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【医師より儲かる?苦労は多い?】美容外科医に転職するメリット・デメリットについて

この記事は約12分で読めます。

前回、「美容外科医のなり方」についてのご紹介をしました。

美容に関するニーズの高さや“高収入を得られる”などの様々な理由から、現在「美容外科医になりたい」と考える医師も多いようです。

確かに、美容外科医の仕事は人気があり、転職することにも医師とは違うメリットが存在します。

しかし、当然メリットばかりでなく、デメリットもあるのです。

今回は、美容外科医に転職する「メリット」「デメリット」について、詳しくご紹介していきたいと思います。

未経験からでも転職できる可能性はあるのか?

メリット・デメリットの話に入る前に、まずはこの点からご紹介していきたいと思います。

結論として、「美容医療業界としての実務経験がなくても、転職できる可能性はある」となります。

ただし、「医師」、というより「形成外科」の実務経験は必須クラスと言えます。

なぜなら、「形成外科で習得する知識・技術は、美容外科手術の基礎となるから」です。

この“形成外科的手技の習得”は、「日本形成外科学会」も推奨しているものとなります。

以前の記事でもご紹介した通り、確かに「医師免許」があれば、美容医療の業界に転職できる可能性はあります。

しかし、美容医療や形成外科に関する知識・技術を持っていない場合、これらのスキルを一から学んでいく必要があるため、上手く転職できたとしても……一人前の美容外科医になるための道のりは非常に長く・険しいものとなります。

「美容外科医になるためには、どんな技術を学ぶ必要があるのか?」

“急がば回れ”ということわざがあるように、まずはしっかりと事前に調査・準備をし、必要なものを吸収していくことをオススメします。

遠回りに感じるかもしれませんが、「美容外科医の仕事を長く続けていきたい」と言う人であれば、これが一番の近道になるかと思います。

美容外科医に転職する”メリット”について


次に、今回の本題である「美容外科医に転職する”メリット”」についてご紹介をしていきたいと思います。

ちなみに、美容外科は「高収入かつワークライフバランスが充実している診療科」というイメージが多いようです。

もちろんクリニックによって千差万別ではありますが、大方事実です。

美容外科は、なぜ上記を実現することができるのか?

その内容を含め、色々お話をしていきます。

「圧倒的な高収入」を実現できる理由


「医師」と一言で言い表しても、実に様々な診療科目が存在します。

その中でも“外科”は、他と比べて収入が高いと言われているのです。

この外科にも、「脳神経外科」や「小児外科」「心臓外科」など様々な分類が存在し、美容外科の場合は「美容整形外科」が特に高収入の科目として挙げられます。

実は、医師(勤務医)の平均年収は“1,500万円前後”と言われているのですが、美容外科医の場合は“2,000万円~5,000万円”が平均年収と言われています。

そして、中には“1億円以上”の年収を得ている医師もいるとかいないとか……。

なぜ、「美容外科は高収入を得られるのか?」。

その理由は、2つ挙げられます。

理由①:「自由診療」であるから

美容外科医が高収入を得られる理由の一つは、“自由診療”という点にあります。

“自由診療=保険が適用されない診療”ということです。

美容外科は、皮膚科や形成外科などと違い、「そもそも治療を必要とする医療行為ではない」のです。

だから、社会保険や国民健康保険などが適用されません。

そして、美容外科医は「高額な自由診療をメインに提供している」ことと、「クリニックの裁量で”自由に”医療費を設定できる」ことから、この圧倒的な高収入を実現することが可能となるのです。

理由②:「独立した開業医」だから

高収入を実現できるもう一つの理由は、「独立した開業医」が多いことにあります。

病院などから転職し美容外科医になる人のほとんどは、自分でクリニックを開業します。

つまり、“開業したクリニックの社長になる”ということです。

もちろん、開業するためには様々な知識・技術・経験を必要としますし、“開業はあくまでスタートラインに立っただけ”なので、そこから「どうクリニックを大きくしていくか?」などの新たな課題も浮かび上がってきます。

ただ、社長になれば、間違いなく収入は多くなります。

ちなみに、クリニックに勤務する勤務医も、開業医ほどではありませんが、それなりの給与は期待できるようになります。

いきなり他科から転職してクリニックを開業することは無謀なので、まずは勤務医として実績を積み、その後に独立するのが理想かと思います。

“美容外科の利用者”が増加傾向にある

少し余談となるのですが、現在“美容外科の利用者”は増加傾向にあるというお話をしたいと思います。

この最大の理由は、「美容整形に対する抵抗が減少した」ことにあります。

◆「病気でもないのに、医療行為を行うなんて……」
◆「健康な身体にメスを入れる……?」
◆「テレビCMなどの宣伝・広告が疑わしい……」

など、以前は上記のような抵抗や疑いを持つ人が多くいたのです。

しかし、現在はこのような抵抗や疑いの気持ちも大分薄れ、むしろ「美容整形に興味がある」として、施術を受ける人が増加しています。

“自由診療”であり、“利用者(ニーズ)も増加している”ということから、美容外科医の収入はさらに多くなっているのです。

「ワークライフバランス」は確保しやすいって本当?

