「肥満」と一言でいっても、実は以下の2つに大別することができます。
◆「洋ナシ型肥満」
それぞれの違いはなんなのか?
そして、それぞれ注意すべき点はなんなのか?
今回は、肥満の種類と注意すべき点について、詳しくご紹介していきたいと思います。
そもそも「肥満」とはどういう状態のことを言うのか?
概要
まずは「肥満とはどういう状態のことを言うのか?」という点から、お話していきます。
結論から言うと、肥満とは「体脂肪が過剰に蓄積した状態」のことを言います。
人によっては、「太っている人のこと」もしくは「体重が重い人のこと」を指していると勘違いする人もいるかもしれませんが、“肥満=太っているor体重が重い”というだけではありません。
例えば、見た目的には太っているようには見えない人でも「隠れ肥満」の可能性があります。
また、筋肉は脂肪よりも重いため、筋肉量が多い人はその分体重が重くなります。
当然、これも「肥満」ではありません。
「体脂肪が過剰に蓄積した状態」のことを“肥満”といい、場合によっては見た目や体重だけでは肥満かどうかの判断が付きづらい場合もあるのです。
肥満になると、どういうデメリットがあるのか?
以前にも記事にした通り、「脂肪(脂質)」は、人が生命活動を維持するために必要不可欠なものではあります。
しかし、なにごとも“摂取のし過ぎは良くない”ことであり、当然脂肪の摂り過ぎもカラダに悪影響を及ぼしてしまう可能性が高まるのです。
肥満の場合、以下のような問題を引き起こす可能性が高まります。
◆心臓に負担をかける
◆生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症など)にかかる恐れが高まる
◆動脈硬化を促進する要因となる
これらが引き起こされる理由は、「脂肪が多いほど、体内の血流や臓器の動きを阻害するから」です。
健康的な人よりも、カラダにかかる負担が全般的に多くなってしまうため、さまざまな体の問題を抱え込みやすくなってしまうのという訳です。
体脂肪の基準とは?
体脂肪の図り方は、以下の2つの方法があります。
②「BMI(ボディマスインデックス)」で計測する
①は体脂肪計が必要であり、正確な体脂肪が測定できる代わりに、体脂肪計を購入したりジムなどを利用する必要があります。
対して②の方は、誰でも簡単に計測することが可能です。
BMIの計算方法とは、「BMI=体重(kg)÷身長(m)2」で出すことができます。
例えば、「体重60kg・身長170cm」の人の場合、計算式は「60kg÷(1.7m×1.7m)=20.76」となります。
そして、成人の場合のBMIの判定基準は以下の通りです。
◆普通体重:18.5≦BMI<25.0
◆肥満 :25.0≦BMI
つまり、上記の例えの場合は“20.76”なので、「普通体重」となるわけです。
ただし、BMIは身長と体重のみで計算を行う簡単な計測方法のため、筋肉量や体脂肪の正確な数値までは算出できません。
例えば、筋肉量が少なく・体脂肪が多い場合は「隠れ肥満」となる可能性もあるため、あくまで簡易的な計測しかできないのです。
ひとまずはBMIで簡単な数値を計測してみて、より気になる人は体脂肪率をしっかりと図ってみるのが良いかもしれません。
あなたはどっち?肥満の種類について
記事の冒頭でもお伝えしたように、肥満には以下2つの種類が存在します。
◆「洋ナシ型肥満」:皮下脂肪型
この項目で、それぞれの内容や違いについて、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
「リンゴ型肥満」とは?
これは、特に腹部の「内臓」の周囲に脂肪が溜まっている状態で、「内臓脂肪型」と呼ばれます。
簡単に言うと、画像のように“お腹周りが大きい人”のことを指しており、「ビール腹」や「中年太り」と言われることもあります。
(ただし、外見的には分からない場合もある)
これは、その名の通り“内臓の周りにこびりつく脂肪”のことであり、脂肪の中でも必要性がほとんど分かっていない……いわゆる“余計なもの”となります。
特に以下のような方に付きやすいと言われています。
◆運動不足の人
◆偏食気味の人
◆ビールなどのアルコールを過剰摂取する人(ビール腹と言われる所以である)
◆中年以降の人(中年太りと言われる所以である)
これは、体脂肪計では測定ができません。
また内臓脂肪は、血圧や血糖値を下げる働きを邪魔する物質を出す傾向にあり、動脈硬化を進行させ「高脂血症」「高血圧」「糖尿病」などの生活習慣病をひき起こす原因になるため注意が必要です。
まさに「百害あって一利なし」です。
さまざまな病気を招く原因となってしまう恐れがありますので、特にこの内臓脂肪はダイエットなどで減らす努力をした方がいいかと思います。
ただ、内臓脂肪の特徴として、(代謝が活発なため)溜まりやすく・減りやすいという性質があります。
つまり、食生活の改善や適度な運動(特に有酸素運動)を継続することで、減らしやすい脂肪なのです。
ちなみに、リンゴ型肥満かどうかをチェックする方法は「へその高さの腹囲を、素肌の上から測ること」です。
この時、腹囲が下記以上の数値であれば、リンゴ型(内臓脂肪型)肥満の可能性が高いと言われています。
◆女性:90cm以上
これは、“水平に測ること”が重要なので、自身ではなく他の人に測ってもらうようにしてください。
「洋ナシ型肥満」とは?
