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【児童指導員】仕事内容は?無資格からでもなれる?児童指導員のあれこれ

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「児童指導員」とは、子どもたちの教育および福祉に携わる仕事の一つです。

児童福祉や学童保育に対するニーズの高まりや、障害に対する理解が世間に広がりを見せている昨今、児童福祉サービスを提供する事業所は年々増加し続けています。

そんな中で、児童指導員の求人募集も多く見かけるようになってきたのですが、中には「無資格・未経験でもOK!」と記載されているものもチラホラと見受けられます。

「本当に、無資格からでも仕事をはじめることができるのか……?」

実は、学校の先生や保育士に免許(資格)が必要なように、児童指導員になるにも資格が必要となります。

では、なぜ無資格からでも求人募集をしているのか……?

今回は、なり方や仕事内容など、児童指導員についての情報を詳しくご紹介していきたいと思います。

そもそも「児童指導員」とは、どういう職業なのか

障害を持つ子どもたちの療育支援を行っている


「障害を持つ子どもたちの生活をサポートする」

児童指導員の仕事内容を端的に表現すると、上記のようになります。

家庭など、なんらかの事情で「児童福祉施設」に預けられた“支援が必要な子ども”と直接関わりを持ち、心身の健やかな成長のための療育および将来自立した社会生活を遅れるように支援を行っていくのです。

ただし、”支援”と一言でいっても業務内容は様々ですし、”児童福祉施設”も数多くの種類があります。

次項から、それぞれの内容をもう少し深堀りしていきましょう。

主な業務内容について

以前に、「児童発達支援管理責任者」(以下、児発管)についての記事を記載しましたが、児童指導員は「児発管が作成した個別支援計画に沿って」業務を行っていきます。
(児発管・個別支援計画については、該当記事を参照)

児発管が”サービス全体を管理する立場”なのに対し、児童指導員は”現場で直接子どもたちと触れ合い・支援する立場”となります。

そして、主に以下の業務を担当します。

◆日常生活の指導
◆個別支援
◆集団生活への適応支援
◆子どもや保護者からの相談対応
◆児童相談所や学校との連絡

これらは、“主な”且つ“大まかな”仕事内容なので、これ以外にも様々な仕事を担当することとなります。

例えば、「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」などの通所施設の場合、子どもたちの送り迎えを担当することもあります。

また、以下のように児童福祉施設も多岐に渡るため、業務内容は事業所によっても異なります。

「児童福祉施設」の種類と配置基準について

次に、児童指導員が勤務する、児童福祉施設についてです。

「児童発達支援・放課後等デイサービス事業所についての記事」も以前に作成しその際にも少し触れましたが、児童福祉施設の一部では「一定の職員を、一定数配置する基準」というのが設けられています。

“児童福祉施設の種類”および“児童指導員の配置基準”は、下表のようになります。

支援対象となる児童の年齢は「0歳~18歳」まで(利用者の状況によっては20歳まで)となっており、施設によって利用する年齢層は様々です。

なんにせよ、未就学児・就学児を含めた子どもたちが成人するまでの間、自立した社会生活を遅れるようにするために多角的な支援を行う……。

これが、児童指導員の大きな役割となるのです。

どうやったら「児童指導員」になれるのか?

そもそも「児童指導員」という資格は存在しない


少しややこしい話となるのですが……。

そもそも、「児童指導員」という名称の資格は、存在しません

ただし、児童指導員として働くために必要な「任用資格」というものがあります。

この「任用資格」というのは、“特定の職業や職位に就く際に必要となる資格”のことであり、児童指導員以外にもいくつかの種類があります。
(社会教育主事任用資格、社会福祉主事任用資格、児童福祉司任用資格、児童の遊びを指導する者任用資格など)

そして、この任用資格は、国家資格などの他の資格と違い取得しただけでは意味がなく、児童指導員としての仕事に就いて(配属されて)から、効力が発揮されます。

つまり、「児童指導員の仕事に就かない限り、資格を役立てることはできない」ということです。

ただし、その分資格取得のために試験を受ける必要はなく、資格要件を満たすことも(比較的)簡単にできます。

資格要件は、複数のルートから選択できる

児童指導員任用試験を得るためのルートは、5つあります。

以下、表にしてまとめてみましたので、まずはこちらをご覧ください。

次に、何点か補足を加えていきます。

②別資格との同時取得ルート

表の通り、「社会福祉士」もしくは「精神保健福祉士」の資格を取得することで、児童指導員の資格を同時に取得することが可能となります。

ただし、※に記載した通り“一定の受験資格を満たす必要がある”のです。

その受験資格は、以下の2点となります。

  • 福祉系大学で、指定科目を履修した人
  • 一般大学卒業後、一般養成施設などで1年以上の過程を修了した人

④教員免許ルート

教員免許……つまり学校の先生になるために必要な免許のことですが、これは“小学校・中学校・高等学校・中等教育学校”どの教員免許であっても、資格の要件を満たすことが可能です。

