体内の水分が不足すると、「脱水症状」を引き起こしやすくなります。
そのままの状態で放置しておくと、体調不良になることはもちろん、最悪の場合は命に関わる危険性すらあり得る危険なものなのです。
そのため、毎日の生活でしっかりと水分を取っていく必要があると言えます。
ちなみに、これは夏などの“暑い時期”に起こるというイメージを持たれている人が多いかと思います。
しかし、実際は“冬場”に発症することも少なくはありません。
なかなか自分では気づきづらい病気の一種ですが、重症化を防ぐためにはどのような点に注意しなければいけないのでしょうか?
この記事にて「脱水症状の症状や種類」および「熱中症との違い」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
「脱水症状」とはなにか?
「体液」が不足している状態のことを指す
端的に説明すると、「体内にある”体液”が不足した状態」のことを指しています。
そして“体液”というのは、身体に含まれる「液体全般」のことです。
これは、体の60%を占める「水分」と「ミネラル(電解質)」「タンパク質」などで構成されており、生命維持に関わるさまざまな役割を果たしています。
これら……特に、「水分」と「ミネラル」が失われた状態が、脱水症状にあたるのです。
「仕組み」について
脱水症状のことをもっと具体的に言うと、「体内に入る水分よりも、体内から失われる水分の方が上回る」ことで、病気に陥ることとなります。
代表的かつもっともイメージがしやすい原因は「発汗」でしょう。
汗というのは、「水分」そしてミネラルの一種である「ナトリウム(塩)」でできています。
大量の汗をかけば、体液の量・濃度が大幅に変化するのです。
この状態が長く続くことで、発症するというわけなのです。
ちなみに、「下痢」や「嘔吐」なども原因の一つとなり得ます。
これらが発症すると、大量の水分が体外に排出されてしまうからです。
もちろん、病気による「発熱」も、脱水症状の原因となります。
熱が出れば、体温調節をしよう(熱を体外に放出しよう)と大量の汗をかきます。
「汗をかく=水分やナトリウム(塩)が不足する」ということにつながるため、発熱しているときも水分補給をしっかりしなければいけないのです。
身体に不調があらわれるのはなぜ?
「脱水症状になる=体に不調があらわれる」ですが、この理由はなぜでしょうか?
答えは、「生命の活動に重要な働きを担っているから」です。
代表的なものでいえば、以下が挙げられます。
◆老廃物の排出
◆栄養や酸素の運搬
◆新陳代謝 など
体液が減少してしまうと、生命維持機能が正常に保てなくなってしまい、その結果さまざまな障害が全身にあらわれてしまうのです。
「種類」について
これは、大きく分けて3つ挙げられます。
◆「高張性脱水」
◆「等張性脱水」
この項目にて、それぞれの症状・特徴をご紹介していきます。
「低張性脱水」とは?
これは、「体液の濃度が薄くなるタイプ」のことです。
「水」よりも「ナトリウム(塩)」の方が消失量が多いのが特徴となります。
代表的な例でいうと、「汗をかいた後」が挙げられます。
汗を大量にかくと、「水分」と「ナトリウム(塩)」の両方が失われることとなります。
その後に水分補給をするのですが、“水だけを補給すると、水分不足は解消されますがナトリウム量が減ったまま”となるのです。
「ナトリウム(塩)」が減っている状態で「水分」だけを補給するとどうなるか?
ますます「ナトリウム(塩)」の濃度が薄まることとなるのです。
その結果、体液の濃度が下がってしまい、脱水症状に陥ってしまいます。
「汗をかいたときは、スポーツドリンクで水分補給をすると良い」といわれる所以は、ここにあるのです。
「高張性脱水」とは?
これは、「体液の濃度が濃くなっている」……もっと簡単に言うと、「体内から水分が大量に失われる」タイプのことを指します。
もっともイメージしやすいのは、「大量に汗をかいたとき」でしょうか。
(水分補給をする前)
大量に汗をかくと、その分だけ水分が体の外に流れ出てしまいますが、一方でミネラル類はさほど失われることはありません。
するとどうなるのか?
