「脱水症状=体液が不足した状態」であり、さまざまな体調不良を引き起こしてしまいます。
最悪の場合は命に関わる危険性もあるため、毎日の生活でしっかりと水分補給などの予防を行っていく必要があるのです。
では、この症状を防ぐには「どのタイミングで水を飲む」のがいいのでしょうか?
今回は、「脱水症状が起こる(注意すべき)タイミングや予防法」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
尚、以前の記事にて「脱水症状の具体的な症状・種類、熱中症との違い」の解説をしております。
以下にリンクを貼っておきますので、関心がある方はぜひご覧ください。
主な原因とは?
まずは、脱水症状が発症する主な原因からご紹介していきます。
予防するためにも、ぜひチェックしてみてください。
原因1.水分の排出過多
脱水症状に陥りやすい最たる原因は、「身体から大量の水分が失われること」です。
最たる例は「大量に汗をかく」が挙げられるでしょうか。
屋外でスポーツをしたり、作業を行ったり……。
特に2022年の夏の暑さは異常であり、普通に外を歩いているだけでも大量の汗をかく人も多いはずです。
そこにスポーツや作業などで体を動かせば、大量の汗をかいて余計に身体から大量の水分が失われていくことでしょう。
脱水症状は熱中症の原因にもなるため、特に炎天下での屋外での運動や作業には十分な警戒が必要といえます。
また、もちろん屋内であっても注意はしておかなくてはいけません。
例えば、令和3年の5月~9月において、熱中症で救急搬送された方は「47,877人」と発表されています。
そして発生場所で見た場合、もっとも割合が大きかったのは「住居」であり、全体の39.4%を占めているのです。
このことから、屋内にいたとしても油断は禁物。
「暑いな……」と感じたら、エアコンを付けたりして、しっかりと対策を取るようにしてください。
そして、水分の排出過多として大きな要因となり得るものが、もう一つあります。
それは、“体調不良”です。
「発熱」は大量の汗をかきやすくなりますし、「下痢」や「嘔吐」は体内の水分が大きく輩出されてしまう原因となります。
こういった時も、水分補給をしっかりと行い、対策を取るようにしましょう。
原因2.水分の接種不足
水分の摂取量が少ないと、「体内に入る水分よりも、体内から失われる水分の方が上回る」こととなるため、脱水症状を発症しやすくなってしまいます。
特に夏場は大量の汗をかくことが多いため、こまめに水分補給を行う癖をつけておいた方がいいといえるでしょう。
ちなみに、「汗」は、「水分」そしてミネラルの一種である「ナトリウム(塩)」でできています。
「水」で水分補給をしただけだと“水分”しか補給されないため、大量の汗をかいた場合は「スポーツドリンク」などで“ナトリウム(塩)”も同時に補給した方が、脱水症状にはかかりにくくなります。
後は、日々の生活習慣にも注意をしておいた方が良いかと思います。
◆食事を抜く
◆アルコール摂取量が多く二日酔いになりがち
といった人は、水分の摂取量が少なくなってしまう(体内から失われる水分の方が多くなる)ため、注意が必要といえます。
原因3.病気
脱水症状は、以下のような“特定の疾患”によって引き起こされることもあります。
◆尿崩症
◆アジソン病
◆排尿障害
特に「糖尿病」は生活習慣病の一種であり、多くの人に聞きなじみのある言葉だと思います。
これら病気にかかっている人は、かかりつけの医師などがいるはずなので、脱水症状についても質問しておいて良いかもしれません。
どんな時に発症しやすい?注意すべきタイミングとは?