「美容外科医は、ワークライフバランスが充実している(確保しやすい)」というイメージがあります。

これについては、概ねイメージ通り……ではあります。

まず、病院などに勤務する医師に比べると、確かに緊急手術や時間外労働は少なく、日当直もありません。

美容クリニックの営業時間は、おおよそではありますが、“12時~21時”くらいが多いと言われています。

夜が遅めとなる理由は、“仕事帰りに来院(通院)される患者も多いため”です。

“比較的営業時間内での勤務が多い”ことから、ワークライフバランスを確保しやすいというイメージが付いたのでしょう。

ただ、少し例外もあります。

この点は、美容外科医に転職する”デメリット”についての項目で、詳しくご紹介していきたいと思います。

「開業」がしやすい

メリットとしてもう一つ挙げられることが多いのが、「開業がしやすい」という点です。

もちろん、知識・技術・経験は必須であるため、いきなり医師から転職して開業するというのはオススメはできません。

ただ、形成外科の知識と技術を持ち、美容クリニックで勤務として数年の経験を積めば、十分に開業できる状態にはなれます。

その理由は、「美容医療のスキルを磨けること」はもちろん、「開業資金を確保することができるから」というのがあります。

自分でお店を出すのですから、当然開業資金は必要となります。

しかも、美容クリニックは性質上、設備や空間作りのために多額の開業資金を必要とすることが多いです。

ただ、上記でお伝えした通り、美容クリニックは勤務医であっても(他に比べて)収入は多く、開業資金を蓄えやすいというメリットがあります。

経験も詰めて、開業資金も貯めやすい……。

「美容外科医として長く仕事をしていきたい」という人は、美容クリックでの勤務としての経験は必ず将来の役に立つと言えるのではないでしょうか。

美容クリニックって、「駅チカ」が多い?

最期のメリットは「交通の便が良い」ことが挙げられます。

美容院なんかもそうですが、美容クリニックも“駅の近く”に店舗を構えることが多いのが特徴です。

例えば、「駅から徒歩〇分(雨に濡れることなく通院可能!)」であったり、「駅ビルの中にあるため通いやすい!」などを謳い文句にしているところもあります。

この理由は、上記にも記載している通り、“お客様が通いやすくなるため”です。

仕事終わりにも気軽に通院しやすくなるように、駅から近い立地にクリニックを構えていることが多いのです。

これは、言い換えればそのクリニックで働いているスタッフも、“職場に通いやすい”というメリットに繋がります。

美容外科医に転職する”デメリット”について

◆高収入を実現できる
◆ワークライフバランスを確保しやすい
◆開業しやすい
◆交通の便も良い

メリットだけを見ると、「良いこと尽くしじゃないか!」と感じる人も多いかもしれません。

しかし、やはりメリットだけでなく、当然デメリットも存在します。

ここでは、この「美容外科医に転職する”デメリット”」について詳しくお話をしていきたいと思います。

必ずしも「ワークライフバランス」が確保できるとは限らない

“勤務時間が安定している”ため、ワークライフバランスが確保しやすいということをメリットの一つにご紹介しましたが、例外もあります。

上記は美容クリニック……つまり“店舗”の場合の話です。

例えば、形成外科医的治療を行いつつ、美容外科も扱っている“総合病院”に勤務する場合。

この場合は、入院患者さんの管理であったり、緊急手術が必要な場合もあったりで、仕事量が激務となる人もいます。

しかも病院での勤務なので、美容クリックでの勤務に比べると給与水準も低い(他の科目と大差がない)場合もあり得ます。

また、クリニックも国内……特に都心には数多く存在し、店舗によって勤務条件は様々です。

独立して自分のクリニックを経営するならば話は別ですが、勤務医としてであれば、勤務するクリニックによって「働きにくい……」と感じる場合もあるかもしれません。

キャリアが”断絶”してしまう可能性がある

美容外科の仕事は、他の科目と似て非なるもので、美容外科としての独自の特徴があります。

そのため、転科する場合は、美容外科医としてゼロからスタートすることとなり、自身がこれまでに経験してきた科目のキャリアは“断絶”される可能性があるのです。

要するに、「美容クリニックとして働くことが嫌になっても、元の診療科には戻りづらい」ということです。

人によっては、以前のキャリアを継続するために、常勤の美容外科医として働きながら、週に1,2回を元の診療科でアルバイトをして臨床を続けている場合もあります。

ただし、これは体力的にもかなり厳しく、あまり現実的とは言えません。

人には向き・不向きというのがあります。

クリニック内の人間関係が問題で別のクリニックに転職する……であれば、転職先によって解決する可能性もあるかもしれません。

しかし、「美容クリニックとして働くこと自体が嫌になってしまった……」という場合は、別の科目に転科することが難しくなります。

そのため、様々な事情があって「美容クリニックを転々としている……」と言う人もいるのが現状ではあります。
(あくまで一例ですが)