「体液が濃くなってしまう」のです。
この場合でも脱水症状に陥ってしまい、身体にさまざまな症状があらわれることとなります。
「等張性脱水」とは?
これは、「体液が減少する」ことを指します。
(濃度そのものはほとんど変化しない)
代表的な原因は、「下痢」や「嘔吐」です。
下痢や嘔吐が続けば、水分とミネラルが同時に体外へ排出されることとなり、それは「=体液の量が大幅に減少する」ことにつながります。
放っておくと生命維持機能に支障をきたすこととなるため、水分補給など十分な対処が必要となります。
具体的な「症状」について
具体的な内容は、「どの程度の脱水症か?」で異なります。
つまり、「初期症状(軽症)」「中等度」「重症」の3つです。
それぞれの特徴(症状)は、おおむね以下の通りとなります。
◆のどが渇く
◆めまいがする
◆食欲が減退する
◆尿量が減少する
◆大量に汗をかく など
【中等度】
◆皮膚が紅潮化する(赤みを帯びる)
◆全身の脱力感
◆手足が震える
◆”ふらつき”がする
◆頭痛がする
◆呼吸困難となる
【重症】
◆失神が起こる
◆目の前が暗くなる
◆筋肉が痙攣(けいれん)する
◆飲み込むのが困難になる
ちなみに、中等度の症状が出たときは、軽症のときと異なり汗が出なくなります。
こうなると、「汗が出ていない=脱水症ではない」と勘違い(自己判断)する人もいるのですが、放っておくと重症化してしまうため返って危険です。
大切なのは、それぞれの状態のときに発症する「病状」を意識・把握することです。
放っておくと命に関わる危険性もあるため、しっかりと予防することを徹底してみてください。
「熱中症」とはなにが違うの?
よく似た症状として、「熱中症」が挙げられます。
熱中症というのは、「体温調節が上手く働かず、体内に熱がこもってしまう……その結果、身体にさまざまな不調があらわれる病気」のことなのです。
この2つの関係性はなんなのでしょうか?
結論をいうと、「脱水症状=熱中症の一種(前段階)である」となります。
この理由は、「体液が減る=体温調節機能に支障が出る」ためです。
分かりやすい例でいうと、「汗が作られにくくなる」ということでしょうか。
「暑い……」と感じる場面であっても汗が出づらくなり、体内に熱がこもってしまいます。
それを放置しておくと、熱中症に発展してしまうというわけです。
熱中症も、重症化すると命に関わる危険性があります。
合わせて対策を取っておくといいでしょう。
ちなみに、「熱中症」に関しては、以前に記事にしておりますので、関心がある方は以下のリンクより詳細をご覧いただければと思います。
熱中症患者の割合について
地球温暖化の影響もあって、日本の夏はどんどん厳しくなっています。
こと2022年8月の暑さは異常であり、地域によっては毎日「熱中症危険アラート」が発生しています。
このことから、熱中症で救急搬送されている方も大勢いらっしゃいます。
例えば、令和3年の5月~9月において、熱中症で救急搬送された方は「47,877人」だったのです。
年齢別にみると、もっとも多いのは「65歳以上の高齢者」であり、次いで「18歳~64歳の成人」となります。
加えてもう一つ。
発生場所で見た場合、もっとも割合が大きいのは「住居」であり、全体の39.4%を占めているのです。
このことから分かるのは、「屋外も屋内も関係なく発症する可能性がある病気である」ということです。
上項でご紹介した通り、「熱中症」と「脱水症状」は切っても切れない関係性があります。
どちらも予防しておくに越したことはないのです。
そのため、屋内外を問わず、適度な休息と水分補給をしっかりと意識しておくことが大切かと思います。
まとめ
以上が、「脱水症状の具体的な症状・種類、熱中症との違い」についてのご紹介となります。
どちらも誰もが引き起こす可能性がある危険な病気なのです。
脱水症状を未然に防ぐ方法は、「適度な水分補給」です。
あらかじめ必要な水分を接種しておくことで、さまざまなリスクを減らすことができるはずです。
水分補給を十分に心がけ、脱水知らずの生活を送れるよう工夫してみてください。