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「脂肪」は疎ましいもの……?なくてはならない脂肪の役割について解説します!

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「脂肪」と聞くと、「いつの間にかお腹まわりや太もも・二の腕などについている疎ましいもの……」という印象を持っている人が多いのではないかと思います。

しかし必須栄養素である「三大栄養素」にも“脂質”が含まれている通り、脂肪は人が生きていく上で必要不可欠な成分であることに間違いはありません。

今回は、この「脂肪の役割・働き」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

「体脂肪」とは?

概要


そもそも「脂肪」というのは、「脂肪細胞」という細胞の集まりとなります。

また、「体脂肪率」とは、「体重に占める体脂肪の比率を%で表したもの」です。

実は「脂肪細胞」内には、“脂肪をカラダのエネルギー源として蓄える袋”があるのです。

いわゆる“人体のエネルギー貯蔵庫”であり、脂肪は人が生きていく上でなくてはならない重要な要素なのです。

どんな働きをしているのか?

「三大栄養素」にも「脂質」が含まれている通り、脂肪細胞は“人のエネルギーの源”となります。

というのも、細胞脂肪は、“カラダの機能を正常に保つために必要なホルモンなどの物質を作り出している”のです。

例えば、女性の場合、体脂肪は以下のような時に必要不可欠な要素です。

◆正常月経の維持
◆妊娠
◆出産

だから、男性よりも女性の方が(一般的に)体脂肪率が多くなりがちなのです。

他にも、“エネルギー源を貯蔵して体温を保つ働き”や、“外部からの衝撃から内臓を守る”役目などもあります。

脂肪の「種類」について

体脂肪には、以下2つの種類に分けられます。

①「皮下脂肪」:皮膚組織にある脂肪のこと
②「内臓脂肪」:腹筋の内側の壁、腹腔内についている脂肪のこと

それぞれの特徴としては、

「①は少しずつ蓄積され、(脂肪を落としにくい)
「②は短期間で蓄積されやすいが、(脂肪を)落としやすい」

が挙げられます。

脂肪が”多すぎる”とどうなるのか?

結論:太る・健康に損ねる恐れがある

単純な話、「脂肪が多く付く=太る要因となる」です。

そして、“太る”ということは、“健康を損ねてしまう恐れがある”となります。

例えば、男性に多い「内臓脂肪肥満」は「りんご型肥満」と呼ばれ、高血糖・脂質異常・高血圧などの生活習慣病の発生リスクが高くなると考えられています。
(リンゴ型肥満=ビール腹のようなものをイメージすれば分かりやすいかと……)

対して、女性の方は「皮下脂肪型肥満=洋ナシ型肥満」が多いと言われています。

こちらは内臓脂肪と違い動脈硬化の進行などの心配は低いと言われていますが、月経異常や関節痛などを発症させやすくなるので注意が必要です。

ちなみに、肥満かどうかの判別方法には上記でご紹介した「体脂肪率」や、「BMI(Body Mass Index)」が良く使用されます。

体脂肪率の場合、成人の一般的なパーセンテージは以下のようになっています。

◆女性:30%
◆男性:25%

上記を超えると、「肥満」となります。

またBMIは身長と体重から簡単に計算が可能ですが、これだけでは筋肉質なのか脂肪過多なのかの区別がつきません。
※BMIの計算方法=体重(kg)/身長(m)2※

つまり、BMI値が標準であったとしても、筋肉量が少なく脂肪が多ければ、「隠れ肥満」となるのです。

BMIはもちろん、現代では体脂肪率の計測もしやすくなっています。

気になる方は、現在の体脂肪率を図ってみるのもいいかもしれませんね。

なぜ、体脂肪は増えるのか?

簡単です。

「栄養を摂り過ぎるから」です。

要するに、「食べ過ぎ」であり、人によっては「偏食(食べ物が偏ったり・食べる時間や回数が不規則なこと)」に陥りやすいのです。

また、「脂質を多く含む食材=脂肪になる」と勘違いしている人もいますが、三大栄養素である「タンパク質」「糖質(炭水化物)」も、摂り過ぎると体脂肪として蓄積される可能性があります。