また、2019年4月に行われた法改正によって、「幼稚園教論」の免許も、資格要件を満たす対象となりました。

しかし、「保育士」だけは、資格要件に含まれていません。

この点は、念のためご注意いただければと思います。

⑤実務経験ルート

「2年or3年以上、児童福祉事業に従事する」と表に記載した通り、一定の実務経験を満たすことで資格要件を満たせるのですが、それぞれでもう少し必要となる要件があります。

【3年】

  • 3年以上の実務経験後、都道府県知事の認定を受ける

【2年】

  • 高等学校もしくは中等教育学校を卒業している
  • 大学に入学が認められているor12年の学校教育を修了している
  • 文部科学大臣がこれと同様の資格を有すると認定している

【2年】の場合、上記のいずれかを満たしていれば、1年短く資格要件を得ることが可能となります。

そしてもう一つ、“児童福祉事業に該当するもの”についてです。

これは、「第一種」と「第二種」に大別されています。

「第一種」は、乳児院・児童養護施設・障害児入所施設などの“入所を前提とした事業”が該当します。

そして「第二種」は、障害児通所支援事業・地域子育て支援事業・保育所・幼保連携型認定こども園などが対象となります。

基本的に、第一種の場合は「行政」「社会福祉法人」によって、第二種は「株式会社」「合同会社」「NPO法人」などの様々な事業主体によって運営されています。

もし「児童指導員になるために、実務経験の要件を満たしたい」とお考えの方は、勤務している施設が児童福祉事業に該当しているかどうか、念のために確認しておきましょう。

“無資格”でも求人募集されている理由

さて、ここで冒頭に記載した「本当に、無資格からでも仕事をはじめることができるのか……?」という疑問についてです。

結論、「無資格からでも仕事はできるが、児童指導員として認定されるには”任用資格”が必要」となります。

上述でご紹介した通り、資格要件は“2年~3年以上、児童福祉事業に従事する”ことで満たすことができます。

つまり、“経験さえ積めば、誰にでも取得できる資格”なのです。

「無資格・未経験でも応募可能!」と書かれているのは決して間違いではありません。

しかし、雇用後すぐに児童指導員になれるという訳でもありません。

業務を通して経験を積み・任用資格に合格してから、児童指導員と名乗ることが可能となるのですから、(厳密には)任用資格を取るまでは児童指導員と名乗ることはできません。

ただ、この点は曖昧になっているのも事実です。

というのも、任用資格そのものがあまり効力を発揮する資格ではないからです。

民間資格や国家資格と違い、あくまで該当する仕事に従事しなければ資格の意味がなく、国家試験のようなものもない(実務経験のみでOK)。

また、人によっては「学校卒業時に取得していた」という人もいますし、社会福祉士や精神保健福祉士は“国家資格”であるため、同時に取得できても就職に有利になるのはこの2つの国家資格の方です。

少し聞こえは悪くなりますが、資格そのものが軽く見られがちであるとも言えるかもしれません。

児童福祉を支える重要な仕事には間違いない

誤解のないようにお伝えしておきたいのが、あくまで“任用資格の効力が弱い”という話をしているだけであって、「児童指導員という職種は、これからも必要とされる重要は仕事」ということです。

児童福祉に関するニーズは年々高まっており、各事業所の数も増加し続けています。

そのため、児発管などの他職種と同様に、児童指導員の採用の増加も見込まれているのです(実際に、求人数も増加している)。

それに、「無資格・未経験でも応募可能」ということは、言い方を変えれば“どんな人でも職に就けるチャンスがある”とも言い換えることができます。

慣れないうちは戸惑うことも多々あるかと思いますが、経験を積み重ねていくことで、0の状態から定職に就くことも可能となるのです。

また、雇用形態は正社員からアルバイトまで様々に募集がかかっていますし、正社員登用制度を設けている事業所もあります。

事業所によっては資格取得支援を行っている所もあるので、自分の頑張り次第で、どんどんキャリアアップを図っていくことも可能なのです。

児童指導員は、児童福祉の現場を支える重要な仕事の一つであり、今後も早々にニーズがなくなるということはありません。

“質の担保”という理由で、児発管も過去の法改正によって、資格の取得基準が上がりました。

このことから、児童指導員という仕事や資格についても、今後の状況(利用者などの声)次第では基準が上げられる可能性も絶対に無いとは言い切れません。

今のうちから将来に向けて、自分に合ったルートを選んで児童指導員を目指してみるのもいいかもしれません。

「児童指導員」と「保育士」の役割は違うのか?


