年々暑さが増している日本の夏……。
この時期は、特に「熱中症」に注意しなければいけません。
これは、重症化すると健康に重大な影響を及ぼす身近な病気の一つです。
前回の記事では、「熱中症が起こる原因・予防」について、ご紹介をさせていただきました。
しかし、どれだけ対策を講じていたとしても、これだけ毎日暑いと熱中症にかかってしまう人もいるかもしれません。
そこで今回は、「熱中症にかかった際の対処法」について、ご紹介していきたいと思います。
頭痛や寒気に要注意!熱中症の症状について
熱中症とは、「気温や湿度の高い環境に身を置くことによって体温調節機能がうまく働かなくなり、体温が異常に上昇することで起こる健康障害のこと」です。
この熱中症の重症度は、≪前回の記事≫でもご紹介した通り、大きく三段階に分かれます。
簡単にまとめると、以下のような症状があらわれます。
◆めまい
◆立ちくらみ
◆足の筋肉がつる
◆お腹の筋肉のけいれん など
【中等度】
◆頭痛
◆嘔吐
◆ぐったりする など
【重度】
◆意識障害
◆全身のけいれん
◆高体温 など
重症化してしまうと、下手をすれば命に関わる問題にまで発展する恐れがあるため、熱中症を甘く見てはいけません。
なんとなくであったとしても、「身体がおかしいな……」「体調が優れないな……」などを感じたら、涼しい場所に移動したり、水分補給などを行い、休憩するようにしてください。
熱中症への対応について
上記の通り、熱中症を放置しておくと重症化してしまい、下手をすれば命に関わる危険性すらあり得ます。
そのため、「初期症状」が疑われた場合、すぐに適切な対応をとらなくてはいけません。
方法は、以下の3つです。
②「身体を冷やす」
③「水分と電解質の補給」
順に補足を加えていきます。
対策1.「涼しい場所へ移動する」
屋内であれば、エアコンや扇風機のある場所に移動しましょう。
屋外であれば、木陰などの“安全で涼しい場所”に移動しましょう。
この時、人によっては「自分で歩けるから……」と考える人もいるかもしれません。
しかし、自分の足で歩けそうであっても、「ふらつき」や「一時的な失神」などで“転倒”する可能性もあるかもしれません。
基本的には、2人がかりで両脇を抱えて支えてあげることが大切かと思います。
対策2.「身体を冷やす」
熱中症の初期症状では、“身体の中に熱がこもっている”ことが多いです。
そのため、まずは体を冷やすことを考えましょう。
衣類の襟元を緩めて風を送り、氷や氷嚢で体を冷やすといいでしょう。
特に「わきの下」「足の付け根」「首筋」「足首」などは動脈が通っているため、重点的に冷やすことをオススメします。
対策3.「水分と電解質の補給」
「汗をかく=体から水分や塩分が出ている」こととなります。
そのため、「水分補給」をしっかりと行うことが大切です。
「水」で水分補給を行うのも良いですが、可能であれば「塩分」も同時に補える「スポーツドリンク」や「経口補水液」などが望ましいかと思います。
※「経口補水液」:食塩とブドウ糖を混合して、適切な濃度で水に溶かしたもののことを指す※
ただし、一つだけ注意点があります。
それは、重度の症状の際に見られる「意識障害」が発生しているときです。
この時に無理に水を飲ませてしまうと、気管に流れ込んでしまう危険性があるのです。
また、吐き気や嘔吐の症状がある場合にも避けた方がいいかと思います。
何かあれば「救急車」を呼ぼう!
初期症状の場合、基本的には意識があることが多いため、応急処置をすれば落ち着く可能性は高いです。
しかし、熱中症はあっという間に症状が重症化しやすい病気でもあります。
もし、「症状がなかなか改善しないな……」「様子がおかしいな……」などの異変を感じた場合は、できるだけ早くに病院に運んだ方が安心かと思います。
どんな時に熱中症が悪化しやすいのか?