こちらは、BMIが25以上ある「肥満」の人で、腹囲(ウエスト)が以下のような場合に付けられる名称となります。
◆女性:90cm未満
「内臓脂肪」ではなく、「皮下脂肪」が多く付きすぎてしまっている人のことを言うのです。
これは、「筋肉が少ない人=女性の方がなりやすい肥満体質」と言えます。
(男性より女性の方が筋肉量が少ないため)
ただし……。
内臓脂肪とは違い、皮下脂肪は重要なエネルギー源としても機能しているため、なくてはならない存在であることも確かなのです。
皮膚のすぐ下の部分にある「皮下脂肪」は、いわば“エネルギーの貯蔵庫”です。
例えば、病気の時などで食事で栄養を摂ることができない場合などにも、エネルギー源として機能してくれる大事なもの。
特に女性の場合、妊娠や出産時の体力維持にも重宝します。
ちなみに、体脂肪計で計測できるのは「皮下脂肪」となります。
この皮下脂肪の特徴は、「(内臓脂肪に比べて)溜まりにくく・一度蓄積されると分解されにくい」という性質を持っています。
例えば、「ダイエットをしよう!」と食事制限や運動を始めた場合、まず落ちるのは「内臓脂肪」からです。
その後、「皮下脂肪」が落ちていくため、分解されるまでに時間がかかってしまうのです。
また、皮下脂肪は“食事制限”で減らすことはできず、むしろ逆効果となってしまいます。
なぜなら、“エネルギーの貯蔵庫”だからです。
食事制限を行うことで、返って皮下脂肪に脂肪が蓄積してしまう(エネルギーを貯め込もうとしてしまう)ため、逆に皮下脂肪をつける原因となってしまうのです。
また、食事制限でのダイエットをして、まず減るのは「筋肉」や「水分」です。
「筋肉が減少する=体の代謝量が減る」ということなので、当然エネルギー消費量も減ります。
そうすると、ある時期を境に体重減少が止まってしまいます。
これを「停滞期」というのです。
加えて、食事制限によるダイエットを行う人の多くは、”一時的”であることも多いです。
上記の通り、食事制限によるダイエットは、筋肉や水分から減少していくため、ダイエット前よりも太りやすい体質となっています。
その後「目標体重まで減った!食事制限はやめる!」となると、その頃には“筋肉が脂肪に入れ替わっている状態”となってしまうため、より太りやすくなってしまうのです。
これが、「リバウンド」の原理です。
では、どうやって皮下脂肪を落とすのか?
それは、「運動によって筋肉をつける」しか方法がありません。
そしてもう一つ。
「皮下脂肪は体のエネルギー消費に役立つ……。では、付いていても問題はないのでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、なにごとにも“限度”というものがあります。
皮下脂肪が付きすぎてしまうと、以下のような弊害を引き起こす可能性があります。
◆睡眠時無呼吸症候群を引き起こす
◆(女性の場合)月経異常や不妊につながる恐れがある
◆(女性の場合)閉経後の乳がんの発症する可能性が高まる←関連性が示されている
付きすぎている場合は、やはりダイエットを行う必要性があると言えるのです。
最後に、洋ナシ型(皮下脂肪型)肥満かどうかをチェックする方法についてですが、これは「おなかに軽く力を入れた状態で、へそ周りをつまんでみる」ことで簡単にチェックすることができます。
しっかりたるみがつかめる場合は、皮下脂肪型肥満の可能性が高くなります。
(内臓脂肪と違い、腹筋の外側にあるため、簡単につかむことができる)
まとめ
以前の記事でもご紹介した通り、「脂肪(脂質)」というのは、人が生きていく上で必要不可欠なものではあります。
しかし、だからといって脂肪の付けすぎには“限度”がありますし、特に「内臓脂肪」はあっても何の意味もありません。
なにごとも“適度”が重要なのです。
そのため、もし上記でご紹介したチェック方法などで「脂肪が付きすぎているな……」と感じられた場合は、運動を行い脂肪を落とす努力をしてみてください。
尚、ダイエットの際に「食事制限」から入ろうとする人がいますが、皮下脂肪の項目でもご紹介した通り、この方法はリバウンドを引き起こす返って逆効果です。
何度も言うように、なにごとも“適度”が重要なため、無理な食事制限をするのではなく「1日3食・バランスの取れた食事を心がける」という方に意識を向けてみてください。
特に、「食事を抜く」や「夜食(夜遅い時間に食べる)」は良くありません。
こういった内容は、過去に別の形で記事しておりますので、その点も色々と確認をしていただければ幸いです。
ぜひ、健康的なダイエットを継続して行い、脂肪の付けすぎに注意して、毎日を快適に過ごせるよう工夫してみてください。