脱水症状に陥りやすいタイミングは、主に以下の3つが挙げられます。
2.スポーツ時
3.夏場・冬場
それぞれ順に詳細を解説していきたいと思います。
1.日常生活
日常生活の中で特に注意しておきたいタイミングは、「就寝時」と「入浴時」です。
どちらも人が生きていく上で欠かせないものであり、どちらも大量の汗をかくタイミングとなります。
特に就寝時は要注意です。
入浴の場合、お風呂から出た後に水分補給を行ったり・横になって休憩したりと対策が取れますが、就寝時は無意識のうちに大量の汗をかいてしまうため、水分補給が十分に摂れない場合があります。
また、「夜中に目が覚めてトイレに行きたくない(行く回数を減らしたい)」として、水分を十分に摂らない場合もあり得ます。
人は、寝ているときも大量に汗をかくため、寝る前・寝ている途中に目が覚めたときなどに、定期的に水分補給を行っておいた方がいいかと思います。
後は、「飲酒後」も脱水症状を招きやすいタイミングとなるため、注意が必要となります。
なぜなら、「アルコールには利尿作用がある」からです。
利用作用により尿の排出量が多くなってしまうため、飲酒後はアルコール以外の飲料で水分補給を行うようにしてください。
2.スポーツ時
スポーツ時は普段以上に汗をかきやすいため、より体内の水分・ミネラルが多く失われることとなります。
(運動の強度が上がるほど、体は発汗量を増やし体温調節が行われることとなる)
気温が高いとき+屋外はもちろんのことですが、気温が高くない状況や屋内の運動であったとしても、十分な水分が無い状態での運動は注意が必要といえます。
時期や状況に関わらず、運動を始める前には十分な水分摂取を行い、運動前後の体重さが2%以内になるように心がけてください。
ちなみに、短時間の運動なら水で十分ですが、長時間(1時間以上)の運動や強度の高い運動をする際には、ミネラル分を含むスポーツドリンクなどで水分補給をするようにしてください。
3.夏場・冬場
脱水症状というのは、「夏場」はもちろんのこと、「冬場」でも発症する可能性があります。
夏場は、言わずもがな「気温」や「湿気」によって汗をかきやすく、体内の水分が失われやすくなります。
対して冬場は、「乾燥」が原因で症状を引き起こしやすくなるのです。
人間は、“汗”や“尿”以外にも“皮膚からの水分蒸発”によって、体内の水分を排出しています。
冬場は、「乾燥によって”水分蒸発”がしやすい状態」となってしまうため、脱水症状を引き起こしやすくなるというわけです。
さらに、冬場の場合、後2つ注意しておかなくてはいけないことがあります。
一つは、「喉の渇きを感じづらくなってしまう」ことが多くなります。
「喉が渇いてから水を飲む」という機会が多くなり、自分でも気づかないうちに脱水症状を引き起こしやすい状態となってしまうのです。
そしてもう一つは、「風邪やインフルエンザなど、さまざまな感染症が起こりやすくなる」です。
冬は乾燥によって粘膜にウイルスが付着し、さまざまな感染症が起こりやすくなる時期なのです。
それによって「嘔吐」や「下痢」の症状が出やすくなったり、インフルエンザであれば「発熱(高熱)」が発症し大量の汗をかいてしまいます。
これが原因で、大量の体液が排外に排出されてしまい、脱水症状にかかりやすくなってしまうのです。
“脱水症状=夏に起きるもの”というイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、冬場でも起こりうる可能性は十分にあるのです。
そのため、冬場であっても十分注意してください。
日常生活の中で取り入れられる「予防法」とは?
脱水症状を引き起こさないようにするには、日ごろからの「予防」が大切となります。
日常生活で取り入れられることといえば、以下の3つが挙げられるでしょうか。
2.好きな飲み物を飲む
3.部屋を適温に保つ
順に、詳しい解説を加えていきましょう。
予防法1.こまめに水分補給をする
脱水症状を予防するための一番の方法は、「こまめに水分補給をする」これに限ります。
体液は、「汗」「尿」「皮膚の水分蒸発」など、さまざまな方法で体外へと排出されます。
そのため、例え“汗をかかない環境”にいたとしても、水分補給は適度に摂っておいた方がいいのです。
水分補給時の注意点は2つあります。
一つは、「一度にたくさん飲むのではなく、定期的に飲むことを意識する」こと。
もう一つは、「喉が渇く前に、水分補給をする」ことです。