なにごとも、“適切な量”が大事だということです。

ちなみに、体脂肪が増える傾向にある人は、以下のような特徴を持っています。

◆運動習慣がない
◆アルコール摂取量が多い
◆食生活が乱れがち
◆ストレスを感じることが多い
◆喫煙をしている
◆若いころから食べる量が変わらない

一番最後の「若いころから食べる量が変わらない」ですが、一番分かりやすいのは「学生時代にスポーツをしていた人が、成人しても学生の頃と食べる量が変わらない場合」です。

仕事や家庭などの関係で運動する時間が減る……ということも原因の一つではあるのですが、もう一つ「基礎代謝の減少」も要因となり得ます。

基礎代謝のピークは、“男性:15~17歳”“女性:12~14歳”であり、その後10年間で2%ずつ減少していくのです。

「基礎代謝が減る=1日に必要な必須エネルギー量も減る」ので、食べる量が昔と変わらない人は、太りやすくなる傾向にあると言えるのです。

体脂肪が”少なすぎる”とどうなるのか?

結論:疲れやすくなる

上項でもお伝えした通り、脂肪は人が生きていく上で重要なエネルギー源です。

確かに、脂肪が高すぎると太る原因となり、健康を損ねる恐れがあります。

しかし、脂肪の値が基準値より低くなりすぎるのも返って健康に悪くなります。

その理由は、「体内のエネルギーの蓄えが少ない状態だから」です。

そのため、「疲れやすい」「しっかり寝ても体力が回復しない」といった慢性疲労を抱えやすくなります。

加えて、脂肪は体内の体温調節にも密接な関係があります。

そして、脂肪分に溶け込んで体内を巡っている「脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンDなど)」がうまく吸収されないというデメリットも発生してしまいます。

このことから、以下のような症状も発生しやすくなるのです。

◆低体温になる
◆末端の冷えが酷くなる
◆肌荒れを起こしやすい
◆抜け毛が悪化する
◆免疫力が低下する

つまり、適度な中性脂肪、皮下脂肪があることは、美容と健康にとって重要なことなのです。

「脂肪萎縮症」という病気について

脂肪細胞を生まれつき体に持たない「脂肪萎縮症」という病気があります。

これは“数百万人に1人”と言われる難病で、先天的に起きる場合もあれば、免疫異常などで(脂肪細胞が)消失してしまう場合もあります。

「脂肪を持たない……?太る心配がないってこと?」と安易に考えてはいけません。

上記でもお伝えしたように、脂肪は生命活動を維持する上で重要なものであり、「脂肪を持たない=命の危機に瀕している」ということになるのです。

普通であれば、食事をすれば糖や脂肪は脂肪細胞に蓄積されます。

しかし、脂肪萎縮症の患者の場合、それら栄養素が血液中に溢れ出してしまうのです。

そのため、血糖値や中性脂肪の値が正常域を大幅に超え、若くして重い糖尿病などを発症してしまいます。
(古くは治療が困難であり、30歳くらいまでしか生きられないとされていた)

また、脂肪細胞は「レプチン」という成分を放出しています。

これはいわゆる「エネルギーセンサーの役割」を果たしており、脳に作用して「食欲」をコントロールしているのです。

例えば、細胞脂肪に十分なエネルギーが貯まると、多くのレプチンが放出されます。

これにより「エネルギーは十分溜まっているよ」というメッセージを全身に伝え、脳が「もう食べなくていい」と判断し食欲を抑える指令を出すのです。

しかし、脂肪萎縮症の人には脂肪がないため、「レプチン」が放出されることがありません。

……つまり、「脳が食欲を抑えることができない=食欲をコントロールできない=食べても食べても食欲が抑えられない」のです。

体脂肪を減らすためにはどうすればいい?


ここまでにお伝えしたように、脂肪は「多すぎても・少なすぎても健康を損なう恐れがある」ことになります。

ただ、現代社会において「体脂肪が多い人と少ない人、どっちの方が多い?」と言われると、「体脂肪が多い人の方が多い」こととなります。

◆十分な栄養を補給できていない
◆不規則な生活習慣を送っている

仕事や家庭などで忙しく、また偏食気味な人も多いことから「体脂肪を落としたい!」と考える人も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

最後に、この項目にて「体脂肪を減らす方法」について、ご紹介しておきたいと思います。

尚、お先に結論からまとめると、以下のようになります。

◆食生活を見直す
◆運動をする

「……それだけ……?」と思うかもしれませんが、これが一番確実な方法なのです。

順に補足していきましょう。

まずは、一日のエネルギー量を知ろう

補足する前に、大切なことをお伝えしておきます。

大切なのは「自分を知ること」です。

まずは、自分の一日の消費エネルギー量の計算から行ってみましょう。

これは、以下で計算することができます。

{身長(m)×身長(m)×22}×25~35=一日の消費エネルギー量(kcal)