児童発達支援や放課後等デイサービスなどの事業所では、「児童指導員」だけでなく「保育士」も配置されることがあります。
(実際に、児童発達支援や放課後等デイサービスで保育士を募集している求人はたくさんある)

「同じ施設で、違う職種の人を雇う=何か役割が違うのか?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的に業務内容そのものに違いはありません。

そもそも、保育士の役割は「共働きなどの家庭の事情で子どもの保育を行うことができない保護者に変わって、就学前の乳幼児の保育を行うこと」であり、児童指導員と役割そのものは同じなのです。

そのため、乳幼児も預かる障害福祉施設であれば、保育士の求人も募集しても何ら不思議ではありません。

ただし、上記はあくまで“同じ施設で働く場合”を比較した話です。

この2つの職種を表にまとめると、以下のようになります。

対象となる子どもの年齢層が、児童指導員の方が圧倒的に幅広いため、その分勤務できる施設も児童指導員の方が多くなります。

また、保育士は国家資格であり資格の取得難度も高いため、そう簡単に合格できるものではありません。

「知識や経験はあまりないけれど、児童福祉の仕事に携わってみたい」とお考えの方の場合、児童指導員の方が取っ付きやすいとも言えるでしょう。

児童指導員の働き方やお給料について


児童指導員としての働き方は、多様に存在します。

もちろん、時期や勤務する地域・事業所によって状況は変化しますのであくまで参考程度に……ではありますが、この項目にて児童指導員の働き方についてご紹介していけたらと思います。

“雇用形態”について

まず、雇用形態についてですが、これは「正社員」「契約社員」「パート・アルバイト」など、状況によって様々です。

当然、雇用形態が変われば、勤務時間や休日数も変わってきます。

そもそも、施設が開いている時間も事業所によって様々です。

言い方を変えると、「どのような施設で、どのように働くか?」は、自分である程度選択することが可能とも言えます。

「正社員として、ガッツリ・長く働きたい」
「子育ても大分落ち着いてきたので、パートとして仕事と家庭を両立しながら働きたい」
「子どもや家族の面倒を優先させたいので、アルバイトとして時間に融通を利かせながら働きたい」

児童指導員の場合、正社員登用制度を設けている事業所も多く存在します。

「まずは、アルバイトやパートからスタートし、ある程度経験を積んだのちに正社員になる」という手段を取ることもできます。

自身のライフスタイルに合わせて勤務先を選ぶことができるのも、児童指導員のメリットの一つと言えるかもしれません。

持っておいて損のない資格は?

「無資格や未経験でも応募可能」という求人も多々ありますが、それでも採用時に有利となるのは、“有資格者”であり“経験者”です。

採用時に、特に有利となる資格は、以下のようなものが挙げられます。

①保育士
②社会福祉士
③児童指導員任用資格
④精神保健福祉士

特に①・②は、求人情報を見ていると「歓迎案件」として目にする機会が非常に多いです。

後は、送迎業務を行う可能性も高いため、「普通自動車免許(AT限定可)」を必須としている事業所も見受けられます。

ただし、絶対ではなく「あれば尚可」としているところもあるので、これは事業所によりけりかと思います。

お給料はどのくらいか?

これに関しては、勤務する事業所(地域)・雇用形態・所持資格・経験年数によって、実に様々です。

ただ、平均給与としてご紹介するのであれば、おおよそ以下のようになります。

  • 正社員:平均月収20万円前後
  • アルバイト・パート:平均時給1,200円前後

例えば、20~30歳の正社員の場合、ボリュームゾーンは「18万円~24万円程度」と言われています。

これに加え、資格手当などの各種手当や賞与が加算される場合もありますので、人(勤務する施設)によっては、さらに給与が上乗せされる可能性もあります。

加えて、児童指導員の勤務先は、「公立の施設」と「私立の施設」があります。

公立施設の場合、働く児童指導員は“地方公務員”として勤務することになるため、給与は“公務員給与規定”に基づいて支給されることとなります。

そうなると、私立施設に比べ、給与や待遇は良い(安定した)ものとなる可能性が高くなるでしょう。

結論:自身の状況によって多様に変化する

勤務する地域・事業所、公立or私立・雇用形態・保有している資格、経験年数……などなど。

結論として“自身の状況”に応じて、この職種の働き方や給与は大きく変化します。

言い方を変えれば、“自分のライフスタイルに合わせて働ける可能性がある”ということです。

児童福祉の求人は、現在その数が増加傾向にあります。

結局は「実際に働いてみないと分からない」ではあります。

……が、事前に勤務先をある程度絞り込みを掛けることは可能です。

色々と情報を探ってみて、自分に合った事業所を選択していくのが吉と言えるかと思います。

まとめ

児童福祉へのニーズが高まり続けていることから、児童指導員は今後も必要とされる仕事であることに間違いはありません。

確かに、障害のあるorなんらかの事情により家庭での生活が困難な子どもに関わるという点から、“大変な仕事”と感じてしまうこともあります。

しかし、子どもやご家族との信頼関係が築けたり・関わった子どもの成長を実感できた時など、喜びとやりがいを感じられる場面がたくさんあることも事実です。

児童福祉といえば、「保育士」や「幼稚園教論」などをイメージされる方も多いでしょうが、新たな選択肢として「児童指導員」の仕事も候補に加えてみるのもいいのではないでしょうか。

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