に発出、翌日の8日(金)~2月7日(日)までの1ヶ月間施行されました。

経済を活性化させようと行われたGotoトラベルですが、以降……特に年末年始にかけて感染者が爆発的に増加し、2021年頭には東京都で1日2,000人を超える陽性患者が出てしまったのです。

加えて、全国規模でも陽性患者が増加していたことから、国レベルでの医療崩壊の危険性を鑑み、緊急事態宣言が発令されることとなりました。

ただし、この時は全国規模ではなく、初めは「東京・神奈川・埼玉・千葉」の1都3県が対象地域に指定されていました。

しかし、他府県の自治体から範囲拡大の要請があり、1月13日(水)に「大阪・兵庫・京都・愛知・岐阜・福岡・栃木」の7府県が追加され、計11都府県となりました。

3回目:2021年4月25日(日)~

2021年4月25日(日)……、3度目の緊急事態宣言がスタートすることとなりました。

発令時点での対象地域は「東京・大阪・京都・兵庫」の4都府県で、期限は4月25日(日)~5月11日(火)の17日間です。

ただし、対象地域・期限は発令時のものであり、状況次第で対象地域が増えたり・期限が延長してしまう可能性もあるかもしれません。

とにかく、不要不急の外出は極力避け、予防対策をしっかりと行って、この苦境を乗り越えていきましょう。

余談ですが、不要不急の外出を避けるべきではあるものの、適度に体を動かすということは、可能な範囲で行うようにしてください。

ずっと家の中に閉じこもっていると、気が滅入ってしまいます。

◆感染対策をしっかりと行い・人混みの多いところを避けつつ、軽く散歩をする!
◆外に出れなかったとしても、家の中でストレッチなどをする!

人によっては「運動することが難しい……」という方もいらっしゃるかもしれません。

その場合は、家の中で趣味に没頭する・家族や友人に連絡をするなどでも大丈夫です。

出来る限り、“リフレッシュする”ことを意識して、ストレスを溜め込まないようにしてください。

現在は、「コロナ鬱」という症状が出る人も増加しています。

適度に気分転換を行い、極力ストレスを発散していくことを意識してみてください。

宣言時、どのような要請があったのか?


新型コロナの影響で、現在発令された緊急事態宣言は計3回とお話しましたが、「3密を防ぐ」「不要不急の外出を避ける」という名目こそ同様であるものの、措置内容はそれぞれで異なります。

まず、緊急事態宣言下では、各都道府県知事が「多数の者が利用する施設の使用制限を、”要請”することが可能」であり、それぞれでその対象施設が大きく異なりました。

1・2回目の措置について

まず、1回目は「カラオケ店」「スポーツジム」「ライブハウス」「映画館」「遊園地」など、多くの施設が休業要請の対象となりました。

また、ショッピングセンターやデパートなどの大型商業施設も、生活必需品を販売するエリア以外は休業要請の対象に含まれており、学校にも休学要請、イベントの開催停止の要請、飲食店の時短営業など、数多くの施設が多大な影響を受けています。

対して、2度目の宣言時は“飲食店を中心とする施設への休業・時短営業の要請”がメインとなりました。

2021年1月8日(金)~1月11日(月)までは、「酒類を提供する飲食店など」が対象となり、営業時間は「午前5時~午後20時まで」と制限されました。

その後、感染者増加を懸念して、「酒類の提供の有無に関わらず、飲食店全般」が対象となっています(営業時間は変更なし)。

2度目の宣言時に飲食店が対象の中心となった理由は、菅首相の記者会見時の「経路不明の感染原因の多くが、飲食によるものと専門家が指摘している」という発言によるものです。

他にも、イベント開催の延期or規模縮小やオンラインor無観客開催の要望、各イベント後の会食禁止などイベントに関する見直しもされており、政府からの“呼びかけ”にてスポーツジムなど一部の(飲食店以外の)施設でも時短営業を行うところもありました。

なんにせよ、1回目の宣言時に比べて対象範囲は狭く、「(飲食店を中心とした)限定的な対策では、効果は乏しいのではないか?」という専門家の意見も出ていました。

そして、結果として、3度目の緊急事態宣言が発令されることとなります……。

3度目の措置について

2度に渡る緊急事態宣言の効果も虚しく感染者は増加……。

大阪などは「医療崩壊の可能性も……」と言われるほどに感染者が爆発的に増加しており、現在3度目の宣言が発令しています。

今回は「これまで以上に強い集中的な対策が必要」と言われており、2回目以上に強い要請が出されています。

その内容は以下の通りです。

特に、大阪や兵庫県の感染者数は爆発的に増大しており、大阪は4月27日(火)に1,231人の感染者報告がされています。

重症患者用の病床運用率も92.7%と報道されており、非常に危険な状態です。

現在、大阪と東京に大規模なワクチン接種会場を開設するという話も報道されています。

3度目の緊急事態宣言で少しでも感染者に歯止めをかけ、ワクチン接種にて少しでも多くの感染被害を押さえることができればと思いますが……どうなるのかは全く予想がつかない状態です。

「まん延防止等重点措置」とは一体何か?

概要

「まんぼう」という言葉……テレビやネットなどで耳にしたことがある人も多いかと思います。

この正式名称は「まん延防止等重点措置」のことであり、新型コロナ対策の特措法で、2021年2月に新しく創立された制度です。

これは、感染拡大が起こった地域において、“対象期間や対象市区町村を設定”し、時短営業などを要請することが可能となります。

緊急事態宣言と何が違う?