熱中症は、基本的に以下の3つの要因が大きく影響してきます。
②「カラダ」の要因
③「行動」の要因
基本的には「環境」の要因が熱中症の最たる要因ではあります。
(気温や湿度の高さなど)
そして「行動」の要因は「環境」の要因に大きく影響してきます。
例えば、炎天下の屋外でスポーツや作業をするなどです。
しかし、その一方で「身体」の要因も忘れてはいけません。
身体のコンディションの良し悪しも、大きな要因の一つとなり得るのです。
例えば、熱中症発症の要因の一つに「発汗の不足」があります。
これは、体内の“水分不足”によって引き起こされるのです。
運動する前や暑い日の外出前などに、「下痢」や「二日酔い」などの「脱水症状」となりうる可能性がある場合、より熱中症を発症しやすくなるため、十分な警戒が必要となります。
2022年の夏は特に異常な暑さであり、地域によっては毎日「熱中症警戒アラート」が発生しています。
こういう熱中症になりやすい気候の際は、身体のコンディションを整えてから、運動や外出をするよう心掛けておいた方が良いかと思います。
「まずは意識の確認を!」熱中症の応急処置について
夏の屋外、とくに炎天下で体調不良者が出た場合は、まず熱中症を疑った方が良いです。
(もちろん、室内であっても暑い環境で体調が悪くなっている場合は、熱中症を疑ってみるべき)
そして、まずは「意識の確認」をしてみてください。
意識がある場合と無い場合では、熱中症の応急処置の方法は異なります。
そのため、まずは大きな声で呼びかけ、意識の確認をしてみることからはじめてみてください。
そのうえで、以下のように適切な応急処置を行ってください。
①意識の確認→意識がある
②安全で涼しい場所へ移動
③服やベルトを緩め、体を冷やす(熱を放散しやすくする)
④自分で水を飲むように促す
⑤自分で飲める場合→そのまま安静に
⑥自分で飲めない場合→医療機関を受診
【意識がない場合】
①意識の確認→→意識がない
②救急車を呼ぶ
③安全で涼しい場所へ移動
④服やベルトを緩め、体を冷やす
特に要注意なのは、「呼びかけても返事がない(意識がない・朦朧としている)」場合です。
この場合は、すぐに救急車を呼び、救急車が到着するまでの間は「安全で涼しい場所へ移動させる」「身体を冷やす」ことをしてみてください。
もし、保冷材や氷などがあれば、首やわきの下・太ももの付け根に当てて、体を冷やしてください。
後は、上項でもお伝えした通り、意識が無いときは「水を飲ませない」ことも大切です。
無理やり水を飲ませると、誤えんして窒息してしまうこともあるので、要注意となります。
熱中症は「夜」にも注意しておこう!
熱中症は、暑い環境=日中に起こることが多いのですが、「夜間」や「就寝中」に発症することもあるため、注意が必要です。
特に、「高齢者」がご家庭や身近にいらっしゃる場合は、より注意しておいた方が良いです。
夜間に熱中症が疑われる症状がある場合、症状が軽度で意識があれば、エアコンをつけて部屋の温度を下げ、氷や冷たいタオルなどを使って体温を下げてください。
また、水や、水分と塩分が補給できる経口補水液を飲んで、脱水を起こさないようにしてください。
もし意識が無い場合は、すぐに救急車を呼んでください。
そして救急車が到着するまでの間、部屋の温度を下げ、氷や冷たいタオルなどを使って体温を下げてあげてください。
大事なことなのでもう一度言いますが、「意識がない・朦朧としている場合は、絶対に無理に水分補給をしない(させない)でください」。
命の関わる危険性があるため、絶対です。
まとめ
熱中症は、そもそも「発症していることに気づかない」ことも多い病気です。
しかし、適切な対処を怠ると重症化してしまい、最悪命に関わる危険性すらあり得るのです。
だからこそ、熱中症予防は日ごろからしっかりと行っておいた方が良いかと思います。
しかし、この猛暑が続く中では、どれだけ予防をしていたとしても熱中症にかかってしまう恐れがあります。
もし、「体調が優れないな……」など身体に異変を感じた場合は、“涼しい場所に移動する”や“水分補給をする”などして、小休憩を取るようにしてください。
そして、もし周囲の人で「体調が悪そう」や「様子がおかしい」などの異変を感じた場合は、熱中症を疑い、適切な応急処置を行ってみてください。
この時にもっとも大切なことは、「意識があるか否か」です。
それによって対処法も異なってくるため、まずは大きな声で呼びかけて、意識があるかどうかを確認してあげてください。
もし自分の手には負えないと感じた場合は、すぐに救急車を呼ぶようにしましょう。
実際、熱中症の年間患者数は年々増えています。
“たかが熱中症、されど熱中症”なのです。
下手をすれば命に関わる危険性もあるため、油断せずに、何かあれば休憩をとるor救急車を呼ぶくらいの心構えでいた方がいいかとも思います。
今後も記録的な夏日や熱帯夜が続くことが予想されていますので、お身体には十分注意して毎日を過ごすようにしてください。