学ぶべきことは「技術」だけじゃない

美容クリニックでの仕事は、美容威容の知識・技術だけを学べばいいというものではありません。

「美容」に興味・悩みがあるお客様を“カウンセリング”し、お客様に“満足”していただく必要があるからです。

そして、“病院”ではなく“一店舗”なので、お店を盛り上げていくためにはいかに契約を成立させていくかが大事となります。

つまり、“コミュケーション能力”“営業力(宣伝力)”が必要となってくるのです。

開業した独立医=社長であれば、“経営力”も必要となってくるでしょう。

問題なのは、前述でもお伝えした通り「そもそも治療を必要とする医療行為ではない」という点にあります。

例えば、似た開業医として「歯医者」がありますが、あちらは患者が治療を必要とした場合に、患者から訪れてくれる可能性があります。

極論を言うと、待っていても、困っている人がいれば患者側から来院してくれるのです。
(もちろん宣伝をする必要はあり、経営力も必須ですが)

しかし、美容医療の場合、別に無理に治療を受ける必要はありません

カウンセリングを受けても、お客様が納得しなければ契約が成立することがありません。

いかに、お客様を“納得”させ、“契約にこぎつけるか”が重要となってくるのです。

美容医療に関する知識・技術があれば、それだけOK!という世界ではないのです……。

「クレーム」が多い業界である

最後はこれです。

美容医療は、お客様のクレームが多いのが特徴に挙げられます。

場合によっては、訴訟などの裁判沙汰になることだってあります。

クレームが多い理由の原因となっているのも、無理に治療を受ける必要がないという点が絡んできます。

詳しく説明すると……、これにはいくつもの理由が絡んでくるのです。

◆患者の”見た目(第一印象)”が、大きく変わる可能性があるから
◆自由診療であり、”高額な治療費”が発生するから
◆”リスク”や”副作用”が発生する可能性があるから

お客様は「美しくなりたい」「綺麗になりたい」「自分を変えたい(コンプレックスを解消したい)」など、様々な理由で来院されます。

美容外科で最も多いのは、外見(見た目)の治療であり、周囲から一番目に付く箇所を施術することが多いのです。

特に多いのは、「顔」の部分です。
(二重瞼、鼻、肌など)

高額な治療費を払って手術を行うのですから、当然患者も“治療に対するこだわり”はかなり強くなります。

そのため、もし何かあれば、クレームに発展してしまう可能性が非常に高いのです。

仮に、ミスなく手術を終えた場合であっても、お客様からクレームを言われてしまうこともあるくらいです。

基本的に、術後の対応も治療を行った医師が担当することとなるので、この点は特に“覚悟”しておいた方がいいかと思います……。

美容外科医は、「女性」の方が向いている?

美容クリニックに来院する人(お客様)は、女性の割合の方が多いです。
(もちろん男性利用客もいますし、増えてもいます)

「丁寧かつ繊細な作業を得意とする人が多く、同性(女性)として理解を得やすい」という意味で、美容外科医は女性の方が向いているのではないか?と考える人もいるかもしれません。

女性医師の割合が高いイメージがある美容医療ですが、実は実態はそうでもありません。

厚生労働省によれば、美容外科の構成割合は、女性・男性医師ともに“0.2%”となっています。

ただ、これはあくまで現時点での話です。

実は、形成外科は、女性医師からの人気が高い傾向にあります。

これまでにお伝えした通り、形成外科は美容外科の基礎とも言える科ですので、ここから美容外科へ転科する人も今後は増加していくかもしれません。

まとめ:生半可な気持ちで転職はしない方が良い

確かに、メリットもたくさんあります。

そのメリットのみに目が行って「美容外科医になりたい!」と考えている人が増えているのも事実です。

しかし、何事もメリットがあれば、デメリットも存在します。

「美味しい話には、必ず裏がある」ではありませんが、正直美容外科医になるには相当な“覚悟”が必要だと思います。

少なくとも、きちんと下積みは経験しておくべきです。

医療の世界で、「いきなり美容外科医を目指す人は、ほとんどいない」と言われている理由はここにあります。

また、“美容外科医は求人も少なめ”なのが現状です。

少し古い情報になりますが、厚生労働省が2018年に公開している情報によると、全国に勤務する美容外科医は“678人”で、医師全体に占める割合は、わずか“0.2%”です。

そして、全国で新たに必要とされている美容外科医は、たったの“5人”で、求人倍率は“1.08倍”にとどまっています。

つまり、“美容外科医の数は少ない”ものの、現時点では“十分に足りている状態”ということになります。

ただし、美容ニーズは年々高まっていますので、今後は求人募集の数も増加していく可能性はないとは言えません。

美容クリニックの数も同様に今後増加していくかと思います。

「美容外科医に興味がある」と言う人は、その時のために、今しっかりと下積み時代を経験しておいた方がいいのかもしれません。

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