上記の「25~35」というのは、自身の活動量で数値を決めてみてください。
(普段あまり動かない人は「25」、運動を適時行っている人は「35」など)

これが明確になったら、後は「摂取栄養素の量(カロリー量)を明確にし、消費エネルギーと摂取量のどちらが多いか?」を考え、対策を打つだけです。

「食生活を見直す」

まず、エネルギーの摂取は基本的に食事からとなります。

三大栄養素については以前に記事にしたことがありますが、これは「タンパク質・糖質(炭水化物)・脂質」の3つです。

大切なのは、この“バランス”です。

エネルギー(kca))比率として「炭水化物を50~65%、タンパク質を13~20%、脂質を20~30%」を摂るように心掛けるべきなのです。

このバランスについては、人によってさまざまだと思いますので、自分に合った量を適切に摂るように意識してみてください。

また、「食べる順番」も大切です。

例えばの話、運動をする前に準備運動をしてカラダをほぐしますよね?

あれと一緒で、食事も食べる順番によって脂肪への吸収が変わってくるのです。

「食事は、先に野菜から食べた方が良い」と言われる所以はここにあります。

「食事を摂る=血糖値が上昇」し、これを下げようと「インスリン」が分泌され始めます。

そして、インスリンの分泌は血糖値の上昇スピードに比例するので、脂肪細胞への吸収を防ぐためには血糖値の上昇を緩やかにする必要があるのです。

この時に重要な役割を果たすのが「食物繊維」となります。

食物繊維の多いものを食事の最初に食べることで、糖や脂肪の吸収を妨げ、消化を遅くし・血糖の上昇を穏やかにしてくれるのです。

食物繊維は、野菜以外にも「キノコ・寒天・こんにゃく・おから」などにも多く含まれており、少量でも満腹感をもたらしてくれるので食べ過ぎ防止にもつながるかと思います。

ちなみに、もし「食事から十分な栄養素を摂取するのが難しい……」という人は、栄養補助食品やサプリメントを利用するのも一つの方法です。

これらは、薬局・ジム・通販などさまざまな場所で購入ができ、物によって含まれている栄養素もさまざまとなります。

摂り過ぎは注意ですし、「栄養補助食品やサプリメントのみで栄養を補給する」ではなく、「食事の補助としてこれらを利用する」ということを注意した上で、自分に合ったものを選択するようにしてください。

「運動をする」

摂取エネルギー量よりも消費エネルギー量が増えれば、脂肪が付くことはありません。

そのため、できれば毎日……、毎日が難しければ適度に「運動」をして、消費エネルギー量を増やすといいでしょう。

体脂肪を減らすのに有効な方法は、「有酸素運動」です。

ここに、無酸素運動も加えながら、継続的に続けてみましょう。

尚、当たり前のことですが、「継続することが大事」です。

「ダイエットのために……」と一時的に運動をしたり・食事制限をしたりして体重が減ったとしても、その後もとの生活に戻ってしまえばリバウンドするのが目に見えています。

「継続は力なり」です。

そのため、いきなりカラダに負担のかかる無理な運動をするのではなく、「継続しやすいように、少しずつ運動量を増やしていく」のが良いかと思います。

まとめ

「脂肪を減らしたい……」

多くの人がこう考えているかと思います。

もちろん脂肪が多すぎてもダメなものはダメですが、重要なエネルギー源となることも確かであり、人が生きていく上でなくてはならないものでもあるのです。

でなければ「三大栄養素」「脂質」が含まれることはありません。

そのため、栄養素はバランスよく摂取するように心掛けてみてください。

脂質が減る最大の要因は、「無理なダイエットによる食事制限」です。

◆炭水化物を抜こう
◆肉を一切食べない
◆野菜しか食べない

これでは返ってカラダに悪影響を及ぼしてしまいますし、一時的にダイエットが成功したとしてもその後リバウンドするのは目に見えています。

大切なのは、「なにごともバランスよく」です。

バランスの取れた食事・適度な運動・健康的な生活を心掛け、適切に脂肪と向き合えるカラダづくりを意識してみましょう。

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