感染拡大地域への移動自粛であったり、お店の時短営業の要請であったり……。対策内容としては、緊急事態宣言と大きな違いはありません。

一番の違いは、「対象地域」「要請が出されるタイミング」です。

ただ、上記2つの違いをご紹介する前に……。
まずは「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の主な違いを、表にしてまとめてみようと思います。
(以下、まん延防止等重点措置は、”まんぼう”と表記します)

次に、上表の中でも特に重要な、
「対象地域」
「要請が出されるタイミング(ステージとは?)」
「罰則」
について、それぞれご紹介していきます。

違い①:対象地域について

「緊急事態宣言」にしても、「まんぼう」にしても、“政府から都道府県に発令される”という点については変わりがありません。

ただし「まんぼう」は、“各都道府県の知事が、対象期間・エリア・対策内容を決定する”という違いがあります。

全国的に人の活動を制限してしまうと、人々の生活はもちろん、経済にも大きな打撃を与えてしまうことになります。

その前に、「エリアごとに新型コロナを抑え込むための施策を打とう」というのが、目的となります。

違い②:要請が出されるタイミング(ステージ)とは?

表に記載した「ステージ」というのは、新型コロナの感染状況を判断するための指標であり、4つのステージが存在します。

テレビやネットなどで「〇〇の地域が、ステージ〇に達しました」と聞いたことがある人も多いはずです。

これは、感染状況により1~4段階のステージが設けられています。

ステージ1が、“感染者が散髪的に発生している”段階。

そこから、感染者が増加するごとにステージが上昇していき、ステージ4は「感染爆発段階」という最も危険な状態となります。

2021年4月末時点だと、大阪がステージ4に達しており、感染者が爆発的に拡大+医療提供体制が機能不全(医療崩壊寸前)に陥っています。

「緊急事態宣言(ステージ4)」の前に、「まんぼう(ステージ3)」を発令し、感染拡大・医療崩壊を防ぎたい……というのがこの制度の意図となります。

罰則が追加された……?

2021年2月13日(土)に、新型コロナ対策として「特措法」「感染症法」に改正法が施行されています。

「不要不急の外出を避ける」
「3密を避ける」

政府からの要請を守っていれば特に問題はありませんが、以下のような場合に、行政罰として以下の罰則が発生してしまいます。

【事業者】

  • 政府からの要請に応じない場合
  • 必要な立ち入り調査に応じず、拒否した場合

【個人】

  • 感染者が入院先から逃亡した場合
  • 正当な理由なく、入院措置に応じない場合

分かりやすく言えば、「感染拡大の原因となる行為を行った場合」となるでしょうか。

確かに、(特に事業者の方にとっては)度重なる要請……ということもあり、自身だけでなく従業員の生活にも直結してくる休業・時短要請は、”受け入れたくても受け入れ辛い状況”ではあると思います。

休業補償などの救済措置に関しても、事業者側の立場からすれば、
「十分ではない……足りない……生活できない……」
このように感じてしまう人も大勢いらっしゃるかもしれません。

実際、コロナの影響で、職を失った人も大勢いるのも事実です。

この点に関しては、(心苦しい気持ちもありますが……)感染者を少しでも減らすために、少しでも多くの命を守るために、ご協力していただければと思います……。

倒産件数が増加しているのも事実ではある……


帝国データバンクの資料(2021年3月4日時点)によれば、新型のコロナの影響で倒産を余儀なくされた事業所は“全国で1,114件”も存在すると言われています。

特に飲食店はその中でも最も多く、“175件”です。

その他にも、建設・工事業、ホテル・旅館・アパレル小売店、食品卸などが倒産しており、その被害は相当なものとなっています。

さらに、上記は2021年3月時点のものであるため、4月末の緊急事態宣言により、さらに危機的状況に見舞われる企業も増加するものと考えられています。

現在は、医療機関への助成が手厚くなっているのが現状です。

確かに、医療機関の方々も人々のために必死になってくれていることは間違いありませんし、「病床使用率を下げる」という理由で、医療機関への助成が手厚くなるのは致し方ないとは言えます。

それはもちろん理解できるのですが、それと同時に、要請に応じている各企業(特に、中小企業や個人商店主など)に向けて、新たな救済措置・追加措置などを行っていかないと、日本経済への打撃は取り返しがつかないものとなってしまう……と言うのも現実的な問題として挙がっているのは事実なのです……。

この点については、今後の動向もしっかりチェックしていく必要はあるかと思います……。

まとめ

新型コロナの影響によって、人々のストレスはどんどん肥大化しています。

「コロナのせいで、仕事がなくなってしまった……」
「収入がガタ落ちして、このままじゃ生活ができない……」
「また緊急事態宣言か……本当に意味はあるのか?」
「今年のゴールデンウイークこそ、旅行に行って羽目を外したかったのに……」

特に3度目の緊急事態宣言は、2回目の宣言時よりも強い制限が掛かっており+度重なる自粛の関係で(色々な意味で)“我慢の限界”を感じている人も少なくないはずです。

正直なところ、気持ちはすごく分かります。

「いつまで我慢し続けなきゃいけないんだ!」と感じる気持ちも理解はできますが、感染者が増加している以上、何もしない訳にはいきません。

特にゴールデンウイークの大型連休に突入する今のタイミングは、下手をすればより感染が拡大する可能性もあり得るのです。

現在は病床使用率も高くなっており、医療崩壊が間近に迫っているのも事実です。

苦しい時ではありますが、皆が一丸となって乗り越えるしか術はありません。

この間に、「ワクチンが完成し多くの人に行き渡るようにする」「生活に苦しんでいる方々に、より良い保障を提供する」など、事態を改善できる施策が設けられていくことを、切に願っております。

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