また、水分が不足しやすい以下のような状態では、水分補給は必須です。
◆就寝前
◆スポーツの前後
◆入浴前後
◆飲酒後
特に、スポーツ前後や入浴前後など「大量の汗をかく」ことが分かっているときは、”水分”と”ミネラル”を同時に補給できるスポーツドリンクなどで水分補給すると良いかと思います。
予防法2.好きな飲み物を飲む
なぜ「好きなものを飲む」のが予防に効果的なのかというと、「こまめな水分補給を癖付けるため」につながるからです。
特に、高齢の方や小さな子どもの場合、気分によっては水分補給をしないこともあり得ます。
そうすると返って脱水症状を助長してしまうため、好きな飲み物で水分補給を促すようにするのです。
ただし、「好きな飲み物を飲んでもいいのか!」と水分補給にアルコールを飲用するのは絶対に避けてください。
理由はここまでにお伝えした通りですが、アルコールは利尿作用があるため、逆に脱水症状を引き起こしやすくなります。
それこそ二日酔いになっては本末転倒なので、(自身の健康のためにも)アルコールの飲用は極力控えるようにしてください。
また、「糖分」の多い飲み物に関しても、飲み過ぎないように注意だけはしておいてください。
予防法3.部屋を適温に保つ
夏場は気温が高く汗をかきやすいですし、冬場は乾燥が原因で脱水症状を招く恐れがあるため、「部屋を適温(温度・湿度)に保つ」ことも立派な予防の一つとなり得ます。
こと夏場に関しては、日が落ちて気温が下がる夜間であっても、症状を引き起こす危険性が完全になくなるわけではありません。
寝ている間であっても人は大量に汗をかくため、就寝時も油断はできないのです。
窓を開けて扇風機を回したり、エアコンをつけたりして室温調整をするようにしてください。
(もちろんこまめな水分補給も忘れずに)
冬場の場合は、感想を防ぐために、加湿器を使用したり・濡らしたタオルを干したりするのが効果的となります。
高齢者や子どもは特に要注意!周囲の人も気を配ってあげて!
高齢者の場合
脱水症状のリスクが高いのは「高齢者」であり、若年者に比べて発症しやすい傾向があります。
その理由は、以下が挙げられます。
◆体温調節機能が低下している
◆トイレが近い
◆のどの渇き・体調不良に自身で気づきにくい
◆食事量・水分摂取量が少ない
予防法についてですが、やはり水分補給が重要となります。
ただ、高齢の方は若年者に比べて、井戸に接種できる水分量が少なくなりがちです。
その理由は、「喉の筋力低下による”嚥下(えんげ)”困難」です。
※嚥下(えんげ):食べ物を飲み込み、口から胃へと運ぶ一連の動作のこと※
また、心臓・内臓など、身体が弱まっていることも理由の一つに挙げられます。
高齢者の場合、水分補給は“少量をこまめに摂る”ことを心がけてください。
もし、水やお茶などをたくさん飲むのが難しい場合は、「汁物を添える」など食事からの水分摂取を増やしてみてください。
もしくは、水分の多い果物やゼリー類もオススメといえます。
子どもの場合
子どもも成人に比べれば脱水症状のリスクが高いと言えます。
その理由は、「子どもは大人よりも体液の量が多い」からです。
つまり、「生命を維持するために、大人よりも多くの水分が必要となる」のです。
また以下の理由から、子どもは“身体から水分が失われやすい”という特徴もあります。
◆活発に動く
◆体温調節機能・汗腺が未発達
◆嘔吐・下痢が多い
そして、脱水症状に陥りやすい原因が、もう一つあります。
それは、「小さなお子さんほど、身体の不調を周囲に上手く伝えられない」ということです。
場合によっては、「周囲の人が気づいたときには病状が進行していた」というケースもあるのです。
そのため、重症化を防ぐために、いち早く子どもの様子に気づくことが大切となります。
注意点としては、以下に気を配っておきましょう。
◆顔色が赤いまたは蒼白
◆元気がない・ぐったりしている
◆皮膚・唇が乾燥している
◆嘔吐・下痢
◆ぐずる
もし上記が当てはまる場合には、念のため医療機関を受診するようにしてください。
まとめ
以上が、「脱水症状が起こるタイミング・予防法」についてのご紹介となります。
脱水症状は、老若男女を問わず誰にも起きる可能性がある危険な状態です。
その中でも特に、高齢者や小さなお子さんは要注意。
こまめに水分補給を行い、周囲の人が細かな違いに気づけるように気を配ってあげてください。
また、過ごす環境も脱水症状を招く要因になるので、今回ご紹介した予防法をぜひ参考にしてみてください。